表皮水疱症(EB)ってどんな病気?
概要
表皮水疱症(ひょうひすいほうしょう、EB)は、皮膚の層と層をつなぐたんぱく質が生まれつきうまく働かないため、ちょっとした摩擦や圧力でも皮膚がはがれたり、水ぶくれができたりする病気です。皮膚だけでなく、口の中、食道、目などにも症状が出ることがあります。うつる病気ではありません。
重要な事実
- 主に遺伝子の変化が原因の、まれな病気です。
- 重症度はタイプによって大きく異なります。
- 根本的な治癒法はまだありませんが、皮膚を守るケアと合併症の予防で生活の質を高められます。
とてもまれな病気です。日本では指定難病に位置づけられています。
生まれたときから症状が出る場合が多く、性別や人種による大きな差はありません。軽いタイプでは、小児期以降や大人になってから分かることもあります。
症状
- 息が苦しい、声が出にくい、のどが腫れている感じがする
- 広い範囲の皮膚が一気にはがれ、強い痛みがある
- 発熱と傷の膿(うみ)、皮膚の赤みが急速に広がる(感染症の可能性)
- ぐったりしている、尿がほとんど出ない、口が渇いて水が飲めない(脱水のサイン)
- 目の激しい痛みや急な視力低下
- 吐血や黒い便、飲み込みが急にできなくなった
- 上記のような症状があるときは、すぐに119番に電話してください。
- ⚠新しい水ぶくれが口の中やのどにでき、食事や水分がとりにくい
- ⚠傷が赤く腫れて痛みが増している、膿が出ている
- ⚠38℃以上の発熱がある
- ⚠目が赤い、痛い、まぶしい、涙が止まらない
- ⚠便秘や飲み込みにくさが急に悪化した
- ⚠赤ちゃんの体重が増えない、元気がない
一般的な症状
- ちょっとした摩擦や圧迫で皮膚がはがれる、水ぶくれができる
- 水ぶくれが破れたあとの傷が治りにくい、繰り返す
- 傷あとが残る、皮膚が硬くなる、関節が動きにくくなる
- 爪の変形や脱落
- 口の中の水ぶくれやただれ、歯のトラブル
- 飲み込みにくさ、食道が狭くなる感じ
- 目の充血、痛み、ゴロゴロ感
- 貧血や栄養不足による疲れやすさ
子供の症状
- 出生直後や新生児期から、おむつ替えや抱っこなどの軽い刺激で水ぶくれができる
- 哺乳(ほにゅう)や離乳食のときに口の中が痛む、食べる量が減る
- 体重が増えにくい、成長がゆっくりに感じる
- 歩き始めのころ、足の裏の水ぶくれで歩くのを嫌がる
- おむつ替えのたびに泣く、触られるのを嫌がる
高齢者の症状
- 小児期から続く慢性的な傷や瘢痕(はんこん)による皮膚の硬さ、関節の動きにくさ
- 長く続く傷の感染や、傷の治りにくさ
- 一部のタイプでは、大人になってからの皮膚がんのリスクに注意が必要
- 歯や口の中のトラブル、飲み込みにくさ
- 貧血や栄養不足による疲れやすさ
原因
主な原因
- 皮膚の層をつなぐたんぱく質(コラーゲン、ケラチン、ラミニンなど)の遺伝子の変化
- 親から受け継ぐ場合と、家族に同じ病気がいないのに新しく遺伝子の変化が起こる場合がある
- 感染症や衛生状態のせいで起こる病気ではない
リスク要因
- 家族に表皮水疱症の人がいる
- 血縁者の間の結婚(近親婚)がある場合は、劣性遺伝のタイプのリスクが高まることがある
- 遺伝子の変化を持っていても、症状の出方には個人差がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 広い範囲の水ぶくれ、発熱、傷の膿など感染が心配されるとき
- 水分や食事がとれない、尿が少ない、ぐったりしているとき
- 息苦しさ、飲み込みの急な悪化、目の激しい痛みがあるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 新しい水ぶくれが繰り返す、傷が2週間以上よくならない
- 口の中や歯のトラブル、飲み込みにくさがある
- 爪の変形、皮膚の硬さ、関節の動きにくさが気になる
- 学校や仕事、日常生活の工夫について相談したい
- 妊娠や出産、家族計画について遺伝のことを相談したい
診断
皮膚科の専門医や遺伝診療の医師が、症状の出方と体の診察をもとに疑い、必要な検査で確認します。水ぶくれができやすい場所や、生まれたときからの経過、家族の病史も大切な手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 皮膚の一部を採って調べる皮膚生検(ひふせいけん)
- 皮膚のたんぱく質の種類や場所を調べる免疫蛍光検査(めんえきけいこうけんさ)
- 原因となる遺伝子の変化を調べる遺伝子検査
- 血液検査で貧血や栄養状態を確認
- 口や食道、目の症状に応じた専門科の検査
診察で予想されること
診断までに時間がかかることがあります。検査の結果は、タイプの見極めや今後のケア、家族への遺伝カウンセリングに役立ちます。分からないことは遠慮なく医師に尋ねてください。
治療
表皮水疱症を根本から治す治療はまだありません。治療の中心は、皮膚を傷つけないように守ること、傷を清潔に保って感染を防ぐこと、痛みや栄養、生活の質を支えることです。皮膚科を中心に、小児科、消化器科、眼科、歯科、栄養士、看護師、リハビリの専門家などが一緒に支えます。
自宅でのセルフケア
- 肌着や衣服は柔らかくゆったりしたものを選び、タグや縫い目が肌に当たらないようにする
- 抱っこや移動、着替えのときは摩擦や圧迫を少なくする
- テープや絆創膏(ばんそうこう)は皮膚を傷めやすいので、医師や看護師に適した固定方法を相談する
- 水ぶくれは自分で破らず、医師や看護師の指示に従ってケアする
- 傷は清潔に保ち、感染のサイン(赤み、腫れ、膿、熱)がないか見る
- 暑さや汗は水ぶくれを増やすことがあるため、涼しく乾燥しすぎない環境を整える
- 口の中のケアをやさしく行い、歯科の定期受診を続ける
- 栄養と水分をしっかりとる。食べにくいときは工夫し、必要なら栄養の専門家に相談する
医療治療
医師の指示に基づいて、皮膚を保護する被覆材や外用薬を使い、傷の清潔を保ちます。感染が疑われるときは医師が適切な治療を検討します。痛み、かゆみ、貧血、栄養不足、飲み込みにくさ、目の症状などには、それぞれの専門科が対応します。新しい治療の研究も進んでいるため、専門医に最新の選択肢を尋ねてみてください。
手術が検討される場合
関節の拘縮(こうしゅく)や食道の狭さ、傷の治りにくい部分などで、日常生活に大きな支障があるときは、手術が検討されることがあります。手術は専門医との十分な相談のうえで決めます。
この病気と共に生きる
毎日のケアでは、皮膚を守る工夫を生活の中に組み込むことが大切です。着替え、入浴、移動、食事など、一つひとつの動作を少しずつ楽にできるよう、医療者や家族と一緒にやり方を工夫しましょう。傷の状態を記録しておくと、受診のときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 家具の角にクッションを付け、床に物を置きすぎないなど、ぶつかりにくい環境を整える
- 靴は柔らかく足に合うものを選び、靴擦れを防ぐ
- 学校や職場には、必要な配慮(体育の参加方法、休憩、ケアの時間など)を相談する
- 暑さ対策と汗の管理を心がける
- 喫煙は皮膚や傷の治りに良くないため、禁煙を勧められる
- 予防接種や検診の前に、主治医に相談する
食事と運動
栄養状態を保つことは、傷の治りと成長を支えます。口の中が痛いときは、やわらかく食べやすいものを少量ずつとり、水分もこまめにとりましょう。運動は、関節が固まりにくいように無理のない範囲で行います。水ぶくれを増やしやすい動きは避け、理学療法士などと相談しながら続けると安心です。
精神的健康と心の健康
痛みや傷のケアが続くと、疲れ、不安、悲しさ、イライラが強くなることがあります。見た目の変化や学校・仕事での経験がつらいと感じることもあります。それは弱さではなく、大変な状況への自然な反応です。つらい気持ちが続くときは、医療者や信頼できる人に話してください。自分を傷つけたい気持ちがあるときは、ためらわずに119番または地域の救急相談窓口に連絡してください。
予防
表皮水疱症は遺伝子の変化が関係する病気で、生活習慣で防ぐことはできません。次の妊娠や家族計画を考えるときは、遺伝カウンセリングを受けて、リスクや選択肢について専門家と話すことができます。すでに病気がある場合は、摩擦や圧力を避けることで新しい水ぶくれを減らす工夫ができます。
ワクチン
特定のワクチンで防げる病気ではありません。予防接種を受けるときは、皮膚の状態や治療について主治医に相談してください。
検診プログラム
家族に表皮水疱症の人がいる場合や、遺伝のことが心配な場合は、遺伝カウンセリングで相談できます。症状がない人への遺伝子検査は、専門家と十分に話し合ってから決めます。
合併症
治療しない場合
- 傷の感染が広がり、全身の感染症になることがある
- 痛みで食べたり飲んだりできず、脱水や栄養不足になる
- 傷あとが硬くなり、関節が動きにくくなる(拘縮)
- 食道が狭くなり、飲み込みにくくなる
- 目の傷や角膜(かくまく)の障害で視力に影響することがある
- 一部のタイプでは、長く続く傷から皮膚がんが起こるリスクがある
- 貧血、歯のトラブル、成長の遅れ
長期的な見通し
表皮水疱症の重症度はタイプによって大きく異なり、同じタイプでも個人差があります。根本治療はまだありませんが、皮膚ケア、感染予防、栄養、痛みの管理、多職種の支援によって、生活の質を高め、合併症を早く見つけることができます。定期的な受診を続け、困ったことを早めに相談することが大切です。希望を持って生活している人は多くいます。
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最終更新: 2026年10月23日
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