むくみ(浮腫)
概要
むくみ(医学では「浮腫(ふしゅ)」と呼びます)は、体の組織と組織のあいだに余分な水分がたまった状態です。多くは足の甲や足首、すねなど、体の下のほうに起こります。皮膚の下に水がしみこんだようなイメージで、指で押すとへこんだ跡がしばらく残ることがあります。むくみは体からのサインのひとつで、長時間の立ち仕事や塩分のとりすぎなど、心配のいらない理由で起こることもあれば、心臓・腎臓・肝臓などの病気が関係していることもあります。
重要な事実
- むくみは「水分が体にたまっている」状態で、多くは足や足首に出ます。
- 夕方に悪化して朝は軽い、という変化はよくあるパターンです。
- 片側の脚だけが急に腫れる、息苦しい、尿が出ないといったときは、すぐに医療機関に相談してください。
むくみはとてもよくある症状です。誰でも一日の終わりに足が少し腫れぼったく感じることがあります。多くは心配のいらないものですが、続く場合や強くなる場合は原因を調べることが大切です。
赤ちゃんから高齢者まで、どの年代にも起こります。とくに多いのは、高齢の方、長時間立ちっぱなし・座りっぱなしで過ごす方、塩分の多い食事が続いている方、妊娠中の方、体重が増えている方、心臓や腎臓、肝臓の病気がある方です。
症状
- 息が苦しい、横になると息ができない、夜中に息苦しさで目が覚める
- 胸の痛みや強い圧迫感がある
- 顔・まぶた・唇・のど・舌が急に腫れてきた(息が吸いにくい)
- 意識がもうろうとしている、ぐったりしている
- 尿がまったく出ない
- ⚠片側の脚だけが急に腫れて、痛みや赤み・熱感がある(血管に血の塊が詰まる病気の可能性があります)
- ⚠2〜3日で体重が2キロ以上増えた
- ⚠むくみが急に全身に広がった
- ⚠尿の量が目に見えて減った
- ⚠腫れている部分が赤く熱を持ち、発熱もある
一般的な症状
- 足の甲・足首・すねが腫れぼったい
- 靴や靴下のあとが深く残る
- 夕方になると腫れが強くなり、朝は軽い
- 指で皮膚を押すと、しばらくへこんだ跡が残る
- 皮膚がつっぱる、重い感じがする
- 体重が数日で急に増える
- 顔(とくにまぶた)や手が腫れる
- お腹が張った感じがする、ズボンがきつくなる
子供の症状
- 子どものむくみはあまり多くありません。まぶたの腫れや、尿の量が減ったように見える場合は受診してください。
- 足の腫れを痛がる、歩きにくそうにする場合は早めに相談してください。
- 子どものむくみは、体の水分の調整に関わる病気が隠れていることがあるため、自己判断で様子を見続けずに小児科などに相談しましょう。
高齢者の症状
- 高齢の方は、長い時間座ったまま過ごすことで足が腫れやすくなります。
- 飲んでいる薬の影響でむくみが出ることがあります。自己判断で薬をやめず、医師や薬剤師に相談してください。
- 皮膚が薄くなっているため、むくみが続くと皮膚が傷つきやすくなります。
- 心臓や腎臓の病気が隠れていることもあるので、急に腫れが強くなったときは早めの受診が大切です。
原因
主な原因
- 長時間の立ち仕事・座り仕事で、血液や水分が足にたまりやすくなる
- 食事の塩分のとりすぎ
- 月経前の体の変化
- 妊娠中の体の変化
- 飲んでいる薬の影響(種類によってはむくみが出ることがあります)
- 足の静脈の流れが悪くなる(静脈の弁の働きの低下など)
- リンパの流れが滞る(リンパ浮腫)
- 心臓の病気による水分のたまり
- 腎臓の病気による水分・塩分の調整の乱れ
- 肝臓の病気による体の水分バランスの変化
- 甲状腺(のどの下にあるホルモンの器官)の働きの変化
リスク要因
- 高齢であること
- 長時間立ち続ける、または座り続ける仕事・生活
- 塩分の多い食事が続いている
- 体重が増えている
- 妊娠中である
- むくみが出やすい薬を飲んでいる
- 心臓・腎臓・肝臓の病気を指摘されたことがある
- 飛行機やバスでの長時間の移動
- 足の静脈瘤(静脈がこぶのようにふくらむ状態)がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 片側の脚だけが急に腫れた、痛む、赤くなっている
- 息苦しさや胸の痛みがある
- 数日のうちに体重が大きく増えた
- 尿の量が著しく減った
- 腫れている部分が赤く熱を持ち、熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- むくみが1週間以上続いている
- だんだん強くなっている気がする
- 朝起きたときから顔やまぶたが腫れている
- 両方の脚が同じように腫れている状態が続く
- 原因に心当たりがない
- むくみのせいで歩きにくい、靴が入らない
診断
診察では、医師が腫れている場所を実際に見て、指で押したときのへこみ方や、両側か片側か、皮膚の色や温度などを確認します。あわせて、いつから始まったか、一日のうちで変化するか、飲んでいる薬、これまでの病気、食事や生活の様子などを聞かれます。体重の変化も大切な手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(心臓・腎臓・肝臓・甲状腺の働きなどを調べます)
- 尿検査(腎臓の状態やたんぱくの有無を調べます)
- 体重の測定と、むくみの程度の記録
- 心電図や心臓の超音波検査
- 胸部のレントゲン検査
- 脚の血管の超音波検査
- 必要に応じて画像検査(CTなど)
診察で予想されること
診察と検査は、痛みの少ないものがほとんどです。血液検査のために採血をします。結果が出るまでに数日かかることもあります。原因が見つからないこともありますが、その場合も生活の工夫でむくみを軽くする方法を一緒に考えることができます。
治療
むくみの治療でいちばん大切なのは、なぜむくんでいるのかを知ることです。心臓・腎臓・肝臓などの病気が関係していれば、その治療を優先します。はっきりした病気が見つからず、生活習慣によるものなら、食事や体の動かし方の工夫で改善が期待できます。治療は医師の判断のもとで進められます。
自宅でのセルフケア
- 座っているときは足を少し高く上げ、脚を心臓より上に置く時間をつくる
- 長時間同じ姿勢を続けず、1時間に一度は立ち上がって歩く
- 夕方以降は、足をクッションで高くして休む
- 塩分を控えめにし、汁物や加工食品のとりすぎに気をつける
- 適度な水分をとる(我慢しすぎない)
- 医師に相談したうえで、医療用の弾性ストッキング(圧迫靴下)を使う
- 皮膚を清潔に保ち、乾燥しているときは保湿する
- 毎日同じ時間に体重を測って記録する
医療治療
原因となる病気があれば、その治療を優先します。むくみそのものに対しては、食事の塩分を控える指導、弾性ストッキングや包帯で脚を圧迫する方法、リンパの流れを助けるマッサージなどが行われます。また、体の水分を尿として出しやすくする種類の薬が使われることがあります。薬を使うかどうか、どんな薬を使うかは、原因や体の状態によって変わるため、必ず医師の判断に従ってください。自分で薬を選んだり、飲んでいる薬を勝手にやめたりしないようにしましょう。
手術が検討される場合
むくみの原因が足の静脈瘤(静脈がこぶのようにふくらんだ状態)などで、生活の工夫や保存的な治療で改善しない場合には、手術などの方法が検討されることがあります。必要かどうかは専門の医師が判断します。
この病気と共に生きる
むくみは、毎日のちょっとした工夫でかなり楽になることがあります。朝と夜で腫れ方が変わること、体重の動き、靴のきつさなどを記録しておくと、受診のときに役立ちます。腫れているときは、皮膚を傷つけないようにやさしく扱いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 長時間の立ち仕事・座り仕事では、こまめに休憩と歩行をはさむ
- 寝るときは足を少し高くする
- きつい靴下や靴を避け、締めつけない服装を選ぶ
- 定期的に体重を測る習慣をつける
- 飲んでいる薬は、自己判断でやめず、気になる症状を医師・薬剤師に伝える
- 喫煙は血管の流れに影響するため、禁煙を心がける
食事と運動
食事では塩分を控えめにすることが基本です。味付けはだしや香味野菜を活用し、汁物を毎日飲む習慣がある場合は量や回数を見直してみましょう。野菜や果物、たんぱく質をバランスよくとることも大切です。水分は極端に減らさず、適量をこまめにとります。運動は、ウォーキングやふくらはぎのストレッチ、足首を回す運動など、無理のない範囲で続けるのがおすすめです。長時間の立ちっぱなし・座りっぱなしのあとは、脚を動かして血流を助けましょう。腎臓や心臓に病気がある方は、水分や塩分の量について医師の指示を優先してください。
精神的健康と心の健康
むくみが続くと、見た目の変化や靴が入らない不便さから、気分が落ち込んだり、外出を控えたくなったりすることがあります。これは自然な気持ちで、あなたの弱さではありません。むくみの多くは治療や工夫で良くなります。不安やつらさが強いときは、ひとりで抱えず、かかりつけ医や地域の相談窓口に話してみてください。気持ちがとてもつらいときは、医療機関やお住まいの地域の相談サービスに早めに連絡をとりましょう。
予防
すべてのむくみを防ぐことはできませんが、生活の工夫で起こりにくくすることはできます。塩分を控えめにする、長時間同じ姿勢を続けない、こまめに足を動かす、足を高くして休む、といったことが役立ちます。持っている病気の治療を続けることも大切な予防になります。
検診プログラム
むくみそのものを調べる決まった検診はありませんが、心臓・腎臓・肝臓などの病気は、自治体のがん検診や職場の健康診断、特定健診などの機会に気づくことがあります。健診結果で気になる点があれば、かかりつけ医に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 皮膚が傷つきやすくなり、傷から感染を起こすことがある
- 脚の血管に血の塊が詰まる病気(血栓症)を合併することがある
- 心臓・腎臓・肝臓などの病気が隠れていた場合、気づくのが遅れることがある
- 歩きにくさや重い感じが続き、日常生活が不快になる
- 腫れが全身に広がり、息苦しさなどが出ることがある
長期的な見通し
多くのむくみは、原因を取り除いたり生活を工夫したりすることで良くなります。心臓や腎臓などの病気が関係している場合も、早く見つけて治療を続けることで、症状をコントロールしながら安定して過ごせる方がたくさんいます。気になる症状があれば早めに相談することが、安心につながります。
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最終更新: 2026年10月23日
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