アメーバ性腸炎(腸管アメーバ症)
概要
アメーバ性腸炎は、アメーバというとても小さな寄生虫の一種が腸に感染して、下痢や腹痛、血の混じった便などを起こす病気です。正式には「腸管アメーバ症」と呼ばれます。人から人へうつる感染症ですが、普通の接触ではうつりにくく、汚染された水や食べ物を口にすることなどで感染します。
重要な事実
- 原因は寄生虫の一種で、汚染された水や食べ物から口に入ることがあります。
- 血の混じった下痢や腹痛が続くことがありますが、症状が軽い人もいます。
- 診断には便の検査などが必要で、適切な治療で多くは回復します。
日本では日常的に多い病気ではありません。海外の流行地域への渡航や、衛生状態の良くない場所での飲食、特定の性行為などを通じて感染することがあります。
海外の流行地域に住んでいる人・旅行した人、流行地域から来た人、男性と性行為をする男性、衛生状態の悪い環境で生活する人などに多くみられます。子どもや高齢者も感染することがあります。
症状
- 意識がもうろうとしている、反応が鈍い
- 激しい腹痛で動けない、おなかが板のように硬い
- 大量の血便や下痢が止まらない
- 口が渇いて尿がほとんど出ない、立ちくらみがひどい(重度の脱水)
- ⚠血の混じった便が出る
- ⚠38℃以上の発熱がある
- ⚠嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠海外の流行地域から帰ってきて下痢が続く
- ⚠高熱と右のおなかの強い痛みがある
- ⚠子どもがぐったりしている、尿が少ない
一般的な症状
- 下痢(水っぽい便から血の混じった便まで)
- 腹痛、おなかの張り
- 疲れやすい、食欲がない
- 体重が減る
子供の症状
- 下痢や腹痛、発熱
- 機嫌が悪い、元気がない
- おしっこの量が減る、口が渇く(脱水のサイン)
- 食事や水分をとりたがらない
高齢者の症状
- 脱水になりやすい
- だるさや食欲低下が強い
- 発熱や腹痛が目立つことがある
- 持病があると重症化しやすい
原因
主な原因
- アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生虫の一種が口から入り、腸に感染すること
- 汚染された水や食べ物、氷を口にすること
- 便で汚れた手や物を口にすること(手指衛生が不十分なとき)
- 口と肛門の接触を伴う性行為
リスク要因
- 流行地域(南アジア、アフリカ、中南米など)への渡航・居住
- 衛生状態の良くない場所での飲食
- 男性と性行為をする男性
- 感染している人と近い生活や性接触がある
- 免疫力が低下している
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血便、激しい腹痛、高熱、繰り返す嘔吐、脱水のサインがあるときは、その日のうちに医療機関へ相談してください。
- 海外渡航後2〜4週間以内に下痢が続くとき
- 子どもや高齢者で元気がない、水分がとれないとき
定期受診を予約すべき場合:
- 軽い下痢が数日続く
- おなかの不快感や食欲低下が続く
- 体重が減ってきた
- 感染が心配な相手と接触した
診断
問診で症状、渡航歴、飲食歴、性行為の履歴などを確認し、便の検査や血液検査、必要に応じて画像検査を行います。寄生虫が見つからないこともあるため、何回か便を調べることがあります。
行われる可能性のある検査
- 便の顕微鏡検査(寄生虫がいるか調べる)
- 便の抗原検査や遺伝子検査(寄生虫の成分や遺伝子を調べる)
- 血液検査(体の炎症や肝臓への影響を調べる)
- 腹部超音波検査やCT検査(肝臓などに膿のたまりがないか調べる)
- 大腸内視鏡検査(腸の状態を直接見る)
診察で予想されること
検査のために便を少し採取します。複数回お願いされることがあります。大腸内視鏡をする場合は前処置が必要です。結果が出るまで数日かかることがあり、その間は水分をとって休み、医師の指示に従ってください。
治療
治療の中心は、医師が判断する寄生虫に対する処方薬と、脱水を防ぐための水分補給です。症状の強さや肝臓などへの広がりの有無で治療の進め方が変わります。自己判断で薬を買って使わず、まず医療機関に相談してください。
自宅でのセルフケア
- 口から水分をこまめにとる(少量ずつ頻回に)
- 食事は消化のよいものを少量ずつ
- 手洗いを丁寧に行い、タオルを共用しない
- 症状が良くなるまで食品を扱う仕事や調理を避ける(医師の指示に従う)
- 処方された薬は最後まで使い、自己判断で中止しない
- 下痢止めなど市販薬は医師・薬剤師に相談してから使う
医療治療
医師の診断に基づいて、寄生虫を減らすための処方薬を使います。薬の種類や期間は症状や検査結果で医師が決めます。脱水が強いときは点滴で水分と塩分を補うことがあります。肝臓に膿のたまり(アメーバ性肝膿瘍)ができた場合は、画像検査で確認しながら治療方針を決めます。
手術が検討される場合
手術が必要になることは多くありませんが、腸に穴が開いた(穿孔)ときや、大きな膿のたまりを排液する必要があるときなど、合併症に応じて外科的な治療を検討することがあります。
この病気と共に生きる
治療中は水分と休息を優先し、便の状態を記録すると医師に伝えやすくなります。症状が消えても検査で治ったことを確認することが大切です。周囲への感染を防ぐため、手洗いやトイレの清潔を徹底してください。
生活習慣のアドバイス
- 食事の前とトイレの後に石けんで手を洗う
- 水は安全なものを使い、流行地域では生水や氷、生野菜に注意
- 性行為の前後に清潔を保ち、感染が疑われる間は口と肛門の接触を避ける
- タオルや食器を清潔に保つ
- 処方薬を最後まで使い、再検査を受ける
食事と運動
回復期はおかゆ、スープ、やわらかい野菜など消化のよいものを少量ずつとり、水分をこまめに補います。アルコールや脂っこい食事、刺激の強いものは体調に合わせて控えめに。運動は症状が落ち着いて体力が戻ってから、無理のない範囲で再開しましょう。
精神的健康と心の健康
血便や腹痛が続くと不安になったり、人に話しづらく感じたりすることがあります。感染症は誰にでも起こりうるもので、恥ずかしいことではありません。眠れないほど心配なときは、医療機関や地域の相談窓口に話してください。
予防
はい。手洗い、安全な水と食べ物、性行為の際の清潔などで感染のリスクを下げられます。流行地域では生水や氷、生の野菜、皮をむいていない果物に注意し、屋台などではよく加熱されたものを選びましょう。
ワクチン
アメーバ性腸炎を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
ふだんの検診で行う決まった検査はありません。症状がある人や、感染が心配される接触があった人は医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 脱水が進む
- 腸に穴が開いて腹膜炎を起こす(まれだが重い)
- 肝臓に膿のたまりができる(アメーバ性肝膿瘍)
- 肺や脳などに広がる(非常にまれ)
- 体重減少やだるさが続く
長期的な見通し
適切に診断され治療を受ければ、多くの人は回復します。症状が軽い人もいますが、血便や発熱があるときは早めに相談してください。治療後の確認と手洗いの習慣が再発予防に役立ちます。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月24日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.