胃食道逆流症(GERD)
概要
胃食道逆流症(GERD)は、胃の中の酸っぱい内容物が食道に逆流し、胸やけや喉の不快感などを起こす状態です。食道は胃酸に弱いため、逆流が続くと炎症を起こすことがあります。一時的な胸やけは誰にでもありますが、週に数回続いたり生活に支障が出たりする場合は相談が大切です。
重要な事実
- 胸やけ(胸のあたりが焼ける感じ)が主な症状です。
- 食生活や体重、姿勢、ストレスなどが関係します。
- 多くは生活の工夫と医療機関での治療で改善します。
とてもよくある症状で、成人の多くが経験します。日本でも珍しくありません。
成人に多いですが、赤ちゃんから高齢者までみられます。肥満のある人、妊娠中の人、食後にすぐ横になる習慣のある人に起こりやすいです。
症状
- 強い胸の痛みがあり、冷や汗、息苦しさ、吐き気を伴う(心臓発作の可能性)
- 息ができない、呼吸がとても苦しい
- 血を吐く、コーヒー色のものを吐く
- 黒くタール状の便が出る
- 食べ物が喉に詰まり、息ができない
- 意識がもうろうとしている、倒れている
- ⚠水分が飲めない、尿が極端に少ない、口が渇く(脱水のサイン)
- ⚠嘔吐が繰り返し止まらない
- ⚠急に飲み込みにくくなった
- ⚠強い腹痛がある
- ⚠発熱と胸の痛みがある
- ⚠症状が急に悪化している
一般的な症状
- 胸やけ(胸のあたりが焼ける感じ)
- 胃酸が上がってくる感じ(呑酸)
- 口の中が酸っぱい
- 喉のつかえ感、声のかすれ
- 空咳、夜の咳
- 胸の痛み(心臓の痛みと区別が必要です)
- げっぷ、おなかの張り
- 食後に症状が悪化する
子供の症状
- 吐き戻しが多い
- 授乳後のぐずり、泣きが強い
- 体重が増えにくい
- 咳やゼーゼーする呼吸
- 大きい子では胸やけ、喉の不快感
高齢者の症状
- 胸やけが目立たないことがある
- 咳、声のかすれ、食欲低下
- 飲み込みにくさ
- 症状が長引くと食道の炎症が強くなることがある
- 薬の影響も考慮する必要がある
原因
主な原因
- 食道と胃の境目の弁(下部食道括約筋)がゆるむ
- 胃の中の圧が上がる(肥満、妊娠、一度にたくさん食べる)
- 食後すぐ横になる、前かがみになる
- 脂っこいもの、酸っぱいもの、コーヒー、アルコール、たばこなど(個人差があります)
- 一部の薬の影響(医師や薬剤師に相談してください)
- 食道裂孔ヘルニア(胃の一部が横隔膜の上に出る状態)
リスク要因
- アルコールの飲みすぎ
- 脂っこい食事や大食い
- 食後すぐ横になる習慣
- おなかを強く圧迫する服
- ストレス
- 一部の薬
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血を吐く、黒い便が出る
- 強い胸の痛み、息苦しさがある
- 水分がとれない、尿が少ない
- 急に飲み込みにくくなった
- 発熱を伴う胸の痛みがある
- 嘔吐が繰り返し止まらない
定期受診を予約すべき場合:
- 週に2回以上胸やけがある
- 症状が2〜3週間以上続く
- 夜中に咳や胸やけで起きる
- 声のかすれや喉の違和感が続く
- 市販の胃薬をよく使う、または効きにくくなった
- 意図しない体重減少がある、貧血を指摘された
診断
まず問診で、症状、食事、生活習慣、使っている薬、体重の変化などを確認します。典型的な症状なら生活の工夫や治療を試し、警告症状や長引く症状がある場合は胃カメラなどで調べます。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状、食事、生活、薬、体重の変化)
- 胃内視鏡検査(胃カメラ)—食道の炎症やバレット食道を調べる
- 食道に細い管を入れて酸の逆流を調べる検査(24時間pHモニタリング)
- 食道の動きと弁の働きを調べる検査(食道内圧検査)
- 血液検査(貧血や栄養状態)
- 便潜血検査
- 胸痛が強いときは心電図などで心臓の病気を除外
診察で予想されること
検査は症状や年齢、警告症状によって選びます。胃カメラは苦しくないように麻酔や鎮静を使うことがあります。結果を待つ間も不安なときは医師に質問してください。
治療
治療の目標は、症状を楽にし、食道の炎症や合併症を防ぐことです。まず生活の工夫を行い、必要に応じて薬を使います。多くの人は組み合わせで良くなります。
自宅でのセルフケア
- 食後2〜3時間は横にならない
- 寝るときは上半身を少し高くする
- 一度にたくさん食べない
- 体重を適正に保つ
- たばこを控える
- アルコールを控えめにする
- 自分に合わない刺激物を控える
- ゆったりした服を着る
- ストレス管理を心がける
- 症状と食べたものを記録する
医療治療
医師は症状の強さや食道の炎症の有無に合わせて、胃酸の働きを抑える薬などを処方します。薬の種類や期間は人によって異なり、自己判断で中止したり量を変えたりしないでください。改善しない場合は別の原因や合併症を調べます。
手術が検討される場合
生活の工夫と薬で十分に改善せず、強い逆流や繰り返す食道炎、合併症がある場合に手術を検討することがあります。手術の方法や適否は医師とよく相談して決めます。多くはまず生活の工夫と薬で治療します。
この病気と共に生きる
症状は波があり、良い日も悪い日もあります。記録と工夫でコントロールしながら、無理をしすぎないことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 症状日記をつける
- 食後すぐ横にならない
- 寝るときは上半身を高くする
- 体重管理をする
- 禁煙する
- 飲酒は控えめにする
- 刺激物は自分に合うか確認する
- おなかを締め付けない服を選ぶ
- ストレスをためすぎない
食事と運動
食事はゆっくりよくかみ、脂っこいものや大食いは控えめにします。就寝2〜3時間前は食べないようにし、食後すぐ横にならないことが大切です。適度な運動と体重管理は役立ちます。食後すぐの激しい運動は避けましょう。
精神的健康と心の健康
症状が長引くと睡眠不足や不安、気分の落ち込みが起こることがあります。ストレスで症状が悪化することもあります。気分のつらさが続くときは、一人で抱えず、かかりつけ医や地域の相談窓口、医療機関に相談してください。緊急の危険があるときは119番へ。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、生活の工夫で症状や再発のリスクを下げられます。体重管理、禁煙、食べ過ぎを避ける、食後すぐ横にならない、就寝前の食事を控えることが役立ちます。
検診プログラム
一般の人への定期的な検査は決まっていません。胸やけが続く、飲み込みにくい、体重が減るなどの症状があれば、医師に相談して胃カメラなどを検討します。バレット食道などを指摘された人は医師の指示で経過観察します。
合併症
治療しない場合
- 逆流性食道炎(食道の炎症)
- 食道が狭くなり、飲み込みにくくなる(狭窄)
- 出血や貧血
- バレット食道(食道の粘膜が長く刺激されて変わる状態)
- まれに食道がんのリスクが高まることがある
- 睡眠障害や生活の質の低下
長期的な見通し
多くの人は生活の工夫と治療で症状が良くなり、普通の生活を続けられます。合併症があっても早期に見つけてフォローすることが大切です。あきらめずに相談してください。
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最終更新: 2026年10月24日
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