先天性裂手裂足症(エクトロダクティリー)
概要
先天性裂手裂足症(エクトロダクティリー)は、生まれつき手や足の指の骨や組織の形が通常と異なる状態です。手のひらや足の裏の中央が裂けたように見えることから「裂手」「裂足」と呼ばれます。指が少ない、短い、くっついている、曲がっているなど、現れ方は人によってさまざまです。
重要な事実
- 生まれつきの体の作り(先天異常)で、感染症のように人にうつるものではありません。
- 手や足の機能に影響することがありますが、多くの人は訓練や工夫、必要に応じた手術で日常生活の動作を身につけていきます。
- 遺伝子の変化が関係することが多く、家族に同じ状態の人がいる場合もあります。
まれな状態です。正確な頻度は地域や調査によって異なりますが、多くの国で数千人に1人程度より少ないとされています。
生まれたときから見られる状態で、男女や人種による大きな偏りはありません。家族に同じ状態の人がいる場合は、そうでない場合より起こりやすいことがあります。
症状
- 患部を強くぶつけ、指先の色が白や紫になったり、感覚がない、動かせない(すぐに119番へ)
- 患部が急に赤く腫れて激痛があり、高熱を伴う(感染の可能性。すぐに119番または救急受診へ)
- 新生児で呼吸が苦しそう、哺乳ができない、唇や口蓋の異常とともに息が苦しい(すぐに119番へ)
- ⚠患部に新しい傷、やけど、水ぶくれがある
- ⚠赤み・腫れ・痛みが増す、膿が出る
- ⚠発熱がある
- ⚠急に手や足が使えなくなった、しびれが強い
- ⚠靴ずれが悪化して歩けない
一般的な症状
- 手のひらや足の裏の中央が裂けたように見える
- 指の数が少ない、短い、欠けている
- 指どうしがくっついている(合指・合趾)
- 指が曲がっている、動きにくい
- 握る、つまむ、歩くなどに不便を感じることがある
- 爪や皮膚の形が独特である
- 左右で異なることがある
子供の症状
- 哺乳や遊びの中で手を使うことに工夫が必要なことがある
- 歩き始めが遅い、靴が合いにくいことがある
- 周囲の反応で傷つくことがある
- 学校の工作や体育で援助が必要な場合がある
- 口唇口蓋裂などを合併する場合は、哺乳や発音に支援が必要なことがある
高齢者の症状
- 長年の使用で手や足の関節に痛みが出ることがある
- 加齢や持病でできる動作が変わる
- 靴ずれや皮膚のトラブルが起きやすい
- 生活用具を見直すと動きやすくなることがある
原因
主な原因
- 生まれつきの遺伝子の変化が関係している
- 家族歴があり、親から子へ伝わりやすい遺伝のしかた(常染色体優性遺伝)のことがある
- 一部は症候群の一部として、ほかの特徴とともに見られる
- 家族に同じ状態の人がいなくても、新たな遺伝子の変化で起こることがある
リスク要因
- 家族に同じ状態の人がいる
- 遺伝子検査で変化が見つかっている
- 症候群の特徴がある
- 妊娠中の特定の環境要因との関連は報告されているが、多くの場合は遺伝子の変化が主な原因と考えられている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 患部が急に赤く腫れて強い痛みがある、発熱がある
- 患部に深い傷ややけどがあり、自分で動かせない
- 新生児で哺乳ができない、呼吸が苦しそう
- 手や足のしびれが急に強くなった
定期受診を予約すべき場合:
- 生まれたときに手や足の形が気になる
- 握る、歩くなどの発達が気になる
- 学校や仕事で手や足の使い方に困りごとがある
- 家族歴があり、妊娠や出産について相談したい
- 患部の皮膚や爪のトラブルが続く
診断
見た目と身体診察で診断されます。骨の形を確認するレントゲン、必要に応じて遺伝子検査やほかの合併症の検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 身体診察
- 手足のX線検査
- 遺伝子検査(血液)
- 胎児期の超音波検査
- 心臓や腎臓などの合併症チェック(必要に応じて)
- 聴力検査、歯科・口蓋の評価(必要に応じて)
診察で予想されること
小児科、整形外科、形成外科、遺伝部門などが協力して評価します。検査は痛みが少ないものが多く、結果には時間がかかることがあります。
治療
根本的に形を通常どおりにする治療はありませんが、手や足の機能を高め、生活しやすくするための支援があります。
自宅でのセルフケア
- 皮膚と爪を清潔に保ち、乾燥や傷を防ぐ
- 合わない靴を避け、靴ずれを予防する
- 作業療法士などの指導で手の運動を続ける
- 必要に応じて自助具(持ちやすいスプーンなど)を使う
- 転倒やけがを防ぐ環境づくりをする
医療治療
作業療法・理学療法で握る・つまむ・歩く練習をします。必要に応じて装具や補助具を使います。合併症(口蓋裂、聴力、涙道など)にはそれぞれ専門的な支援を行います。手術は機能改善や見た目の改善を目的に、年齢や状態に合わせて検討されます。
手術が検討される場合
指の分離、親指の位置の改善、関節の安定性、靴が履きやすい形など、機能や生活上の困りごとが大きい場合に検討されます。手術の時期や方法は専門医と相談して決めます。
この病気と共に生きる
手や足の形に合わせた道具や方法を工夫することで、食事、着替え、仕事、家事などを自分なりに行えます。
生活習慣のアドバイス
- 無理のない範囲で手や足を使い、疲れたら休む
- 靴は足の形に合うものを選び、専門店に相談する
- 学校や職場で必要な配慮を伝える
- 定期的に皮膚や関節の状態を確認する
- 同じ状態の人や家族とつながる
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と、体力に合わせた運動が大切です。手足の運動は作業療法士などの指導を受けると安心です。
精神的健康と心の健康
見た目やできることへの周囲の反応で、悲しさ、不安、自信の低下を感じることがあります。これは弱さではなく、相談してよいサインです。
予防
遺伝子の変化が主な原因のため、完全に防ぐ方法はありません。妊娠を考えている方は、家族歴がある場合、遺伝カウンセリングで相談できます。
ワクチン
この状態に特異的なワクチンはありません。
検診プログラム
胎児超音波検査で手足の形が気づかれることがあります。出生後は身体診察で確認します。合併症の有無に応じて、心臓・腎臓・聴力などの検査を行います。
合併症
治療しない場合
- 握る・つまむ・歩くなどの動作に不便が続く
- 関節のこわばりや痛み
- 靴ずれ、皮膚の傷、感染
- 学校や仕事での困りごと、心理的な負担
- 合併症(口蓋裂、聴力障害、涙道閉塞など)に気づかれない
長期的な見通し
多くの人は、訓練、工夫、必要に応じた手術で自分に合った生活を築いています。合併症がある場合も早期の支援で生活の質を高められます。不安なことは医療チームに相談しながら進めましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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