目のフラッシュ焼け(電気性眼炎・雪眼)
概要
目のフラッシュ焼けは、強い紫外線(UV)を目にたくさん浴びたときに起こる、目の表面のやけどです。角膜(黒目の部分を覆う透明な膜)と結膜(白目の表面を覆う薄い膜)がダメージを受けます。溶接の強い光を直接見たときや、雪山で太陽の光が反射したとき(雪眼)によく起こります。症状はすぐには出ず、数時間してから痛みが出てくることが多いですが、多くは1〜3日で自然に治ります。
重要な事実
- 原因は紫外線です。溶接のアーク光、紫外線殺菌灯、雪山や水面の反射光などで起こります。
- 症状は6〜12時間ほどたってから出ることが多く、夜中に痛みで目が覚めることもあります。
- 多くは1〜3日で自然に治りますが、角膜に傷や感染が起きていないか確認が必要なこともあります。
めずらしい病気ではありません。溶接をする仕事の人、冬の雪山やスキーを楽しむ人、紫外線殺菌灯を使う環境の人によくみられます。
職場で溶接をする人やその近くで作業する人、スキー・スノーボード・山登りをする人、日食を肉眼で見た人、家庭用・業務用の紫外線殺菌灯を使う人など、子どもから高齢者まで誰にでも起こります。
症状
- 目に化学薬品(洗剤や薬品など)が入り、すぐに水で洗っても痛みが強いとき
- 目に物が刺さっている、突き刺さったような傷があるとき
- 急に視力がほとんど見えなくなったとき
- 目のけがで出血が止まらない、顔色が悪いなど全身の状態が悪いとき
- ⚠12時間以上たっても痛みが強くなる一方のとき
- ⚠黄色や緑色の膿のような目やにが出る、発熱があるとき
- ⚠コンタクトレンズをつけたまま症状が出たとき
- ⚠視力が戻らず、ぼやけが続くとき
- ⚠片目だけに症状が出たとき(フラッシュ焼けは通常は両目に起こります)
一般的な症状
- 目がゴロゴロする、砂が入ったような異物感
- 目が強く痛む、しみる
- 涙が止まらずに出る
- 光がまぶしくて目を開けていられない(羞明:光をまぶしく感じること)
- 白目が赤くなる、まぶたが腫れる
- まぶたがピクピクする、けいれんする
- 見え方が少しぼやける
- 頭痛や、目の周りが重く痛い感じ
子供の症状
- 子どもは症状をうまく説明できないことがあります。急に目をこする、泣き続ける、光を嫌がって顔を伏せる、目を開けたがらない、まぶたが腫れているなどに気をつけてください。
- スキー場や雪遊びのあと、殺菌灯のある部屋にいたあとに症状が出ることがあります。
高齢者の症状
- 高齢の方は痛みを感じにくかったり、もともとの目の病気(ドライアイや白内障の手術後など)が重なったりして、症状が強く出ることがあります。
- コンタクトレンズを使っている方は特に注意が必要です。糖尿病などで傷の治りが気になる場合は早めに受診しましょう。
原因
主な原因
- アーク溶接や金属の溶接の強い光(紫外線)を直接見る、近くで浴びる
- 紫外線殺菌灯(殺菌ランプ)の光を浴びる
- 雪山・スキー場・氷河など、雪面からの紫外線の反射(雪眼)
- 海や砂浜、水面からの反射光
- 日焼け用ランプ(タンニングマシン)やハロゲンランプ、紫外線硬化装置の光
- 太陽を直接見る(日食を肉眼で見るなど)
- 標高の高い場所での強い紫外線
リスク要因
- 溶接や建設、工場などの仕事に従事している
- スキー・スノーボード・登山など雪山に出かける
- 紫外線殺菌灯を家庭や職場で使っている
- サングラスやゴーグル、遮光面を着けない
- コンタクトレンズを装用している(症状が強くなりやすい)
- ドライアイや目の手術の経験がある
- 紫外線に敏感な体質、日焼けしやすい体質
- 一部の薬で紫外線に敏感になることがある(担当医や薬剤師に相談してください)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 目の痛みが強く、目を開けていられない
- 視力が急に落ちた、ものが二重に見える
- 化学薬品が目に入った、目に物が刺さった
- コンタクトレンズを装用中に痛みが出た
- 膿のような目やにや発熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- 症状が軽いのに2〜3日以上続く
- 同じ症状を何度も繰り返す
- 片目だけに症状が出た
- 仕事や生活に支障が出ている
診断
医師(多くは眼科)が、何をしていたか(溶接、スキー、殺菌灯など)を聞き、目を詳しく調べます。痛みが強い時期は、検査の前に目を少し楽にする処置をすることがあります。
行われる可能性のある検査
- 視力検査
- 細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ:目を拡大して見る機械)で角膜の傷を確認
- 色のつく目薬を使って、角膜の傷の場所と広がりを調べる検査
- 必要に応じて眼圧検査や眼底検査
診察で予想されること
検査は数分で終わり、痛みもほとんどありません。診断がついたら、多くは自宅で安静にしながら治るのを待ちます。どのくらいで良くなるか、どんなときに再受診するかを医師に確認しておくと安心です。
治療
目のフラッシュ焼けは、多くの場合、時間とともに自然に治ります。治療の中心は、目を休めて安静にし、痛みや感染を防ぐことです。症状が強いときや角膜に傷があるときは、医師の判断で処方や保護が行われます。
自宅でのセルフケア
- 目をこすらない(角膜を傷つけるもとになります)
- コンタクトレンズを外し、治るまで使わない
- 暗めの部屋で休み、サングラスや帽子で光を遮る
- 清潔な冷たいタオルをまぶたの上に当てると楽になることがあります(目を直接冷やしすぎない)
- 十分な睡眠をとる
- 画面やスマートフォンの見すぎを控える
- 運転や危険を伴う作業は、症状が消えるまで控える
- 症状が強くなる、良くならないときは早めに受診する
医療治療
医師はまず角膜の状態を確認し、必要に応じて痛みをやわらげる目薬や、感染を防ぐための処方を行うことがあります。症状が強いときは、目を保護するために眼帯のようなものを使うこともあります。いずれも医師の判断によるものです。自己判断で市販薬を長く使うのは避け、薬剤師や医師に相談してください。
手術が検討される場合
通常、手術は必要ありません。角膜に深い傷が残った場合や感染が起きた場合など、まれなケースでは眼科の専門的な処置が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
症状が出てから1〜2日は、光がまぶしく、目がゴロゴロして集中しにくいことがあります。仕事や家事は無理をせず、家族に助けてもらいながら、暗めの部屋でゆっくり過ごしましょう。症状は少しずつ軽くなっていくのがふつうです。
生活習慣のアドバイス
- 屋外では紫外線カットのサングラスや帽子を使う
- 溶接をするときは遮光面を必ず使う
- 殺菌灯をつけている間は部屋にいない、直接見ない
- 雪山や水辺ではゴーグルを着ける
- 目が乾きやすい人は、こまめにまばたきや休憩をとる
- 症状が治まったあとも、しばらくは強い紫外線を避ける
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事、水分補給、十分な睡眠が回復を助けます。運動は症状が落ち着いてから再開し、屋外では紫外線対策をしましょう。
精神的健康と心の健康
急な目の痛みや見えにくさは、不安や恐怖を感じるものです。「このまま見えなくなったらどうしよう」と心配になるのも自然なことです。多くは数日で良くなる一時的なものなので、医師の説明を聞いて、必要以上に調べすぎないようにしましょう。不安が強いときや眠れないときは、医療機関や地域の相談窓口に話してみてください。つらい気持ちが続くときは、一人で抱え込まず、身近な人や専門家に相談してください。
予防
はい、ほとんど防ぐことができます。原因は紫外線なので、光を遮ることがもっとも効果的です。厚生労働省も、紫外線対策として帽子やサングラスの使用を勧めています。
ワクチン
該当するワクチンはありません。
検診プログラム
特別なスクリーニング検査はありませんが、紫外線をよく浴びる仕事をしている場合や症状を繰り返す場合は、定期的に眼科で目の検査を受けると安心です。
合併症
治療しない場合
- 角膜に傷がつき、細菌による感染を起こすことがある(特にコンタクトレンズを使っている人)
- 痛みが長引いたり、治りが遅くなったりする
- まれに角膜に濁りが残り、見え方に影響することがある
- 繰り返すと、目が紫外線に敏感になることがある
長期的な見通し
ほとんどの人は1〜3日で自然に治り、視力も元通りになります。再発を防ぐコツを覚えておけば、安心して日常生活を続けられます。
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最終更新: 2026年10月23日
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