瘻孔(ろうこう)ってどんなもの?
概要
瘻孔(ろうこう)は、体の本来つながっていない2つの場所の間に、細いトンネルのような通り道ができてしまう状態です。たとえば、肛門の周りと皮膚の間、腸と皮膚の間、膀胱(ぼうこう)と腟(ちつ)の間などにできます。一般外来では、肛門の周囲にできる瘻孔(痔瘻:じろう)がよく相談されます。瘻孔は「穴」というより、体の中にできた細い管のようなものと考えるとわかりやすいです。
重要な事実
- 瘻孔は、本来つながっていない場所の間に細い通り道ができる状態です。
- 肛門の周りにできる痔瘻(じろう)は、一般外来でよく見られます。
- 多くは治療で改善しますが、再発や長引くこともあるため、早めの相談が大切です。
種類によって頻度は大きく異なります。肛門の周囲の瘻孔(痔瘻)は比較的よく見られます。手術や出産、炎症性の病気に関連してできる瘻孔もあります。
症状
- 高熱と激しい痛み、赤い腫れがどんどん広がる(感染が広がっている疑い)。すぐに119番に連絡してください。
- 意識がぼんやりする、ぐったりする、息苦しい。すぐに119番に連絡してください。
- 大量の出血でふらつく、立っていられない。すぐに119番に連絡してください。
- 排尿や排便ができないほどの激痛がある。すぐに119番に連絡してください。
- けいれんや強い脱水(口が渇く、尿がほとんど出ない)がある。すぐに119番に連絡してください。
- ⚠痛みや腫れが急に強くなる
- ⚠膿や血が多く出る
- ⚠38℃以上の発熱が続く
- ⚠吐き気や下痢で水分がとれない
- ⚠肛門の周りが硬く熱を持つ
一般的な症状
- 肛門やその周りの痛み、腫れ、赤み
- 膿(うみ)や血、透明な液体が下着につく
- 皮膚の小さな穴から液体が漏れる
- かゆみ、ぬれ感、においが気になる
- 排便や座るときの痛み
- 発熱やだるさ
子供の症状
- おむつかぶれと見間違えるような赤みやただれ
- おむつや下着に膿のようなものや血がつく
- 排せつ時に泣く、機嫌が悪い
- 発熱や食欲低下
高齢者の症状
- 痛みが軽くても、発熱やだるさで見つかることがある
- 糖尿病などで感覚が鈍いと症状に気づきにくい
- 分泌物で下着が汚れる、かゆみが続く
- 認知症があると症状を伝えにくく、家族が気づくことがある
原因
主な原因
- 細菌感染による膿瘍(のうよう:膿がたまる状態)が破れて通路が残る
- 手術や処置のあと
- クローン病や憩室炎(けいしつえん)などの炎症
- 出産時の傷
- 放射線治療のあと
- まれに腫瘍
リスク要因
- クローン病
- 過去の肛門周囲膿瘍(のうよう)
- 免疫力が低下する状態
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に痛みや腫れが強くなった
- 膿や血がたくさん出る
- 発熱がある
- 排せつがつらい
- 肛門の周りが硬く熱を持つ
定期受診を予約すべき場合:
- 繰り返す分泌物やかゆみ
- 肛門の周りの違和感が続く
- 下着に膿がつくことがある
- 治ったと思ってもまた腫れる
診断
診察と問診が中心です。肛門の瘻孔では、肛門の周りをみたり、指で触れたり、肛門鏡(肛門の中をみる細い器具)を使うことがあります。瘻孔の深さや広がり、肛門の筋肉との関係を知るために画像検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症の程度をみる)
- 超音波検査(エコー:体の表面から超音波で中の様子をみる)
- MRI(磁気を使う画像検査)
- CT(X線を使う画像検査)
- 内視鏡(腸の中をカメラでみる検査)
- 肛門超音波検査
- 造影検査(造影剤を使って通り道を写す)
診察で予想されること
診察では、症状の場所や期間、これまでの病気、手術歴、出産歴などを聞きます。検査によっては痛みを伴うことがありますが、麻酔や体位の工夫をしながら行います。結果が出るまでに数日かかることがあります。不安なことは遠慮なく質問してください。
治療
治療の目的は、感染を抑え、瘻孔の通り道を閉じる、または症状をコントロールして再発を防ぐことです。瘻孔の種類、場所、大きさ、原因、肛門の筋肉との関係によって方針が変わります。すべての人に手術が必要なわけではありません。
自宅でのセルフケア
- 患部を清潔に保ち、入浴後はやさしく乾かす
- 強くこすったり、押したり、自分で穴をふさがない
- 便秘を避けるため、水分と食物繊維をとる
- 医師の指示があれば、ぬるま湯の坐浴(ざよく)で清潔にする
- 分泌物があるときは清潔なガーゼやパッドを使い、こまめに交換する
- 痛みや発熱が強くなったら早めに連絡する
医療治療
感染や炎症があるときは、医師の判断で薬による治療が行われることがあります。膿(うみ)がたまっている場合は、切開して膿を出す処置が必要になります。肛門の瘻孔では、糸を瘻孔に通して膿を出しやすくする方法(シートン法)や、原因となっている病気(クローン病など)の治療が行われることがあります。治療法は医師と相談して決めます。
手術が検討される場合
瘻孔の位置や肛門の筋肉との関係、症状の強さ、再発の有無で判断します。膿瘍をくり返す、分泌物が続く、日常生活に支障がある場合は手術が検討されます。手術には肛門の筋肉を傷つけないよう配慮した方法があります。すべての人に手術が必要なわけではありません。
この病気と共に生きる
瘻孔は、通院しながら仕事や家事を続けることができます。分泌物で下着が汚れることがあるので、替えの下着やパッドを用意すると安心です。痛みや発熱がある日は無理をせず、医療機関に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する
- 糖尿病がある人は血糖値を管理する
- 適度な運動を続ける
- 規則的な排便を心がける
- ストレスをためすぎない
- 医師の指示どおりに通院する
食事と運動
バランスのよい食事と十分な水分で、便が硬くなりすぎないようにします。食物繊維は便通を整える助けになりますが、急に増やすとおなかが張ることがあるので少しずつ増やしましょう。運動は、痛みや発熱がない範囲で軽い散歩などから始め、無理をしないことが大切です。食事や運動の制限が必要かは、主治医に確認してください。
精神的健康と心の健康
瘻孔は、恥ずかしさや不安、においへの心配から、人に話しにくく孤立感を感じることがあります。痛みが続くと気分が落ち込むこともあります。これは弱さではなく、誰にでも起こりうることです。つらいときは一人で抱えず、かかりつけ医や看護師、地域の相談窓口に話してください。気持ちが追い詰められて安全が心配なときは、緊急に119番へ連絡するか、地域の救急相談窓口を利用してください。
予防
すべての瘻孔を防ぐことはできませんが、肛門の周りの膿瘍(のうよう)を早めに治療する、清潔を保つ、便秘を防ぐ、禁煙する、糖尿病などの基礎疾患を管理することが助けになります。出産や手術のあとは、医師の指示に従って経過をみましょう。
ワクチン
一般的な瘻孔を防ぐワクチンはありません。ただし、原因となる感染症にはワクチンがある場合がありますので、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
瘻孔そのものの決まった検診はありません。気になる症状があるときは早めに受診してください。クローン病など基礎疾患がある人は、主治医の指示に従って定期的な経過観察を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 膿瘍(のうよう)をくり返す
- 感染が広がって全身の病気になる(敗血症など)
- 瘻孔が慢性化して分泌物が続く
- 肛門の筋肉が傷ついて便やガスが漏れやすくなる
- 瘢痕(はんこん)や狭さくで排せつがつらくなる
- 原因となる病気の進行
長期的な見通し
瘻孔は、種類によっては治療で改善し、日常生活に戻れることが多いです。再発や長引くこともありますが、医療チームと相談しながら管理できます。恥ずかしがらずに早めに相談することが、よりよい経過につながります。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月23日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.