友人と一緒に運動しよう
概要
「友人と一緒に運動する」とは、散歩やウォーキング、軽いストレッチ、体操などを、家族や友人、ご近所の人、同僚と二人以上で行うことです。特別な道具やお金はほとんどかかりません。一人だとつい後回しにしてしまう人でも、待っていてくれる人がいるだけで、体を動かすきっかけが生まれます。運動そのものよりも「誰かと一緒にやること」に価値がある、とても身近な健康づくりの方法です。
重要な事実
- 厚生労働省の身体活動のガイドでは、成人は息が少しはずむ程度の運動を1日20〜30分ほど(週合計でおよそ150分)行うことが目安とされ、筋力トレーニングも週2〜3回が勧められています。
- 誰かと一緒に運動する人は、一人で運動する人に比べて、運動を続けやすいと言われています。話すこと自体が気分転換になり、励まし合えるからです。
- 運動は、生活習慣病の予防や、気分の安定、睡眠の質の向上、転びにくい体づくりなどに役立つとされています。
運動不足はとてもよくある悩みです。国の調査では、ふだん運動習慣のある成人はおよそ3割前後にとどまるとされ、「運動したいけれど続かない」と感じている人は少なくありません。つまり、一人で悩んでいる人はたくさんいます。
年齢を問わず、どなたにも関係のあるテーマです。特に、一人暮らしの人、運動を始めたばかりの人、体力に不安がある人、退職や引っ越しで生活が変わった人、在宅時間が長い人にとって、運動のきっかけづくりは役に立ちます。
症状
- 運動中や運動の直後に、胸の痛みや締めつけられるような圧迫感が起こった
- 突然の激しい息苦しさ、または呼吸ができない感じがする
- 意識を失う、ぐったりして反応がにぶい、けいれんが起きた
- 顔や手足の片側が動かない、ろれつが回らない、突然ものが二重に見える
- 冷や汗を伴う強い胸の不快感や、脈がとても速く乱れている感じが続く
- ⚠運動のあと、動悸(心臓の鼓動が強く速く感じること)が長く続く
- ⚠立ちくらみやふらつきが繰り返し起こる
- ⚠普段より明らかに息切れが強く、回復に時間がかかる
- ⚠関節や筋肉が腫れていて、強く痛む、体重をかけられない
- ⚠軽いけがをしたが、痛みが日を追って強くなっている
一般的な症状
- 運動しようと思っても、つい先延ばしにしてしまう
- 一人で歩いたり体操したりしても、すぐにやめてしまう
- 1日のほとんどを座って過ごし、体を動かす時間がほとんどない
- 少し動いただけで息がはずみ、体力が落ちたと感じる
- 「一緒にやる人」がおらず、運動を始めるきっかけがない
- 運動する場所や方法がわからず、何から始めればよいか迷う
子供の症状
- 外遊びよりも画面を見て過ごす時間が長い
- 友達と体を動かす機会が少なく、一人で過ごすことが多い
- 体育や運動が苦手で、体を動かすこと自体を避けている
- 家族と一緒に歩く、公園で遊ぶといった機会が減っている
高齢者の症状
- 歩くのがおっくうになり、外出の回数が減った
- 転ばないか不安で、体を動かすことを控えてしまう
- 話し相手が減り、人と会う機会そのものが少なくなった
- 買い物や家事など、日常の動作で疲れやすくなった
原因
主な原因
- 一人だと励みや見張ってくれる人がおらず、やる気が続かない
- 仕事や家事で時間が取れず、運動の優先順位が下がってしまう
- 何をどれくらいすればよいかわからず、始められない
- 体力に自信がなく、失敗したらどうしようと不安になる
- 人に見られるのが気になる、運動する場所がわからない
- 天気や気温の変化で、予定していた運動が中止になりやすい
リスク要因
- 一人暮らし、または人と会う機会が少ない
- 座っている時間が長い生活(在宅勤務、テレビやスマートフォンの長時間利用など)
- これまで運動習慣がない、または長く運動から離れている
- ストレスが多い、気分が落ち込みやすい
- 持病があり、どの程度動いてよいかわからない
- 引っ越しや退職などで生活環境が変わった
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 安静にしていても胸の痛みや強い息苦しさが続く
- 意識がもうろうとする、会話がかみ合わない
- けがをして、動かせない、変形している、出血が止まらない
- 持病があり、運動中にいつもと違う強い症状が出た
定期受診を予約すべき場合:
- 心臓病、高血圧、糖尿病、腎臓病などの持病があり、運動を始めたい
- 長い間ほとんど運動しておらず、始め方に不安がある
- 運動をすると関節や腰に痛みが出る、または痛みが長引く
- 息切れや疲れやすさが、以前より明らかに強くなった
- 気分の落ち込みや不安が続き、体を動かす気力がわかない
診断
「友人と一緒に運動すること」は病気ではないため、診断名がつくものではありません。医療機関では、運動を始めてよいかどうかを確認するために、体調や持病、ふだんの生活について聞かれます。これは「運動しても安全かどうか」を一緒に確かめるための相談です。
行われる可能性のある検査
- 問診(持病、服薬、これまでの運動歴、生活リズムの確認)
- 血圧と脈の測定、体重・身長の測定
- 健康診断の結果の確認、必要に応じて血液検査
- 必要と判断された場合の心電図などの検査
- 高齢の方では、歩く速さや握力など体力の確認、転倒リスクの確認
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、ふだんの生活や「誰と、どんなふうに運動したいか」を伝えると話が進みます。持っている健康診断の結果があれば持参すると役立ちます。運動の強さや始め方について、無理のない範囲で助言がもらえます。
治療
ここでの「治療」は、からだを治すというより、運動を無理なく続けられる仕組みをつくることです。カギになるのは「一緒にやる人」と「小さく始めること」。特別な器具は必要なく、生活の中で続けられる形に整えていくことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 相手と日時を決めて約束する(例:毎週土曜の朝、家の前で待ち合わせ)
- 最初は10分の散歩など、短い時間から始める
- 会話ができるくらいの速さで歩き、息が上がりすぎないようにする
- やった日をカレンダーやアプリに記録して、二人で見えるようにする
- 雨や猛暑の日は、屋内の歩行、階段の上り下り、椅子に座っての体操などに切り替える
- 始める前と終わったあとに、軽いストレッチで体を慣らす
- 水分をこまめにとり、暑い日や寒い日の時間帯を工夫する
- 体調がすぐれない日は休み、無理をしないことをあらかじめ二人で決めておく
医療治療
医療機関では、持病のある方に対して、運動の強さや注意点についての指導が行われます。理学療法士による運動の指導や、自治体の健康教室、地域の運動サークル、リハビリテーションの場が利用できることもあります。からだの痛みには、温める・冷やすなどの対処や装具が使われることがあり、症状に応じて医師が判断します。具体的な薬の名前や量については、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。
この病気と共に生きる
大切なのは、がんばりすぎないことです。1回の運動が短くても、週に何度か続けるほうが体に良い影響が期待できます。「今日は5分だけ」でも、一緒に歩いたら十分です。相手が忙しい時期は、無理に予定を入れず、再開する日を決めておくと気持ちが楽になります。
生活習慣のアドバイス
- 買い物や通院など、日常の用事を「一緒に歩く」機会に変える
- エレベーターの代わりに階段を使うなど、小さな活動を増やす
- 長時間座り続けないよう、1時間に一度は立って動く
- 仲間ができたら、自治体の健康教室や地域のサークルをのぞいてみる
- 運動した日と体調を簡単にメモして、自分たちのペースを知る
- 睡眠と食事のリズムを整え、運動を無理なく組み込む
食事と運動
食事は、主食・主菜・副菜をそろえた、バランスのよい形が基本です。運動と食事の時間が空きすぎると力が出ないので、軽く何か食べてから歩くのも一案です。激しい運動の直後にたくさん食べる必要はありません。持病で食事の制限がある方は、自己判断で変えず、医師や管理栄養士、薬剤師に相談してください。
精神的健康と心の健康
人と一緒に体を動かすことは、気分転換や孤独感のやわらげにつながると言われています。一方で、予定通りにいかないことへの焦りや、「相手に迷惑をかけているのでは」という不安がわくこともあります。そんなときは、誘いを断られても気にしない、比べない、を合言葉にしてみてください。気分の落ち込みが長く続くときや、自分を傷つけたい気持ちが浮かぶときは、一人で抱えず、地域の相談窓口や医療機関に連絡してください。緊急の場合は119番へ。命に関わる状況では、ためらわず救急を呼んでください。
予防
運動が続かないという悩みは、工夫次第でやわらげられます。あらかじめ「誰と・いつ・どこで」を決めておく、雨の日の代替メニューを用意しておく、体調が悪い日は休むと決めておく——こうした準備が、運動を長く続ける助けになります。
検診プログラム
運動を始める前に、自治体や勤務先の健康診断を受けておくと安心です。血圧や血糖などの結果を知っておくと、どのくらいの強さで運動してよいかの目安になります。結果の見方や運動の進め方がわからないときは、医師や保健師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 運動不足が続き、体力や筋力がさらに落ちていく
- 生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)のリスクが高まる可能性がある
- 転びやすくなる、階段や荷物の持ち上げがつらくなる
- 人と会う機会が減り、孤立感や気分の落ち込みにつながることがある
- 睡眠や食欲のリズムが乱れやすくなる
長期的な見通し
見通しは明るいです。一度にたくさん動く必要はありません。週に1回、友人と20分歩くことから始めても、体は少しずつ応えてくれます。続けられない日があっても、それは失敗ではありません。また誘い合えばよいだけです。からだに不安があるときは、医療機関や地域の相談窓口を頼りながら、自分たちのペースで進めてください。
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最終更新: 2026年10月23日
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