食中毒の予防と家庭での対処
概要
食中毒(しょくちゅうどく)は、細菌やウイルス、寄生虫、またはそれらが出す毒素(どくそ)がついた食べ物や飲み物をとることで、おなかの調子が悪くなったり発熱したりする病気です。「食あたり」と呼ばれることもあります。多くの場合は数日で良くなりますが、赤ちゃんや高齢者では脱水(体の水分が足りなくなること)に注意が必要です。
重要な事実
- 食中毒は家庭でも外食でも起こりえます。
- 水分をこまめにとることが大切で、多くの人は数日で回復します。
- 激しい症状や脱水のサインがあるときは、早めに医療機関へ相談してください。
とてもよくある健康問題です。厚生労働省も、家庭での手洗いや食品の保存方法などについて注意を呼びかけています。夏に多いイメージがありますが、ウイルスによるものは冬にも起こります。
誰でもかかります。子ども、高齢者、妊娠中の人、病気で免疫力(体を守る力)が下がっている人は、症状が重くなったり脱水になりやすかったりします。
症状
- 次の症状があるときは、すぐに119番へ連絡してください。
- 意識がない、または意識がぼんやりして呼びかけへの反応が悪い
- 呼吸が苦しい、顔色が青白い
- けいれんが起きた
- 激しい脱水のサイン(ほとんど尿が出ない、口が極端に乾く、皮膚をつまむと戻りにくい)
- 血便や黒い便が大量に出る、激しいおなかの痛みで動けない
- ⚠水分がとれないほど吐き続ける
- ⚠高い熱が続く、または熱が下がらない
- ⚠血が混じった便、黒い便
- ⚠強いおなかの痛みが続く
- ⚠脱水のサイン(口の渇き、尿が少ない、ふらつき、強いだるさ)
- ⚠赤ちゃん、高齢者、妊娠中の人、免疫力が下がっている人に症状がある
- ⚠症状が3日以上よくならない、または悪化している
一般的な症状
- 吐き気や嘔吐(おうと)
- 下痢(水のような便や軟らかい便)
- おなかの痛み、おなかの張り
- 発熱、寒気
- 頭痛、だるさ、食欲がない
子供の症状
- 元気がない、ぐったりしている
- 口の中が乾く、涙が出にくい
- おしっこの回数が減る、おむつが乾いたまま
- 泣き方が弱い、眠りがち
- 繰り返す嘔吐や下痢、血が混じった便
高齢者の症状
- 脱水になりやすい(口の渇き、ふらつき、尿が少ない)
- だるさや食欲低下が目立つ
- 意識がぼんやりする、会話がかみ合わない
- 下痢や嘔吐が続いて体力が落ちる
- 発熱がはっきりしないこともある
原因
主な原因
- 細菌(ばい菌)による汚染。菌の名前は検査で調べることがあります。
- ウイルス(ノロウイルスなど)による汚染。
- 寄生虫や、菌が出す毒素(あらかじめ食品中に毒が作られるもの)によるもの。
- 生や加熱不足の肉、卵、魚介類、未殺菌の乳製品、洗浄が不十分な野菜や果物。
- 手洗い不足、調理器具の使い回し、食品の保管温度の誤りによる二次汚染(ほかの食品に菌が移ること)。
リスク要因
- 赤ちゃん、子ども、高齢者、妊娠中の人
- 免疫力が下がる病気や治療を受けている人
- 海外旅行中や海外から帰国したばかりの人
- 外食が多い、加熱が不十分な食品を好む
- 家庭で食品を長く室温に置く、冷蔵庫の温度が高め
- 手洗いが不十分、調理器具を生肉と野菜で共用する
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 吐き続けて水分がとれない
- 血便、黒い便、激しい腹痛
- 高い熱が続く、ぐったりしている
- 脱水のサインがある(尿がほとんど出ない、口が乾く、涙が出ない、ふらつく)
- 赤ちゃん、高齢者、妊娠中の人、免疫力が下がっている人に症状がある
- 症状が急に悪くなった
定期受診を予約すべき場合:
- 症状は軽いが3日以上続く
- 何度も繰り返す下痢や吐き気がある
- 食事のあとにおなかの不調が繰り返す
- 海外渡航後や、周囲に同じ症状の人がいる
- 仕事や学校を休む必要がある(食品を扱う仕事、保育、医療などは特に相談)
診断
医師は、症状、食べたもの、いつから具合が悪くなったか、周囲に同じ症状の人がいないかを聞いて判断します。必要に応じて検査をします。検査は重症度や原因を知るために行われ、すべての人に必要なわけではありません。
行われる可能性のある検査
- 便検査(細菌やウイルス、寄生虫を調べる)
- 血液検査(脱水や炎症の程度をみる)
- 吐いたものや食べ残しの検査(保健所などが関わる場合があります)
- 尿検査(脱水の程度をみる)
診察で予想されること
問診のあと、脱水の程度をみるために脈や血圧、口の中の乾きなどを確認します。検査結果が出るまでに数日かかることがあります。軽い場合は検査なしで、水分補給や休息の指導を受けることが多いです。
治療
食中毒の治療の中心は、失った水分と塩分を補い、体を休めることです。原因や症状の重さに応じて、医療機関で点滴や検査が必要になることがあります。
自宅でのセルフケア
- 少量ずつ、何回にも分けて水分をとる。飲めるなら経口補水液(水分と塩分を補うための液体)が役立ちます。
- 吐き気が強いときは、一度にたくさん飲まず、スプーン1杯ずつ試す。
- 食べられる範囲で、消化のよいものを少量ずつとる。無理に食べなくてもよい。
- 手洗いを徹底し、タオルや食器を家族で共用しない。
- 症状が良くなるまで無理をせず休む。
- 自己判断で下痢止めや吐き気止めを使わず、薬局や医師に相談する。特に血便や高熱があるときは注意する。
医療治療
医療機関では、脱水の程度をみながら水分と塩分の補給を行います。飲めない場合は点滴を使うことがあります。細菌による食中毒で重症の場合、医師の判断で抗菌薬(細菌をやっつける薬)が使われることがありますが、すべての人に必要ではありません。薬の種類や量は医師が決めます。
手術が検討される場合
手術が必要になることはほとんどありません。腸に穴が開くなど重い合併症が起きた場合に限られ、まれです。
この病気と共に生きる
症状が落ち着くまでは、水分をこまめにとり、無理に普段の食事や仕事に戻さないことが大切です。下痢や嘔吐が続いている間は、家族への感染を防ぐため手洗いと清掃を丁寧に行いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 石けんと流水で手を洗う。特にトイレの後、調理の前、食事の前。
- 生肉と野菜、加熱済み食品でまな板や包丁を分ける。
- 食品は適切な温度で保存し、長く室温に置かない。
- 残り物は早めに冷蔵し、食べる前に十分に温める。
- 体調が悪いときは、食品を扱う仕事や料理を避ける。
- 海外では水道水や氷、生ものに注意する。
食事と運動
回復期は、おかゆ、スープ、柔らかく煮た野菜など、消化のよいものを少量ずつ試します。油っこいもの、刺激の強いもの、アルコールやカフェインは、症状が落ち着くまで控えめにしましょう。運動は、吐き気や発熱がない程度に戻してからで十分です。
精神的健康と心の健康
食中毒になると、急な嘔吐や下痢で不安になったり、仕事や育児ができないことでストレスを感じたりすることがあります。多くは一時的なものです。強い不安や気分の落ち込みが続くときは、医療機関や地域の相談窓口に相談してください。
予防
はい。手洗い、食品の加熱、適切な保存、調理器具の使い分けで、家庭での食中毒のリスクを大きく減らせます。厚生労働省も「食中毒予防の三原則」として、菌をつけない、増やさない、やっつけることを呼びかけています。
ワクチン
一般的な食中毒を防ぐワクチンはありません。特定の感染症にはワクチンがありますが、必要性や対象は医師に相談してください。
検診プログラム
健康な人が定期的に受ける食中毒の検査はありません。繰り返すおなかの不調や海外渡航前の相談は、医療機関で相談してください。
合併症
治療しない場合
- 脱水(体の水分が足りなくなること)と電解質(体に必要なミネラル)の乱れ
- 腎臓への負担や、まれに腎臓の機能が悪くなること
- 重症の細菌感染が広がること
- 腸に穴が開くなど、まれな腸の合併症
- 長引く下痢による体力低下や栄養不足
長期的な見通し
ほとんどの人は、水分をとって休むことで数日以内に良くなります。早めに医療機関に相談すれば、脱水や重い合併症も防ぎやすくなります。安心して回復を待ちましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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