高齢者の皮膚真菌症(皮膚のカビ)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
皮膚真菌症は、カビ(真菌)が皮膚の湿った部分や弱った部分に増えて起こる感染症です。高齢者の皮膚は乾燥しやすく、免疫力も低下しがちなため、真菌がつくと治りにくくなります。しかし、適切な治療をすれば、多くの場合よくよくなります。
重要な事実
- 真菌症は人から人へ、あるいは共用のタオルや床などを通じてうつることがあります。
- かゆみがなくても、赤みや皮膚の落ち屑が続く場合は受診の目安です。
- 治療は数週間から数か月必要になることがありますが、医師の指示を守れば再発を防げます。
はい、高齢者ではとても一般的な皮膚のトラブルです。特に足の指の間(水虫)、爪、股間などに発生しやすくなります。
高齢者全体に見られますが、糖尿病の方、免疫力が低下している方、長く寝たきりで過ごす方、皮膚が弱くなっている方は特にかかりやすくなります。
症状
- 高熱が出て、皮膚の赤みが急速に広がる場合:すぐに119番で救急車を呼んでください
- 激しい痛みや腫れ、膿が見られる場合:すぐに119番で救急車を呼んでください
- 呼吸が苦しい、意識がもうろうとするなど全身状態が悪い場合:すぐに119番で救急車を呼んでください
- ⚠皮膚の赤い部分に膿(うみ)が出る
- ⚠強い痛みや腫れが現れる
- ⚠症状が急に悪化した
一般的な症状
- かゆみ(ただし高齢者ではかゆみを感じにくいこともあります)
- 赤い発疹
- 皮膚が粉をふいたような落ち屑
- 皮膚のひび割れ、ふやけ、白色化(特に指の間)
子供の症状
- 子どもでは、顔や頭皮に赤い輪のような形の皮疹が出ることが多く、かゆみが強いのが特徴です。
高齢者の症状
- 高齢者ではかゆみが弱い、またはまったくないこともあります。赤み、落ち屑、乾燥、ひび割れが主な症状で、足の裏・指の間・爪・股間に起こりやすいです。爪では、爪が厚く白や黄色に変色し、もろくなります。
原因
主な原因
- 真菌(白癬菌やカンジダなど)が皮膚の角質層で増えることで起こります。真菌は湿気や蒸れを好みます。
リスク要因
- 加齢による皮膚のバリア機能の低下
- 汗・湿気・尿失禁などによる皮膚のしめり
- 糖尿病や免疫力の低下
- 不衛生なタオルや靴下の共有
- 寝たきりなどで皮膚の清潔を保ちにくい状況
- 副腎皮質ステロイド薬などによる治療
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚の赤みが急速に広がる、腫れや膿が出る、発熱がある場合は、その日のうちに医療機関を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- かゆみや落ち屑、赤みが数日間続いている
- 足の爪が厚くなったり、変色してきた
- ひび割れやふやけが治らない
- 家族に同じような皮膚症状がある方と接触した
診断
皮膚科では、まず医師が皮膚の状態を目で確認します。必要に応じて、皮膚の一部を削って真菌の有無を顕微鏡で調べる検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 皮膚の一部を薄く削り、顕微鏡で真菌を直接見る検査(KOH検査)
- 真菌を培養して種類を調べる検査
- まれに、皮膚の一部を採取して詳しく調べる生検
診察で予想されること
受診時は、症状がある場所を見せてください。検査のために皮膚を専用の器具で軽く削ることがありますが、痛みはほとんどありません。検査結果は当日または数日後にわかります。医師からは、日常生活で気をつけることや治療の計画が説明されます。
治療
治療は、真菌の増殖を抑える抗真菌薬を使用します。クリーム・軟膏・液剤などの外用药と、内服薬があります。症状の範囲や深さに応じて選ばれます。医師の指示に従い、症状が消えても一定期間は治療を続けることが再発を防ぐポイントです。
自宅でのセルフケア
- 患部を石鹸でやさしく洗い、清潔にしてしっかり乾燥させる
- タオル、靴下、スリッパ、くつは他の人と共有しない
- 通気性の良い綿素材の下着や靴下を選ぶ
- 爪は短く切り、ひび割れやまわりの皮膚を傷つけない
- かゆみがあるときは、掻かずに冷やすなどして対処し、市販のステロイド外用薬をむやみに使わない
医療治療
皮膚科では、抗真菌作用のある外用薬や内服薬が処方されます。外用药は毎日決められた回数・量を塗ります。内服薬は、外用薬だけでは治りにくい爪の真菌症や広い範囲の感染症に用います。治療期間は数週間から数か月で、爪の場合は数か月以上の継続が必要なこともあります。使用量や期間は医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
真菌皮膚感染症の治療で手術が必要になることは通常ありません。
この病気と共に生きる
毎日の生活の中で、皮膚を清潔で乾燥した状態に保つことが大切です。入浴後は綿のタオルでよく拭き、特に指の間・股間・脇などを念入りに乾燥させましょう。洗濯は衣類を清潔にし、タオルはこまめに交換してください。
生活習慣のアドバイス
- 入浴時はナイロンタオルなどでこすりすぎず、やさしく洗う
- 靴は一日置きに履き替え、乾燥させてから使う
- 下着や靴下は毎日新しいものに替える
- 汗をかいたらすぐに着替える
- 糖尿病のある方は血糖管理を意識した生活を送る
食事と運動
栄養のバランスのよい食事と、無理のない範囲での運動は免疫力を支えます。特に血糖値の高い方は真菌が増えやすいため、医師の指導に沿って血糖値をコントロールしましょう。水分をしっかりとり、体を動かして皮膚の血流を保つことも役立ちます。
精神的健康と心の健康
皮膚の症状は見た目が気になったり、かゆみやにおいなどのために人と会うのが恥ずかしいと感じたりすることがあります。しかし、皮膚真菌症は適切に治療すれば改善する病気です。ひとりで悩まず、医師や家族、友人に相談してください。介護を受けている方は、介護者にも気持ちを伝えましょう。
予防
完全に防ぐ方法はありませんが、皮膚を常に清潔で乾燥した状態に保つことで、真菌の増殖を抑えられます。また、タオルや靴などを共用しないことも予防に役立ちます。
ワクチン
皮膚真菌症を予防するワクチンは現在ありません。
検診プログラム
毎年かならず受けるべき検診はありませんが、皮膚に気になる症状があれば、早めに皮膚科を受診することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 症状が体のほかの部位(爪、股間、体幹など)に広がる
- 皮膚のひび割れから細菌が入り、二次的な細菌感染(とびひ、蜂窩織炎)を起こす
- 高齢者では症状が重くなり、入院が必要になることもある
長期的な見通し
きちんと診断・治療を行えば、多くの皮膚真菌症は数週間から数か月で改善します。爪の場合も、長期間の治療を続ければ改善が期待できます。再発を避けるために、症状が消えても医師の指示に従い、皮膚を清潔に保つことが大切です。希望を持って取り組みましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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