涙の通り道がつまる「涙道閉塞」
概要
涙は、目の表面をうるおしたあと、目頭にある小さな穴(涙点)から細い管を通って鼻の奥へ流れていきます。この通り道が狭くなったり、ふさがったりした状態を「涙道閉塞(るいどうへいそく)」といいます。とくに、鼻へ向かう管(鼻涙管)がつまる「鼻涙管閉塞」がよく知られています。涙の出口がふさがると、涙がたまって目からあふれたり、目やにが出たりします。
重要な事実
- 涙は目頭の小さな穴から鼻の奥へ流れています。その通り道がつまった状態です。
- 生まれたばかりの赤ちゃんではとてもよく見られ、多くは1歳ごろまでに自然に良くなります。
- 大人では、加齢や炎症などで通り道が狭くなることが多く、涙目や目やにが続きます。
赤ちゃんでは非常に多く、1歳までに多くの子が自然に治ります。大人では、中高年の方、とくに女性に比較的多く見られます。
生後まもない赤ちゃんから高齢者まで、幅広い年齢で見られます。生まれつきの場合は赤ちゃんに、加齢による場合は50代以降に多く、女性にやや多い傾向があります。
症状
- 目頭から目の周りにかけて急に激しく腫れ、痛みが強い(重症の感染の疑い)
- 発熱、頭痛、意識の変化、顔の腫れが広がる
- 視力が急にほとんど見えなくなる
- ⚠目やにが膿のように多く出る
- ⚠目頭が赤く腫れて痛む(涙の袋の炎症の疑い)
- ⚠目が開かないほどの腫れ
- ⚠視力が急に落ちた、ものが二重に見える
一般的な症状
- 涙が目にたまって、あふれてくる(流涙)
- 目やにが増える、朝起きるとまつげやまぶたがくっついている
- 目頭がじゅくじゅくする、押すと膿のようなものが出る
- 涙のせいで視界がぼやける、まぶしく感じる
- 目頭やまぶたが赤く腫れる
- 涙が頬を伝って流れ、肌がかぶれる
子供の症状
- 生後数日から数週間で、片目または両目の涙目に気づく
- まつげがいつも濡れている、涙がたまっている
- 黄色っぽい目やにが出る、朝に目が開きにくい
- 痛がらない、目をこすらないことが多い
- 感染を起こすと目頭が赤く腫れてくる
高齢者の症状
- 涙が頬を伝う、人前で涙が出て困る
- 目頭を押すと膿や粘り気のある液体が出る
- 結膜炎や目やにを繰り返す
- かすみ目、涙で視界がにじむ
- 寒い風に当たるととくに涙が出る
原因
主な原因
- 生まれつき、鼻へ通じる管の出口に薄い膜が残っている(新生児の鼻涙管閉塞)
- 加齢により通り道が狭くなる
- 目の炎症や感染を繰り返し、管の中がふさがる
- 鼻の病気(慢性の副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など)の影響
- 目のけが、目の手術のあと
- まれですが、管の中にできものができる
リスク要因
- 50歳以上、とくに女性
- 慢性の鼻炎・副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎がある
- 目や涙道の感染症、けが、手術の経験がある
- 生まれつきのタイプは、赤ちゃんにとてもよく見られる
- 鼻の形や骨の影響
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 目頭が赤く腫れて強い痛みがある
- 膿のような目やにがたくさん出る
- 視力が急に下がった
定期受診を予約すべき場合:
- 涙目が2〜3週間以上続く
- 目やにを繰り返す
- 目頭を押すと膿が出る
- 赤ちゃんの涙目が1歳を過ぎても続く、または目やにが多い
診断
まず問診と目の診察で、涙のあふれ方や目やに、目頭の状態を確認します。必要に応じて、涙の通り道がきちんと通っているかを調べる検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 涙道通水検査:細い管から生理食塩水を流し、鼻へ抜けるかを確認します。
- 涙道造影:造影剤を使ってレントゲンやCTで通り道の形を調べます。
- CT・MRI:腫瘍などほかの原因がないかを調べます。
- 細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ):目の表面やまぶたを拡大して観察します。
診察で予想されること
検査は外来で行われることが多く、通水検査では少し圧迫感や違和感を感じることがありますが、短時間で終わります。赤ちゃんの場合は、自然に治るかどうかを見ながら、必要に応じて検査や治療を進めます。
治療
多くは自然に良くなるか、外来での処置や手術で改善します。症状の強さや年齢、原因によって方針が変わります。
自宅でのセルフケア
- 目をこすらず、清潔なガーゼで目頭をやさしく拭く
- 目やには目頭から外側へ、やさしく一方向に拭く
- 赤ちゃんの場合は、医師の指導のもとで目頭と鼻の間をやさしく押すマッサージを行うことがある
- 症状が強いときはコンタクトレンズを控え、医師に相談する
- 乾燥や風を避け、必要なら保護メガネを使う
医療治療
細菌感染を伴うときは、抗菌薬の点眼や内服が使われることがあります(薬の種類や使い方は医師の指示に従ってください)。涙の通り道を広げる処置として、細い器具で通り道を通す方法や、細いチューブを一定期間留置する方法があります。改善しない場合は、鼻と涙の袋をつなぐ新しい通り道を作る手術が検討されます。新生児の場合はまず様子を見て、1歳ごろまで改善しない場合に処置を検討することが多いです。
手術が検討される場合
通水や通り道を広げる処置で改善しない場合、症状を繰り返す場合、涙の袋の炎症を繰り返す場合には手術が検討されます。手術は主に鼻と涙の袋の間に新しい通り道を作るもので、多くの場合、顔に傷が残りにくい方法で行われます。
この病気と共に生きる
涙で視界がにじむときは、こまめにやさしく拭き取り、目の周りの皮膚を清潔で乾燥した状態に保つと快適です。目やにが多い日は無理に目をこすらず、受診の目安を思い出してください。
生活習慣のアドバイス
- 目をこする癖を減らす
- ほこりや風、乾燥から目を守る
- 鼻の調子が悪いときは、鼻炎のケアも大切にする
- 喫煙は目の乾燥や炎症を悪化させることがあるため控えめに
- 十分な睡眠と休憩をとる
食事と運動
特定の食べ物が涙道閉塞を治すという証拠はありません。バランスのよい食事と、無理のない範囲の運動で体調を整えることが、目の健康にも役立ちます。運動中に涙で視界がにじむ場合は、眼鏡やタオルを用意しておくと安心です。
精神的健康と心の健康
涙が止まらないと、人前で「泣いているように見える」と気にして、外出を控えたくなる方もいます。見た目の変化や繰り返す症状は、気分の落ち込みや不安につながることがあります。つらいと感じたら、一人で抱え込まずに家族や医療者に話してください。気持ちがつらい状態が続くときは、かかりつけ医や地域の相談窓口に相談してください。日本では、自治体の保健所や精神保健福祉センターでも相談できます。
予防
生まれつきの涙道閉塞を完全に防ぐ方法はありません。大人の場合は、目の炎症や感染を早めに治療すること、鼻の病気をきちんとケアすること、目をこすらないことが、通り道が狭くなるのを防ぐ助けになる可能性があります。
検診プログラム
涙道閉塞そのものを早期に見つけるスクリーニング検査は一般的ではありません。涙目や目やにが続くときは、健診を待たずに眼科を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 涙の袋に細菌がたまり、目頭が腫れて痛む(涙の袋の炎症)
- 炎症が目の周りに広がる:まれですが、視力に影響することがあります
- 結膜炎や目の充血を繰り返す
- 角膜(黒目)の炎症や傷
- 目やにや涙で日常生活が不便になる
長期的な見通し
多くの場合、赤ちゃんは1歳ごろまでに自然に良くなり、大人も適切な処置や手術で症状が改善します。治療を受けながら日常生活を工夫することで、快適に過ごせる方がほとんどです。心配なときは早めに眼科に相談してください。
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最終更新: 2026年10月23日
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