脳波検査(EEG)ってどんな検査?
概要
脳波検査(のうは検査、EEG)は、頭の表面に小さな電極(でんきょく=電気を感じ取る小さな部品)を貼り、脳が出しているとても弱い電気の波を記録する検査です。「脳の電気の活動日記」をつけるようなもので、痛みはほとんどなく、体への負担も少ない安全な検査です。記録された波形から、脳がどんなふうに働いているか、発作(けいれんなど)の原因がないかを調べます。
重要な事実
- 検査の時間はおよそ20〜60分で、日帰りで受けられることが多いです
- 電極を貼るだけで注射や切開はありません。終わったらシャンプーでジェルを落とします
- 眠っている間の脳波を見るために、前の晩の睡眠を少なめにするよう頼まれることがあります
- 検査そのものは治療ではなく、原因を調べるための「調べる道具」です
はい。けいれんや意識を失う発作、原因の分からない頭痛や物忘れなどを調べるために、日本でも広く行われている基本的な検査です。脳外科や小児科、神経内科など、多くの診療科で使われています。
こどもから高齢者まで、年齢を問わず行われます。特に、けいれんがある、意識がとぶ(一瞬ぼんやりする)、記憶の空白がある、夜中に体が異常に動く、といった症状がある人に勧められることが多いです。症状がない人に一律に行う検査ではありません。
症状
- けいれんが5分以上続く、または短いけいれんが繰り返し起きて意識が戻らない
- けいれんのあと呼吸が苦しそう、顔色が青白い
- 初めてのけいれん、または意識がなかなか戻らない
- 頭を強く打ったあとのけいれんや意識の変化
- 発熱と首の硬さ、激しい頭痛をともなう意識の変化
- ⚠短いけいれんが以前より増えている
- ⚠意識が数秒とぶことが繰り返し起きている
- ⚠発作で転んでけがをした
- ⚠予約した検査の日を待つ間に症状が悪くなっている
一般的な症状
- けいれん(手足がつっぱる、がくがくふるえる)
- 意識を失う、または一瞬ぼんやりして反応が止まる
- 数秒から数十秒、会話や動作がぴたっと止まる
- 気づくと時間が飛んでいる、記憶の空白がある
- 原因の分からない頭痛が繰り返す
- 夜中に体が動く、眠りが浅い、日中の強い眠気
- 急に物忘れや混乱が増えた
子供の症状
- 熱が出たときのけいれん(熱性けいれん)を繰り返す
- 呼びかけに反応しない時間がときどきある
- 発達の遅れや言葉の出にくさを指摘された
- 夜中に何度も起きる、昼間にぼんやりすることが多い
- 学校で集中しにくい、ぼんやりしてしまうことが増えた
高齢者の症状
- 急に意識を失う、転倒する
- 物忘れや混乱が急に増えた
- 睡眠中に体がけいれんする、大声を出す
- 脳卒中の疑いがあるとき(これは緊急対応が必要です)
原因
主な原因
- てんかん(発作をくり返す脳の病気)が疑われるとき
- 脳の炎症や感染症が疑われるとき
- 睡眠障害(眠りの浅さ、夜間の異常な動き)を調べたいとき
- 脳腫瘍や脳卒中など、脳の病気の影響を確認したいとき
- 意識障害や混乱の原因が分からないとき
- 代謝の異常や、体の状態の変化が脳に与える影響を調べたいとき
リスク要因
- 検査そのものの危険はとても低いですが、まれに光の点滅や過呼吸の負荷で発作が起きることがあります
- 睡眠不足や強い疲れがあると、発作が出やすくなることがあります
- 頭皮に傷や湿疹があると、電極がうまく貼れないことがあります
- 整髪料やオイルを使っていると、記録が乱れることがあります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けいれんが繰り返す、または意識が戻りにくい
- 発作のあとにけがをした、頭を打った
- 妊娠中や持病があり、発作のような症状が出た
- 新しく違うタイプの発作が出てきた
定期受診を予約すべき場合:
- 一度だけ意識がとんだ、記憶の空白があった
- 原因の分からない頭痛が続いている
- 家族に「夜中に体が動いている」と言われた
- 脳波検査の結果の意味をくわしく知りたい
- 発作があるかどうか不安で、相談したい
診断
脳波検査は、医師が問診(話を聞くこと)と診察をしたうえで、必要かどうかを判断します。症状の出方、頻度、起きたときの様子をくわしく聞いたうえで、検査の種類が選ばれます。検査の結果だけで診断が決まるのではなく、症状や他の検査と合わせて総合的に判断します。
行われる可能性のある検査
- 安静時脳波検査(目を閉じて10〜30分ほどじっとしている検査)
- 睡眠脳波検査(眠っている間の脳の働きを記録します)
- 負荷をかける検査(過呼吸や光の点滅で、発作が出やすいかを調べます)
- 長時間ビデオ脳波同時記録(発作の様子と脳波を同時に記録します)
- 必要に応じて頭の画像検査(MRI・CT)や血液検査
診察で予想されること
検査の前日に髪を洗い、整髪料やオイルをつけないでください。睡眠を少なめにするよう指示された場合は、その指示に従います(移動や運転は安全に気をつけてください)。当日は頭にジェルをぬって電極を貼り、椅子に座るかベッドに横になって記録します。途中で過呼吸や光の点滅をしてもらうことがあり、少しふらつくことがあります。痛みはありません。終わったらジェルをシャンプーで落とせます。結果は後日、医師から説明されます。
治療
脳波検査は治療ではなく、原因を調べるための検査です。結果をもとに、治療が必要かどうか、どんな治療が合いそうかを医師と一緒に考えていきます。異常が見つからないことも多く、その場合は症状の記録を続けながら様子を見ることがあります。
自宅でのセルフケア
- 検査の前日は髪を洗い、整髪料やオイルを使わない
- 睡眠を少なめにするよう言われたら、その指示に従う(安全に気をつける)
- カフェインを控えるよう言われたら、前日から控える
- 検査当日に食事をとってよいか、事前に確認する
- 検査後はシャンプーでジェルをよく落とす
- 発作があった日時・状況・長さ・様子をメモしておく
医療治療
検査の結果、治療が必要と判断された場合は、原因に合わせた治療が行われます。発作がある場合には、発作を起こしにくくするお薬が使われることがあります。お薬の種類や量は、年齢や体の状態、発作のタイプに合わせて医師が一人ひとり決めていきます。自分で判断して始めたり止めたりせず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
検査で見つかった原因によっては、手術が検討されることがあります(例:脳のごく一部が発作の原因になっている場合)。ただし手術が必要になる人は多くありません。専門医とよく相談して決めていきます。
この病気と共に生きる
検査の結果とどう付き合っていくかは、人によって違います。発作がある場合は記録をつけることがとても役に立ちます。いつ・どんな状況で・どのくらい続いたかを書いておくと、診察のときに医師へ伝えやすくなります。家族や友人に検査の内容や症状を伝えておくと、もしものときに助けてもらいやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 発作の記録をつける(日時、状況、長さ、様子)
- 睡眠を十分にとり、生活のリズムを整える
- 飲酒は控えめにする(発作のきっかけになることがあります)
- 入浴は湯船に一人で長く浸からないなど、安全に工夫する
- 運転や水泳など、発作が起きると危険な活動は医師に相談する
- 光の点滅が苦手な場合は、照明や画面の設定を工夫する
食事と運動
特別な食事制限は通常ありません。バランスよく食べ、無理のない範囲で体を動かすことが、体調を整える助けになります。ただし、水泳や高所、一人での激しい運動など、発作が起きたときに危険な活動は、医師に相談してからにしましょう。
精神的健康と心の健康
検査を受ける前は「何か重い病気だったらどうしよう」と不安になるのは自然なことです。結果を待つ間は特に気持ちが落ち着かないかもしれません。気持ちがつらいときは一人で抱え込まず、医療機関や地域の相談窓口に相談してください。日本では緊急のときは119番、地域によっては救急相談(#7119)も利用できます。
予防
脳波検査そのものを「防ぐ」という考え方はあまりありません。ただし、発作のきっかけになる睡眠不足、飲酒、強いストレス、光の点滅などを避けることで、症状の再発を減らせる場合があります。気になる症状があるときは早めに相談することが大切です。
検診プログラム
症状がない人に脳波検査を一律に行うことは、日本の一般的な診療では推奨されていません。気になる症状があるときに医師に相談し、必要に応じて検査を受けるのが基本です。
合併症
治療しない場合
- 発作の原因が分からないまま、不安が続く
- てんかんなどの診断が遅れ、対応が後回しになる
- 発作によるけがや事故のリスクが高まる
- 治療を始める機会を逃してしまう
長期的な見通し
脳波検査は安全で、多くの人にとって負担の少ない検査です。結果が分かることで、今後の見通しが立ち、必要な対応を早めに始められます。異常が見つからないことも多く、その場合は記録を続けながら様子を見ていきます。心配なことは一人で抱えず、医師と一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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