目の手術と術後の痛み
概要
目の手術(白内障(はくないしょう:目のレンズが濁る病気)の手術、緑内障(りょくないしょう:目の神経が傷つく病気)の手術、網膜(もうまく:光を感じる膜)の手術、斜視(しゃし:目の向きのずれ)の手術、視力を矯正するレーザー手術など)を受けたあとに起こる、痛みや目の違和感のことです。手術では、目の組織に小さな切れ目を入れたり、縫(ぬ)ったり、レーザーを当てたりするため、傷が治っていく間に軽い痛みや異物感が出ます。多くは数日から数週間で少しずつ楽になります。
重要な事実
- 手術のあとの軽い痛みや「目にゴミが入ったような感じ」は、治っていく途中の反応としてよくあります。
- 痛みはふつう、手术の翌日がいちばん強く、その後は少しずつやわらぐ傾向があります。
- 急に痛みが強くなる、見え方がはっきり悪くなる、目が真っ赤に腫れるといった変化は、早めの受診が必要なサインです。
とてもよくあることです。目の手術を受けた人の多くが、程度の差はあっても何らかの痛みや違和感を経験します。
目の手術を受けた人なら誰にでも起こりえます。子どもから高齢者まで幅広く、手術の種類や体の状態によって感じ方に差があります。
症状
- 目に強い衝撃や外傷を受けた、または異物が刺さったように感じる
- 薬品や化学物質が目に入った(まず水道水でよく洗いながら、すぐに救急へ連絡してください)
- 激しい目の痛みで耐えられず、目を開けていられない
- 突然、視力がほとんど見えなくなった
- ⚠手術のあと数日たってから、痛みが急に強くなった
- ⚠見え方がはっきり悪くなった、または視界がかすんでどんどん悪くなる
- ⚠目が真っ赤に腫れて、触ると熱い
- ⚠黄色や緑色の膿(うみ)のような目やにが出る
- ⚠光が異常にまぶしく、目を開けていられない
- ⚠目の痛みと一緒に頭痛や吐き気があり、虹(にじ)のように光が輪になって見える
- ⚠発熱がある
一般的な症状
- 軽い痛みや、ズキズキする感じ
- 目にゴミが入ったような異物感
- 涙が多く出る
- 光がまぶしく感じる
- 見え方が少しぼやける(手術直後は特に)
- まぶたの腫れや重い感じ
- 目やにが少し出る
- 目の乾きや、しみる感じ
子供の症状
- 言葉で痛みを伝えられず、不機嫌になったり泣き続けたりする
- 目をこすったり、まぶたを触ったりする
- まぶしがって目を開けたがらない
- 食欲が落ちる、眠りが浅くなる
- 目やにや涙がいつもより多い
高齢者の症状
- もともとのドライアイ(目の乾き)で違和感が強く出やすい
- 回復に少し時間がかかることがある
- ほかの病気の薬を飲んでいる場合は、体の反応が違うことがある
- 認知症などがあると、痛みをうまく伝えられないことがあるため、家族の観察が大切
原因
主な原因
- 手術で入れた切れ目や縫った糸が治っていく途中の反応
- 目の組織の炎症や腫れ
- 目の表面が乾いて傷つきやすくなっている(ドライアイ)
- 点眼薬がしみる、または刺激になっている
- 光に対する過敏さ(まぶしさ)
- まぶたの腫れや、まばたきの変化
- レーザー手術のあとの角膜(かくまく:目の黒目の表面)の治り
リスク要因
- もともとドライアイがある
- 手術の時間が長い、または複雑な手術だった
- 糖尿病などの体の病気がある
- 免疫(体を守る力)が下がる状態にある
- まぶたの炎症やアレルギー性の結膜炎がある
- 術後の点眼や通院の指示を守りにくい状況がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 痛みが日ごとに強くなる、または急に強くなる
- 見え方がはっきり悪くなる
- 目が真っ赤に腫れる、膿のような目やにが出る
- 光が耐えられないほどまぶしい
- 発熱や頭痛、吐き気を伴う
定期受診を予約すべき場合:
- 軽い痛みや異物感が続いていて気になる
- 目が乾く、しみる感じが続く
- まぶしさで生活しづらい
- 点眼薬の使い方や、痛み止めの使い方について相談したい
- 予定の診察前に不安なことがある
診断
ふつうは問診と目の診察で判断します。痛みがいつから、どんなふうに、どのくらい続いているかを聞き、目を拡大して見る器械で傷の治り具合や炎症の有無を確認します。必要に応じて視力や眼圧(がんあつ:目の内側の圧力)を測ります。
行われる可能性のある検査
- 視力検査
- 眼圧検査
- 細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)による診察(光を当てて目を拡大して見る検査)
- 涙の量や目の表面の状態を調べる検査
- 必要に応じて目の超音波検査や眼底の画像検査
診察で予想されること
診察は数分から十数分程度で、ほとんど痛みはありません。まぶたを触られたり、まぶしい光を当てられたりすることがあります。目薬で瞳孔(どうこう:光を取り入れる穴)を広げる検査を行うと、数時間見えにくくなり、車の運転は避けたほうがよいので、その日は公共交通機関や送迎を考えておくと安心です。
治療
多くの場合、手術後の痛みは自然にやわらぎます。痛みが生活の妨げになるときは、医師の指示にしたがって痛みを和らげながら、治りを待つことが基本です。
自宅でのセルフケア
- 目をこすらない、押さない(こするといちばん危険です)
- 石けんでの手洗いをしてから点眼薬を使う
- 処方された点眼薬を、指示された回数と期間を守って使う
- 医師に確認したうえで、冷たいタオルなどでまぶたの上を冷やす
- 外出時はサングラスや帽子でまぶしさをやわらげる
- 指示された期間は、目を守るカバーをつけて眠る
- 長時間の画面作業を避け、ときどき目を休める
- 煙、ほこり、強風、塩素の多いプールなどを避ける
- 洗顔や入浴、コンタクトレンズの使用は、医師の指示にしたがう
医療治療
医師は診察の結果に応じて、炎症をしずめる点眼薬、感染を防ぐ点眼薬、目の乾きをうるおす点眼薬などを処方することがあります。痛みが強いときは、内服の痛み止めが使われることもあります。どの薬を使うか、どう使うかは、必ず処方した医師や薬剤師の説明にしたがってください。自分で市販の薬を追加したり、ほかの人に勧められた薬を使ったりするのは避けましょう。
手術が検討される場合
術後の痛みが長引くときは、感染、眼圧の上昇、縫った糸の刺激など、別の原因が隠れていることがあります。原因が見つかった場合は、糸の調整や追加の処置、まれに再手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
手術のあとの数日は、痛みや見えにくさで思うように動けないことがあります。無理をせず、点眼の時間を決めて忘れないようにメモしたり、スマートフォンのアラームを使ったりすると続けやすくなります。痛みの変化を簡単に記録しておくと、診察のときに医師へ伝えやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠をしっかりとり、体を休める
- 目に負担のかかる長時間の読書やゲームを控えめにする
- 医師に確認するまで、激しい運動や重い物を持つのは控える
- 飲酒や喫煙は回復に影響することがあるため、医師に相談する
- 家族や友人に買い物や通院の送迎を頼るなど、人に頼る
- こまめに換気し、ほこりの多い場所を避ける
食事と運動
特別な食事制限は通常ありませんが、バランスのよい食事と水分補給は体の回復を助けます。運動は、医師から許可が出るまでは散歩程度の軽い活動にとどめ、許可が出たら徐々に戻していきましょう。
精神的健康と心の健康
目が見えにくい時期は、不安やいらだち、気分の落ち込みを感じることがあります。これは特別なことではありません。つらい気持ちが続くときは、一人で抱え込まず、医療機関や地域の相談窓口(保健所や精神保健福祉センターなど)に相談してください。気持ちが追い詰められて自分を傷つけたいと考えたときは、ためらわずに救急(119番)や医療機関へ連絡してください。
予防
手術後の痛みを完全になくすことはできませんが、轻くする工夫はあります。手術前にドライアイやまぶたの炎症を治療しておく、術後の点眼や通院の指示を守る、目をこすらない、無理をしないことが大切です。
検診プログラム
手術後は、医師が指定した時期の診察を必ず受けてください。痛みがなくても、炎症や眼圧の変化が見つかることがあります。
合併症
治療しない場合
- 目の感染症(眼内炎(がんないえん):目の中に細菌が入って炎症を起こす状態)
- 炎症が長引き、治りが遅れる
- 眼圧が上がり、緑内障の悪化につながることがある
- ドライアイの悪化
- 傷あとが残り、見え方に影響することがある
- まれに視力が低下する
長期的な見通し
ほとんどの場合、術後の痛みは数日から数週間でやわらぎ、見え方も徐々に落ち着いていきます。気になる症状があるときは早めに相談することが、安心につながります。あせらず、医師と一緒に回復の過程を見守っていきましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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