壊疽(えそ)
概要
壊疽(えそ)は、体の一部の皮膚や組織に十分な血液が届かなくなり、その部分の細胞が死んでしまう状態です。血液は酸素と栄養を運ぶため、血流が悪くなると組織は生き続けられません。傷や感染がきっかけになることもあります。壊疽は命に関わることがある医療緊急症なので、疑わしい変化があれば早めに医療機関に相談してください。
重要な事実
- 血流が悪くなることが大きな原因で、糖尿病や動脈の病気がある方に起こりやすいです。
- 皮膚の色が黒・紫・緑などに変わる、強い痛みや感覚の低下、悪臭のある傷などが手がかりになります。
- 早く治療すれば助かる可能性が高くなります。自分で様子を見続けず、早めの受診が大切です。
壊疽は一般的な病気ではありません。まれですが、放置すると重くなるため、注意が必要です。
糖尿病、手足の血流が悪くなる病気、喫煙、高齢、免疫力が低下する状態、重いけがややけど、凍傷などがある方に起こりやすいです。子どもでは非常にまれです。
症状
- 皮膚の黒い変化や傷が急に広がる、激しい痛み、高熱、寒気、意識がぼんやりする、息苦しい、ぐったりする。このようなときは、ためらわず119番に電話してください。
- 傷口から悪臭が出て、皮膚の下でパチパチする感じや音がある。すぐに119番に電話してください。
- 手足が急に青白く冷たくなり、感覚がない、動かせない。すぐに119番に電話してください。
- ⚠足や手の傷が治らない、赤みや腫れが広がる、膿が出る
- ⚠糖尿病のある方で足の色の変化、水ぶくれ、感覚の低下、新しい傷ができた
- ⚠皮膚の一部が黒っぽい、冷たい、痛みが急に減った、感覚がおかしい
- ⚠発熱や寒気があるが、119番するほどではないと迷う
一般的な症状
- 皮膚の色が黒、暗い紫、青白、緑がかるなどに変わる
- 傷や足の指などに強い痛み、腫れ、熱感がある
- しびれや感覚の低下があり、触ってもわかりにくい
- 皮膚が冷たい、つやがない、硬くなる
- 水ぶくれ、ただれ、膿、悪臭のある分泌物がある
- 発熱、寒気、だるさ、気分が悪くなる
子供の症状
- 子どもでは非常にまれですが、重いけが、やけど、凍傷、重い感染症のあとに起こることがあります。
- 手足を痛がる、歩きたがらない、発熱、ぐったりする、傷の色や腫れが急に悪化する場合は早めに受診してください。
高齢者の症状
- 高齢者では糖尿病や血流の悪化が重なりやすく、足の傷や潰瘍(かいよう)から起こることがあります。
- 神経の障害で痛みを感じにくく、気づいたときには進んでいることがあります。足の色、傷、腫れを毎日見ることが大切です。
- 発熱や意識の変化など、全身の具合が悪くなることもあります。
原因
主な原因
- 血液の流れが悪くなる病気(動脈硬化などで手足の動脈が狭くなる)
- 重い感染症(傷からの細菌感染など)
- けが、やけど、凍傷、長時間の圧迫
- 糖尿病による神経障害と血流の悪化
- 血管のけいれんや血栓(血のかたまり)
リスク要因
- 手足の動脈の病気、心臓病、脳卒中の既往
- 免疫力が低下する病気や治療を受けている
- 透析を受けている
- 肥満、高血圧、脂質異常症
- 重いけが、やけど、凍傷、長時間の圧迫
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚の色が黒・紫・青白に変わった
- 傷が急速に広がる、悪臭がある、膿が出る
- 足や手が冷たく、感覚がない、動かしにくい
- 発熱、寒気、ぐったりする
- 糖尿病があり、足に新しい傷や水ぶくれができた
定期受診を予約すべき場合:
- 足の傷が数日たっても治らない
- 足の爪の変形、たこ、魚の目、皮膚の乾燥やひび割れが繰り返す
- 歩くとふくらはぎやすねが痛む、足が冷たい
- 糖尿病や動脈の病気があり、定期的な足のチェックを受けたい
診断
問診と診察で、皮膚の色、温度、痛み、脈、傷の状態を確認します。血液検査や画像検査で血流や感染の広がりを調べ、必要に応じて傷の分泌物や組織を調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(感染や体の状態を調べる)
- 超音波検査、X線、CT、MRI(血流や組織の状態を見る)
- 傷の分泌物の培養検査(細菌を調べる)
- 組織の一部を調べる検査(必要に応じて)
診察で予想されること
診察は急いで行われることが多く、入院や専門医への紹介が必要になる場合があります。痛みが強いときは、そのことをはっきり伝えてください。
治療
壊疽の治療は、死んでしまった組織をこれ以上広げないこと、感染を抑えること、血流を戻すことを目的に、できるだけ早く始めます。医療機関での処置が必要で、自宅だけで治すことはできません。
自宅でのセルフケア
- 医療者に指示された方法で傷を清潔に保ち、自分で無理に切ったり、薬を塗ったりしない
- 足の変化を毎日見て、色、傷、腫れ、感覚の変化を記録する
- 禁煙する。喫煙は血流を悪くします
- 糖尿病がある方は、医療者と相談しながら血糖値を管理する
- きつい靴や裸足を避け、足を守る
- 発熱や傷の悪化があれば、すぐに医療機関に連絡する
医療治療
感染を抑える薬、痛みを和らげる処置、傷の清潔な処置、血流を戻す治療、必要な場合は高気圧酸素治療などが行われます。治療内容は、壊疽の種類、場所、広がり、原因、全身の状態によって変わります。医師の説明をよく聞き、わからないことは質問してください。
手術が検討される場合
死んだ組織を取り除く手術、血流を戻す手術、感染を広げないための手術が行われることがあります。組織の一部を切除したり、場合によっては手足の一部を切断したりする必要があります。手術が必要かどうかは、担当医が検査結果と全身の状態をみて判断します。
この病気と共に生きる
治療後は、傷のケア、足の観察、リハビリテーションが大切です。義足や装具が必要になることもあります。日常生活でできることを少しずつ取り戻していきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- 足を毎日観察し、傷や色の変化を早めに相談する
- 裸足で歩かず、靴は足に合ったものを選ぶ
- 糖尿病、高血圧、脂質異常症などがある方は、医療者と相談して管理を続ける
- 定期的な診察と足のチェックを受ける
食事と運動
バランスのよい食事と、医療者に相談した範囲での運動は、血流や血糖値、体重の管理に役立ちます。足に傷があるときや治療中は、運動の前に必ず医療者へ相談してください。
精神的健康と心の健康
壊疽は体だけでなく、気持ちにも大きな負担をかけます。痛み、入院、手術、見た目の変化への不安や悲しみ、喪失感を感じるのは自然なことです。つらい気持ちが続くときは、一人で抱え込まず、医療者や家族、地域の相談窓口に話してください。差し迫った自傷の考えがある場合は、ためらわず救急(119)や医療機関に連絡してください。
予防
すべてを防ぐことは難しいですが、血流を守り、足の傷を早く見つけて治療することで、リスクを下げられます。
ワクチン
けがをしたときは、破傷風の予防接種歴を確認することが大切です。接種歴がわからないときは医療機関に相談してください。
検診プログラム
糖尿病や手足の動脈の病気がある方は、定期的な足の診察や血流の検査を受けることが勧められます。自治体の健診も活用してください。
合併症
治療しない場合
- 感染が全身に広がる(敗血症)
- 組織の死が広がり、手足の切断が必要になる
- 腎臓や肺など他の臓器に負担がかかる
- 命に関わることがある
長期的な見通し
壊疽は重い病気ですが、早く見つけて治療すれば、助かる方も多くいます。治療後のリハビリや足のケアを続けることで、日常生活を取り戻すことができます。不安なときは、担当医に今後の見通しを尋ねてください。
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最終更新: 2026年10月24日
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