心電図検査について
概要
心電図(しんでんず)は、心臓が動くときに生まれる小さな電気の信号を記録する検査です。胸や手足に電極というシールのようなものを貼り、心臓のリズムや電気の流れに異常がないかを調べます。注射も痛みもなく、数分で終わる、体への負担がとても少ない検査です。
重要な事実
- 痛みはなく、放射線も使いません。妊娠中の方や赤ちゃんにも行われることのある安全な検査です。
- 検査の時間は通常5〜10分ほどで、終わったあとは普段どおりに過ごせます。
- 結果から、脈の乱れ(不整脈)、心臓の筋肉の状態、心臓に血液を送る血管の異常のサインなど、多くの情報がわかります。
とてもよく行われている基本的な検査です。健康診断や手術の前、胸の症状があるときなど、さまざまな場面で使われています。
年齢を問わず、必要に応じて誰でも受けます。動悸や胸の痛みがある方、健康診断で心電図の異常を指摘された方、心臓病の治療中・経過観察中の方、手術や入院の前の方などが対象になります。子どもの場合は、胸の音の雑音、運動中の息切れ、失神などの理由で行うことがあります。
症状
- 胸の中央から左にかけて、締めつけられるような強い痛みが続く(15分以上続く、または繰り返す)
- 冷や汗、吐き気、息苦しさをともなう胸の痛み
- 突然の激しい息苦しさ、呼吸ができない感じ
- 意識を失った、呼びかけに反応が鈍い
- 脈が非常に速い、または非常に遅く、ふらつきや意識が遠くなる感じがある
- 顔や手足のまひ、ろれつが回らない、などの脳卒中のサイン
- ⚠動悸が数分以上続く、何度も繰り返す
- ⚠胸の不快感や圧迫感が軽いながら続いている
- ⚠めまいや立ちくらみが増えている
- ⚠失神しかけた、目の前が暗くなった
- ⚠脈が飛ぶ感じが続き、不安がある
一般的な症状
- 動悸(心臓の鼓動が速い・強い・不規則に感じる)
- 胸の痛みや圧迫感、締めつけられる感じ
- 息切れ、階段や坂で息が上がりやすい
- めまい、立ちくらみ、ふらつき
- 一時的に意識を失った(失神した)、またはその直前のような感じがあった
- 健康診断や人間ドックで「心電図に異常がある」と言われた
- 脈が飛ぶ、脈が速い・遅いと自分で感じる
- 心臓病の家族歴があり、一度調べておきたい
子供の症状
- 胸の音に雑音があると言われた
- 運動中に息切れや胸の痛み、動悸がある
- 遊んでいる最中や運動中に一時的に意識を失ったことがある
- 学校の心臓検診(心電図検診)で再検査が必要と言われた
- 家族に不整脈や心臓病の人がいる
高齢者の症状
- 動悸や脈の乱れを感じやすくなる
- 少し動いただけで息切れする、疲れやすい
- めまいやふらつき、転倒
- 健康診断・特定健診での心電図異常の指摘
- 持病の薬の効果や影響を確認するための検査
原因
主な原因
- 不整脈(脈の乱れ)があるかどうかを調べる
- 胸の痛みや息切れの原因を探る
- 心臓に血液を送る血管(冠動脈)の病気の疑いを調べる
- 心臓の筋肉や弁の状態、心臓の大きさの変化をとらえる
- 心臓病の治療の効果や経過を確認する
- 手術・入院・麻酔の前に心臓の状態を確認する
- 健康診断・特定健診でのスクリーニング
- 薬の影響で心電図が変化しないかの確認
リスク要因
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)
- 心臓病の家族歴(親やきょうだいに心臓病の人がいる)
- 年齢(加齢にともない不整脈は増えます)
- 睡眠時無呼吸(いびきがひどい、日中の眠気が強い)
- 強いストレス、睡眠不足、過労
- カフェインやアルコールのとりすぎ
- 運動不足や肥満
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の強い痛みや圧迫感が続くとき(ためらわず119番へ)
- 息苦しさが強く、横になれないとき
- 意識を失った、または失神しかけたとき
- 脈が極端に速い・遅い、または不規則でふらつくとき
定期受診を予約すべき場合:
- 動悸や胸の不快感をときどき感じるとき
- 健康診断で心電図の再検査をすすめられたとき
- 家族に心臓病や不整脈の人がいるとき
- スポーツを本格的に始める前や、激しい運動の前に一度調べておきたいとき
- 心臓病の治療中で、次回の検査の予定が近いとき
診断
まず問診で、症状の出方や既往歴、飲んでいる薬、家族歴などを聞きます。そのうえで心電図検査を行い、必要に応じて他の検査を組み合わせて判断します。心電図だけではわからないこともあり、診断は検査結果と症状をあわせて総合的に行われます。
行われる可能性のある検査
- 安静時心電図(ベッドに横になった状態で、胸や手足に電極を貼って記録する、最も一般的な検査)
- ホルター心電図(小型の記録装置を24時間ほど装着し、日常生活の中の心臓のリズムを調べる検査)
- 運動負荷心電図(歩行や自転車こぎなどの運動中に心電図を記録する検査)
- モニター心電図(入院中などに、長時間つけっぱなしで記録する検査)
- 心エコー検査(超音波で心臓の形や動きを見る検査)
- 血液検査や胸部レントゲンなど、必要に応じた追加検査
診察で予想されること
検査は薄着になってベッドに横になり、胸や手足に電極を貼って行われます。ジェルを塗ることがありますが、痛みや電気の刺激はありません。数秒間、息を止めてくださいと言われることがあります。体を動かすと記録が乱れるため、リラックスしてじっとしているのがコツです。所要時間は5〜10分ほどで、終わったあとは普段どおりに過ごせます。結果はその日のうちに聞けることもあれば、後日になることもあります。
治療
心電図そのものは「治療」ではなく「調べる検査」です。結果に応じて、生活習慣の見直しや定期的な観察、必要なら専門医への紹介など、次のステップが決まります。
自宅でのセルフケア
- 検査の前は、胸や手足を清潔にしておく(電極が貼りやすくなります)
- 指示があれば、検査の直前に保湿クリームやローションを使うのは控える
- 検査前にカフェイン(コーヒー・エナジードリンクなど)や喫煙、激しい運動を控えるよう言われたら、その指示に従う
- 検査中は力を抜いて、ふつうに呼吸する
- 聞きたいことや気になる症状をメモして持参する
- 検査結果は大切に保管し、次回の受診のときに持っていく
医療治療
見つかった内容によって方針は変わります。たとえば、生活習慣の見直しと定期的な心電図での経過観察、脈の乱れを整えるお薬(種類や量は医師が決めます)、心臓の働きを助ける治療、必要に応じてカテーテル治療やペースメーカーなどの専門的な処置が検討されます。治療の内容は主治医から詳しく説明がありますので、わからないことは遠慮なく確認しましょう。
手術が検討される場合
心電図で心臓の構造やリズムに大きな問題が見つかった場合、また症状が強く薬でのコントロールが難しい場合には、カテーテル治療や手術、ペースメーカーなどの処置が検討されることがあります。多くの場合、まずは検査を重ねて状態を詳しく把握してから判断します。
この病気と共に生きる
心電図で異常が見つかっても、すぐに生活が大きく変わるとは限りません。多くは定期的な検査と生活習慣の見直しで経過を見ていきます。症状があった日時や内容を簡単にメモしておくと、次の受診のときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠をとり、過労を避ける
- 禁煙し、お酒はほどほどにする
- ストレスをためこまず、自分なりの息抜きを持つ
- カフェインのとりすぎに気をつける
- 毎日の血圧や脈を気軽にチェックする習慣を持つ
- 健診や受診の予定を忘れずに守る
食事と運動
塩分を控えめにし、野菜・果物・魚・全粒穀物をバランスよくとることが心臓の健康に役立ちます。運動は、早歩きや軽いジョギングなど、息が少し上がる程度の有酸素運動を無理のない範囲で続けるのがおすすめです。ただし、胸の症状があるときや、運動制限を指示されている場合は、必ず医師に相談してから始めてください。
精神的健康と心の健康
検査結果を待つ間は不安になりやすいものです。動悸や胸の不快感は、ストレスや不安によって強く感じることもあります。つらい気持ちが続くときは、かかりつけ医やお住まいの地域の相談窓口に話してみてください。気持ちが追い詰められて自分を傷つけたいと考えたときは、ためらわず救急(119番)や地域の緊急相談窓口を利用してください。
予防
心電図で見つかる不整脈や心臓の病気の多くは、生活習慣と関係しています。バランスのよい食事、適度な運動、禁煙、節酒、十分な睡眠、ストレス管理を心がけることで、リスクを下げられる可能性があります。ただし、生まれつきの心臓の特徴や加齢による変化など、予防が難しいものもあります。
検診プログラム
日本では、健康診断や特定健診(40〜74歳の国民健康保険加入者などが対象)で心電図が組み込まれていることがあります。学校では心臓検診が行われています。健診結果で再検査をすすめられたら、症状がなくても受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 症状の原因がわからないままになり、不安が続く
- 不整脈が見逃され、めまいや失神、転倒につながる
- 心臓の病気が進み、息切れやむくみが出てくる
- 心房細動などの不整脈が放置され、脳梗塞のリスクが高まる
- 治療のタイミングを逃してしまう
長期的な見通し
心電図は、心臓の状態を早く知るための頼もしい味方です。多くの方は異常が見つからず、安心して終わります。もし異常があっても、早期に見つけて生活習慣を整えたり治療を始めたりすることで、多くの方はふつうの生活を続けられています。心配なことはひとりで抱えず、主治医と一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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