輸血後の発熱(非溶血性発熱性輸血反応)
概要
非溶血性発熱性輸血反応(ひようけつせいはつねつせいゆけつはんのう)は、輸血を受けたときや受けた後4時間以内に、発熱や悪寒(さむけ)が起こる反応です。「非溶血性」は、赤血球が壊れる「溶血」が原因ではないという意味です。輸血の副作用としてよく見られますが、多くは軽く、自然に治まります。ただし、もっと重い輸血反応と見分ける必要があるため、症状が出たら必ず医療者に伝えてください。
重要な事実
- 輸血中や輸血後4時間以内に発熱や悪寒が起こる反応です。
- 赤血球が壊れる溶血性反応ではありません。
- 多くは軽く、数時間から1日でおさまりますが、重い反応との見分けが必要です。
輸血を受ける人の数%に起こる、よくある反応です。日本では白血球を除去した血液製剤が広く使われ、以前より少なくなっています。
輸血を受ける人なら誰でも起こりえます。何度も輸血を受けた人、過去に輸血反応があった人、妊娠経験のある人にやや多いです。
症状
- 息が苦しい、ゼーゼーする
- 顔やのどが腫れる
- 血圧が下がる、意識がもうろうとする
- 茶色や赤い尿、腰や背中の強い痛み
- 胸痛、けいれん
- ⚠輸血後38℃以上の発熱
- ⚠悪寒・ふるえ
- ⚠発疹(ほっしん)
- ⚠吐き気・嘔吐
- ⚠強い倦怠感
一般的な症状
- 輸血中または輸血後4時間以内の38℃以上の発熱
- 悪寒(さむけ)やふるえ
- 倦怠感(けんたいかん)
子供の症状
- 不機嫌、泣き止まない
- 哺乳(ほにゅう)不良
- ふるえ(小さい子ではわかりにくいことがあります)
高齢者の症状
- 熱が高くないことがある
- 元気がない、食欲低下
- 転倒しやすくなる
原因
主な原因
- 血液製剤の中にたまるサイトカインという物質
- 白血球や血小板に対する抗体(免疫の働き)
- 輸血された血液と体の免疫の反応
リスク要因
- 輸血の回数が多い
- 過去に輸血反応があった
- 妊娠の経験がある(抗体ができることがある)
- 血小板輸血を受ける
- 長く保存された血液製剤
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 輸血中や直後に発熱、悪寒、息苦しさ、発疹、尿の色の変化があったら、すぐに輸血しているスタッフに伝えてください。
- 自宅で症状が出たら、医療機関に連絡するか119番をしてください。
定期受診を予約すべき場合:
- 輸血後数日以内の軽い発熱やだるさ、輸血部位の痛みは、かかりつけ医に相談してください。
診断
症状と輸血のタイミングから疑います。まず、赤血球が壊れる溶血性反応や感染症など、より重い原因ではないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 体温・血圧などのバイタルサイン
- 血算(血液の細胞を数える検査)
- ビリルビンやハプトグロビン(溶血の指標)
- 直接クームス試験(赤血球についた抗体を調べる)
- 交差適合試験の見直し(輸血の適合を確認)
- 尿検査(尿の色や溶血の有無)
- 必要に応じて血液培養(感染症の確認)
診察で予想されること
輸血を止めて点滴を確保し、バイタルサインを測りながら検査結果を待ちます。症状が軽ければ、そのまま回復することが多いです。
治療
治療の中心は、輸血を中止して体調を観察することです。多くはそれだけで改善します。重い反応ではないことを確認しながら、必要に応じて症状を和らげます。
自宅でのセルフケア
- 輸血後は安静にして水分をとる
- 発熱、悪寒、息苦しさ、発疹があればすぐ医療者に伝える
- 輸血を受けた日時と製剤の種類をメモしておく
- 帰宅後も体調の変化に注意し、予定より早く体調が悪くなれば連絡する
医療治療
輸血を中止し、点滴で水分と電解質を補います。医師の判断で、発熱やかゆみなどを和らげる薬を使うことがあります。重い反応が疑われる場合は、より注意深い監視や追加の治療を行います。
手術が検討される場合
輸血反応に対する手術はありません。
この病気と共に生きる
輸血を受けた日は無理をせず、体調の変化に注意しましょう。輸血を受けたことを、別の医療機関にかかるときも伝えてください。
生活習慣のアドバイス
- 輸血直後は激しい運動や飲酒を控え、休息をとる
- 発熱やだるさが続くときは仕事や学校を休む
- 水分をこまめにとる
- 輸血の既往を健康手帳などに記録する
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と、体調が戻ってからの軽い運動を心がけます。輸血後は医師の指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
輸血は命を支える治療ですが、不安や緊張を感じる人もいます。反応が出ると心配になるかもしれませんが、多くは軽く、医療者が対応します。不安は遠慮なく話してください。
予防
白血球を除去した血液製剤を使うことで、発熱性の反応を減らせます。日本では広く行われています。過去の輸血反応を医師に伝えることも大切です。
ワクチン
この反応を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
特別な事前スクリーニング検査はありません。輸血前の問診で、以前の輸血や反応の有無を確認します。
合併症
治療しない場合
- 多くは自然に改善しますが、脱水や強い不快感が続くことがあります。
- 重い溶血性反応や感染症を見逃すと危険なため、症状を伝えないで放置しないことが大切です。
- 不安や疲労が強まることがあります。
長期的な見通し
ほとんどの人は数時間から1日で回復し、後遺症はありません。症状を早めに伝えれば、安全に対応できます。心配しすぎず、でも注意して過ごしてください。
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最終更新: 2026年11月3日
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