Endocarditis awareness
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
心内膜炎(しんないまくえん)は、心臓の内側を覆う薄い膜(心内膜)に細菌などが感染して炎症を起こす病気です。この感染により、心臓の弁や内膜が傷つき、正常な働きができなくなることがあります。治療が遅れると重い合併症を起こす可能性があるため、早期の発見と治療が大切です。
重要な事実
- 心内膜炎はまれな病気ですが、命に関わることがあります。
- 主に心臓の弁に影響を与える感染症です。
- 原因となる細菌は、口の中や皮膚などから血液に入って感染します。
- 適切な治療を行えば、多くの場合治る可能性があります。
心内膜炎は比較的まれな病気で、年間10万人あたり数人から10人程度の患者さんがいると報告されています。
先天性心疾患(生まれつきの心臓の異常)のある方、人工心臓弁を使用している方、心臓弁膜症の既往がある方、または静脈注射を繰り返す方などがリスクが高いとされます。ただし、健康な方でも発症することがあります。
症状
- 突然の呼吸困難
- 胸の激しい痛み
- 意識を失った(失神)
- 手足や顔に力が入らないなど脳卒中の兆候(麻痺、ろれつが回らない、片側の視野障害)
- ⚠39度以上の発熱が続く
- ⚠悪寒(寒気)と震えが強い
- ⚠息切れが強くなった
- ⚠心臓がバクバクする(動悸)
- ⚠血尿や尿の色が赤い
- ⚠皮膚に新しい赤い点や斑点が現れた
- ⚠関節の腫れや痛みがひどい
一般的な症状
- 発熱や悪寒(寒気)
- 疲れやすさ、体のだるさ
- 寝汗(特に夜間)
- 体重減少(食欲不振が続く場合)
- 関節や筋肉の痛み
- 皮膚や爪の下にできる赤い点状の出血(ピンポイント出血)
子供の症状
- 持続する高熱
- 食欲不振や哺乳不良
- 体重が増えにくい
- 不機嫌やぐったりしている様子
- 呼吸が速くなる
- 皮膚にあざのような赤い斑点
高齢者の症状
- 熱が高くないこともある(微熱や平熱のことも)
- 食欲不振や体重減少が目立つ
- 意識の低下や混乱(せん妄)
- 転びやすくなるなどの筋力低下
- 既存の病気(心不全など)の悪化
原因
主な原因
- 細菌が血液に入り、心臓の内膜や弁に感染すること(主に黄色ブドウ球菌や連鎖球菌)
- 医療行為(歯科治療、カテーテル検査、手術など)で細菌が血流に入ることで起こることがある
- 静脈注射(薬物使用など)による細菌の直接の侵入
- 皮膚の傷や感染症から細菌が血液に入り込む
リスク要因
- 人工心臓弁や体内に埋め込まれた医療デバイスを持っている
- 先天性心疾患(特にチアノーゼ性心疾患などの複雑な病気)
- 心臓弁膜症(リウマチ熱の後遺症など)
- 静脈注射を繰り返す行為(違法薬物など)
- 免疫が低下している(糖尿病、がん治療、臓器移植後など)
- 最近の歯科処置や大手術を受けた
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱が3日以上続く
- 夜間の寝汗や体重減少がある
- 息切れや胸の痛みがある
- 皮膚にあざのような赤い点が新しく出た
定期受診を予約すべき場合:
- 心臓の持病がある方は、発熱やだるさを感じたら早めに受診を検討する
- 歯科治療を受ける前に、医師に心内膜炎のリスクについて相談する
診断
心内膜炎の診断は、症状や身体所見(心臓の雑音など)を手がかりに、血液検査や心臓の画像検査を組み合わせて行われます。
行われる可能性のある検査
- 血液培養検査:血液中の細菌を調べる検査。複数回行うことがある。
- 心エコー検査:心臓の超音波検査。弁にできた感染した塊(疣贅(ゆうぜい))を確認する。経食道心エコーという、より詳しい検査が必要なこともある。
- 血液検査:炎症の程度(CRP、白血球数など)や臓器の働きを調べる。
- 心電図:心臓のリズム異常がないかを確認する。
- 胸部X線:肺や心臓の大きさを調べる。
診察で予想されること
診断のために複数の検査が行われることがあります。特に血液培養検査は治療開始前に2~3回採血することが多く、結果が出るまで数日かかることがあります。入院が必要な場合が多く、専門の医師(循環器内科医や感染症専門医)が治療にあたります。
治療
心内膜炎の治療は、感染を抑えるための抗生物質(抗菌薬)の投与が中心です。多くの場合、入院して強い抗生物質の点滴を数週間から数か月にわたって行います。治療が難しい場合や弁の損傷がひどい場合は手術が必要になることもあります。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従って、抗生物質の治療を途中でやめずに最後まで続ける。
- 安静を保ち、体力の消耗を避ける。
- 十分な栄養と水分を取る(食事が摂れない場合は医師に相談)。
- 発熱や体調の変化を記録し、医師に伝える。
医療治療
治療の基本は、原因となる細菌に対して効果のある抗生物質(抗菌薬)を、静脈内に点滴で投与することです。投与期間は通常4~6週間以上かかり、入院治療が一般的です。重症度や細菌の種類によっては、より長期の治療が必要になることもあります。抗生物質の選択は、血液培養の結果や患者さんの状態に基づいて医師が決定します。
手術が検討される場合
以下のような場合に、心臓手術(感染した弁の切除や置換)が検討されることがあります:大きな疣贅がある、抗生物質が効かない、弁の働きが重度に障害されている、感染が弁周囲に広がっている、または塞栓症(血栓が飛んで脳梗塞などを起こす)を繰り返す場合。手術の必要性は専門医が慎重に判断します。
この病気と共に生きる
心内膜炎の治療中は、体力が低下しやすいため、安静を最優先にしてください。症状が落ち着いてからも、疲れやすい状態が続くことがあります。仕事や学校に戻る時期は医師と相談し、無理のないペースで生活を再開しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 感染予防を徹底する(手洗い、うがい、傷のケア)。
- 歯科治療や医療処置の前に、必ず医師に心内膜炎の既往を伝える。
- 毎日の口腔ケアを丁寧に行う(歯磨き、フロスなどで口の中を清潔に保つ)。
- 定期的に医師の診察を受ける。
- 喫煙は避ける(血管や心臓に負担をかける)。
食事と運動
治療中は安静が必要ですが、回復期にはバランスの良い食事(野菜、果物、たんぱく質をしっかりとる)を心がけましょう。運動については、医師の許可が出るまでは激しい運動は避け、散歩などの軽い活動から始めることをおすすめします。心臓への負担を考慮して、運動の強度は医師に確認してください。
精神的健康と心の健康
長期間の入院や治療は、不安や気分の落ち込みを引き起こすことがあります。また、再発の心配や生活の変化に戸惑うこともあるでしょう。無理をせず、気持ちを家族や医療スタッフに話すことが大切です。必要に応じて、カウンセリングや心理サポートを受けることも検討してください。
予防
心内膜炎は完全に予防できるわけではありませんが、リスクを減らすための対策があります。特に心臓の持病がある方は、歯科治療や一部の医療処置の前に、予防的に抗生物質(抗菌薬)を服用することが推奨される場合があります。これは医師が個別に判断します。
ワクチン
特定の心内膜炎を予防するワクチンはありませんが、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなどの定期接種を受けることは、感染症全般の予防に役立ち、間接的に心内膜炎のリスクを下げる可能性があります。
検診プログラム
心臓の持病がある方では、定期的な心エコー検査などで心臓の状態をチェックすることが推奨されることがあります。しかし、一般の方が心内膜炎のスクリーニング検査を受ける必要はありません。
合併症
治療しない場合
- 心臓の弁が破壊されて心不全(心臓のポンプ機能が低下する状態)を起こす
- 感染した塊(疣贅)がはがれて脳や肺などに飛ぶ(塞栓症)→脳梗塞や肺梗塞を起こすことがある
- 腎臓に障害が出る(腎不全)
- 膿瘍(のうよう)という膿の塊が心臓の周りにできる
- 全身に感染が広がり、敗血症(けっしょうしょう)という重い状態になる
長期的な見通し
心内膜炎はとても重い病気ですが、早期に診断され、適切な抗生物質治療や手術が行われれば、多くの患者さんが治る可能性があります。治療の成功率は、患者さんの年齢や基礎疾患、原因菌の種類によって異なりますが、医療の進歩によりかつてよりはるかに予後が良くなっています。治療が長くかかることもありますが、あきらめずに医療チームと協力して治療に取り組むことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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最終更新: 2026年7月9日
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