子どもの皮膚の真菌感染症(カビによる皮膚病気)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
真菌(カビ)は、皮膚の一番外側の角質層(皮膚の表面の古い細胞が重なった層)に感染して炎症やかゆみを起こします。子どもによく見られるのは、白癬菌(はくせんきん)というカビによる「たむし(体部白癬)」や「しらくも(頭部白癬)」などです。感染力はありますが、きちんと治療すれば治りやすい病気です。
重要な事実
- 真菌(カビ)は、皮膚の角質(かくしつ)に住み着いて増えます。
- 高い湿度と温かさで増えやすくなるため、夏場や汗をかいた後に多く見られます。
- 感染した人や動物との接触、タオルや衣服の共有でうつることがあります。
- じっとしているとかゆみが強くなることがありますが、掻きすぎると悪化します。
- 医師の診断と適切な治療で、通常は数週間〜数か月で改善します。
はい、とても一般的な皮膚の感染症です。特に小学生ぐらいの子どもで、体や頭に円形の赤い発疹が出るケースが多く見られます。
子ども全般に見られますが、とくに学校やスポーツクラブで集団生活をする子ども、ペットを飼っている家庭の子どもに多い傾向があります。
症状
- 発疹が急に広がり、赤く腫れて熱を持つ。
- 発疹から膿や黄色い汁が出る。
- 高熱が出る。
- 全身にじんましんのような広い赤みが短時間で広がる。
- 呼吸が苦しい、顔が腫れるなどアレルギー反応が疑われる場合。
- これらは緊急です。すぐに119番で救急車を呼ぶか、救急外来に連絡してください。
- ⚠かゆみがとても強く、夜も眠れない。
- ⚠発疹が急速に広がっている。
- ⚠掻きすぎて傷になり、化膿(のう)している、または痛みが出てきた。
- ⚠頭髪が急に抜けて円形の脱毛が見られる。
一般的な症状
- 赤い輪っか状(リング状)の発疹が出る。縁が盛り上がり、中心は比較的きれいなことがあります。
- かゆみがある。
- 皮がむける、かさかさする。
- 少し盛り上がったブツブツや水ぶくれができることがある。
- 体のどの部分にも起こり得るが、特に首・わきの下・股(そけい部)など湿りやすい場所に多い。
子供の症状
- 頭にしらくも(頭部白癬)が出ると、フケが出たり、頭皮が赤くなったり、髪の毛が切れたり抜けたりすることがあります。
- 小さな子どもはかゆみをうまく伝えられず、頭を掻いたり、いらいらしたりすることがあります。
- 頬や腕など露出している部分に円形の発疹ができやすいです。
高齢者の症状
- 高齢者では足の爪(爪白癬)や足の裏(水虫)が長く続いたり、皮膚がパサパサと厚くなったりすることがあります。
- 体にできる場合は、子どもと似たリング状の発疹が見られますが、かゆみが弱いこともあります。
原因
主な原因
- 白癬菌(はくせんきん)などの真菌(カビ)が皮膚の角質層に入り込むことで起こります。
- 人から人へ:感染者と直接触れたり、タオル・枕・ヘアブラシなどを共有したりしてうつります。
- 動物から人へ:犬や猫などのペットが白癬菌を持っていると、触れた子どもに感染することがあります。
- 土や風呂場などの湿った場所にいる真菌が、肌の小さな傷から入っても感染することがあります。
リスク要因
- 高温多湿の環境(特に夏)
- 汗をかいたままにしている
- タオルや衣類などを家族や友だちと共有する
- スポーツで肌が触れ合う機会が多い
- ペットを飼っている
- 爪を噛む癖や皮膚の乾燥で、肌に傷ができやすい状態である
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発疹が1週間以上続く、または良くなったり悪くなったりを繰り返す。
- 発疹が大きくなる、数が増える、他の家族にもうつる。
- 頭皮にフケや脱毛があり、上からかさぶたのようなものが見える。
- かゆみで眠れないほどつらい。
- 膿が出る、腫れる、痛むなど細菌感染の兆候がある。
定期受診を予約すべき場合:
- 円形の発疹が数日前からあり、だんだん目立つようになってきた。
- ペットと触れ合った後に発疹が出た。
- 水虫のような白いふやけた皮膚が指の間にできた。
診断
医師はまず、発疹の形や場所を目で確認します。多くの場合、皮膚の一部をそぎ取って顕微鏡でカビの有無を調べる「顕微鏡検査」で診断を確定します。
行われる可能性のある検査
- 皮膚をそぎ取る検査(小さな痛みを伴うことがありますが、すぐ終わります)
- スライドガラスに皮膚を乗せてカビを染色・観察します。
- 白癬菌の種類によっては、培養検査(菌を育てる検査)を行うことがあります。
- 頭髪に生じた場合は、抜いた髪の毛を検査することもあります。
診察で予想されること
診察は通常10〜15分程度です。学校や保育園を休む必要があるかどうかも、医師に相談してください。ほとんどの場合は、内服薬や塗り薬の処方となり、それほど時間はかかりません。
治療
治療の基本は抗真菌薬(カビの増殖を抑える薬)です。体の広い範囲や頭髪に感染がある場合は、塗り薬に加えて内服薬(のみ薬)を使うこともあります。皮膚の状態に合わせて、医師が治療法を決めます。
自宅でのセルフケア
- 患部をしっかり乾かす。入浴後はタオルで優しく拭き、湿気を避けます。
- かゆくても掻かずに、冷たいタオルで冷やすなどしてかゆみを和らげます。
- 患部を清潔に保ち、毎日新しい下着やタオルを使う。
- タオル、寝具、ヘアブラシなどを家族と共有しない。
- 病院から処方された薬を、症状が消えても医師の指示された期間は使い続ける。
- シャンプーや石けんは刺激の少ないものを使い、ゴシゴシ洗わない。
医療治療
治療には、抗真菌成分を含む塗り薬(クリームや軟膏)が一般的に使われます。頭部や爪に感染がある場合、内服薬が使われることもあります。薬の種類や使い方は医師が症状や年齢・体の状態に合わせて決めますので、自己判断で市販薬を使って中止したりせず、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
真菌感染症では、通常手術は必要ありません。爪の感染が非常に厚くなり、薬が届きにくい場合に、医師が爪の一部を削ったり、取り除いたりすることがありますが、手術というほどの大きな処置ではありません。
この病気と共に生きる
普段の生活では、患部を清潔で乾燥した状態に保つことが大切です。入浴後はタオルを清潔なものに取り替え、下着や靴下も毎日交換しましょう。痒みが強いときは、爪を短く切り、掻く代わりに冷やして対応すると良いです。
生活習慣のアドバイス
- 通気性のよい綿の服を選ぶ。
- スポーツの後はすぐにシャワーを浴び、汗を流す。
- プールや銭湯の後は、よく拭いて乾かす。
- ペットを飼っている場合は、動物の皮膚も定期的に動物病院で健康チェックする。
- 家庭内での感染を防ぐため、家族全員が自分のタオルを使う。
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスの良い食事を心がけ、皮膚の抵抗力を高めましょう。運動後は汗を拭き取り、シャワーを浴びて皮膚を清潔に保つことが大切です。
精神的健康と心の健康
発疹が広がったり、うつしてしまうのではと心配になることもあるかもしれませんが、治療で完治することがほとんどです。子どもが周囲から変な目で見られないよう、学校や保育園に適切な説明をして、理解を得ることも安心につながります。
予防
完全に予防するのは難しいですが、日頃から皮膚を清潔にし、乾燥させることが感染リスクを減らします。タオルやブラシを共有しない、ペットの皮膚の異常に早く気づくことも大切です。
ワクチン
真菌感染症を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
特に決まった検診はありません。気になる発疹があれば、早めに皮膚科を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 感染が広がって、体の広い範囲に発疹が及ぶことがあります。
- 掻き続けると細菌が二次感染し、とびひ(伝染性膿痂疹)や化膿を起こすことがあります。
- 頭部の感染は、毛根を傷つけて永久に髪が抜ける跡を残すことがあるため、早めの治療が必要です。
- 爪の感染が長引くと、爪が厚く変形してしまうことがあります。
長期的な見通し
適切な治療を受ければ、ほぼすべての真菌皮膚感染症は治ります。治療期間は数週間から数か月かかることがありますが、医師の指示を守り、途中でやめなければ、きれいな皮膚に戻ることがほとんどです。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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