ヘルペス性湿疹(湿疹ヘルペス)
概要
ヘルペス性湿疹は、単純ヘルペスウイルス(口唇ヘルペスなどの原因になるウイルス)が、湿疹やアトピー性皮膚炎で弱っている皮膚の部分に広がって起こる感染症です。湿疹の上に、小さな水ぶくれや膿のつぶつぶが次々にでき、痛みを伴います。皮膚のバリア(外からの刺激や菌を防ぐ層)が壊れているところに入り込むため、ふつうのヘルペスより広い範囲に広がりやすく、早めの受診が大切です。
重要な事実
- 湿疹やアトピー性皮膚炎のある人に起こりやすい、皮膚の感染症です。
- 小さな水ぶくれや膿のつぶつぶが、数日で広がることがあります。
- 早く気づいて治療を始めれば多くは回復します。皮膚の急な変化に気づいたら、その日のうちに医療機関へ相談しましょう。
湿疹のある人に起こる合併症としては比較的よく知られていますが、湿疹のない人にはほとんどみられません。アトピー性皮膚炎の子どもの一部に起こることがあります。
症状
- 意識がぼんやりしている、反応が弱い
- 呼吸が苦しい、顔色が悪い
- 顔や目の周りが急に腫れて広がっている
- 高熱が続き、ぐったりして水分もとれない
- けいれんが起きた
- ⚠水ぶくれや膿のつぶつぶが半日から1日で急速に増えている
- ⚠目の周りに発疹が出た、目が赤い・痛い・見えにくい
- ⚠発熱と皮膚の症状が同時にある
- ⚠湿疹が急に悪化し、痛みが強い
一般的な症状
- 湿疹のあった場所に、小さな水ぶくれや黄色っぽい膿のつぶつぶがたくさんできる
- つぶつぶが数日かけて周りに広がっていく
- 強い痛み、かゆみ、ヒリヒリした感じ
- 皮膚が赤く腫れる、汁が出る、かさぶたになる
- 発熱やだるさを伴うことがある
- 首やわきの下のリンパ節が腫れて痛むことがある
- 目の周りにできると、目が赤くなったり痛んだりすることがある
子供の症状
- 発熱、不機嫌、食欲やおっぱい・ミルクの飲みが悪くなる
- 顔、首、頭にできやすい
- かゆくて掻いてしまい、広がることがある
- ぐったりしている、元気がないときは急いで受診しましょう
高齢者の症状
- 湿疹が長く続いていると、変化に気づくのが遅れやすい
- 免疫の働きが弱まっていると、広がりが速く重症になりやすい
- 帯状疱疹(体の片側に帯状にできる発疹)との区別が必要になることがある
- 痛みで眠れない、食事がとれないときは早めに相談しましょう
原因
主な原因
- 単純ヘルペスウイルス(1型または2型)の感染
- 湿疹などで皮膚のバリアが壊れ、ウイルスが入り込みやすい状態になっていること
- 水ぶくれの液や唾液との接触でうつることがある
リスク要因
- アトピー性皮膚炎、湿疹、皮膚が乾燥して傷つきやすい状態
- 免疫の働きが弱まっている(病気や治療の影響など)
- 家族など身近に口唇ヘルペスのある人がいる
- 湿疹を掻いて皮膚に傷ができている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水ぶくれや膿のつぶつぶが急速に増えている
- 目の周りに発疹がある、目が赤い・痛い
- 発熱と皮膚の症状が同時にある
- 赤ちゃんや小さい子どもで、ぐったりしている、水分がとれない
定期受診を予約すべき場合:
- 湿疹の調子が悪い日が続くとき
- 皮膚のケア方法を見直したいとき
- ヘルペス性湿疹を経験したあと、再発が心配なとき
診断
診察で皮膚の様子をみて判断することが多いです。湿疹の上に小さな水ぶくれや膿のつぶつぶが広がっていれば、ヘルペス性湿疹を疑います。必要に応じて、水ぶくれの液を拭ってウイルスがいるか調べる検査をします。
行われる可能性のある検査
- 診察(皮膚の観察)
- 水ぶくれの液や皮膚を拭った検体でのウイルス検査(PCR法など)
- 細菌感染を合併していないか調べる検査
- 重症度に応じた血液検査
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、痛みのある検査はふつうありません。目の周りが気になるときは、眼科と一緒に診ることがあります。
治療
ヘルペス性湿疹は、ウイルスを抑える治療をできるだけ早く始めることが大切です。治療の内容は、症状の広がりや年齢、全身の状態を見て医師が決めます。自己判断で市販薬を使わず、まずは医療機関に相談してください。
自宅でのセルフケア
- 患部を触ったり掻いたりしない。爪は短く切っておく
- 手洗いをこまめにし、タオルや食器の共用は避ける
- 水ぶくれが破れたら清潔を保ち、こすらずにやさしく押さえる
- よく眠り、水分をとって休む
- 湿疹の保湿ケアは、医師の指示に沿って続ける
- 保育園・学校・仕事に行くかどうかは、医師に相談してから決める
医療治療
ウイルスの増殖を抑える飲み薬や、状態によっては点滴を使うことがあります。細菌感染を合併しているときは、抗菌薬が使われることがあります。皮膚の炎症に対するケアや、痛み・かゆみをやわらげる対応も並行して行います。広がりが速いときや、赤ちゃん、免疫が弱っている人では、入院して治療することがあります。薬の種類や量は医師が決めます。
この病気と共に生きる
治るまでは皮膚の状態を毎日観察し、変化があれば早めに医療機関へ相談しましょう。湿疹のケア(保湿や刺激を避ける工夫)は続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 熱すぎないお湯で、こすらずにやさしく洗う
- 保湿を毎日の習慣にする
- 汗をかいたら早めに拭き、着替える
- 口唇ヘルペスのある人との接触(キス、タオルや食器の共用)を避ける
- 睡眠と休息を十分にとる
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。バランスのよい食事と水分をとり、体調が戻るまでは激しい運動や汗をたくさんかく活動は控えめにしましょう。
精神的健康と心の健康
見た目の変化や痛みで不安になったり、人目が気になったりすることがあります。それは自然な気持ちです。ひとりで抱え込まず、家族や医療者に話してください。気持ちがつらい日が続くときは、地域の相談窓口や医療機関に相談を。緊急のつらい気持ちがあるときは、ためらわず救急(119)や医療機関に連絡してください。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、湿疹をよい状態に保ち、皮膚のバリアを守ることが大切です。口唇ヘルペスのある人との接触を避け、手洗いを習慣にしましょう。
合併症
治療しない場合
- 細菌の感染を合併し、とびひ(伝染性膿痂疹)のようになることがある
- 目の周りに広がり、角膜を傷つけて視力に影響することがある
- 発熱や水分不足で全身の状態が悪くなることがある
- 皮膚に跡が残ることがある
長期的な見通し
早く気づいて治療を始めれば、多くは数週間で落ち着きます。湿疹のケアを続けることで再発のリスクも下げられます。不安なことは医師に相談しながら進めましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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