感電によるやけど(電気やけど)
概要
感電によるやけど(電気やけど・電撃傷)は、体に電気が流れ込んだときに起こるけがです。電気は皮膚の表面だけでなく、体の中の筋肉・神経・血管を通っていくため、皮膚に見えている傷が小さくても、体の奥に深い傷が隠れていることがあります。また、電気が心臓の動きに影響して、脈の乱れが起きることがあります。
重要な事実
- 皮膚のやけどが小さく見えても、体の中に深い傷が残っていることがあります。見た目だけで軽いと判断しないことが大切です。
- 家庭のコンセント(日本では100ボルト)でも、水にぬれた手や汗をかいた体、子どもの体では特に危険です。
- 感電したあとは心臓のリズムが乱れることがあるため、症状がすぐに消えたように見えても医療機関で診てもらうことをおすすめします。
電気やけどは、やけど全体の中では多くはありません。しかし家庭の中(コンセント・家電・充電器)、職場の電気設備、屋外の電線、雷など、身近なところで起こります。厚生労働省や消防庁も、感電事故を防ぐための注意を呼びかけています。
小さい子ども(コンセントやコードを口に入れてしまう)、電気工事・建設・屋外作業などに携わる人、雨や水気のある場所で作業する人、雷雨のときに屋外にいる人などが影響を受けやすいです。心臓に持病がある人や妊娠中の人は、電気の影響を受けやすいことがあります。
症状
- 意識がない、または意識がぼんやりしている
- 呼吸が止まっている、息が苦しい
- 胸が痛い、動悸が続く、脈が乱れている感じがする
- けいれんが起きた
- 高圧線(電柱の上の電線など)に触れた、または雷に打たれた
- やけどの範囲が広い、または顔・手・足・関節・陰部のやけど
- 感電している人にまだ電気が流れている可能性があるとき(この場合は絶対に素手で触らず、電源を切るか119番に助けを求めてください)
- ⚠皮膚のやけど、変色、水ぶくれがある
- ⚠しびれや力が入らない感じが続く
- ⚠動悸、めまい、頭痛が続く
- ⚠小さい子どもや高齢者が感電した
- ⚠妊娠中の人が感電した
- ⚠軽く見えても、家庭のコンセント以外(屋外の電線・機械・雷)による感電だった
一般的な症状
- 皮膚の赤み、白っぽい変色、やけどあと
- ピリピリするしびれや痛み
- 体が一瞬ふるえる、力が入りにくい
- やけどをした部分の腫れ
- 頭痛、めまい、気分が悪くなる
- 動悸(心臓がドキドキする感じ)、胸の不快感
- 一時的に意識がぼんやりする、頭が真っ白になる
子供の症状
- 口のまわりや唇のやけど(コンセントやコードをなめたとき)
- 泣き方がいつもと違う、ぐったりしている、元気がない
- 手や指のしびれを言葉でうまく伝えられないことがある
- 子どもの場合は見た目が軽くても、必ず医療機関で診てもらってください
高齢者の症状
- 皮膚が薄いため、やけどが深くなりやすい
- しびれや痛みを感じにくく、けがを見落としやすい
- 心臓など持病の影響が出やすい
- 感電による驚きやふるえで、転倒して別のけがをすることがある
原因
主な原因
- 家庭のコンセント、延長コード、家電製品(ぬれた手で触る、コードが破れている)
- 屋外の電線、電柱、高圧線
- 職場の電気設備、電動工具、機械
- 充電器・モバイルバッテリー・電池の不適切な扱いや子どもの誤飲
リスク要因
- 小さい子どものいる家庭で、コンセントカバーなどを使っていない
- 電気工事・建設・屋外作業などの仕事に携わっている
- 風呂場・台所・雨の屋外など、水気のある場所で電気製品を使う
- 古い、または破れたコードやプラグをそのまま使っている
- 雷雨のときに屋外、木の下、水辺にいる
- 心臓に持病がある、または妊娠中である
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- やけど、変色、水ぶくれがある
- しびれ、力が入らない感じ、動悸、めまいが続く
- 子ども・高齢者・妊娠中の人が感電した
- 屋外の電線や機械、雷による感電だった
- 感電したあと、なんとなく体調がすぐれない
定期受診を予約すべき場合:
- 軽い感電で、その場では症状が消えたように感じた場合でも、念のためかかりつけ医に相談する
- 数日たってから痛みが強くなる、しびれが残る、傷の色が変わってきた
- やけどした部分が赤く腫れて熱をもってきた、膿が出てきた
診断
まず、どんな電気に、どのくらいの時間触れたのか、意識を失ったかどうかを医師に伝えます。そのうえで皮膚の状態を診察し、心臓への影響を調べるために心電図などの検査を行います。筋肉や神経の傷みぐあいを確認することもあります。
行われる可能性のある検査
- 心電図(心臓のリズムを調べる検査)
- 血液検査(筋肉が傷ついていないかなどを調べる)
- 尿の検査
- やけどの深さと広さを診る診察
- 必要に応じて画像の検査(レントゲンやCTなど)
診察で予想されること
診察はそれほど長くかかりません。感電したときの状況をできるだけ詳しく話すことが、正確な判断につながります。症状が軽い場合でも、数時間から1日ほど経過を見るために様子を観察することがあります。
治療
電気やけどの治療は、皮膚のやけどの手当てと、体の中(心臓・筋肉・神経)への影響の確認の両方が中心になります。やけどの深さや広さ、感電した電気の種類によって、必要な対応が変わります。
自宅でのセルフケア
- 医療機関で診てもらったうえで、やけどした部分をきれいな流水で冷やす(冷やしすぎには注意)
- やけどした部分を清潔に保ち、水ぶくれは自分でつぶさない
- 医師に指示された塗り薬や覆い(ガーゼなど)は、言われたとおりに使う
- 家の中のコードやプラグの傷みを点検し、コンセントカバーを使う
- しびれや動悸など、気になる症状が続くときは我慢せずに相談する
医療治療
医療機関では、やけどした部分を洗って清潔にし、適切な覆いをして保護します。痛みへの対応や水分の補給を行うこともあります。心臓のリズムを確認するための検査を行い、必要に応じて経過を観察します。けがの状態によっては、破傷風(破傷風菌による感染症)の予防について医師と相談することがあります。薬の種類や使い方は、必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
やけどが深く、皮膚が大きく損なわれている場合には、皮膚を移植する手術などが検討されることがあります。また、筋肉や神経の損傷が強い場合には、専門の診療科での治療が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
やけどが治るまでは、患部を清潔に保ち、紫外線を避けることが大切です。傷あとが気になる時期は、医師や看護師に相談しながらケアを続けましょう。しびれや動きにくさが残る場合は、無理をせず、少しずつ日常生活の動きを取り戻していくことが助けになります。
生活習慣のアドバイス
- 家電のコードやプラグを定期的に点検し、傷んだものは使わない
- 水回りでは、ぬれた手でコンセントやスイッチを触らない
- 子どもが届く場所に充電器や電池を置かない
- 雷雨のときは屋外に出ず、木の下や水辺を避ける
- 職場では電気設備の点検と安全手順を守る
食事と運動
特別な食事の制限はありません。バランスのよい食事と、無理のない範囲の運動は、からだの回復を助けます。やけどした部分に負担がかかる運動は、医師に相談してから始めましょう。水分をこまめにとることも大切です。
精神的健康と心の健康
感電はとても怖い経験です。そのあと、不安、眠りにくさ、電気製品への恐怖、つらい気持ちが続くことがあります。それは自然な反応で、がまんする必要はありません。つらい気持ちが続くときは、かかりつけ医や地域の相談窓口に話してみてください。気持ちが追い詰められたときは、ためらわずに119番、またはお住まいの自治体のこころの相談窓口に連絡してください。
予防
はい、多くの感電事故は防ぐことができます。厚生労働省や消防庁も、家庭と職場での安全確認を呼びかけています。コンセントカバーの使用、コードの点検、水気のある場所での電気製品の扱いへの注意、雷雨時の行動の見直しが大切です。
ワクチン
破傷風(破傷風菌による感染症)の予防接種について、やけどやけがのあとに医師と相談することがあります。普段からの予防接種の記録を確認しておくと安心です。
合併症
治療しない場合
- やけどが深くなり、治るまでに時間がかかったり、傷あとが残ったりする
- しびれや力の入りにくさが続く(神経や筋肉の損傷)
- 心臓のリズムの乱れ(不整脈)
- 傷から細菌が入ることによる感染症
- 筋肉が大きく傷ついたときの腎臓への負担
- 手や指などが動かしにくくなる(機能の低下)
- 雷や頭に近い感電のあと、数か月から数年たって目の問題(白内障など)が出ることがある
長期的な見通し
多くのかたは、適切な手当てと経過観察で回復していきます。やけどの深さや範囲によっては時間がかかることもありますが、医療機関と相談しながら一歩ずつ進むことができます。気になる症状は早めに相談することが、安心につながります。
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最終更新: 2026年10月23日
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