痛風に負けないために
概要
痛風(つうふう)は、血液の中の「尿酸(にょうさん)」という物質が多くなりすぎて、関節の中で小さな結晶(けっしょう)になってしまう病気です。尿酸は、体がエネルギーを使ったあとにできる老廃物のひとつで、ふだんは腎臓(じんぞう)から尿といっしょに体の外へ出ていきます。ところが尿酸が増えすぎたり、うまく出せなくなったりすると、関節の中で針のような形の結晶ができます。体はこれを異物とみなして炎症を起こすため、ある日突然、足の親指の付け根などが赤く腫れて、激しく痛む発作が起きます。
重要な事実
- 痛風の発作は、夜中から明け方にかけて突然始まることが多く、多くは数日から1週間ほどで痛みがやわらぎます。
- 発作がおさまっても尿酸が高いままだと再発しやすいので、痛みがない時期の付き合い方が大切です。
- 尿酸値は健康診断の血液検査でわかります。高いと指摘されたら、症状がなくても一度相談してみましょう。
日本では珍しい病気ではなく、成人男性を中心に多くの人が経験しています。健康診断で「尿酸値が高い」と言われる人(高尿酸血症)はさらに多く、痛風予備群と考えられます。厚生労働省の調査でも、痛風や高尿酸血症は身近な健康課題のひとつとして扱われています。
圧倒的に男性に多く、40代以降で増えてきます。女性は閉経(へいけい)後に増える傾向があります。肥満のある人、お酒をよく飲む人、腎臓の働きが低下している人、家族に痛風の人がいる人にも多くみられます。若い人や子どもに起こることはまれですが、まったくないわけではありません。
症状
- 高熱と関節の激しい腫れが同時にあり、動かせないほどで、ぐったりしている(細菌による関節の感染症の可能性があります)
- 意識がもうろうとしている、会話がかみ合わない
- 呼吸が苦しい、胸の強い痛みがある
- ⚠生まれて初めての激しい関節痛で、どうしてよいかわからない
- ⚠関節の腫れとともに38度以上の発熱がある
- ⚠背中や脇腹(わきばら)に、波のように押し寄せる激痛がある(尿路結石の可能性)
- ⚠尿に血が混じった、または尿が出にくい
- ⚠腫れがどんどん広がり、皮膚が赤紫色に変色している
一般的な症状
- 足の親指の付け根が、突然赤く腫れて激しく痛む(もっとも多い場所です)
- 足首、ひざ、手首、ひじ、指の関節などにも起こることがある
- 痛む場所を触れるだけで飛び上がるほど痛く、布団が当たってもつらい
- 患部が熱をもち、赤くて光っているように見える
- 発作の少し前に、軽い痛みやムズムズした違和感を感じることがある
- 38度前後の発熱や、体のだるさをともなうことがある
- 数日から1週間ほどで痛みがひいていく(放っておいても自然に軽くなるのが特徴です)
- しばらくして別の関節に、また発作が起きる
子供の症状
- 子どもでは非常にまれですが、肥満、腎臓の病気、遺伝的な体質などがあると起こることがあります
- 子どもの関節の腫れや痛みは、けがや他の病気の可能性も高いため、自己判断せず小児科や整形外科を受診してください
高齢者の症状
- 高齢者では、典型的な「親指の付け根の激痛」にならず、なんとなく関節が痛い、腫れているといった控えめな症状のことがあります
- 腎臓の働きが低下していると尿酸が上がりやすくなります
- 血圧の薬や利尿(りにょう)の薬など、服用中の薬が関係していることがあります
- いくつもの持病や薬がある場合は、自己判断で薬をやめず、必ず主治医に相談してください
原因
主な原因
- 体の中で尿酸がつくられすぎる(食べすぎ、飲みすぎ、体質など)
- 腎臓から尿酸をうまく出せない(腎臓の働きの低下や体質)
- プリン体という成分を多く含む食べ物やお酒のとりすぎ
- 水分不足(脱水)で尿が濃くなり、尿酸がたまりやすくなる
- 肥満や、急な食事の変化、強いストレス
- 一部の薬(利尿薬など)の影響
リスク要因
- 男性であること(女性ホルモンは尿酸を出しやすくする働きがあります)
- 家族に痛風の人がいる
- 肥満、とくにおなか周りに脂肪がついている
- お酒をよく飲む(とくにビールなど)
- レバー、魚卵、えび・かに、煮干しなどプリン体の多い食品をよく食べる
- 果糖(かとう)を含む甘い飲み物をよく飲む
- 腎臓の働きが低下している、または腎臓の病気がある
- 血圧の薬など、尿酸を上げる可能性のある薬を使っている
- 水分をあまりとらない
- 急に激しい運動をした、急に体重を減らした
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 初めて経験するような激しい関節の痛みがある
- 関節の腫れと発熱が同時にある
- 背中や脇腹の激痛、血尿など、尿路結石を思わせる症状がある
- 腫れが急に広がる、皮膚の色が悪くなる
定期受診を予約すべき場合:
- 痛風の発作を2回以上経験した
- 健康診断で「尿酸値が高い」と指摘された
- 家族に痛風の人がいて、自分も心配になった
- 関節のまわりに、硬いこぶのようなものができてきた
- 生活習慣(食事・お酒・体重)を見直したい
診断
診察では、どの関節が、いつ、どんなふうに痛くなったかを聞かれます。痛風の発作には「夜中に突然」「片方の足の親指の付け根」「赤く腫れて触れないほど痛い」「数日でひく」といった特徴があるため、お話だけである程度見当がつきます。それを確かめるために血液検査や尿検査を行います。場合によっては、腫れた関節に細い針を刺して関節液を少量とり、顕微鏡で尿酸の結晶を確認することもあります。これは確定診断につながる検査です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:尿酸値、腎臓の働き、炎症の程度、血糖や脂質など
- 尿検査:尿酸の出方、腎臓や尿路の状態
- 関節液の検査:顕微鏡で尿酸の結晶を確認する(確定診断に役立ちます)
- 超音波(エコー)検査:関節や腎臓の状態をみる
- レントゲン検査:関節の変化や、他の病気との区別のため
診察で予想されること
発作の真っ最中は、診察と血液検査でおおよその判断がつきます。ただし尿酸値は、発作のときにはかえって普通の値に見えることがあるので、痛みがおさまったあとに再検査することがあります。診断がついたら、痛みのある時期と落ち着いている時期で、治療のねらいが変わります。定期的に尿酸値を確認しながら、長い目で付き合っていく形が一般的です。
治療
痛風の治療には、大きく2つの柱があります。ひとつは「起きてしまった発作の痛みと腫れを、できるだけ早くやわらげること」。もうひとつは「尿酸値を適正な範囲に保ち、次の発作を起こしにくくすること」です。さらに、食事・お酒・体重などの生活習慣の見直しが、この2つを支えます。発作のときと、落ち着いているときで、使う治療の考え方が変わる点を覚えておくと安心です。
自宅でのセルフケア
- 発作のときは患部を冷やし、安静にして、できるだけ動かさない
- 痛む足を少し高くして休むと楽になることがあります
- 水分をこまめにとる(1日を通して少しずつ)
- 発作中と尿酸値が高い間は、お酒を控える
- 痛みが引いても自己判断で治療をやめず、次の受診まで続ける
- 発作があった日、どの関節がどんなふうに痛んだかをメモしておくと診察に役立つ
- サプリメントや民間療法だけで何とかしようとせず、まず医療機関に相談する
医療治療
発作の時期には、炎症と痛みをしずめるための治療が行われます。痛みが強いときは、炎症を抑える薬が使われることがあります。痛みがおさまったあとは、尿酸値をおだやかな範囲に保つための治療を始めるのが一般的です。尿酸がつくられる量を減らすタイプの薬と、尿酸を体の外へ出しやすくするタイプの薬があり、体質や腎臓の働き、持病に合わせて医師が選びます。薬の種類や量は医師・薬剤師の指示に従ってください。自己判断で飲んだりやめたりすると、発作を招くことがあります。治療中は尿酸値の変化を見ながら、少しずつ調整していきます。
手術が検討される場合
通常、痛風そのものに手術は必要ありません。ただし、関節のまわりに大きな硬いこぶ(痛風結節)ができて日常生活に支障がある場合や、関節の変形が進んだ場合、神経を圧迫している場合などは、整形外科の医師に相談することがあります。
この病気と共に生きる
痛風との付き合いでいちばん大事なのは、「発作がないときの過ごし方」です。尿酸値は、食事や飲酒、水分、体重、睡眠、ストレスなどで動きます。毎日の生活を少しずつ整えることが、次の発作を遠ざけます。また、自分の尿酸値の数字を知っておくと、生活の変化を実感しやすくなります。通院を続けて、数値を一緒に見守っていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- お酒は量と頻度をへらす。とくにビールなどは控えめに
- 水分をこまめにとる習慣をつくる
- 体重は急に落とさず、少しずつ減らす
- 睡眠を十分にとり、疲れをためない
- ストレスをためず、息抜きの時間をつくる
- 服薬は決められたとおりに続ける
- 健康診断を毎年受け、尿酸値と腎臓の数値を確認する
食事と運動
食事では、レバー、魚卵、えび・かに、煮干しなどプリン体の多い食品を毎日たくさん食べるのは控えめにしましょう。果糖を含む甘い飲み物も、尿酸を上げやすいので注意です。一方で、野菜、海藻、きのこ、乳製品、卵などは比較的安心してとれる食品です。極端な食事制限や断食は、かえって尿酸を上げることがあるのでおすすめしません。運動は、息が少しはずむ程度の軽い有酸素運動(ウォーキングなど)を、無理のない範囲で続けるのがよいとされています。急に激しい運動をすると、かえって発作のきっかけになることがあるので、始めるときは軽めから。食事と運動の具体的な内容は、主治医や管理栄養士に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
突然の激痛は、とてもこわい体験です。「またいつ来るだろう」という不安が続くと、気持ちが疲れてしまうこともあります。お酒や好きな食べものを控えるのが寂しい、周りに理解してもらいにくい、といった気持ちも自然なものです。痛みや不安を一人で抱え込まず、家族やかかりつけ医に話してみてください。気分の落ち込みが長く続くときは、そのことも診察のときに伝えましょう。
予防
痛風の発作は、多くは予防できます。尿酸値を適正な範囲に保つこと、そして生活習慣を整えることが中心です。すでに発作を経験した人も、尿酸値を落ち着かせれば発作の回数をぐっと減らせます。完全にゼロにできなくても、回数とつらさを減らすことは十分に可能です。
検診プログラム
尿酸値は、健康診断や職場の健診の血液検査で測られます。日本では健診で尿酸値が項目に入っていることが多いので、結果の用紙を一度見てみましょう。「高い」と指摘されたら、症状がなくてもかかりつけ医に相談してください。腎臓の数値も一緒に確認しておくと安心です。
合併症
治療しない場合
- 発作をくり返し、回数が増えたり、長引いたりする
- 関節のまわりに硬いこぶ(痛風結節)ができる
- 関節が変形して、動かしにくくなることがある
- 尿路結石ができやすくなる(背中や脇腹の激痛、血尿など)
- 腎臓の働きが少しずつ低下することがある
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症、心血管の病気と関係が深いとされている
長期的な見通し
痛風は、正しく付き合えば決してこわいだけの病気ではありません。発作は多くの場合数日でおさまり、尿酸値を適正に保つことで再発を減らせます。生活習慣の見直しは、痛風だけでなく血圧や血糖、体重にも良い影響を与えます。あせらず、できることから一つずつ。かかりつけ医と一緒に、長い目で整えていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月23日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.