赤ちゃんの頭の形のゆがみ(斜頭症・短頭症)
概要
赤ちゃんの頭の形が左右で違う(斜頭症=しゃとうしょう)、あるいは後ろ頭が平らで横に広い(短頭症=たんとうしょう)状態をまとめて「体位性頭位異常」と呼びます。頭の骨は生後数か月はとても柔らかく、同じ向きで寝る時間が長いと、その部分が平らになりやすいのです。頭の中身(脳)の病気ではなく、多くは成長とともに目立たなくなります。
重要な事実
- 生後数か月の赤ちゃんにとてもよく見られる、珍しくない状態です。
- 脳の発達や知能に影響することはほとんどないと考えられています。
- 多くの場合は姿勢の工夫と時間で自然に改善し、手術が必要になることはまれです。
とてもよくあります。生後数か月の赤ちゃんの相当数に何らかの頭の形のゆがみが見られると報告されています。
主に生後6か月ごろまでの赤ちゃんです。双子や三つ子、早産、初産、大きめの赤ちゃん、首の向きぐせ(斜頸=しゃけい)がある赤ちゃんに多く見られます。大人では通常起こりません。
症状
- けいれんを起こした、意識がぼんやりしている
- 繰り返し吐く、元気がなくぐったりしている
- 頭が急に大きくなったように感じる、頭のてっぺんの柔らかい部分(大泉門)が盛り上がっている
- 呼吸が苦しそう、顔色が悪い
- ⚠首がほとんど動かず、触ると痛がって泣く
- ⚠頭の形のゆがみに加えて、体重が増えない・哺乳が弱い
- ⚠首の向きぐせが強く、顔がいつも同じ方向に傾いている
- ⚠けがのあとに頭の形が変わった
一般的な症状
- 後ろ頭の片側が平らになっている
- 頭を上から見たときに左右の形が違う
- 頭の同じ側の耳が少し前にずれている
- 平らな側と反対側の頭が少し出っ張って見える
- 後ろ頭全体が平らで、横に広い形になっている
- 顔の左右がわずかに違って見える
子供の症状
- 寝るときや授乳のときに、いつも同じ向きばかり向く(向きぐせ)
- 首を片側に曲げにくい、反対側を向きにくい(斜頸を伴うことがあります)
- 抱っこやチャイルドシートでも決まった向きに顔を向けたがる
- 頭の形の変化は痛みを伴わないことがほとんどです
高齢者の症状
- 大人では通常見られません。
- 長期間ベッドで過ごす介護状態などで、頭の形が変わることはあります。
- 大人になって新たに頭の形の変化に気づいたときは、医療機関に相談してください。
原因
主な原因
- 同じ向きで長い時間寝かせることが多い(頭の同じ場所に圧力がかかり続ける)
- おなかがすいて起きている間に、うつぶせで遊ぶ時間が少ない
- お母さんのおなかの中での姿勢や圧迫(狭い場所にいた場合など)
- 首の向きぐせ(斜頸)があり、いつも同じ方向を向いてしまう
- 長時間のチャイルドシートやバウンサーなど、頭が固定される姿勢が続く
リスク要因
- 早産で生まれた
- 双子・三つ子などの多胎
- 初めての子育てで、寝かせ方の工夫をまだ知らない
- 男の子、出生体重が大きめ
- 首の左右の動きに差がある(斜頸)
- 頭にできた内出血(頭血腫)があった
- うつぶせ遊びの時間が少ない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けいれん、意識の変化、繰り返す嘔吐がある(この場合は救急車を呼んでください=119番)
- 頭が急に大きくなった気がする、大泉門が盛り上がっている
- 首を動かすと痛がって泣き、動かせない
- 元気がなく、哺乳や体重増加が悪い
定期受診を予約すべき場合:
- 頭の形の左右差が気になる
- いつも同じ向きばかり向いていて、向きを変えにくそう
- 6か月を過ぎても頭の形のゆがみが目立つ
- 耳の位置のずれや顔の左右差が気になる
- 乳幼児健診で頭の形について指摘された
診断
多くは診察だけで判断できます。医師が頭を上から、後ろから、横から見て形を確認し、頭の周りの長さ(頭囲)を測ります。首の動き(斜頸がないか)も確認します。
行われる可能性のある検査
- 頭囲の測定と、母子健康手帳の成長曲線との照らし合わせ
- 頭の形をいろいろな方向から見る診察(写真を撮って経過を記録することもあります)
- 首の動きの確認(斜頸の評価)
- 必要に応じて超音波検査やレントゲン、まれにCT検査(頭蓋骨縫合早期癒合症=頭の骨のつなぎ目が早く閉じてしまう病気が疑われるとき)
診察で予想されること
診察は短時間で痛みもありません。多くの場合は特別な検査をせず、姿勢の工夫を続けながら定期的に形を見ていくことになります。必要に応じて小児科や形成外科、脳神経外科などの専門医を紹介されることがあります。
治療
治療の中心は、頭に同じ圧力がかかり続けないようにする「姿勢の工夫」です。多くの赤ちゃんは、寝返りができるようになり、座れるようになるにつれて自然に改善していきます。
自宅でのセルフケア
- 赤ちゃんが起きていて、大人がすぐそばで見守っているときに「うつぶせ遊び」を1日数回、短時間ずつ行う
- 寝かせるときは必ず仰向けにし、頭の向きを毎回左右交互にする
- 抱っこや授乳のとき、左右の腕を入れ替えてみる
- ベビーベッドの向きを変えて、赤ちゃんが見る景色の方向を変える
- おもちゃや音のする方を、いつもと違う側に置いてみる
- 長時間のチャイルドシートやバウンサーを避け、こまめに抱っこして姿勢を変える
- 首の向きぐせがあるときは、かかりつけ医に相談したうえで、やさしく向きを変える遊びを取り入れる
医療治療
重症の場合や、姿勢の工夫を続けても改善が乏しい場合には、専門医のもとで頭の形を整えるためのヘルメット(装具)を使う方法が検討されることがあります。これは生後数か月の、頭の骨が柔らかい時期に行われるものです。首の向きぐせ(斜頸)がある場合は、理学療法士によるリハビリテーションが行われることもあります。いずれも専門医の判断で行われ、自己判断で装具を使うことは避けてください。
手術が検討される場合
手術が必要になることはほとんどありません。頭の骨のつなぎ目が早く閉じてしまう「頭蓋骨縫合早期癒合症」という別の病気が疑われる場合にのみ、専門医のもとで手術が検討されます。
この病気と共に生きる
頭の形は少しずつ変わっていくので、1日単位で見比べず、1か月ごとなどに写真を撮って記録すると安心です。健診のたびに医師や保健師に相談しながら、気長に見守りましょう。
生活習慣のアドバイス
- 起きている間のうつぶせ遊びを、毎日の習慣にする(必ず大人が見守る)
- 抱っこや授乳の向きを、意識して左右変える
- 赤ちゃんの向きぐせに気づいたら、反対側から声をかけてみる
- 家族で協力して、気になる点をメモしておき健診で相談する
食事と運動
母乳やミルク、離乳食は月齢に合わせて普段どおりで問題ありません。特別な食事制限は不要です。体を動かす面では、うつぶせ遊びや抱っこなど、赤ちゃんがいろいろな姿勢を体験できる時間を増やすことが大切です。
精神的健康と心の健康
「自分の育て方が悪かったのでは」と自分を責めてしまうお母さん、お父さんが少なくありません。しかし頭の形のゆがみは珍しいことではなく、多くの場合、育て方のせいではありません。SNSの写真と見比べて不安になることもありますが、赤ちゃんの成長は一人ひとり違います。つらい気持ちが続くときは、保健師やかかりつけ医、家族に話してみてください。
予防
完全に防ぐことはできませんが、姿勢の工夫でリスクを下げることはできます。大切なのは、寝るときは必ず仰向け(乳幼児突然死症候群=SIDSの予防のため)にし、起きていて大人が見守っているときにうつぶせ遊びを取り入れることです。寝かせたままのうつぶせは絶対に避けてください。
検診プログラム
日本の乳幼児健診(1か月、3〜4か月、6〜7か月、9〜10か月ごろなど)で、頭の形や首の動きを確認してもらえます。気になることは健診のときに遠慮なく相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 多くは成長とともに自然に目立たなくなります。
- 見た目の左右差が軽く残ることはあります。
- まれに、眼鏡のかけ心地やかみ合わせへの影響が話題になりますが、はっきりした証拠は限られています。
- 脳の発達や知能への影響は、通常ないと考えられています。
- ごくまれに、頭蓋骨縫合早期癒合症という別の病気が隠れていることがあるため、気になる場合は受診が大切です。
長期的な見通し
ほとんどの赤ちゃんは、寝返りやおすわりができるようになるにつれて頭の形が整っていきます。見た目の変化を心配しすぎる必要はありません。気になる点は早めに相談しながら、赤ちゃんの成長をゆったり見守っていきましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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