発熱(熱が出たとき)
概要
発熱とは、体の温度がふだんより高くなった状態のことです。目安として37.5℃以上、あるいは平熱より1℃以上高い場合を「発熱」と呼ぶことが多いです。熱そのものは病気ではなく、体が細菌やウイルス(病原体)と戦うときに出る、体の防御反応のひとつです。だから熱があること自体が悪いことではなく、原因を見つけてあげることが大切です。
重要な事実
- 発熱は病気そのものではなく、体が感染などと戦っているサインです。
- 多くの発熱は数日で自然によくなりますが、原因によって対応が変わります。
- 水分がとれない、意識がぼんやりする、呼吸が苦しいといったときは、すぐに医療機関にかかってください。
発熱はとてもよくある症状です。大人も子どもも、年に何度か経験します。ほとんどはかぜなどの感染症によるもので、安静と水分補給で回復していきます。
年齢を問わず誰にでも起こります。特に子どもは熱が出やすく、高熱になることもあります。高齢者の方は、感染しても熱が上がりにくく、代わりに元気がない・食欲がないといった形で現れることがあるので注意が必要です。
症状
- 意識がない、または呼びかけても反応が弱い
- 呼吸が苦しい、息が荒い、唇が青っぽい
- けいれんが5分以上続く、または繰り返し起こる
- 首が硬くて前に曲げにくい、光がまぶしくて目を開けられない
- 皮膚に紫色や赤い点状のあざが出る、押しても色が消えない
- ぐったりして動かない、刺激しても反応が乏しい
- 生後6か月未満の赤ちゃんが38℃以上の熱を出した
- 事故やけがのあとに発熱した
- ⚠39℃以上の熱が続き、つらくて水分もとれない
- ⚠水分を受けつけず、おしっこが半日以上出ない
- ⚠3日以上熱が続く、またはいったん下がってまた上がる
- ⚠妊娠中、または免疫を下げる治療を受けている方の発熱
- ⚠海外から帰国後まもなくの発熱
- ⚠高齢者や小さな子どもの発熱で、いつもと様子が違う
一般的な症状
- 体が熱い、顔がほてる
- 悪寒(さむけ)や震え、鳥肌が立つ
- 汗をかく
- 体のだるさ、動くのがつらい
- のどや関節、筋肉の痛み
- 食欲がない
- 脈が速くなる、呼吸が少し速くなる
子供の症状
- ぐったりして元気がない、遊ばない
- 不機嫌で泣き止まない、抱っこしても落ち着かない
- 母乳やミルク、水分を飲みたがらない
- おしっこの量が減る、口の中や皮膚が乾いている
- 熱性けいれん(熱が上がるときに手足がぴくぴくする、体が硬直する)
- 呼びかけても反応が弱い、視線が合わない
高齢者の症状
- 熱が高くならないのに、いつもより元気がない
- 食欲が落ちる、水分をとらない
- 意識がぼんやりする、話がかみ合わない
- 転びやすくなる、立ち上がれない
- 尿の量が減る、口が渇くなど脱水のサイン
- 普段と比べて「なんとなく様子がおかしい」と感じる
原因
主な原因
- ウイルスによる感染(かぜ、インフルエンザなどの呼吸器感染、胃腸炎など)
- 細菌による感染(のどの細菌感染、肺炎、尿路感染など)
- 体のどこかでの炎症(関節の炎症など)
- 暑さによる体調不良(熱中症)
- 予防接種のあとの一時的な発熱
- 薬の影響で熱が出ることもある
- まれに、腫瘍や免疫の病気などが原因になることもある
リスク要因
- 小さな子ども、特に集団生活を始めたばかりの時期
- 高齢であること、体力や免疫が低下していること
- 免疫を下げる治療を受けている、または免疫の病気がある
- 睡眠不足や疲れ、栄養不足で体力が落ちている
- 人混みや換気の悪い場所での生活
- 暑い環境での長時間の活動
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識がぼんやりする、反応がにぶい
- 呼吸が苦しい、顔色が悪い
- けいれんが長引く、または繰り返す
- 水分がとれず、おしっこが極端に少ない
- 生後6か月未満の赤ちゃんの発熱
- 妊娠中の発熱、または重い持病のある方の発熱
定期受診を予約すべき場合:
- 熱が3日以上続く
- 熱は下がったのに、また上がってきた
- 熱以外に気になる症状がある(せきが強い、耳が痛い、尿のとき痛い、発疹が出たなど)
- 子どもで、熱はあっても元気だが食欲が戻らない
- 高齢者で、熱は低いのに元気がない日が続く
診断
まず問診で、いつから熱があるか、ほかにどんな症状があるか、海外渡航や周りの人の発病情報などを聞きます。そのうえで体温を測り、のどや胸の音、おなか、皮膚の状態などを診察します。多くの場合はこれだけで方針が立ちますが、原因をはっきりさせたいときに検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 体温測定と全身の診察
- 血液検査(炎症の程度や体の状態を見る)
- 尿検査(尿路感染などを見つける)
- 鼻やのどをぬぐう迅速検査(ウイルス感染の確認)
- 胸部のレントゲンや超音波などの画像検査
- 必要に応じてたんや血液の培養検査
診察で予想されること
診察は数分から十数分で終わることが多く、痛みはほとんどありません。検査は、その場で結果が出るものもあれば、数日かかるものもあります。原因がすぐに分からないこともありますが、その場合は症状に合わせたケアをしながら経過を見ていきます。
治療
発熱への対応は「熱を下げること」が目的ではなく、つらさを和らげながら、体が原因と戦えるよう助けることです。多くは安静と水分補給で回復します。原因が細菌感染などと分かった場合は、医師の判断でそれに合った治療が行われます。
自宅でのセルフケア
- こまめに水分をとる(水、湯ざまし、薄めたスポーツドリンク、スープなど)
- できるだけ安静にして眠る
- 暑くしすぎず、薄着にして布団は掛けすぎない
- 室温を心地よく保ち、空気が乾きすぎないようにする
- 脇の下や首の周りを冷たいタオルで拭くと楽になることがある
- 食べられる範囲で、消化のよいものを少しずつ
- 入浴は体力を消耗するので、熱が高いときはシャワー程度にするか見合わせる
医療治療
医療機関では、まず原因を探し、それに応じた治療が行われます。細菌による感染が疑われる場合は、医師の判断で抗菌薬が使われることがあります。つらさを和らげるための薬が処方されることもありますが、どの薬をどう使うかは年齢や持病、妊娠の有無などによって変わるため、自己判断で市販薬を重ねて使ったり、以前の薬を残して使ったりせず、医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
発熱そのものに手術が必要なことはほとんどありません。ただし、虫垂炎や膿がたまる感染など、手術や処置が必要な病気が原因と分かった場合は、その治療が検討されます。
この病気と共に生きる
熱がある間は、無理をせず「休むことが仕事」くらいの気持ちで過ごしてください。熱が下がっても半日から1日は体力が戻っていないことが多いので、いきなり普段通りの生活に戻さず、様子を見ながら少しずつ動くようにしましょう。家族は、水分がとれているか、会話がかみ合っているかを時々確認してあげてください。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
- 手洗い、うがい、換気を習慣にする
- 体調が悪いときは、周りにうつさないよう外出や人の集まりを控える
- 体温計を家に用意し、平熱を知っておく
- 高齢者や小さな子どもは、ふだんの様子を家族で共有しておく
食事と運動
熱があるときは消化に負担の少ない食事(おかゆ、スープ、やわらかい野菜など)を少量ずつとり、水分を優先してください。運動は熱が下がり体力が戻ってから、散歩などの軽いものから再開します。激しい運動や長時間の屋外活動は、回復してからにしましょう。
精神的健康と心の健康
高熱が続くと、不安になったり、イライラしたり、気分が落ち込んだりすることがあります。これは体がつらいときの自然な反応で、回復とともに薄れていくことがほとんどです。仕事や家事、子育ての心配が重なることもあります。ひとりで抱え込まず、家族やかかりつけ医、地域の保健センターなどに話してみてください。気持ちのつらさが続くときは、地域の心の健康相談窓口や医療機関に相談することができます。緊急に自分や誰かを守る必要があると感じたら、迷わず119番に連絡してください。
予防
すべての発熱を防ぐことはできませんが、感染による発熱はある程度減らせます。手洗い、うがい、換気、体調が悪い人との距離、十分な睡眠と栄養が基本です。
ワクチン
年齢や季節、持病に応じて受けられるワクチンがあります。どれをいつ受けるとよいかは、かかりつけ医や自治体の案内で確認してください。
検診プログラム
発熱そのものを調べる検診はありませんが、定期的な健康チェックで持病を把握しておくと、熱が出たときの対応がスムーズになります。
合併症
治療しない場合
- 脱水(水分と塩分が足りなくなり、ぐったりする)
- 熱性けいれん(特に子どもの場合)
- 意識がぼんやりするなどの意識障害
- 原因となる感染症が悪化する(肺炎、尿路感染の悪化など)
- 高齢者の場合、体力低下や転倒、入院につながることがある
長期的な見通し
ほとんどの発熱は、数日から1週間ほどでよくなります。熱は体が戦っている証拠であり、回復の見込みは十分にあります。つらいときは早めに医療機関に相談し、水分と休養を大切にしてください。多くの方は、この経験をきっかけに自分の体のサインの読み方が上手になっていきます。
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最終更新: 2026年10月23日
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