顔のインプラント(あご・頬・えらの形を変える手術)
概要
顔のインプラントとは、あごや頬、えらの骨の形を整えるために、シリコーンや医療用の樹脂などでできた「型(インプラント)」を皮膚の下、骨の表面に置く手術のことです。美容目的で顔の輪郭を変えたいときに行われることが多く、けがや生まれつきの左右差を整えるために行われることもあります。病気を治す治療ではなく、希望によって受ける「選択肢のひとつ」の手術です。
重要な事実
- 顔のインプラントは、病気を治すためではなく、顔の輪郭を変えたい人が自分で選んで受ける手術です。
- 手術を受けるかどうかは、十分な説明を受けたうえで、自分自身が納得して決めることが大切です。
- 入れたインプラントは、多くの場合もう一度手術をすれば取り出すことができますが、新しい手術が必要になります。
日本では、顔のインプラント手術を受ける人はそれほど多くありません。美容整形の中でも、脂肪注入やヒアルロン酸などの注射による方法を選ぶ人が多い傾向があります。海外では比較的行われる地域もあります。
主に成人で、あごが引っ込んで見える、頬がこけて見える、顔の左右差が気になるなど、輪郭に悩みを持つ人が検討します。成長期の子どもには通常行われません。高齢の方は、皮膚が薄くなっていたり、持病の薬(血液を固まりにくくする薬など)を使っていたりするため、事前の確認が特に大切です。
症状
- 手術後に息がしにくい、のどが腫れて飲み込めない(気道が狭くなっている可能性)
- 顔や首の腫れが急に広がり、痛みが強い
- 高熱とともに顔の赤み・腫れが急速に広がる
- 止まらない出血が続く
- 意識がもうろうとする、会話がかみ合わない
- ⚠傷口から膿(うみ)のようなものが出る
- ⚠傷口が開いてきた
- ⚠赤み・熱感・腫れが日ごとに強くなる
- ⚠急に顔の動きが左右で違う、まぶたが閉じにくい
- ⚠顔の広い範囲のしびれが続く、または強くなる
一般的な症状
- あごが小さい、引っ込んで見えると感じる
- 頬がこけている、逆に頬が張って見えると感じる
- 顔の左右のバランスが気になる
- 写真や鏡を見るたびに輪郭が気になってしまう
- 手術後しばらくは、腫れ・内出血・違和感・しびれが出ることがある
子供の症状
- 成長期の子どもでは、あごや顔の骨がまだ発育途中のため、通常はインプラント手術を行いません
- 子どもの輪郭の悩みは、まず小児科や歯科・矯正歯科で発育の相談をすることが勧められます
高齢者の症状
- 皮膚が薄くなり、インプラントの縁が目立ちやすくなることがあります
- 傷の治りがゆっくりになることがあります
- 血圧や糖尿病などの持病、服用中の薬が手術に影響することがあります
原因
主な原因
- 生まれつきの顔の骨の形や左右差
- けがや事故のあとの輪郭の変化
- 以前に受けた手術の結果を修正したいという希望
- 美容上の希望(あごを前に見せたい、頬のふくらみを出したいなど)
リスク要因
- 喫煙(傷の治りが悪くなります)
- 糖尿病や免疫の病気など、治りに影響する持病がある
- 血液が固まりにくくなる薬を服用している
- ケロイド(傷あとが盛り上がりやすい体質)になりやすい
- 手術の結果に対する期待がとても高い、または繰り返し手術を希望している
- 自分の見た目へのこだわりが強く、日常生活に支障が出ている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手術後に息苦しさ、飲み込みにくさがある
- 傷口から膿が出る、赤みや腫れが急速に広がる
- 38度以上の熱が続く
- 顔の動きが急に左右で違う、感覚が大きく変わった
定期受診を予約すべき場合:
- 顔の輪郭の悩みについて相談したいとき(形成外科や美容外科の専門医に相談できます)
- 手術を受けるかどうか迷っているとき
- 手術後の腫れやしびれが長引いているとき
- 入れたい、または取り出したいと考えているとき
診断
顔のインプラントは「診断して治療する病気」ではなく、希望に基づく手術です。そのため、まず医師との面談(カウンセリング)で、悩みや希望、これまでの治療歴、持病、服用中の薬、喫煙などを丁寧に確認します。そのうえで、顔の骨の形や噛み合わせを調べ、手術が適切かどうかを一緒に考えます。
行われる可能性のある検査
- 問診(悩み、希望、治療歴、持病、薬、喫煙、アレルギー)
- 顔の写真撮影と顔の計測
- レントゲンやCTなどによる骨の形と噛み合わせの確認
- 歯科・矯正歯科での噛み合わせの評価(あごの手術を考える場合)
- 血液検査(手術前の安全確認のため)
診察で予想されること
カウンセリングでは、手術の方法のほか、手術をしない選択肢、注射による方法、脂肪を移植する方法なども含めて説明を受けられます。リスクや回復までの期間、費用、やり直しの可能性についても、遠慮なく質問してください。納得できないまま契約したり、その日のうちに手術を決めたりする必要はありません。
治療
顔の輪郭を変える方法は、手術だけではありません。何もしないで受け入れる、メイクや写真の工夫で気にならなくする、注射や脂肪移植などの侵襲の少ない方法、骨を削ったり動かしたりする手術など、いくつかの選択肢があります。それぞれに長所と短所があり、目的や体の状態によって向き不向きがあります。
自宅でのセルフケア
- 手术前は禁煙をし、十分な睡眠と栄養をとって体調を整える
- 服用中の薬やサプリメントは、自己判断で中止せず、必ず医師に伝える
- 手术后は医師の指示どおりに冷やす・安静にする・傷口を清潔に保つ
- 腫れが引くまで、顔を強く押さえる行為や激しい運動、飲酒は控える
- 手術後しばらくは、やわらかい食事をとり、硬いものを噛むのを控える
- 紫外線を避け、傷あとに日焼け止めを使う
医療治療
手術以外の方法として、ヒアルロン酸などの注入、自分の脂肪を移植する方法、糸で引き上げる方法などがあります。いずれも効果が続く期間やリスクが異なります。手術では、全身麻酔または局所麻酔を使って、口の中や皮膚のしわに沿って切開し、あらかじめ形を整えたインプラントを骨の表面に置きます。手術後に抗生物質や痛み止めが使われることがありますが、内容は施設や状態によって異なるため、担当医の説明に従ってください。
手術が検討される場合
手術を考えるのは、十分な説明を受けてリスクを理解し、他の方法も比べたうえで、自分自身が納得したときです。急いで決める必要はありません。持病のコントロールができていない、喫煙をやめられない、期望が現実的でない、体調や心の状態が安定していないといった場合は、手術を急がず、まずそちらを整えることが勧められます。
この病気と共に生きる
手術後は数日から数週間、腫れや内出血、違和感、しびれが続くことが多く、ほとんどの場合は時間とともに落ち着きます。仕事や学校は、腫れが落ち着くまで数日から1週間ほど休む人が多いです。運動や飲酒は、医師の許可が出るまで控えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙は、傷の治りを良くするためにとても大切です
- 十分な睡眠とバランスのよい食事で、体の回復を助ける
- 顔をぶつけないように気をつけ、就寝時はうつぶせを避ける
- 傷あとは紫外線を避け、保湿と日焼け対策を続ける
- 定期的な診察を受け、気になる変化は早めに相談する
食事と運動
手術直後は、スープやおかゆ、やわらかい野菜など、噛む力が少なくてすむ食事が食べやすいです。塩分の多い食事は腫れを強く感じることがあるので、ほどほどにしましょう。運動は、腫れや出血の落ち着くまで控え、許可が出たらウォーキングなど軽いものから少しずつ再開します。
精神的健康と心の健康
顔の形は、気持ちや自信と深く結びついています。手術後は「思っていたのと違う」と感じたり、一時的に落ち込んだりすることがあります。これは珍しいことではありません。時間とともに慣れることも多いですが、つらさが続くときは、一人で抱えずに担当医や心の専門家に話してください。
予防
顔のインプラントは病気ではなく、自分で選ぶ手術なので「予防する」という考え方は当てはまりません。ただし、手術後の合併症の多くは、十分な説明を受けること、信頼できる施設と専門医を選ぶこと、禁煙や持病のコントロールをすることである程度減らせます。
検診プログラム
手術前の診察と検査(血液検査、必要に応じて画像検査)が、安全のための「スクリーニング」にあたります。持病や服用中の薬、アレルギー、以前の手術歴は、すべて正直に伝えてください。
合併症
治療しない場合
- ここでの「治療しない場合」とは、手術を受けないことを指します。手術を受けなければ、輪郭の悩みはそのまま残りますが、健康への害はありません
- 手術を受けた場合の合併症として、感染、出血、腫れの長引き、傷あとの目立ち
- インプラントのずれ、縁が皮膚から見える・出てくる、左右差
- 神経の損傷によるしびれや、表情の動きの変化
- 思った仕上がりにならず、もう一度手術が必要になることがある
長期的な見通し
多くの人は手術後に落ち着いた経過をたどります。合併症が起きても、治療や再手術で対応できることが多く、インプラントは取り出すことも可能です。急いで決める必要はありません。納得いくまで相談し、自分に合った選択をすることが、満足につながります。
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最終更新: 2026年10月23日
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