偏頭痛が頻繁な人に、脂の多い魚が役立つかもしれません
概要
偏頭痛(へんずうつう)は、「ただのひどい頭痛」ではなく、脳の神経の働きの変化によって起こる発作性の病気です。脈打つような痛みが数時間から数日続き、光や音がつらく感じたり、吐き気がしたりすることがあります。発作がないときは普段どおりに過ごせるのが特徴です。最近、さばやいわしのような脂の多い魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸が、偏頭痛の発作の回数を減らす助けになるかもしれない、という研究報告が話題になっています。ただしこれは研究の途中段階の話で、食事だけで偏頭痛が治るという意味ではありません。
重要な事実
- 偏頭痛は脳の神経の働きの変化によって起こる発作で、人によって引き金(トリガー)が異なります。
- 脂の多い魚に含まれるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)と偏頭痛の関係は研究が進みつつあり、「役立つ可能性がある」という段階です。 fishを食べれば必ず良くなる、という確かな証拠はまだありません。
- 食事の工夫はあくまで補助的なものです。発作時の対応や予防の治療は、かかりつけ医と相談して決めていくことが大切です。
偏頭痛は国内でもとてもよくみられる頭痛です。特に思春期以降の女性に多く、日常的に悩んでいる人は少なくありません。
子どもから高齢者まで、どの年代でも起こります。思春期ごろから増え、30〜40代の女性に多い傾向があります。家族に偏頭痛の人がいる場合は起こりやすいといわれています。
症状
- 突然始まった、今まで経験した中で最悪の激しい頭痛
- ろれつが回らない、手足の麻痺やしびれ、力が入らない
- 見えにくい、視野が欠ける、ものが二重に見える
- けいれんが起きた、意識がもうろうとしている、会話がかみ合わない
- 頭を強く打ったあとに始まった頭痛
- 発熱と首の硬さを伴う頭痛、何度も吐いて水分がとれない
- ⚠50歳以降で初めて経験する頭痛
- ⚠いつもの頭痛と比べて、痛み方や回数、場所が急に変わった
- ⚠横になると悪化する、せきや力んだときに強くなる頭痛
- ⚠1〜2週間かけてだんだん強くなってくる頭痛
- ⚠痛み止めを頻繁に使うようになり、かえって頭痛が増えている
一般的な症状
- ズキンズキンと脈打つような痛みが続く
- 頭の片側だけのことが多いですが、両側のこともある
- 歩く・階段の上り下りなど、体を動かすと痛みが強くなる
- 吐き気がする、嘔吐することがある
- 光や音、においがいつもよりつらく感じる
- 発作の前に、目の前がチカチカする・ぎらぎらした光が見えるなどの前兆(ぜんちょう)が出ることがある
- 発作中は集中できず、仕事や家事を休みたくなる
子供の症状
- 痛みが続く時間が短く、数十分〜数時間で終わることがある
- 「頭が痛い」と言わず、お腹の痛み・吐き気・めまいが目立つことがある
- 原因がはっきりしない不機嫌、元気のなさ、顔色の悪さとして表れることがある
- 遊びや勉強を急にやめて、暗い静かな場所に行きたがる
高齢者の症状
- 50歳を過ぎてから初めて起こる頭痛は、他の原因がないか医師に相談しましょう
- 痛みを伴わず、目の前のチカチカした光や視野の欠けだけが起きることがある
- 痛みの感じ方や出方が若いころと変わったと感じたら、受診して相談しましょう
原因
主な原因
- 脳の神経の興奮と、頭の血管の拡がり・炎症が関係して発作が起こると考えられています
- 体質(遺伝的な傾向)が大きく関わっています
- 睡眠不足や寝すぎ、食事を抜く、水分不足、強いストレス、天気や気圧の変化、アルコール、特定の食品などが引き金になることがあります
- 女性では月経の前後など、ホルモンの変化に伴って起こりやすくなることがあります
リスク要因
- 家族に偏頭痛の人がいる
- 女性(ホルモンの変化の影響を受けやすい)
- 睡眠のリズムが乱れている、ストレスが多い
- 食事を抜く、水分が足りない、カフェインの量が大きく変わる
- 喫煙、アルコールの飲みすぎ
- 痛み止めの使いすぎ(かえって頭痛を増やすことがあります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい頭痛、手足の麻痺、言葉が出にくい、視野の異常、けいれん、意識の変化があるときは、ためらわず救急(119)を呼んでください
- 頭を打ったあとの頭痛、発熱と首の硬さを伴う頭痛も、すぐに受診が必要です
- 50歳以降で初めての頭痛、頭痛の様子が急に変わったときは、その日のうちに医療機関へ相談しましょう
定期受診を予約すべき場合:
- 頭痛で仕事や学校を休むことが増えた
- 月に何度も痛み止めを使っている
- 市販薬が効きにくくなってきた、使う回数が増えている
- 頭痛が起きる前に決まった症状(目のチカチカなど)が出る
- 生活の工夫をしても発作の回数やつらさが減らない
診断
偏頭痛の診断は、主に医師の問診で行われます。いつ・どんなふうに痛むか、どのくらい続くか、吐き気や光のまぶしさがあるか、発作の前に決まった症状があるかなどを、国際的な診断の目安に沿って聞き取ります。頭痛ダイアリー(いつ、どんな状況で痛くなったかを記録したもの)があると診断の助けになります。あわせて神経の診察を行い、必要に応じて他の病気がないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 問診(発作の回数・場所・痛み方・続く時間・伴う症状の確認)
- 神経の診察(手足の動き、感覚、目の動き、反射など)
- 頭痛ダイアリーの確認
- 必要に応じて頭部の画像検査(CT・MRI)。ただし警告となる症状がない場合、通常は必須ではありません
- 必要に応じて血液検査など、他の原因を調べる検査
診察で予想されること
初めての受診では、20〜30分ほどかけて話を聞かれることが多いです。頭痛が起きた日時、そのときの状況(睡眠・食事・ストレス・天気など)、使った薬とその効果をメモして持っていくと、話がスムーズに進みます。診断がつくまでに何度か通院して経過を見ることもあります。
治療
偏頭痛の治療は、大きく2つに分かれます。1つは発作が起きたときの痛みをやわらげる治療、もう1つは発作の回数やつらさを減らす予防の治療です。加えて、睡眠や食事などの生活の工夫を組み合わせることで、より効果が出やすくなります。脂の多い魚などの食事の工夫は、こうした治療を補助するものとして位置づけられています。
自宅でのセルフケア
- 頭痛ダイアリーをつけて、自分の引き金(トリガー)を見つける
- 毎日ほぼ同じ時刻に寝起きし、睡眠時間を確保する
- 水分をこまめにとり、食事を抜かない
- 発作の兆しを感じたら、早めに暗く静かな場所で休む
- 痛む部分を冷やす、または温めてみて、楽なほうを試す
- ストレスをためないよう、呼吸をゆっくり整える・軽い運動などの方法を持つ
- アルコールは控えめにし、カフェインの量を急に変えない
- 市販の痛み止めは使いすぎに注意し、回数が増えていると感じたら医師・薬剤師に相談する(自己判断で量を増やさない)
医療治療
医師は、発作が起きたときの痛みをやわらげる薬と、発作の回数や強さを減らすための予防の薬を、症状や生活スタイルに合わせて選びます。予防の薬は、飲み始めてから効果を判断するまで数か月かかることが多く、合う・合わないは人によって異なります。薬は自己判断で中止したり量を変えたりせず、気になることがあれば医師や薬剤師に相談してください。また、痛み止めを使いすぎると、かえって頭痛が増える「薬の使いすぎによる頭痛」が起こることがあるため、使用の頻度についても一緒に確認していきます。
手術が検討される場合
偏頭痛そのものに対する手術が一般的な治療として行われることはありません。
この病気と共に生きる
偏頭痛とは長く付き合っていくことになることが多いので、「発作が来たときにどうするか」をあらかじめ決めておくと安心です。予定を詰め込みすぎない、発作時に休める場所を確保する、痛み止めを携帯する、家族や同僚に事情を伝えておくといった備えが役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 寝る時間・起きる時間をそろえ、休日の寝だめはほどほどにする
- 朝昼夕の食事を抜かない
- こまめに水分をとる
- 強いにおいやまぶしい光など、自分がつらいと感じる環境を避ける工夫をする
- 無理のない範囲で体を動かす習慣を持つ
- 喫煙を避け、アルコールは控えめにする
- 発作の記録を続け、変化を医師と共有する
食事と運動
さば、いわし、さんま、さけなどの脂の多い魚には、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が多く含まれます。研究では、こうした魚を多く食べたグループで偏頭痛の日数が減ったという報告があり、食事の工夫が役立つ可能性が示唆されています。ただ、研究の規模はまだ大きくなく、すべての人に同じように効くとは限りません。魚が苦手な場合は、無理に食べる必要はありません。サプリメントでとる場合は、飲んでいる薬との関係やとりすぎの心配があるため、必ず医師や薬剤師に相談してください。あわせて、野菜・果物・全粒穀物などを含むバランスのよい食事と、ウォーキングなど無理のない運動を続けることが、体調全体の安定につながります。
精神的健康と心の健康
偏頭痛が頻繁に起こると、不安や気分の落ち込み、眠りにくさを感じることがあります。これは珍しいことではなく、頭痛と心の状態は互いに影響し合います。つらさを一人で抱え込まず、かかりつけ医に気持ちの面も含めて話してみてください。もし自分を傷つけたい気持ちが浮かんだり、気持ちが追い詰められて抜け出せないと感じたりしたときは、すぐに医療機関や地域の相談窓口に連絡し、緊急の場合は119番で助けを求めてください。
予防
偏頭痛を完全になくすことは難しいですが、発作の回数やつらさを減らすことはできます。自分の引き金を避ける、睡眠や食事のリズムを整える、医師と相談して予防の治療を続ける、といった積み重ねが効果的です。脂の多い魚を含むバランスのよい食事も、体調を整える工夫のひとつとして取り入れてみるとよいでしょう。
検診プログラム
偏頭痛そのものを早期に見つけるための決まった健診はありません。ただし、健康診断などで血圧や生活習慣を定期的に確認しておくことは、頭痛の背景にある他の問題に気づく助けになります。
合併症
治療しない場合
- 発作の回数や続く時間が増え、日常生活への影響が大きくなることがある
- 痛み止めの使いすぎで、かえって頭痛が悪化することがある
- 睡眠や仕事・学業のパフォーマンスに影響が出ることがある
- 不安や気分の落ち込みが強まることがある
- 月に15日以上頭痛がある「慢性偏頭痛」に移行することがある
- 前兆のある偏頭痛では、喫煙や一部のホルモン薬との組み合わせで脳卒中のリスクがわずかに上がるといわれているため、医師に生活習慣も伝えて相談すると安心です
長期的な見通し
偏頭痛は付き合い方を見つけられる病気です。引き金を知り、生活を少し整え、必要なら治療を続けることで、発作の回数やつらさを減らせた人はたくさんいます。脂の多い魚のような食事の工夫も、そうした取り組みの一つとして試してみてください。焦らず、かかりつけ医と一緒に自分に合う方法を探していきましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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