ギャンブルによるお金の困りごと
概要
ギャンブルによるお金の困りごとは、パチンコ・競馬などの公営競技、スポーツベッティング、カジノ、オンラインの賭け事などにお金を使い続けた結果、生活費が足りなくなったり、借金が返せなくなったりする状態をいいます。大切なのは、これが「意志が弱い」とか「性格の問題」ではなく、健康の問題(ギャンブル障害)として治療や相談の対象になるということです。お金の問題は一人で抱え込むと悪循環になりやすいのですが、相談先につながることで立て直せる道はあります。
重要な事実
- ギャンブルで負けた分を取り返そうとすると、さらに借金が増える悪循環になりやすいです。
- お金の悩みは「借金の整理」と「ギャンブルをやめるための支援」の両方から考えるとうまくいきます。
- 借金の相談(消費生活センターや弁護士・司法書士など)と、心と体の相談は、同時に進めてかまいません。
とてもよくある悩みです。ギャンブルにお金を使いすぎて生活が苦しくなった経験のある人は少なくありません。スマートフォンからいつでも賭けられるようになり、若い人にも増えているといわれています。恥ずかしいことではありません。
年齢や性別を問わず、誰にでも起こりえます。男性に多いといわれますが、女性や高齢者、学生にもみられます。退職金や年金を一度に使ってしまう人、ゲームの課金にはまる若い人、うつや不安を抱えている人など、背景はさまざまです。
症状
- 自分を傷つけたい、死にたい気持ちが強い(ためらわず119番、または救急相談窓口へ)
- 借金の取り立てで暴力や脅迫を受けている、身の危険を感じる(警察への相談も検討してください)
- 強い不安や不眠で意識がもうろうとする、体調が急に悪くなった
- ⚠今日・明日の生活費がまったくなく、食べ物や住まいに困っている
- ⚠返済の期限が迫り、どうしても工面できない
- ⚠家族との関係が限界に近づいている、家を出る話になっている
- ⚠不安や不眠が強く、日常生活が保てない
一般的な症状
- 生活費が足りなくなる、給料日前にお金がなくなる
- 消費者金融やカードローンからの借り入れが増える、カードの限度額近くまで使う
- 公共料金や家賃の滞納がある
- 家族に内緒で貯金を崩す、物を売る、家族や友人からお金を借りる
- 借金を返すためにお金を借りる、または取り返そうとさらに賭ける
- ギャンブルやお金のことを考えると眠れない、不安で落ち着かない、イライラする
- お金の使い方について家族に隠す・嘘をつく
- 請求書や督促の連絡が来るのを避けてしまう
- 仕事や家事に集中できない、外出を控えるようになる
子供の症状
- オンラインゲームの課金や、友達との賭け事にお小遣いを使いすぎる
- 家のお金を持ち出す、家族に隠してお金を使う
- 課金や賭けの話を極端に隠す、問い詰められると強く反発する
- 学校での生活や友人関係が乱れる、生活リズムが崩れる
高齢者の症状
- 退職金や年金を短期間に大きく使ってしまう
- パチンコや公営競技に通う時間と金額が増える
- スマートフォンやオンラインの賭け事に新しく手を出す
- 貯蓄が減っていることを家族に言えない
- 孤独や不安、体調の変化を背景にギャンブルが増える
原因
主な原因
- ギャンブルの仕組み自体が「続けたくなる」ようにできている(たまに勝つ体験が強い刺激になる)
- ストレスや不安、退屈さから逃れるための手段になっている
- 負けた分を取り返そうとして、さらに賭けてしまう悪循環
- スマートフォンでいつでもどこでも賭けられる環境
- 収入が不安定、失業、大きな出費などの生活上の変化
- うつ、不安、衝動性の高さなど心の状態との関連
リスク要因
- 家族や身近な人にギャンブルを続けている人がいる
- 複数の借り入れ先があり、借りやすい環境にある
- 孤独や孤立を感じている、相談できる人がいない
- うつや不安、強いストレスを抱えている
- 衝動的に行動しやすい傾向がある
- 収入の減少や失業など、経済的な変化があった
- オンラインの賭け事に簡単にアクセスできる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 死にたい、消えたいという気持ちがある(すぐに119番や救急、地域の相談窓口へ連絡してください)
- 生活費がまったくなく、今日の食べ物や住まいに困っている
- 暴力や脅迫を受けている
- 眠れない、食べられない状態が続き、体調が悪化している
定期受診を予約すべき場合:
- ギャンブルをやめたいのにやめられないと感じる
- 借金や返済のことで強い不安が続いている
- 家族に隠しているお金のことがあり、誰かに整理してほしい
- 気分の落ち込みや不安が続いている
- まずはどこに相談すればよいかわからない
診断
専門の医師や相談員が、ギャンブルの頻度や使った金額、生活への影響、借金の状況、気分や睡眠の状態などを聞き取ります。診断名がつく場合もありますが、名前をつけることよりも「どんな支援が必要か」を一緒に考えることが目的です。お金の問題については、医療機関だけでなく、消費生活センターや自立支援の相談窓口でも相談できます。
行われる可能性のある検査
- 問診(ギャンブルの習慣、使った金額、困っていることを話す)
- 借金の全体を書き出して整理する(いくつ借りているか、返済額はいくらか)
- 気分や不安、睡眠に関する質問票や聞き取り
- 体の状態を確認するための血液検査など(必要な場合)
診察で予想されること
話を聞いてもらい、必要なら支援の方法を一緒に考える流れになります。責められることはありません。借金の整理は法律の専門家(弁護士・司法書士)や公的な相談窓口が担当することもあるので、医療とお金の相談は並行して進めてかまいません。
治療
治療は、大きく「ギャンブルとの関係を立て直すこと」と「お金の問題を整理すること」の二本柱です。話し合いを中心とした心理的な支援、家族を含めたサポート、自助グループなどのつながり、そして借金の整理を組み合わせていきます。どれか一つで解決しようとせず、少しずつ組み合わせていくのが現実的です。
自宅でのセルフケア
- 借金の全額と借り入れ先を、紙やノートに一度すべて書き出す(見たくない気持ちは自然ですが、整理の第一歩になります)
- オンラインの賭け事のアカウント削除、アプリの削除、入金できない設定など、環境を変える
- クレジットカードやキャッシュカードを、信頼できる家族に一時的に預ける
- 給料や年金の管理を、信頼できる人と一緒に行う
- ひとりで決めず、お金の相談窓口や医療機関に相談する
- 睡眠と食事をできるだけ整える。彻夜で考え込まないようにする
- ギャンブル以外の楽しみや、人と会う予定を意識してつくる
医療治療
医療機関では、話し合いを中心とした心理療法(考え方や行動のパターンを見直す支援)や、家族を含めた支援が行われます。気分の落ち込みや不安、衝動性が強い場合には、その状態に応じた治療が検討されることもあります。使う治療の種類や進め方は人によって異なるため、主治医とよく相談して決めていきます。この記事では具体的な薬の名前や量はお伝えしません。
手術が検討される場合
手術で治すタイプの問題ではありません。
この病気と共に生きる
お金の不安は、朝起きた瞬間から頭に浮かぶことがあります。まずは「今日返せる分」「今週やること(相談の電話を一本入れる、など)」に区切って考えると、気持ちが少し軽くなります。督促の連絡が怖いと感じるときは、一人で受けないようにするのも一つの方法です。
生活習慣のアドバイス
- 現金を持ち歩く量を決める、賭け事に使えるお金の入口をふさぐ
- 家計を週単位で簡単に記録する(細かくなくて大丈夫です)
- ギャンブルをしていた時間を、散歩や運動、人と話す時間に置きかえる
- 睡眠時間をできるだけ確保する
- アルコールは不安や衝動を強めることがあるので、飲みすぎに注意する
- 信頼できる人に、定期的に状況を話す場をつくる
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、不安が強い時期は食事が乱れがちです。決まった時間に簡単なものを食べること、1日10〜20分でも歩くことが、気分の安定に役立ちます。体を動かすと、ギャンブルへの衝動が少しやわらぐこともあります。
精神的健康と心の健康
ギャンブルの問題には、うつや不安、孤独感、自己嫌悪が伴いやすいといわれています。眠れない、気分が晴れない、自分を責めてしまう状態が続くときは、医療機関や相談窓口に話してください。もし「死にたい」「いなくなりたい」という気持ちが浮かんだら、その気持ちを一人で抱えず、すぐに119番や救急、地域の相談窓口、医療機関に連絡してください。あなたの命はとても大切です。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、リスクを下げることはできます。ギャンブルに使えるお金の入口をふさぐ環境づくり、ストレスや孤独への別の対処法を持つこと、家族や周囲が早めに気づいて声をかけることが役立ちます。子どもには、お金の使い方や「賭け事は儲かるものではない」ということを伝えておくとよいでしょう。
検診プログラム
特定の検査はありませんが、健診や相談の場で「お金の不安」「ギャンブルの悩み」を話してみることは大切です。家族や周囲が、借金や隠しごとの変化に気づいたら、責めずに相談先を一緒に調べてみてください。
合併症
治療しない場合
- 借金がさらに増え、返済が難しくなる
- 家賃や公共料金の滞納が続き、住まいを失うことがある
- 家族との信頼関係が崩れ、離れて暮らすことになる
- 仕事を失う、収入が大きく減る
- うつや不安が強くなり、心の健康を損なう
- 孤独が深まり、自分を傷つけたい気持ちが強まることがある
長期的な見通し
ギャンブルの問題は、支援につながることで良くなっていくことが多いといわれています。借金の整理には時間がかかりますが、相談先と一緒に順番に進めれば、生活を立て直すことは十分に可能です。早めに誰かに話すことが、いちばんの近道になります。
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最終更新: 2026年10月23日
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