まぶたの手術(眼瞼手術)
概要
まぶたの手術は、まぶた(眼瞼・がんけん)の形や働きを整える治療です。たとえば、加齢などで下がってきたまぶたを持ち上げて視界を広げたり、まつげが眼球に当たるのを直したり、まぶたのしこりやできものを取り除いたりします。二重まぶたにする美容目的の手術も同じ仲間ですが、ここでは主に「目の健康や見え方を守るための手術」について説明します。
重要な事実
- まぶたの手術には、視界を広げる・目の表面を守るための「治療の手術」と、見た目を変える「美容の手術」があります。
- 多くは日帰り、または1〜2泊程度の入院で行われ、局所麻酔(まぶたの周りだけを麻酔する方法)で行われることが多いです。
- 手術後は腫れや内出血が1〜2週間ほど続くことがあり、完全に落ち着くまでには数か月かかることもあります。
- 手術を受けるかどうかは、眼科や形成外科の医師と相談しながら、生活への影響と希望をふまえて決めていきます。
まぶたの手術はめずらしいものではありません。特に高齢の方では、まぶたが下がって視界が狭くなる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」や、まぶたが内側に巻き込む「眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)」の手術がよく行われています。美容目的の手術も含めると、身近な手術のひとつといえます。
年齢を重ねてまぶたの皮膚や筋肉がゆるんできた方、まつげが眼球に当たって痛みや違和感がある方、まぶたに繰り返しできるしこりに悩む方、生まれつきまぶたが下がっているお子さんなど、幅広い年代が対象になります。コンタクトレンズを長く使ってきた方や、アトピー性皮膚炎でまぶたをよくこすってしまう方も関係が深いといわれています。
症状
- まぶたや目の周りが急に大きく腫れて、目が開かない、発熱もある
- 目を強く打った・切ったなど外傷のあとで、出血が止まらない、ものが二重に見える
- 急に見えにくくなった、視野が欠けた(手術の前後を問わず)
- ⚠手術のあと、出血や腫れがどんどん強くなる
- ⚠手術の傷が赤く腫れて膿(うみ)が出る、熱が出る
- ⚠手術のあと、目に強い痛みが続く、目薬をさしても改善しない
- ⚠まぶたが急に下がった、または開かなくなった
一般的な症状
- まぶたが重く、目を開けるのがつらい、夕方になると特に開きにくい
- 上のまぶたが下がってきて、視野(見える範囲)が狭くなった気がする
- 無意識に眉を上げたり、あごを上げたりしてものを見るようになった
- まつげが眼球に当たって、しみる・涙が出る・ゴロゴロする
- まぶたに痛みの少ないしこりができた、または赤く腫れて痛む
- まぶたが赤く腫れる、かゆい、皮がむける
- 目の周りのたるみやシワが気になる、左右のまぶたの高さが違う
子供の症状
- 生まれつき片方のまぶたが下がっている(先天性眼瞼下垂)
- まぶたが下がって、ものを見るときに顔を傾けたりあごを上げたりする
- まぶたのしこりや腫れを繰り返す
- まつげが眼球に当たって涙目になる、目をこする
- まぶたが下がることで、視力の発達に影響が出ていないか気になる
高齢者の症状
- まぶたの皮膚がたるんで視界が狭くなり、階段や段差が見えにくい
- まぶたのふちが内側に巻き込んで、まつげが角膜(黒目の表面)を傷つける
- まぶたが外側にめくれて、涙が止まらない、目が乾く
- まぶたの腫れやしこりが長引く
- 手術後に腫れが引くまで時間がかかりやすい
原因
主な原因
- 加齢によるまぶたの皮膚・筋肉・支える組織のゆるみ(眼瞼下垂の代表的な原因)
- まぶたを持ち上げる腱(けん)の部分がはずれる、または伸びる
- 生まれつき筋肉の発達が弱い(先天性)
- まぶたの炎症、けが、腫瘍、手術やレーザーのあとの変化
- コンタクトレンズの長期使用や、まぶたをこする習慣による刺激
- 見た目を整えたいという希望(美容目的)
リスク要因
- 年齢を重ねること
- アトピー性皮膚炎や花粉症などで、目やまぶたをよくこすってしまう
- コンタクトレンズ(特にハードレンズ)の長期間の装用
- 糖尿病などの慢性の病気
- 紫外線を長く浴びること
- 目の周りのけがや手術の経験
- 一部の神経や筋肉の病気(医師が確認します)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- まぶたや目の周りが急に腫れて痛い、熱がある
- 目をけがした、出血が続く、ものが二重に見える
- 手術のあと、出血や腫れが強くなる、膿が出る
- 急に見えにくくなった
定期受診を予約すべき場合:
- まぶたが下がって視界が狭くなってきた、ぶつかりそうで不安
- まつげが眼球に当たって痛い、涙が止まらない
- まぶたのしこりや腫れが数週間続く
- 左右のまぶたの高さが気になる、見た目について相談したい
- 手術を受けるかどうか迷っている
診断
まず問診で、いつから、どんなふうに気になっているか、日常生活で困っていること(本を読む・運転する・階段を下りるなど)を聞きます。そのうえで、まぶたの開き具合、まつげの向き、目の表面の状態を診察し、視力や見える範囲の検査を行います。必要に応じて写真を撮って経過を比べたり、画像検査をしたりします。手術を考える場合は、希望とリスクをふまえて医師と話し合います。
行われる可能性のある検査
- 視力検査、矯正視力の検査
- 視野検査(見える範囲を調べる検査)
- まぶたの高さや開き具合の測定、写真撮影
- 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡による目の表面・まつげの観察
- 涙の量や目の乾きの検査
- 必要に応じて眼圧検査、MRIやCTなどの画像検査
- アレルギーや皮膚の状態を調べる検査(必要時)
診察で予想されること
診察は痛みがほとんどなく、短時間で終わることが多いです。検査の結果をもとに、「今すぐ手術が必要か」「他の治療を先に試すか」「見た目の希望をどう取り入れるか」を一緒に考えます。セカンドオピニオン(別の医師の意見)を聞くこともできます。
治療
治療は、大きく分けて「様子を見る・生活を工夫する」「薬やケアで炎症を抑える」「手術で形や働きを整える」の3つがあります。まぶたの下がり方が軽く、生活にそれほど支障がなければ、すぐに手術をしなくてもよいことが多いです。困りごとの大きさと、目の状態を合わせて選んでいきます。
自宅でのセルフケア
- まぶたを強くこすらない、こする癖に気づいてやさしく扱う
- 目が乾くときは、部屋の乾燥を防いだり、まばたきを意識したりする
- しこりがあるときは、清潔なタオルで温めて様子を見る(医師の指示に従う)
- コンタクトレンズは装用時間を守り、清潔に扱う
- 手術前は禁煙を心がける(傷の治りに関わります)
- 手術後は、頭を少し高くして休む、決められた期間は激しい運動や入浴・メイクを控える
- 紫外線対策(帽子・日傘・サングラス)を心がける
医療治療
炎症や乾きがある場合は、目の炎症をやわらげる点眼薬や軟膏、目の乾きを補う点眼薬などが使われることがあります。アレルギーが関係する場合は、かゆみを抑える治療を組み合わせます。しこり(霰粒腫・さんりゅうしゅ)では、温罨法(おんあんぽう/温かいタオルで温めること)や、必要に応じて小さな切開で中身を取り除く処置が行われます。どの治療も、医師が目の状態を見て判断します。薬の名前や使い方は、処方した医師・薬剤師の説明に従ってください。
手術が検討される場合
手術は、まぶたが下がって視界が狭い、まつげが眼球に当たって傷つけている、まぶたの形が生活に支障をきたしている、しこりが繰り返す、といった場合に検討されます。美容目的の場合は、希望とリスク、傷の位置や治り方について十分に話し合ってから決めます。手術の方法(まぶたの皮膚を取る、持ち上げる組織を整える、まつげの向きを変えるなど)は、原因と状態によって変わります。持病や服んでいる薬がある場合は、必ず医師に伝えてください。
この病気と共に生きる
手術を受けた場合、腫れや内出血は翌日〜数日がピークで、1〜2週間ほどで落ち着いてくることが多いです。冷やす・頭を高くして休むなど、指示されたケアを続けましょう。抜糸の時期や、洗顔・メイク・コンタクト・運動を再開してよい時期は、医師の指示に従ってください。術後は目が乾きやすかったり、まぶたが少し突っ張ったりしますが、多くは時間とともに落ち着きます。気になる変化があれば、自己判断せずに早めに連絡しましょう。
生活習慣のアドバイス
- まぶたをこすらない、目をこする癖をやめる工夫をする
- コンタクトレンズの装用時間とケアを守る
- 喫煙を控える(傷の治りや皮膚の状態に関わります)
- 紫外線対策を習慣にする
- 睡眠を十分にとり、目の疲れをためない
- 画面を長時間見るときは、ときどき休憩してまばたきを増やす
食事と運動
特別な食事制限は必要ありませんが、バランスのよい食事と十分な水分は、傷の治りや皮膚の健康を支えます。手術のあとは、指示があるまで激しい運動・重いものを持つこと・プールや温泉は控えましょう。再開の時期は医師に確認してください。
精神的健康と心の健康
まぶたの変化は見た目にも関わるため、「人からどう見られるか」「手術して後悔しないか」と不安になるのは自然なことです。視界が狭くなると、外出や運転を控えて気持ちが沈むこともあります。迷っているときは、一人で抱え込まず、医師や看護師、家族、信頼できる人に気持ちを話してみてください。つらさが強いときや、気持ちが落ち込み続けるときは、医療機関や地域の相談窓口に相談しましょう。日本では、つらい気持ちを抱えたときの相談先として、自治体の保健所や精神保健福祉センター、いのちの電話などの相談窓口があります。緊急に助けが必要なときは119番へ連絡してください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、まぶたをこすらない、コンタクトレンズを正しく使う、紫外線を避ける、禁煙する、アレルギーや皮膚の炎症を早めに治療するといった工夫で、まぶたへの負担を減らせる可能性があります。加齢による変化は自然なものなので、防げない部分があることも知っておくと気持ちが楽になります。
検診プログラム
決まった検診の決まりはありませんが、まぶたの下がりや見えにくさが気になるとき、まつげが当たるときは、眼科で早めに相談しましょう。糖尿病などの慢性の病気がある方は、定期的な受診を続けることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 視野が狭くなり、段差や障害物に気づきにくくなって転倒や事故の危険が増える
- まつげが角膜を傷つけて、痛み・充血・涙目が続く
- 目の表面が傷ついて感染を起こすことがある
- 目の乾きが悪化する
- 見た目の悩みから外出を控えるなど、生活の幅が狭くなることがある
- しこりや腫れが大きくなり、治療が複雑になることがある
長期的な見通し
まぶたの手術は、目的に合っていれば満足度が高い治療です。腫れや内出血は一時的なもので、多くは数週間から数か月で落ち着きます。傷あとや左右差が気になる場合も、時間とともに目立たなくなることが多く、必要に応じて相談できます。手術をしないという選択も含めて、自分に合った道をゆっくり選んでよいのです。
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最終更新: 2026年10月23日
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