感電によるけが(電撃傷)
概要
感電によるけが(電撃傷)は、体に電気が流れこんだときに起きるけがのことです。電気は皮膚のやけどだけでなく、体の奥の筋肉や神経、心臓にも影響することがあります。家庭のコンセントや延長コード、壊れた家電など、身近なところでも起こりえます。電気が体に入った場所と出た場所の両方にやけどができることもあります。
重要な事実
- 電気は見えないため、皮膚の傷が小さくても体の奥に影響が残ることがあります。
- 感電のあとに心臓のリズムが乱れることがあり、数時間後になって症状が出る場合もあります。
- 感電した人が意識を失っている、呼吸がない、などの場合は、すぐに救急(119)を呼ぶことが最優先です。
感電は日常でよくある事故のひとつで、特に家庭内でのコンセントやコード、家電の誤った使い方によるものが多く報告されています。命に関わる重い例は多くありませんが、軽く見える感電でも後から体調が変わることがあるため、注意が必要です。
小さな子ども(コンセントやコードを口に入れたり触ったりする)、家の電気配線を自分で直す人、電気工事や建設の仕事をする人、水回りで電気製品を使う人、雷雨のときに屋外にいる人などが影響を受けやすいとされています。
症状
- 意識がない、または呼びかけへの反応がおかしい
- 呼吸がない、または呼吸が非常に弱い
- 心臓が止まったように見える、脈が感じられない
- けいれんが続いている
- 高圧線・送電線・変電設備など高い電圧に触れた
- 高い場所での感電により転落した、頭や首を打った可能性がある
- 広い範囲のやけど、黒く焦げたやけど、体の奥まで届くような深いやけど
- 胸の強い痛みや動悸が続く、息が苦しい
- ⚠軽い感電でも手足のしびれや力の入りにくさが残る
- ⚠おしっこの色が濃い(赤褐色)、量が減った
- ⚠感電した部分のやけどが赤く腫れて広がっている
- ⚠頭痛、吐き気、めまいが続く
- ⚠子どもや高齢者が感電した(症状が軽く見えても)
- ⚠妊娠中に感電した
一般的な症状
- 電気が触れた部分のやけど、赤み、痛み
- 手足のしびれ、ピリピリした感じ
- 筋肉のけいれんやこわばり
- 頭痛、めまい、気分が悪くなる
- 動悸(心臓がドキドキする感じ)、胸の不快感
- 一時的に意識がぼんやりする、記憶が飛ぶ
子供の症状
- コンセントやコードを口に入れた形跡、口のまわりのやけど
- 痛みをうまく言葉にできず、泣き続ける・ぐったりする
- 元気がない、反応がいつもと違う
- おしっこの量が減る、おしっこの色が濃い
高齢者の症状
- 転倒してコードにつまずく、家電の扱いでの事故
- 軽い感電でも動悸や息苦しさが出やすい(心臓の持病がある場合)
- やけどが治りにくい、感染を起こしやすい
- 体力の低下により、感電後のだるさが長引くことがある
原因
主な原因
- 家庭のコンセント、延長コード、たこ足配線の誤使用
- 傷んだコード、壊れた家電、古い電気配線からの漏電
- 水回り(台所、風呂、洗面所)でぬれた手で電気製品を触る
- 雷(落雷の近くにいる、雷雨の中の屋外作業)
- 電柱・送電線・変電設備などの高圧電気
- 電気工事、建設現場、DIYでの配線作業
- 電気自動車の充電設備の誤使用
リスク要因
- 小さな子どもがいる家庭(コンセントカバー未使用など)
- 電気工事や建設など、電気を扱う仕事に就いている
- 自分で電気配線を修理・改造する
- 古い家屋、傷んだ配線やコードをそのまま使っている
- ぬれた手や足で電気製品を扱う
- 心臓の病気がある(不整脈が出やすくなる)
- 雷雨のときに屋外や開けた場所にいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識を失った、意識がぼんやりした
- 胸の痛みや動悸、息苦しさがある
- 手足のしびれや動かしにくさが残る
- やけどが広い、深い、黒く焦げている
- おしっこの色が濃い、量が減った
- 頭を打った、高い場所から落ちた可能性がある
- 子どもや高齢者、妊娠中の人が感電した
定期受診を予約すべき場合:
- 軽い感電で、しびれや痛みが少し残っている
- やけどが小さくても赤みや腫れが続いている
- 感電のあと、なんとなく体調がすぐれない、疲れやすい
- 不安やこわさが残り、夜眠れない
- 家の配線や家電の安全性が心配
診断
医師はまず、どのような電気に、どのくらいの時間触れたか、意識を失ったかどうかを聞き、体の状態を診察します。皮膚のやけどの範囲や深さを確認し、心臓や筋肉、神経への影響がないかを調べるために検査を行うことがあります。症状が軽く見えても、念のため心電図をとることがあります。
行われる可能性のある検査
- 診察と問診(感電の状況、時間、意識の有無の確認)
- 心電図(心臓のリズムを調べる)
- 血液検査(筋肉の傷み具合、腎臓の働き、電解質のバランスを確認)
- 尿検査(筋肉が壊れたときに増える物質が尿に出ていないか)
- やけどの範囲と深さの評価
- 必要に応じて画像検査(レントゲン、CTなど)で骨折や内臓の損傷を確認
診察で予想されること
感電の程度によって検査の内容は変わります。軽い場合は診察と心電図だけで終わることもあります。中等度以上の場合は、心電図で心臓の様子をしばらく観察したり、血液検査の結果を待ったりするため、数時間医療機関で過ごすことがあります。やけどがある場合は、処置のために通院が必要になることがあります。
治療
治療は、感電の程度によって大きく変わります。軽い場合は安静と経過観察が中心で、やけどがあればその手当てを行います。心臓や筋肉に影響がある場合は、医療機関でモニタリングしながら点滴や処置を行うことがあります。命に関わる状態では、救急処置が最優先されます。
自宅でのセルフケア
- 感電した直後は、まず電源から離れ、安全な場所で安静にする
- やけどの部分は無理に冷やしすぎず、清潔なタオルなどで軽く覆い、医療機関に相談する
- 感電した当日は激しい運動や飲酒を控え、無理をしない
- しばらくは一人にならず、家族や周囲の人に体調の変化を見てもらう
- 眠る前に、動悸・胸の痛み・息苦しさ・しびれがないか確認する
- やけどが化膿していないか、毎日観察する
医療治療
医療機関では、心臓のリズムをモニターで観察したり、やけどの処置(清潔な処置と保護)を行ったりします。脱水や筋肉の障害がある場合には点滴で水分と電解質を補うことがあります。痛みに対しては、状態に合わせた痛み止めが使われることがあります。傷口が汚れている場合は、破傷風の予防について医師と相談します。具体的な薬や処置の内容は、医師がその人の状態に合わせて決めます。
手術が検討される場合
やけどが深く広い場合には、皮膚を移植する手術が必要になることがあります。また、骨折や内臓の損傷を伴う場合は、それぞれに応じた外科的治療が検討されます。
この病気と共に生きる
感電のあとは、しばらく体調の変化に気をつけて過ごすことが大切です。だるさやしびれが残ることもあるため、無理に予定を詰め込まず、休む時間を意識してとりましょう。やけどがある場合は、指示されたとおりに傷の手当てを続け、通院を欠かさないようにしてください。
生活習慣のアドバイス
- 家の中のコードやコンセントの状態を定期的に確認する
- 水回りでは、ぬれた手で電気製品を触らないようにする
- 子どもがいる家庭ではコンセントカバーを使い、コードを届かない場所にまとめる
- 雷雨のときは屋外や開けた場所を避け、屋内で過ごす
- 疲れているときや飲酒後は、電気製品の扱いを避ける
食事と運動
特別な食事制限は必要ありませんが、バランスのよい食事と水分補給を心がけると回復を支えます。筋肉に負担がかかったあとは、十分な水分をとりましょう。運動は、体調が戻ってきたら散歩など軽いものから始め、しびれや動悸が出たら中止して医療機関に相談してください。
精神的健康と心の健康
感電のあとは、こわさや不安が残り、電気製品を使うのが怖い、夜眠れない、ということがあります。これは自然な反応で、時間とともにやわらぐことが多いものです。つらい気持ちが続くときは、一人で抱えず、家族や友人、医療機関に話してみてください。
予防
感電の多くは、身のまわりのちょっとした工夫で防ぐことができます。家庭内の電気の使い方を見直すことが、もっとも身近な予防になります。
ワクチン
けがをしたときは、破傷風の予防接種を受けたかどうかを確認しておくと安心です。接種歴がわからない場合は、医療機関で相談してください。
検診プログラム
家の配電設備や漏電ブレーカーは、定期的に点検することが勧められます。古い配線や傷んだコードは早めに交換しましょう。
合併症
治療しない場合
- やけどの悪化や感染
- 心臓のリズムの乱れ(不整脈)が後から出ることがある
- 筋肉が壊れることによる腎臓への負担
- 神経の障害によるしびれや動かしにくさ
- 転落による骨折や頭のけが
- こわさや不安が長引き、生活に影響すること
長期的な見通し
多くの感電は軽く、適切な対応で回復します。やけどやしびれが残る場合も、時間をかけて回復していくことが多いです。気になる症状があるときは早めに医療機関に相談することが、安心につながります。回復のペースには個人差があるため、あせらず自分の体調に合わせて過ごしてください。
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最終更新: 2026年10月23日
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