電解質検査(でんかいしつけんさ)ってどんな検査?
概要
電解質(でんかいしつ)とは、血液や体の水分の中にとけているミネラル分のことです。ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、マグネシウムなどがあり、心臓の動き、筋肉の動き、神経の伝わり方、体の水分バランスを整える大切な働きをしています。電解質検査は、採血した血液の中でこれらのバランスが崩れていないかを調べる、ごく一般的な血液検査です。バランスがくずれると、だるさ、動悸(どうき)、けいれん、意識がぼんやりするなど、体のいろいろな場所に不調が出ることがあります。
重要な事実
- 採血だけで調べられる、からだに負担の少ない基本的な検査です。
- 電解質のバランスが崩れていても、自覚症状がないことがあります。
- 結果をもとに、水分のとり方や生活の工夫、必要な治療を相談できます。
とてもよく行われる検査です。健康診断の血液検査に含まれていることも多く、発熱や下痢、持病の経過観察など、さまざまな場面で調べられます。
どなたでも受ける可能性がある検査です。特に、吐き気や下痢が続いている方、暑い中で長時間過ごした方、腎臓(じんぞう)の病気や糖尿病、心臓の病気がある方、水分を体の外に出しやすくする薬(利尿薬:りにょうやく)を使っている方、ご高齢の方や小さなお子さんでは、バランスが崩れやすいといわれています。
症状
- 意識がない、または呼びかけても反応が弱い
- けいれん発作が続いて止まらない
- 呼吸が苦しい、息が荒い
- 激しい動悸で立っていられない、意識が遠のく
- 尿がまったく出ないなど、ひどい脱水の様子がある
- ⚠嘔吐や下痢が続き、水分を飲んでもとれない
- ⚠強い脱力感で立ち上がれない
- ⚠動悸や脈の乱れが続いている
- ⚠けいれんや手足のしびれが繰り返す
- ⚠ぼんやりして会話がかみ合わない
一般的な症状
- 電解質のバランスが少しくずれただけでは、症状が出ないことが多いです。
- なんとなくだるい、疲れやすい
- 手足がしびれる、力が入りにくい
- こむら返りや筋肉のけいれん
- 動悸(どうき)がする、脈が乱れる感じがする
- めまい、立ちくらみ
- 吐き気、食欲がない
- 口が渇く、尿の量や色がいつもと違う
- 便秘やおなかの張り
- 考えがまとまりにくい、ぼんやりする
子供の症状
- ぐったりして元気がない
- 泣いても涙が出にくい、口の中が乾いている
- おしっこの回数や量が少ない
- 機嫌が悪い、哺乳(ほにゅう)の飲みが悪い
- 嘔吐(おうと)や下痢が続いている
- 手足のけいれん、体がびくっとつる感じ
高齢者の症状
- のどの渇きを感じにくく、気づかないうちに水分不足になりやすいです。
- ふらつき、転びやすくなる
- なんとなく元気がない、食欲が落ちる
- 話がかみ合わない、ぼんやりしている
- 足がつる、手足の力が入りにくい
- いつも飲んでいる薬の影響でバランスが崩れることがある
原因
主な原因
- 嘔吐(おうと)や下痢で、水分と一緒に電解質が体の外に出てしまう
- 暑い場所での発汗、激しい運動、発熱
- 水分をとる量が足りない、食事の量が少ない
- 腎臓(じんぞう)の働きが低下して、電解質の調整がうまくいかない
- ホルモンの病気(甲状腺や副腎など)の影響
- 水分を体の外に出しやすくする薬(利尿薬)など、薬の影響
- 点滴や水分補給の量とバランスの偏り
- アルコールの飲みすぎ
リスク要因
- ご高齢の方、乳幼児(のどが渇いたと伝えにくい)
- 激しい運動をする方、暑い環境で長時間過ごす方
- 腎臓病、糖尿病、心不全などの持病がある方
- 利尿薬などを服用している方
- 嘔吐・下痢・発熱が続いている方
- 食事や水分がとりにくい状態が続いている方
- アルコールを多く飲む方
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 嘔吐や下痢が続いて水分がとれず、尿がほとんど出ない
- 強いだるさ・脱力で日常生活が難しい
- 動悸や脈の乱れが続く、胸が苦しい
- 手足のけいれんやしびれが繰り返す
- 意識がぼんやりする、会話がかみ合わない
定期受診を予約すべき場合:
- なんとなくだるい、疲れやすい状態が続く
- 足がよくつる、手足がしびれる
- 持病があり、定期的な血液検査の時期が来た
- 暑い時期に食欲が落ちて水分がとれていない気がする
- 服用中の薬について、体の変化が気になる
診断
まず、これまでの経過や飲んでいる薬、食事や水分のとり方、嘔吐や下痢の有無などをうかがいます。そのうえで採血を行い、血液中の電解質の値を調べます。必要に応じて尿検査や心電図も組み合わせて、からだ全体の状態を確認します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(電解質パネル:ナトリウム・カリウム・クロール・カルシウム・マグネシウムなど)
- 尿検査(水分バランスや腎臓の働きをみるため)
- 心電図(カリウムなどの異常で脈が乱れることがあるため)
- 必要に応じてホルモン検査や腎機能の検査
診察で予想されること
採血はふつう数十秒で終わります。結果は院内の検査なら数十分〜数時間、外注の検査なら数日でわかることが多いです。検査前の食事制限は通常ありませんが、ほかの検査と一緒に受ける場合は事前の説明に従ってください。採血のあとは、しばらく針を刺した場所を押さえておくと内出血を防げます。
治療
治療は「値そのもの」よりも「なぜ崩れたのか」で決まります。軽い変化であれば、食事や水分のとり方を見直すだけで整うことが多いです。医療機関では、脱水や電解質の不足があれば点滴で補いながら、原因となっている病気や薬の影響を確認していきます。
自宅でのセルフケア
- のどが渇く前に、こまめに少量ずつ水分をとる
- 暑い日や運動の前後は、水分と一緒に塩分も少し意識する
- バランスのよい食事を心がけ、極端な食事制限はしない
- 下痢や嘔吐のときは、少しずつこまめに水分をとる
- 飲んでいる薬を自己判断でやめたり量を変えたりせず、必ず医師や薬剤師に相談する
- お酒の量を見直す
医療治療
原因と程度に応じて、点滴で水分と電解質を補ったり、原因となる病気の治療を行ったりします。薬が関係している場合は、処方した医師が薬の内容や量を調整します。治療の内容は検査結果と体の状態を見ながら決まるので、自分に合った方法をかかりつけ医と相談してください。
手術が検討される場合
電解質の異常そのもののために手術が必要になることは、通常ありません。ただし、原因となっている病気によっては外科的な治療が検討される場合があります。
この病気と共に生きる
数値の変化は、その日の体調や水分のとり方でも動きます。一度の結果だけで一喜一憂せず、体調の変化と合わせて見ていくことが大切です。持病がある方は、通院のたびに結果をメモしておくと、自分の傾向がわかりやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の水分量を意識する(コップ一杯をこまめに)
- 暑さ対策をして、長時間の屋外作業を避ける
- お酒はほどほどに、飲んだ後は水分もとる
- 睡眠と休息をしっかりとる
- 体調の変化をメモしておき、受診時に伝える
食事と運動
食事は、野菜・たんぱく質・主食をバランスよくそろえることが基本です。むやみに塩分を抜きすぎると、かえってバランスを崩すことがあるため、極端な制限は避け、持病がある方は主治医の指示に従ってください。運動は水分補給をこまめに行い、暑い時間帯を避けて無理のない範囲で続けるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
体のだるさや動悸が続くと、不安になったり気分が落ち込んだりすることがあります。そんなときは一人で抱え込まず、かかりつけ医や身近な人に話してみてください。不安が強い日が続く場合や、気持ちの落ち込みが続く場合は、地域の相談窓口や医療機関に相談することが大切です。気持ちがつらいときは、ためらわずに助けを求めてください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、日ごろの水分補給とバランスのよい食事で、かなりの部分は防げます。特に暑い季節、運動の前後、嘔吐や下痢のときは意識して水分と塩分をとることが大切です。
ワクチン
ワクチンで予防できるものではありません。
検診プログラム
持病のある方や薬を服用中の方は、医師の指示に従って定期的な血液検査を受けることで、変化に早く気づけます。健康診断の血液検査でも確認できることがあります。
合併症
治療しない場合
- 脈の乱れ(不整脈)や動悸が起きることがある
- 筋肉のけいれん、脱力、足がつる
- 意識がぼんやりする、集中しにくくなる
- 腎臓(じんぞう)への負担が増える
- ひどい脱水により血圧が下がる
- ごくまれに、命に関わる状態に進むことがある
長期的な見通し
多くの場合、原因を取り除き、水分と電解質を整えることで改善します。検査の結果を定期的に確認しながら生活を工夫することで、安定した状態を保てる方がほとんどです。心配なことがあれば、早めにかかりつけ医に相談してください。
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最終更新: 2026年10月23日
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