目に異物が入ったとき(目の異物・眼外傷)
概要
目に、ほこり・砂・金属の小さなかけら・まつげ・コンタクトレンズの破片など、本来は入っていないものが入ってしまう状態です。多くは涙と一緒に自然に流れ出ますが、目の表面の透明な膜(角膜)や白目を覆う膜(結膜)にくっついたり、刺さったりすると、痛みやゴロゴロした感じ、視界のぼやけが起こります。目の表面はとても敏感なので、小さな異物でも強く感じることがあります。
重要な事実
- 小さな異物の多くは、涙ややさしい洗い流しで自然に出ていきます。
- 目をこすらないことがいちばん大切です。こすると角膜(目の表面の透明な膜)に傷をつけてしまいます。
- 角膜に傷がつくと、そこから細菌が入って感染することがあります。痛みや視界のぼやけが続くときは早めに眼科へ。
- 金属片やガラスなどが高速で飛んでくる場面(金工・草刈り・工具の使用など)では、眼球を貫通するけがのことがあり、これは緊急対応が必要です。
とてもよくある症状で、眼科や一般外来を受診する理由の上位に入ります。ほとんどは軽く、その日のうちに改善します。
年齢を問わず誰にでも起こります。屋外作業や工作、掃除をする人、コンタクトレンズを使う人、砂場で遊ぶ子ども、粉塵の多い職場で働く人によく見られます。
症状
- 金属片・ガラス・石などが高速で飛んできて目に刺さった、または眼球に物が突き刺さっているように見える
- 眼球の形が変わっている、白目や黒目の部分から中身のようなものが見える
- 薬品(漂白剤・強酸・強アルカリなど)が目に入った(すぐに大量の水で洗い流しながら119番へ)
- 目にけがをしたあと、視力が急に大きく低下した
- 目の激しい痛みに、頭痛・吐き気・嘔吐をともなう
- ⚠洗い流しても異物が取れない、または取れたかどうかわからない
- ⚠コンタクトレンズの破片が目に残っている可能性がある
- ⚠目を強くこすったあとから痛みが続く
- ⚠充血が強い、光が異常にまぶしい、涙が止まらない状態が続く
- ⚠目に傷がついたかもしれないと言われた/その可能性がある
- ⚠異物を取ったあとも痛みや違和感が改善しない
一般的な症状
- 目に何かが入っているようなゴロゴロ・チクチクした感じ
- 涙が止まらない、涙があふれる
- 白目が赤くなる、充血する
- まぶたがピクピクする、目を開けにくい
- 光がまぶしく感じる(羞明:しゅうめい)
- 異物が入った側だけ視界がぼやける
- まばたきすると痛みが走る
子供の症状
- 言葉で伝えられず、目をしきりにこすったり、泣き続けたりする
- まぶたを閉じたまま開けようとしない
- 明るい場所を嫌がる、部屋を暗くしたがる
- 目やにが増える、まぶたが腫れる
- 砂場・ビーズ・工作・ペットの毛などがきっかけになりやすい
高齢者の症状
- ドライアイ(目の乾き)があると、異物感が強く出たり長引いたりする
- 白内障などの手術を受けたことがある目は、違和感に気づきやすい一方で別の原因が隠れることもある
- 角膜の感覚がにぶくなっていると、異物が入っても気づきにくく、受診が遅れることがある
- 糖尿病などがある方は、目の症状を自己判断せず早めに相談を
原因
主な原因
- 風で舞い上がったほこり・砂・花粉
- 草刈り・金工・木工・工具の使用などで飛んでくる小さなかけら
- 掃除中の天井や棚のほこり、布団の繊維
- 化粧品(アイシャドー・マスカラ)や日焼け止めの飛沫
- コンタクトレンズのずれ・破損・異物の付着
- まつげ、目やに、涙道から出た小さな塊
- 洗剤・漂白剤・薬品の飛沫(化学やけど)
- ペットの毛や羽毛、植物のとげ
リスク要因
- 保護メガネをかけずに屋外作業や工作をする
- コンタクトレンズを装用している(特に長時間・水回りでの使用)
- ドライアイやアレルギー性結膜炎がある(異物感が出やすい)
- 粉塵の多い職場や屋外環境で過ごす時間が長い
- 幼い子ども(砂場・ビーズ・工作など)
- 過去に目のけがをしたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 視力が落ちた、ものが二重に見える
- 強い目の痛みが続く、目を開けていられない
- 薬品が目に入った
- 眼球に物が刺さっている、眼球が破けた可能性がある
- 瞳孔(黒目の中心)の形が左右で違う、白目に出血が広がっている
- コンタクトレンズの破片が残っている疑いがある
定期受診を予約すべき場合:
- 軽いゴロゴロ感が数日続いている
- ときどき異物感があり、涙が多くなることがある
- 片目だけ充血や違和感が繰り返す
- 異物が取れたはずなのに、まばたきのたびに違和感がある
診断
まず、いつ・どんな状況で・何が入った可能性があるかを聞きます(屋外作業か、コンタクトをしていたか、薬品かどうかなど)。そのうえで視力を測り、細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう:スリットランプとも呼ばれる、目を拡大して観察する機械)で角膜・結膜・まぶたの裏まで丁寧に観察します。
行われる可能性のある検査
- 視力検査
- 細隙灯顕微鏡検査(目を拡大して観察)
- フルオレセイン染色(角膜の傷を光らせて確認する検査)
- 眼圧検査(必要な場合)
- まぶたの裏返し検査(まぶたの内側に異物が残っていないか)
- 画像検査(X線・CTなど。貫通したけがが疑われる場合)
診察で予想されること
検査の前に点眼の麻酔を使うことがあり、その場合は痛みが一時的にやわらぎます。まぶたを開いて明るい光を当てるため、まぶしく感じることがありますが、数分で終わる検査です。痛みが強いときは、遠慮せずに声をかけてください。
治療
多くは、洗い流す・まばたきで自然に出る・医師がやさしく取り除く、のいずれかで改善します。角膜に傷がついている場合は、感染を防ぎながら自然に治るのを待ちます。治療の内容は、異物の種類・深さ・傷の程度によって変わります。
自宅でのセルフケア
- 絶対に目をこすらない(こすると角膜に傷がつきます)
- まず手をよく洗う
- まばたきを繰り返して、涙で流れ出るのを待つ
- 清潔な水や生理食塩水で、顔を横に向けてやさしく洗い流す(洗面器に水を張り、目を開閉しながらすすぐ方法もあります)
- コンタクトレンズをしている場合はすぐに外す
- 鏡の前で上下のまぶたを軽く裏返し、異物が見えないか確認する(無理はしない)
- 異物が刺さっている・取れない場合は絶対に触らず、清潔なガーゼなどで軽く覆って受診する
- 市販の点眼薬を自己判断で使わない(特に麻酔の入った点眼薬は危険です)
- 回復するまで、アイメイクやコンタクトレンズの使用は控える
医療治療
医師が細隙灯顕微鏡を見ながら、洗浄や専用の器具で異物を取り除きます。角膜に傷がある場合は、感染を防ぐための点眼薬や軟膏、必要に応じて痛みを和らげる治療が行われます。鉄の異物では、まわりに残る「さびの輪」を専用の器具で丁寧に取り除くことがあります。薬品が入った場合は、まず大量の水で洗い流すことが最優先です。具体的にどんな薬を使うかは、医師や薬剤師から説明を受けてください。
手術が検討される場合
異物が眼球の深くまで達している場合(貫通したけが)、網膜や目の奥に異物がある場合、角膜に深い裂け目がある場合は、手術が必要になることがあります。こうしたケースは珍しく、多くは外来での処置で対応できます。
この病気と共に生きる
治るまでは目をこすらず、アイメイクやコンタクトレンズは控えめに。屋外や作業の場では保護メガネを使いましょう。痛みが引いても、視界のぼやけや充血が続くときは我慢せずに眼科へ相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 作業内容に合った保護メガネ(ゴーグル)を常備し、使う習慣をつける
- 屋外から戻ったら、まず手洗いとやさしい洗顔
- コンタクトレンズは正しい手順で扱い、水回りでは使わない
- 子どもには砂場や工作のあとに「目をこすらない」ことを伝える
- 粉塵の多い環境では、換気やマスク・ゴーグルを活用する
食事と運動
特別な食事制限はありません。回復するまでは、汗が目に入りやすい激しい運動やプール・水泳は控え、医師の指示に従ってください。バランスのよい食事と睡眠は、からだの回復を助けます。
精神的健康と心の健康
目はちょっとした違和感でも不安になりやすい場所です。「見えにくくなったらどうしよう」と心配になるのは自然なこと。多くは数日で改善しますが、不安が強く続くときや眠れないほど気になるときは、ひとりで抱えずに医療者や身近な人に話してください。
予防
多くは予防できます。作業内容に合った保護メガネを着ける、粉塵の多い場所では顔を近づけすぎない、コンタクトレンズを正しく扱う、子どもには砂や小さなものを目に向けて投げないと伝える——こうした小さな習慣が効果的です。
検診プログラム
異物が入ることを事前に見つける検査はありません。ただし糖尿病がある方や、目の病気が心配な方は、眼科で定期的に目のチェックを受けておくと安心です。
合併症
治療しない場合
- 角膜の傷から細菌が入り、感染性角膜炎や角膜潰瘍になることがある
- 傷が残ることで、まぶたの違和感や視界のぼやけが続くことがある
- 鉄の異物が長く残ると、まわりにさびが広がる
- まれに、目の奥まで異物が入り込んで網膜を傷つけたり、眼内炎(目の内部の感染)を起こしたりする
- 治療が遅れると、視力が戻りにくくなることがある(多くは早期受診で防げます)
長期的な見通し
ほとんどの目の異物は、正しく対処すれば数日で良くなります。角膜の傷も、感染を防ぎながら安静にしていれば自然に治ることが多いです。違和感が続くときは早めに眼科を受診することが、いちばんの近道です。不安なことがあれば、遠慮なく医療者に質問してください。
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最終更新: 2026年10月23日
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