手術後の回復を早める早期回復プログラム
概要
早期回復プログラム(Enhanced Recovery)は、手術を受ける人の体ができるだけ早く楽に回復できるように、手術の前・手術中・手術後に行う一連の取り組みです。特別な薬や機械ではなく、食事、動き方、痛みの管理、説明の受け方などを医療チームで整える「計画」です。手術前から準備し、手術後は無理のない範囲で早めに動いたり食べたりすることを目指します。
重要な事実
- 手術の前から準備を始め、手術後はできるだけ早く動いたり食べたりすることを目指します。
- 痛みや吐き気を少なくするために、いくつかの方法を組み合わせます。
- 入院期間の短縮や合併症(手術後に起こる別の問題)を減らすことが期待されています。
日本でも、大腸や胃、整形外科、婦人科などの手術で広がっています。すべての病院で同じ形ではなく、手術の種類や病院の方針に合わせて行われます。
手術を受ける予定の人、特に大きな手術を受ける人が対象になることが多いです。年齢や体力、持病に合わせて計画を調整します。
症状
- 以下の症状があるときは、すぐに119番に電話してください。
- 胸が強く痛む、押しつぶされる感じがする
- 息が苦しい、呼吸ができない
- 意識がもうろうとしている、反応がない
- 突然の激しい頭痛、ろれつが回らない、片側の手足が動かない
- 傷から血が止まらないほど出ている
- けいれんが続く
- ⚠以下の症状があるときは、当日中に医療機関へ相談してください。
- ⚠38℃以上の熱が続く
- ⚠傷の赤み・はれ・痛みが強くなる、うみが出る
- ⚠おなかの強い痛み、何度も吐いて水分がとれない
- ⚠尿が出ない、尿がとても少ない
- ⚠ふくらはぎの痛みやはれ(血のかたまりの可能性)
- ⚠急に混乱する、話がかみ合わない
一般的な症状
- 手術の傷の痛みや違和感
- だるさ、眠気
- 吐き気や食欲がない
- おなかの張りや便秘
- 傷のまわりの軽いはれ
- 気分の落ち込みや不安
子供の症状
- 痛みや不安をうまく言葉にできないことがある
- ぐずる、甘える、眠れない
- 吐き気や食欲の低下
- 病院の環境への不安
高齢者の症状
- 体力や食欲が落ちやすい
- 急な混乱(せん妄)が起こることがある
- 脱水(体の水分が足りなくなること)
- 転びやすくなる
原因
主な原因
- 手術は体に大きな負担がかかり、回復に時間がかかることがある
- 長い絶食や安静、痛み、管(チューブ)は回復を遅らせることがある
- 手術前の栄養や体力が低下していると回復しにくい
- 不安やストレスも回復に影響する
リスク要因
- 高齢である
- やせすぎ、栄養不足
- 糖尿病や心臓病などの持病
- 大きな手術、長時間の手術
- 不安が強い、気分が落ち込みやすい
- 手術前の体力低下
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱が続く
- 傷の赤み・はれ・うみ
- 水分がとれないほどの吐き気
- 尿が出ない
- 強い腹痛
- 息苦しさ
- ふくらはぎの痛み・はれ
- 急な混乱
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みの管理について相談したい
- 食事や水分がとりにくい
- 便秘が続く
- 傷の治りが気になる
- 不安や睡眠の問題
- 仕事や退院後の生活の相談
診断
早期回復プログラムは病気の診断ではありません。手術を受けることが決まったあと、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士などが、あなたの体力・栄養・持病・生活を確認して計画を立てます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査
- 画像検査(手術の内容に応じて)
- 栄養状態の確認
- 体力や歩行の確認
- 呼吸機能の確認
- 麻酔科の診察
- 持病の確認
診察で予想されること
手術前に説明を受け、いつ食事を再開するか、いつ動き始めるか、痛みをどう伝えるかを一緒に決めます。入院中は毎日、目標を確認します。
治療
早期回復プログラムは、薬だけに頼らず、手術前からの準備と手術後の過ごし方を組み合わせる治療の考え方です。痛みや吐き気を少なくし、体の動きを取り戻し、安全に退院できるようチームで支えます。
自宅でのセルフケア
- 説明された計画をメモし、わからないことを質問する
- 手術前からできるだけ歩く
- 禁煙する(喫煙は回復を遅らせることがあります)
- バランスのよい食事と水分
- 呼吸訓練や足の運動を教わったら行う
- 痛みや吐き気を我慢せず伝える
- 早めに起きて歩く(スタッフと相談しながら)
- 退院後の生活を事前に考える
医療治療
痛みは複数の方法を組み合わせて和らげます。吐き気を防ぐ工夫、水分や栄養の調整、早めの食事再開、管(チューブ)をできるだけ早く抜くこと、呼吸の訓練、歩く練習などを行います。薬の名前や量は医師・薬剤師があなたに合わせて決めます。
手術が検討される場合
手術が必要な場合は、手術の前からプログラムが始まります。手術の内容や緊急度によっては、一部の取り組みができないこともあります。医師と相談して進めます。
この病気と共に生きる
退院後も、無理のない範囲で歩く、こまめに休む、傷を清潔に保つ、予定された診察を受けることが大切です。痛みや疲れは少しずつ良くなることが多いですが、波があります。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する
- 十分な睡眠
- 少しずつ体を動かす
- バランスのよい食事
- 水分をこまめにとる
- アルコールは医師に相談
- ストレスをためない
食事と運動
食事は、たんぱく質(肉・魚・卵・豆など)と野菜を意識し、少しずつ回数を分けて食べるとよいでしょう。運動は、散歩や軽いストレッチから始め、疲れたら休みます。手術の種類によって制限があるので、指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
手術の前後は、不安、いらいら、落ち込み、眠れないことがあります。これは珍しいことではありません。話すことで楽になることがあります。つらい気持ちが続くときや、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに医療チームか119番に助けを求めてください。
予防
早期回復プログラムは、回復を助け、合併症(手術後に起こる別の問題)を減らすことを目指しますが、すべてを防げるものではありません。手術前の準備(栄養、運動、禁煙)が大切です。
ワクチン
手術前に必要なワクチンがあるか、医師に確認してください。
検診プログラム
手術前の血液検査や栄養・体力の確認が、リスクを見つける助けになります。
合併症
治療しない場合
- 回復が遅れ、入院が長引く
- 傷の感染
- 肺の感染(肺炎)
- 血のかたまり(血栓)
- 筋力や体力の低下
- 栄養不足
- 不安や気分の落ち込み
長期的な見通し
多くの人は、計画に沿って少しずつ回復します。回復の速さは人によって異なり、遠回りに見えても前に進んでいることがあります。医療チームと相談しながら、あなたのペースで進めましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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