ふらつく・めまいがする…そのとき、まずすること
概要
「ふらつく」「くらくらする」「めまいがする」は、体のバランスを保つ仕組みが一時的にうまく働かなくなったときに起こる感覚です。大きく分けると、立ち上がったときに目の前が暗くなる「立ちくらみ」、ぐるぐる回るように感じる「回転性のめまい」、足もとがふわふわして地面が頼りない「浮遊感」があります。多くは心配のいらないものですが、ときには体からの大切なサインのこともあります。まずは安全な姿勢をとることが第一歩です。
重要な事実
- ふらつき・めまいは、外来でよく相談される症状のひとつで、多くの人に一度は起こります。
- まず大事なのは、倒れてけがをしないこと。その場で座るか横になり、頭を低くしましょう。
- 水分不足、寝不足、長時間の立ちっぱなし、急に立ち上がることなど、日常のちょっとしたことが原因になることがあります。
- 言葉が出にくい、手足の片側が動かない、などの症状を伴うときは、ためらわず救急要請(119)を考えてください。
とてもよくある症状です。外来を受診する人の多い理由のひとつで、年齢を問わず起こります。多くは数秒から数分で落ち着きますが、繰り返す場合や長引く場合は、原因を調べることが大切です。
誰にでも起こります。特に、高齢の方、夏场や入浴後など脱水になりやすいとき、長時間立つ仕事や部活をしている方、急に立ち上がる習慣のある方、睡眠不足や食事を抜きがちな方に多くみられます。妊娠中や、血圧・血糖に影響する治療を受けている方も注意が必要です。
症状
- 突然の激しい頭痛、または今までにない強い頭痛
- ろれつが回らない、言葉が出てこない、人の言うことが理解しにくい
- 顔の片側がゆがむ、手足の片側が動かない・しびれる
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応が弱い、けいれんがある
- 胸の痛み、強い息苦しさ、動悸が止まらない
- 倒れて頭を強く打った、出血が止まらない
- ⚠めまいが何度も繰り返し、歩くのが難しい
- ⚠耳が聞こえにくくなった、耳鳴りが急に強くなった
- ⚠嘔吐が続き、水分がとれない
- ⚠発熱や強い耳の痛みを伴う
- ⚠安静にしても改善せず、症状がだんだん悪くなっている
一般的な症状
- 立ち上がったときに目の前が暗くなる、くらっとする
- 頭や体がぐるぐる回るように感じる
- 足もとがふわふわして、まっすぐ歩きにくい
- 気持ちが悪い、冷や汗が出る
- 耳鳴りや耳の詰まった感じを伴うことがある
- 一時的に集中しにくい、ぼんやりする
子供の症状
- 「めまい」と上手に言えず、ぐったりする、元気がない、顔色が悪いといった形で表れることがあります
- 下痢・嘔吐・発熱などで水分が足りなくなり、ふらつくことがあります
- 思春期には、起き上がると調子が悪くなるタイプのもの(起立性調節障害)がみられることがあります
- 朝に起きられない、学校で立てない、といった様子が続くときは相談してください
高齢者の症状
- 加齢により、血圧を調整する力や平衡感覚が弱くなり、ふらつきやすくなります
- 持病の薬の影響でふらつくことがあります。自己判断で中止せず、まず相談を
- 転倒して骨折する危険があります。手すりや杖の活用が大切です
- 不整脈や脳の血管の病気など、見逃せない原因が隠れていることもあります
原因
主な原因
- 立ちくらみ(起立性低血圧):立ち上がったとき、血圧の調整が追いつかないことで起こります
- 脱水・暑さ・入浴:汗で水分が失われると、血液の流れが不安定になります
- 疲れ・睡眠不足・食事を抜くこと・長時間の立ちっぱなし
- 耳の奥の平衡感覚の異常(良性発作性頭位めまい症など、頭の位置を変えたときに起こるもの)
- かぜや耳の感染、片頭痛に伴うもの
- 貧血、血糖が下がったとき
- 薬の影響(血圧を下げる薬、利尿薬など)
- 強い不安やストレス、過呼吸(息が速く浅くなる状態)
- 不整脈や脳の血管の病気など、医療機関での評価が必要なもの
リスク要因
- 高齢であること
- 暑い季節、発熱、下痢・嘔吐などで水分が失われやすい状況
- 長時間立つ仕事・部活、急に立ち上がる習慣
- 睡眠不足、朝食抜き、飲酒
- 血圧や血糖に影響する薬を服用している
- 貧血、片頭痛、糖尿病などの既往がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 救急の症状(意識がもうろう、片側の麻痺、言葉が出ない、激しい頭痛など)がある
- 転倒してけがをした、頭を打った
- 水分がとれず、嘔吐が続いている
- 症状が強くなり続けている、歩けない
定期受診を予約すべき場合:
- ふらつきやめまいを何度も繰り返す
- 数分以上続く、または日常生活に支障が出ている
- 耳の聞こえにくさや耳鳴りを伴う
- 薬を飲み始めてから調子が変わった気がする
- 高齢で転倒が心配、との不安がある
診断
診断は、まずお話をうかがうことから始まります。「回る感じか、ふわふわする感じか」「いつ、どんなときに起こるか」「どれくらい続くか」「薬や持病はあるか」を整理すると、原因の見当がつきやすくなります。そのうえで血圧や脈を測り、必要に応じて検査を組み合わせます。
行われる可能性のある検査
- 血圧測定(座ったときと立ったときの変化を見ることがあります)
- 脈拍・心電図の確認
- 血液検査(貧血、血糖、脱水の程度など)
- 耳鼻咽喉科での平衡機能の検査
- 必要に応じて画像検査(頭部のCT・MRIなど)
- 服用中の薬の確認と見直し
診察で予想されること
診察は短時間で終わることも多く、その場で原因がはっきりしないこともあります。症状の出た状況をメモしておくと役立ちます。検査の結果、はっきりした原因が見つからない場合もありますが、その場合も生活の工夫で症状を減らせることは多くあります。
治療
まずは安全を確保し、そのうえで原因に合わせた対応をします。多くは、水分や休息、生活の調整で改善します。原因によっては専門の診療科(耳鼻咽喉科、循環器内科、神経内科など)と相談しながら進めます。
自宅でのセルフケア
- ふらついたら、その場で座るか横になり、頭を低くする。壁や椅子につかまる
- 首を急に動かさず、ゆっくりとした動作を心がける
- 水分を少量ずつこまめにとる。汗をかいたときは特に意識する
- 立ち上がるときは、一度座ってからゆっくり立つ
- 締めつけの強い服装やベルトをゆるめる
- その場を離れるときは、誰かに一声かける。車の運転は控える
- 症状が落ち着くまで、暑い場所や入浴を避け、安静にする
医療治療
治療は原因によって変わります。脱水や血圧の不安定さには、水分や生活リズムの調整、場合によっては薬の見直しを行います。耳の奥の平衡感覚が原因のめまいには、頭の位置を動かすリハビリや理学療法が行われることがあります。貧血や血糖、不整脈などが背景にある場合は、それぞれの状態に応じた治療を専門医と相談します。具体的な薬の名前や量は、症状や持病によって異なるため、必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
多くの場合、手術は必要ありません。原因によっては専門医が手技や治療の選択肢を検討することがありますが、その必要性や方法は個別の状況によって大きく異なります。主治医とよく相談してください。
この病気と共に生きる
症状は、疲れているときや朝、急に動いたときに出やすいものです。出やすい場面を把握しておき、その場面では動作をゆっくりにする、近くに座れる場所を確保するなどの工夫が助けになります。症状の記録をつけておくと、受診のときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を十分にとり、食事を抜かない
- こまめな水分補給と、暑さを避ける工夫
- 急な動作を避け、ゆっくり立ち上がる習慣をつける
- 飲酒はほどほどに
- 家の中の段差や滑りやすい場所を確認し、手すりや夜間の照明を整える
- 気になる薬の影響は、自己判断でやめずに医師・薬剤師に相談する
食事と運動
バランスのよい食事で、水分と塩分を適度にとることが基本です。朝食を抜くと午前中にふらつきやすくなることがあります。運動は、無理のない範囲で歩くことや、ふくらはぎを動かす軽いストレッチが血流の助けになります。急に激しい運動を始めるのではなく、体調のよい日から少しずつ続けましょう。
精神的健康と心の健康
ふらつきが続くと「また出るかもしれない」という不安が強くなり、外出を控えたくなることもあります。不安やストレスそのものが体の調子に影響することもあります。つらい気持ちが続くときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の相談窓口に話してみてください。気持ちがとてもつらいときは、ためらわず医療機関や緊急の相談先に連絡してください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、水分・睡眠・食事のリズムを整え、急な動作を避けることで、起こる回数を減らせる可能性があります。家の中の転倒予防も大切な対策です。
検診プログラム
健康診断で血圧・血糖・貧血などを確認しておくと、背景にある状態に早く気づけることがあります。気になる症状があるときは、次の健診を待たずに相談してください。
合併症
治療しない場合
- 転倒してけがをしたり、骨折したりする危険
- 運転中や階段での事故
- 脱水や体調不良の悪化
- 背景にある病気に気づくのが遅れる
- 外出を控えることで体力や気分が低下する
長期的な見通し
多くは心配のいらない症状で、休息や生活の工夫で落ち着きます。原因がはっきりしない場合でも、工夫で症状を減らせることは少なくありません。気になる症状が続くときは、早めに相談することが安心への近道です。
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最終更新: 2026年10月23日
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