コンタクトレンズと目の健康
概要
コンタクトレンズは、目の表面(角膜=黒目の部分を覆う透明な膜)に直接のせて、近視や乱視などの見え方を整える医療機器です。メガネと違って顔にフレームがなく、視野が広く感じられるのが特長です。ただし、正しく使わないと目の表面を傷つけたり、感染症の原因になったりすることがあります。装用するときは眼科医の検査を受けて、自分の目に合ったレンズを選ぶことが大切です。
重要な事実
- コンタクトレンズは「医療機器」です。見た目が同じでも、自己判断でネットだけで買うのではなく、眼科で検査を受けて処方してもらうのが安全です。
- 1日使い捨てのレンズでも、長時間の装用やケアの不足は、目の傷や感染症のきっかけになります。
- 少しでも痛みや見えにくさを感じたら、いったんレンズを外して目の状態を確かめ、早めに眼科へ相談しましょう。
コンタクトレンズは、日本でもとても多くの人が使っている身近な存在です。10代の学生から高齢の方まで幅広く装用されており、特別なことではありません。一方で、装用している人の多くが、乾燥や違和感といった軽いトラブルを一度は経験すると言われています。
近視や乱視、遠視を矯正したい人、スポーツや仕事でメガネが邪魔になる人、見た目の印象を変えたい人など、目的はさまざまです。子どもの場合は自分でのケアが難しいことがあるため、保護者が一緒に管理することが大切です。ドライアイ(涙が不足して目が乾きやすい状態)がある人や、アレルギー体質の人は、違和感が出やすいことがあります。
症状
- 化学薬品(洗剤、漂白剤、農薬など)が目に入った、または飛び散った
- 目に強い衝撃を受けた、ものが刺さった、貫通した可能性がある
- 目の激しい痛みで目を開けられず、顔色が悪い、意識がもうろうとしている
- ⚠レンズが外れない、または目の奥に入り込んだように感じる
- ⚠視力が急に低下した、視界が急にぼやけた
- ⚠黒目(角膜)が白く濁って見える
- ⚠強い目の痛み、強い充血、光が異常にまぶしい
- ⚠膿のような目やにがたくさん出る、まぶたが腫れて開けにくい
- ⚠発熱を伴う目の痛みや腫れ
一般的な症状
- 目に何かが入っているようなゴロゴロした感じ(異物感)
- 目の乾き、夕方になるとレンズが動いて感じる
- 白目が赤くなる充血
- 見え方がかすむ、レンズがくもる
- まぶたの裏や目やにの増加、かゆみ
- 光がまぶしく感じる
- レンズがはずれやすい、ずれる感じがする
子供の症状
- レンズの装用時間を守れず、つけたまま長時間過ごしてしまう
- 目のかゆみや違和感があっても我慢してしまう、うまく伝えられない
- 外し忘れて寝てしまう
- 学校や部活でケアの時間が取れず、手を洗わずに触ってしまう
- 目をこするくせがある
高齢者の症状
- 年齢とともに涙の量が減り、乾燥感や違和感が出やすくなる
- 老眼が進み、近くが見えにくくなって装用感が変わる
- 手の震えや指先の感覚の変化で、レンズの着脱やケアが難しくなることがある
- 白内障や緑内障などの目の病気の治療と、装用の両立について相談が必要になることがある
原因
主な原因
- 長時間の装用や、1日の装用時間を大きく超えた使い方(目の酸素不足)
- レンズのケア不足(洗浄・消毒をしない、ケースを洗わない、水道水で洗う)
- レンズをつけたまま寝る、プール・海・温泉に入る、シャワーを浴びる
- 使用期限を過ぎたレンズや、傷んだレンズを使い続ける
- 自分の目に合っていないレンズ(フィッティング不良)を使っている
- 目をこする、化粧品や日焼け止めがレンズに付く、ほこりの多い場所での装用
- ドライアイやアレルギーなど、もともとの目の状態
リスク要因
- ドライアイ(涙が不足しがちな状態)がある
- 花粉症やアレルギー性結膜炎がある
- 喫煙習慣がある
- 糖尿病や免疫の働きが低下する病気がある
- まぶたの病気(ものもらいを繰り返すなど)がある
- パソコンやスマートフォンを長時間使う
- コンタクトのケアをつい後回しにしてしまう
- 海外旅行など、水道水の安全性が気になる地域に滞在する
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 目の痛みが強い、または痛みがどんどん増している
- 見え方が急に悪くなった、黒目が白く濁って見える
- レンズがどうしても外れない
- 強い充血、光がまぶしい、膿のような目やにが多い
- まぶたが腫れて目が開けにくい、発熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- 装用中に乾きやゴロゴロ感がよくある
- 夕方になると見えにくくなる、レンズがずれる感じがする
- 新しいレンズに変えたい、スポーツ用のレンズを相談したい
- 定期的な目の検査を受けたい(症状がなくても年に1回ほどが目安です)
- 目薬や化粧品とコンタクトの相性が気になる
診断
眼科では、まず普段の装用時間やケアの方法、使っているレンズの種類などを聞きます。そのうえで、細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう=目の表面を拡大して観察する器械)を使って、黒目の傷や炎症、レンズの汚れなどを丁寧に調べます。多くは外来の診察だけで状態がわかります。
行われる可能性のある検査
- 視力検査(裸眼と、レンズやメガネをつけた状態の見え方)
- 細隙灯顕微鏡(スリットランプ)による目の表面の観察
- 角膜の染色検査(目薬で色をつけて、傷の有無を調べる検査)
- 涙の量や乾き具合を調べる検査
- アレルギーの有無を調べる検査
- レンズの汚れや傷みの確認、ケースの衛生状態の確認
- 症状によっては、目やにの検査や角膜の形を調べる検査
診察で予想されること
検査の多くは痛みがなく、目薬をさす程度で終わります。少ししみる程度のことはありますが、すぐに終わることがほとんどです。その日のうちに状態の説明を受けられることが多く、必要なら装用を中止する期間や通院の目安について案内があります。
治療
まずはコンタクトレンズの装用をいったん中止し、目を休ませることが基本です。そのうえで、目の状態に合わせて治療の方針を決めていきます。多くの場合は通院しながらの治療で改善が期待できます。
自宅でのセルフケア
- 違和感や痛みを感じたら、すぐにレンズを外して装用をやめる
- 治るまではメガネで過ごす
- レンズと保存ケースは決められた方法で清潔に保ち、水道水は使わない
- レンズをつけたまま寝ない、プール・海・温泉・シャワーでは外す
- 目をこすらない、こすりたくなったら冷たいタオルなどで冷やす
- 医師に指示された以外の目薬は使わない(市販の目薬も相談してから)
- 装用を再開する時期は、自己判断せず医師の確認を受ける
医療治療
医師の診察で原因や状態を確認したうえで、点眼薬などによる治療が行われることがあります。あわせて、装用を休む期間や、レンズの種類・フィッティングの見直し、ケア方法の指導が行われます。どのような治療を選ぶかは、目の状態や生活スタイルに合わせて医師が判断します。具体的な薬の種類や使い方については、必ず医師や薬剤師の説明を受けてください。
手術が検討される場合
角膜の傷や感染が重い場合、ごくまれに手術が必要になることがあります。ただし多くの場合は、装用を中止して点眼薬などで治療する方法で対応できます。手術の必要があるかどうかは、眼科の検査結果をもとに医師が判断します。
この病気と共に生きる
コンタクトレンズと上手に付き合うコツは、「決めたルールを守ること」と「違和感を見逃さないこと」です。1日の装用時間を無理に延ばさず、目の乾きや疲れを感じたら早めに外してメガネに切り替えましょう。予備のメガネを用意しておくと、急なトラブルのときにも安心です。
生活習慣のアドバイス
- レンズを触る前には必ず石けんで手を洗い、よく乾かす
- 保存ケースは毎日洗って乾かし、定期的に新しいものに替える
- レンズの使用期限を守り、期限切れのレンズは使わない
- エアコンや暖房で乾燥する季節は、加湿やこまめな休憩を心がける
- 化粧はレンズを入れてから、落とすときはレンズを外してから
- 災害に備えて、予備のメガネとメガネの度数を控えておく
- 症状がなくても定期的に眼科で検査を受ける
食事と運動
コンタクトレンズのために特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と十分な睡眠は、目の乾きや疲れの予防にも役立ちます。運動するときは、汗をかいた手で目を触らないよう気をつけ、プールや海ではレンズを外すか、使い捨てレンズと防水のゴーグルを使うなど、医師や指導者と相談して決めましょう。
精神的健康と心の健康
見えにくさが続いたり、装用できない期間が長くなったりすると、不安やストレスを感じることがあります。特にスポーツや仕事でレンズが欠かせない人にとっては、もどかしさが大きいかもしれません。つらい気持ちが続くときは、一人で抱え込まずに家族や友人、かかりつけの医師に話してみてください。強い不安や落ち込みが続く場合は、地域の相談窓口や医療機関に相談しましょう。命に関わる危険を感じる場合は、迷わず救急(119)を呼んでください。
予防
コンタクトレンズによる目のトラブルの多くは、正しい使い方とケアで予防できます。装用時間を守る、清潔を保つ、定期検査を受ける。この3つを意識するだけでも、リスクは大きく下がります。
ワクチン
コンタクトレンズによる目のトラブルは、ワクチンで予防できる病気ではありません。
検診プログラム
装用を始めるときは必ず眼科で検査を受け、その後も症状がなくても年に1回程度は眼科で目の状態を確認してもらいましょう。見え方の変化や装用感の変化があったときは、その都度相談することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 黒目(角膜)の傷が広がり、痛みや見えにくさが続く
- 角膜の感染症(角膜炎)を起こし、治療に時間がかかることがある
- 角膜が深く傷つく角膜潰瘍になり、視力に影響が残ることがある
- まぶたの裏にぶつぶつができる巨大乳頭結膜炎(アレルギー性の炎症)
- ドライアイの悪化や、慢性的な充血・違和感
- ごくまれに、重い感染症で入院が必要になることがある
長期的な見通し
ほとんどの場合は、早めに装用を中止して適切な治療を受けることで改善します。多少時間がかかっても、通院を続けることで目は少しずつ回復していきます。不安なことがあれば、遠慮なく眼科の医師に質問してください。
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最終更新: 2026年10月23日
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