里親制度(フォスタリングケア)
概要
里親制度は、さまざまな事情で実の家族と暮らせない子どもを、一定の期間、里親家庭などで安全に育てる仕組みです。病気ではありません。子どもの安全と安定した生活を守り、大人との信頼関係を育てるための社会的な支援です。日本では、都道府県や政令市、児童相談所が中心になって、里親家庭と子どもをつなぎ、支援します。
重要な事実
- 里親には、一定期間育てる養育里親、専門的な支援が必要な子どものための専門里親、親族が担う親族里親、養子縁組を目指す里親などがあります。
- 里親制度の目的は、子どもが安心できる大人と暮らし、学校や地域とのつながりを保ちながら成長できるようにすることです。
- 里親家庭にも、子どもの健康面・心の面・発達面を支えるために、医師、看護師、心理士、学校、児童相談所などの連携が必要です。
決してまれなことではありません。日本でも、虐待やネグレクト、家庭の困難などにより、里親家庭や児童養護施設で暮らす子どもがいます。件数や状況は年度や地域で変わるため、詳しくはお住まいの自治体や児童相談所に確認できます。
主に0〜18歳の子どもと、その家族、兄弟姉妹、里親家庭が関係します。里親は、年齢や婚姻の有無、実子の有無にかかわらず、研修や要件を満たした人が担うことができます。高齢の里親や親族里親の場合は、自分の健康管理も大切です。
症状
- 意識がない、呼吸が苦しい、けいれんが続くなど、命に関わる症状があるときは119番に連絡してください。
- 子どもや自分が今にも暴力を受ける危険があるときは、警察(110番)または119番に連絡してください。
- 自殺しようとしている、自傷が止まらないなど、命に関わる危険があるときは119番に連絡してください。
- ⚠虐待やネグレクト(必要な世話がされていない状態)が疑われるときは、児童相談所や警察へ相談してください。
- ⚠子どもの不安や不眠が強く、食事が取れない、日常生活が保てないとき。
- ⚠里親家庭での養育が難しくなり、子どもの安全が保てないと感じるとき。
- ⚠高熱が続く、脱水が疑われる、けがをしたなど、当日の受診が必要な体の不調があるとき。
一般的な症状
- 里親制度は病気ではないため、ここに挙げるのは「症状」ではなく、子どもや里親家庭に支援が必要なサインです。
- 落ち着きのなさ、眠りにくさ、食欲の変化など、生活のリズムが乱れることがあります。
- 急な不安、赤ちゃん返り、かんしゃく、涙もろさなど、気持ちの波が大きくなることがあります。
- 学校に行き渋る、友人関係で悩む、集中しにくいなど、学校生活の変化として表れることがあります。
- 頭痛や腹痛など、体の不調として気持ちのつらさが表れることもあります。
子供の症状
- 乳幼児では、夜泣き、食事のむら、人見知りの強さ、甘えが強くなるなどの変化が見られることがあります。
- 学童期では、忘れ物が多い、集中しにくい、攻撃的になる、引っ込み思案になるなど、さまざまな形で表れます。
- 思春期では、自己否定、孤立、リストカットなどの自傷、友人関係のトラブルとして表れることがあります。
- 新しい環境に慣れるまで時間がかかるのは自然なことです。急がず、安心できる関わりを重ねることが大切です。
高齢者の症状
- 高齢の里親や親族里親では、疲れやすさ、睡眠不足、腰痛など、自分の体の不調が目立つことがあります。
- 子育てと介護、仕事の両立で孤立感を感じることがあります。
- 持病の悪化や通院の負担が大きくなったときは、早めに支援者へ相談してください。
原因
主な原因
- 虐待やネグレクト、家庭内暴力など、子どもが家庭で安全に暮らせない状況。
- 親の病気・入院、心の不調、依存の問題などで、子どもを育てることが難しい状況。
- 別居・離婚、住まいや経済の困窮、家族の孤立など、家庭の負担が大きい状況。
- 親の死亡や行方不明など、子どもを支える大人が一時的にいなくなる状況。
リスク要因
- 子ども自身の障がいや発達の特性、過去のつらい体験(トラウマ)があること。
- 家族が地域から孤立し、相談できる人や支援が少ないこと。
- 里親家庭の疲労、経済的な負担、サポート不足、自分の健康問題。
- 転居や転校など、環境の変化が重なること。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 命に関わる症状、けが、意識の変化、呼吸の苦しさがあるとき。
- 自傷や自殺の危険があるとき。
- 虐待やネグレクトが疑われ、子どもの安全が心配なとき。
- 食事や睡眠が取れず、日常生活が保てないとき。
- 里親自身が子どもを傷つけてしまいそうで怖いと感じるとき。
定期受診を予約すべき場合:
- 里親家庭に来た直後の健康チェックを受けたいとき。
- 発達、行動、学習、友達関係の心配があるとき。
- 予防接種、歯科、視力、聴力の確認が必要なとき。
- 里親自身の疲れ、睡眠、持病の管理について相談したいとき。
- 実の家族との面会や今後の生活について、医療面から整理したいとき。
診断
里親制度は病気ではないため、医学的な「診断」はありません。子どもが里親家庭で暮らす必要があるかどうかは、児童相談所などが子どもと家族の状況をアセスメント(情報を整理して見立てること)して決めます。医師は、健康面・発達面・心の面から支援します。
行われる可能性のある検査
- 健康診査(身長・体重・血圧・診察など)
- 発達の確認や発達検査
- 心理面接や心の状態の聞き取り
- 学校や支援者からの情報整理
- 予防接種歴の確認
- 歯科・視力・聴力の検査
診察で予想されること
子どもには、年齢に合ったわかりやすい言葉で説明します。話した内容は秘密が守られ、必要に応じて通訳や支援者が入ります。検査や面談の前に、何のために行うのかを説明し、同意を得ながら進めます。
治療
里親制度そのものは治療ではありません。安全で安定した暮らし、子どもと里親への支援、教育・医療・福祉の連携が中心です。必要に応じて、心のケア、発達支援、学校支援、家族への支援を組み合わせます。
自宅でのセルフケア
- 決まった時間に寝起きし、食事や入浴のリズムを整える。
- 子どもの気持ちを否定せず、まずは聞く。
- 予定や変更は、前もってわかりやすく伝える。
- 里親自身の休息や眠る時間を確保する。
- 通院や予防接種、アレルギーなどの健康記録を一か所にまとめる。
- 困ったときは早めに児童相談所やかかりつけ医に相談する。
医療治療
必要に応じて、小児科や心の専門家、心理士、発達支援、家族支援などのサポートを受けます。トラウマ(つらい体験による心の傷)に配慮した関わりが大切です。薬が必要かどうかは、医師が一人ひとりの状況をみて判断します。特定の薬を自分で試したり、人から勧められたりしないでください。
この病気と共に生きる
学校、病院、児童相談所、里親支援の窓口との連絡をこまめにとり、子どもの予定をわかりやすく整理します。実の家族との面会や連絡の調整、進路や自立に向けた準備、書類の管理も大切です。完璧を目指さず、支援者と役割を分け合いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠と食事を心がける。
- 外遊びや散歩など、無理のない体の活動を取り入れる。
- 画面を見る時間を決め、寝る前は静かに過ごす。
- 学校や地域の居場所、習い事や趣味につながる。
- 里親同士の集まりや支援者との相談の時間を確保する。
- 里親自身の通院や休息の予定も、家族の予定として大切にする。
食事と運動
バランスのよい食事と、無理のない運動、十分な睡眠が基本です。食べられない時期や偏りが強いときは、無理に決めつけず、かかりつけ医や栄養の専門家に相談してください。食事を罰やごほうびとして使うことは避け、安心して食べられる環境を整えましょう。
精神的健康と心の健康
子どもは、喪失感、不安、怒り、混乱などを抱えることがあります。里親も、疲れ、悲しみ、罪悪感、孤立感を感じることがあります。助けを求めることは弱さではありません。もし自分や子どもの命に関わる考えがあるときは、すぐに119番、警察(110番)、地域の救急外来に連絡してください。一人で抱え込まないでください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、家族への早期支援、虐待やネグレクトの予防、経済・住まい・心の健康への支援によって、子どもが家庭で安全に暮らせる可能性を高めることができます。里親制度は、必要になったときの安全な受け皿として大切です。
ワクチン
日本の定期予防接種を年齢に応じて受けることが大切です。里親家庭に来たときは接種歴を確認し、不足があればかかりつけ医と相談してください。里親自身も、必要なワクチンについてかかりつけ医に相談しましょう。
検診プログラム
里親家庭に来た直後の健康診査、発達や心理面のスクリーニング、歯科・視力・聴力の確認、学校での様子の共有が役立ちます。高齢の里親は、持病の定期受診を続けてください。
合併症
治療しない場合
- 安定した大人との信頼関係が築きにくくなることがあります。
- 不安、抑うつ、行動の問題が強まることがあります。
- 学校に行きにくくなる、学習の遅れが目立つことがあります。
- 健康管理や通院が抜け落ちることがあります。
- 里親自身が疲れ果て、支援を続けることが難しくなることがあります。
長期的な見通し
里親家庭での安定した関係と、医療・福祉・教育の継続的な支援があれば、子どもは回復し、成長していくことができます。うまくいかない時期があっても、支援を調整しながら続けることが大切です。希望を持ちながら、一人で抱えずに進んでいきましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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