目のけが(眼外傷)
概要
目のけが(眼外傷)は、目やそのまわりに外から力が加わったり、異物が入ったりして、目が傷ついた状態のことです。まぶたや白目の表面の軽い傷から、黒目(角膜)や目の奥の組織の傷まで、程度はさまざまです。痛み、涙、見えにくさなどの変化があるときは、早めに眼科などの医療機関に相談してください。
重要な事実
- 目のけがは、家庭や職場、スポーツの場面など、ふだんの生活の中で起こります。
- 軽く見えても、視力に影響するけががあります。自己判断で様子を見続けず、早めに受診することが大切です。
- 薬液が目に入った、鋭いものが刺さった、急に見えにくくなったといったときは、すぐに救急要請が必要です。
目に異物が入る、こする、ぶつけるといった軽いけがはとてもよくあります。一方で、目に穴が開くような重いけがは比較的少なめです。
子どもから高齢者まで、誰にでも起こりえます。子どもは砂場やおもちゃ、高齢者は転倒や庭仕事、働く世代は工作・農作業・スポーツなどで起こりやすい傾向があります。
症状
- 目に鋭いものが刺さった、または刺さったままになっている
- 洗剤、漂白剤、強酸・強アルカリなどの薬品が目に入った
- 目から出血が続く、眼球が明らかに変形している
- けがのあと、急に見えにくくなった、視野が欠けた
- 激しい目の痛みとともに頭痛や嘔吐がある
- ⚠異物が取れない、取れても痛みが続く
- ⚠目を傷つけた心当たりがあり、涙やまぶしさが続く
- ⚠黒目が白く濁る、目やにが多く出る
- ⚠コンタクトレンズの装用中に痛みや強い充血がある
- ⚠ものが二重に見える、まぶたが開かない
一般的な症状
- 目が痛い、しみる、ゴロゴロする
- 涙が止まらない、まぶしい
- 白目やまぶたが赤くなる、腫れる
- 目やにが出る、見え方がぼやける
- まぶたが開きにくい、ものが二重に見える
子供の症状
- 言葉で伝えにくいため、目をこする、泣き続ける、光を嫌がるといった様子が見られます
- まぶたを閉じて開けない、目やにが多い
- 砂場や小さなおもちゃ、ペンなどで遊んだあとに症状が出ることがあります
- 自分では「なんともない」と言うこともあるので、様子の変化に気を配りましょう
高齢者の症状
- 転倒や庭仕事のときに、枝や草で目を傷つけることがあります
- 皮膚が薄く傷つきやすいため、まぶたの傷や内出血が目立ちやすい
- 目薬をさすときに容器の先が目に触れて傷つくことがあります
- 出血しやすく、感染にも弱いため、早めの受診が大切です
原因
主な原因
- 砂、ほこり、金属片、虫、まつげなどの異物が入る
- ボールやおもちゃ、枝などがぶつかる
- 爪でこする、引っかく、コンタクトレンズで表面を傷つける
- 洗剤、消毒液、スプレーなどの化学物質がかかる
- 紫外線(溶接の光、雪面の照り返しなど)によるやけど
- 熱(油はね、蒸気、花火)によるやけど
リスク要因
- 屋外での作業、園芸、日曜大工、溶接など
- ボールを使うスポーツや、体がぶつかり合うスポーツ
- 化学物質を扱う仕事や家事
- コンタクトレンズの不適切な使用やケア不足
- 小さな子どものいる家庭
- 転倒しやすい方、視力が弱い高齢者
- 過去に目のけがをしたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 見え方が急に悪くなった、かすむ
- 強い痛みやまぶしさが続く
- 異物が取れない、取ったあとも痛む
- 化学物質が目に入った(応急処置のあと必ず受診)
- 出血がある、瞳孔(黒目の中心)の形が左右で違う
- コンタクトレンズを付けたまま痛みが出た
定期受診を予約すべき場合:
- 軽いゴロゴロ感が続く
- 充血が数日続く
- まぶたの腫れが引かない
- けがのあと、なんとなく違和感が続く
診断
問診と、目を詳しく見る検査で診断します。いつ、どこで、何が起きたか、何が入ったか、コンタクトレンズを使っているか、化学物質の種類などを伝えると診断がスムーズになります。
行われる可能性のある検査
- 視力検査
- 細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ)― 目を拡大して傷や異物を確認する検査
- フルオレセイン染色 ― 目薬で色をつけて、表面の傷を見つける検査
- 眼圧検査 ― 目の硬さ(圧)を測る検査
- 眼底検査 ― 目の奥の網膜などを調べる検査
- 必要に応じてCT検査、レントゲン検査、超音波検査
診察で予想されること
検査は数分から十数分ほどです。麻酔の目薬を使うことがあり、検査のあとしばらく視界がぼやけることがあります。その日は運転を避けるなど、医師やスタッフの指示に従ってください。
治療
治療はけがの種類と程度によって変わります。まずは異物の除去と洗浄、感染の予防、痛みの軽減を行い、必要に応じて眼科専門医による処置を行います。
自宅でのセルフケア
- 目をこすらない(こすると傷が広がることがあります)
- 化学物質が入ったら、すぐに大量の流水で15分以上洗い流し、コンタクトレンズは外す
- 異物が刺さっている場合は抜かずに、そのまま固定して救急へ
- 医師の指示どおりに点眼薬を使い、通院を続ける
- 指示された期間はコンタクトレンズの使用を避ける
- サングラスや帽子でまぶしさをやわらげる
- 目薬の容器の先が目に触れないようにする
医療治療
医師は、洗浄や異物の除去、傷ついた表面を保護する処置、感染を防ぐための薬、痛みや炎症をやわらげる薬などを組み合わせて治療します。傷の程度によっては、眼科専門医による処置が必要になります。具体的な薬や量は医師が判断しますので、自己判断で市販薬を使ったり、処方された薬を中止したりしないでください。
手術が検討される場合
角膜の深い傷、眼球に穴が開いた場合、網膜に異常がある場合、異物が深く入り込んだ場合などには、手術が必要になることがあります。多くはありませんが、必要と判断されたときは速やかに行われます。
この病気と共に生きる
治るまでの間は、目を休ませることが大切です。画面を長く見続けること、ほこりの多い場所での作業、コンタクトレンズの使用は控え、医師の指示に従って通院してください。
生活習慣のアドバイス
- 作業や庭仕事のときは保護メガネを着用する
- 化学物質は子どもの手の届かない場所に保管する
- コンタクトレンズのケアを正しく行う
- スポーツではゴーグルなど目の保護具を使う
- 紫外線の強い場所ではサングラスを活用する
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と水分補給は回復を助けます。運動は医師の許可が出てから再開し、汗やほこりが目に入らないように注意しましょう。
精神的健康と心の健康
目のけがは、見えにくさへの不安や、仕事・家事ができないもどかしさから、気持ちが落ち込むことがあります。不安が強いときや眠れないときは、遠慮なく医師や看護師、家族に話してください。つらい気持ちが続くときは、相談窓口や医療機関を頼ってください。
予防
多くの目のけがは防げます。保護メガネの着用、化学物質の安全な保管、正しいコンタクトレンズのケアが特に有効です。
ワクチン
目のけがを直接防ぐワクチンはありません。ただし、感染症が原因で目に炎症が起きることもあるため、予防接種についてはかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
特別な検診はありませんが、保護具が必要な作業では職場の安全衛生担当に相談しましょう。糖尿病がある方は、定期的な眼科検診を受けることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 傷が悪化して感染し、角膜に傷あとが残ることがある
- 治ったあとの濁りや瘢痕で、視力が下がることがある
- 目の圧が異常になることがある
- 網膜が傷ついたり剥がれたりして、視力が低下することがある
- まれに、視力を大きく失うことがある
長期的な見通し
ほとんどの方は、早めの受診と適切な治療で、視力を保ったまま回復します。不安なときは早めに相談することが一番の近道です。
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最終更新: 2026年10月23日
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