胆のう結石と胆のうの手術
概要
胆のうは、肝臓のすぐ下にある小さな袋です。肝臓でつくられた「胆汁(たんじゅう)」という消化液をためておき、食事のときに腸へ送り出して、脂肪の消化を助けます。胆のう結石(たんのうけっせき)は、この胆汁の中の成分が固まって、石のようなかたまりができる状態です。石は砂粒ほどの小さなものから、数センチのものまであります。胆のうの中にできることが多いですが、胆汁の通り道(胆管=たんかん)に落ちてつまることもあります。
重要な事実
- 成人の数%から10%ほどの人が胆のう結石を持っているといわれ、とても多い病気です。
- 多くの人は症状がなく、健康診断の腹部エコー(超音波)検査で初めて見つかります。
- 石があっても必ず手術が必要なわけではありません。痛みなどの症状を繰り返す場合に、胆のうを取る手術が検討されます。
はい、とてもよくある病気です。日本を含む多くの国で、成人のおよそ数%から10%前後が胆のう結石を持っていると報告されています。年齢とともに増え、女性に多い傾向があります。
40歳以上の方、とくに女性に多くみられます。ほかに、肥満の方、急に体重を落とした方、長時間食事をとらない習慣のある方、妊娠中の方、家族に胆のう結石の人がいる方、糖尿病や脂質異常症のある方などに多いとされています。子どもにはまれで、小児の場合は血液の病気など別の背景が調べられることがあります。
症状
- お腹の激しい痛みで動けない、痛みがどんどん強くなる
- 高熱と、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)が同時にある
- 意識がもうろうとしている、会話がかみ合わない
- 冷汗、顔面蒼白、息苦しさ、手足の冷たさなど、ショックを思わせる症状
- ⚠右上腹部の痛みと38℃前後の発熱が一緒にある(胆のう炎の疑い)
- ⚠皮膚や白目が黄色くなってきた、尿が濃い茶色になる、便が白っぽくなる
- ⚠痛みが数時間以上続く、何度も吐いて水分がとれない
- ⚠食後に同じような痛みを繰り返している
一般的な症状
- みぞおちから右の肋骨の下にかけての痛み。食後、とくに脂っこい食事のあとに起こりやすい
- 痛みが右の肩や背中に広がる
- 吐き気、嘔吐
- お腹の張り、胃のあたりが重い感じ、ゲップが増える
- 発熱(胆のうに炎症が起きたとき)
子供の症状
- 子どもでは非常にまれです。
- 起こる場合は、血液の病気(赤血球が壊れやすい状態)や急な減量、遺伝的な体質が関係することがあります。
- 小さい子どもは痛みを言葉で伝えにくいため、繰り返す腹痛や嘔吐、食欲のなさとして気づかれることがあります。
高齢者の症状
- 高齢の方では、痛みや発熱がはっきり出ないことがあり、気づいたときには炎症が進んでいる場合があります。
- 「なんとなく元気がない」「食欲がない」だけでも、胆のうや胆管の炎症が隠れていることがあります。
- 持病のある方は重症化しやすいので、少しでも気になる症状があれば早めにかかりつけ医に相談してください。
原因
主な原因
- 胆汁の中のコレステロールが濃くなりすぎて固まる(コレステロール結石が最も多い)
- 胆汁の中のビリルビンという色素が固まってできる石(色素結石)
- 胆のうの動きが悪くなり、胆汁がたまりやすくなること
リスク要因
- 女性であること、40歳以上であること
- 肥満、とくに急激な減量や食事を抜く習慣
- 家族に胆のう結石の人がいる(体質の影響)
- 糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病
- 血液の病気で赤血球が壊れやすい状態
- 小腸の一部の病気や手術のあと
- 一部のホルモン剤の使用(気になる場合は医師に相談してください)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 右上腹部の強い痛みと発熱がある
- 皮膚や白目が黄色くなってきた、尿が濃い茶色、便が白っぽくなった
- 痛みが数時間以上やまない、水分がとれないほどの嘔吐がある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断や人間ドックで胆のう結石を指摘された
- 食後の胃の重さやもたれがときどき続いている
- 家族に胆のうの病気の人がいて心配
- 手術を勧められたが迷っている(別の医師の意見を聞くこともできます)
診断
問診と体の診察に加えて、腹部の超音波(エコー)検査が中心になります。痛みの場所や食事との関係を聞き、血液検査で炎症の有無や黄疸の程度を確認します。
行われる可能性のある検査
- 腹部超音波(エコー)検査:石の有無、胆のうの壁の厚さ、炎症の様子をみます
- 血液検査:炎症の数値、肝臓や胆管の状態、黄疸の程度を調べます
- 尿検査や便の色の確認
- 必要に応じてCT検査やMRI(胆管を映す撮影):石が胆管につまっていないかをみます
- 場合によっては内視鏡を使って胆管を調べる検査
診察で予想されること
多くは外来でエコーと採血を行い、その日のうちに、あるいは数日以内に結果を聞けます。手術が必要かもしれない場合は、消化器外科や外科のある病院を紹介されます。検査の前は食事を抜くように言われることがあります。
治療
症状のない結石は、多くの場合そのまま様子をみます。痛みの発作を繰り返す、炎症を起こす、石が胆管につまるといった場合に、胆のうを摘出する手術が検討されます。胆のうを取ることで、結石が再び痛みを起こす場所そのものをなくす治療です。
自宅でのセルフケア
- 脂っこい食事を一度にたくさん食べるのを控え、あぶらをとるなら少量ずつ
- 急激な減量や長時間の絶食を避け、3食を規則的にとる
- よく噛んでゆっくり食べ、食べ過ぎに注意する
- 水分をこまめにとる
- 痛みがあったときは、いつ・どんな食事のあと・どのくらい続いたかをメモしておく
- 禁煙と適正体重の維持
医療治療
症状があるときは、まず痛みや吐き気をやわらげる治療と、炎症がある場合の点滴・安静が行われます。炎症が強いときは入院して様子をみることもあります。結石そのものを溶かす薬や、石をこわす治療は、条件が限られる場合にだけ検討され、根本的な解決にはなりにくいとされています。現在の標準的な治療の中心は、症状を繰り返す結石に対する胆のうの摘出術です。薬の種類や量は医師が個別に判断しますので、処方について気になることは医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
次のような場合に手術が検討されます。痛みの発作を繰り返す/胆のうに炎症を起こした(胆のう炎)/石が胆管につまって黄疸や膵炎(すいえん)を起こしたことがある/胆のうの壁に変化がみられる、など。手術はお腹に小さな穴をあけて行う腹腔鏡下手術が一般的で、体への負担が少なく回復が早いとされています。状況によっては開腹手術が選ばれることもあります。手術後は胆汁が直接腸に流れるようになりますが、消化は問題なく行えます。しばらくは脂っこい食事でお腹がゆるくなることがありますが、多くの方は数か月で落ち着きます。
この病気と共に生きる
手術を受けない場合も、受けた場合も、毎日の食事のとり方が快適さに大きく関わります。食べたものと症状を軽く記録すると、自分に合うペースが見つけやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 3食を規則的に、少量ずつとる
- 脂っこい食事は量と頻度を控えめにする
- 適正体重を保つ。ただし極端なダイエットは避ける
- 散歩など軽い運動を無理のない範囲で続ける
- 飲酒はほどほどに
- 睡眠と休息をしっかりとり、ストレスをためない
食事と運動
脂っこいものを完全にやめる必要はありません。揚げ物や脂身の多い肉を毎日たくさん食べるのを避け、野菜や食物繊維を一緒にとるとよいといわれます。手術後しばらくは、あぶらの多い食事で下痢気味になることがあるので、少量ずつ試しながら体に合わせていきましょう。運動は散歩や軽い体操など、続けられるものを。急に体重を落とすと結石のリスクが上がるため、減量はゆっくり進めましょう。
精神的健康と心の健康
「石がある」と言われると不安になるものです。痛みの発作がいつ来るかわからない心配、手術への緊張、食事を楽しめなくなる寂しさなどを感じる方も多くいます。こうした気持ちは自然なことで、我慢する必要はありません。手術は一般的に行われる治療ですが、不安が強いときは遠慮なく医療者に質問してください。つらい気持ちが続くときは、一人で抱えずに医療者や信頼できる人に話してください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、生活の工夫でリスクを下げられる可能性があります。急激な減量を避け、適正体重を保ち、3食を規則的にとることが大切です。食物繊維をとり、脂っこい食事に偏らないことも役立つといわれます。
ワクチン
胆のう結石を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
症状がなくても、健康診断の腹部エコー検査で見つかることがあります。健診の機会を活用し、結果についてかかりつけ医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 胆のう炎:胆のうに炎症が起き、強い痛みと発熱が出ます
- 胆管炎:胆汁の通り道に炎症が広がり、発熱や黄疸が出ます。重症になることがあります
- 総胆管結石:石が胆管につまり、黄疸や痛み、発熱を起こします
- 膵炎:石が膵臓の出口をふさぎ、膵臓に炎症が起きることがあります
- まれですが、長く炎症を繰り返すことで胆のうの壁に変化が起こることがあります
長期的な見通し
胆のう結石はとても多い病気で、多くは落ち着いて付き合えるものです。症状がなければ経過を見守り、症状があれば手術という選択で、多くの方はその後ふだんどおりの生活に戻っています。気になる症状や不安があれば、早めにかかりつけ医に相談してください。
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最終更新: 2026年10月23日
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