花粉症の季節にそなえよう
概要
花粉症は、スギやヒノキなどの花粉を体が「敵」と勘違いして過剰に反応してしまう状態です。花粉が目や鼻の粘膜につくと、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどが起こります。これは体を守ろうとする免疫(めんえき=体の防御システム)の働きが、本来は無害な花粉に対して強く出すぎているために起こります。風邪とちがって熱は出ず、決まった季節に毎年くり返すのが特徴です。
重要な事実
- 日本ではとても多い症状で、大人も子どもも多くの人が悩まされています。決して珍しい病気ではありません。
- 症状は花粉が飞ぶ時期に一致して出ます。日本ではスギ花粉が中心で、二月ごろから春にかけてがピークになります。
- 完璧に防ぐことは難しくても、花粉に触れる量を減らし、早めに治療を始めることで症状はずいぶん軽くできます。
はい、とてもよくある症状です。日本では成人の多くの人が花粉症の症状を経験しているといわれ、年々増えていると考えられています。受診して相談することをためらう必要はありません。
子どもから高齢者まで、どの年代でも起こります。アレルギー体質の人や、家族に花粉症・喘息・アトピー性皮膚炎の人がいる人に多くみられます。これまで平気だった人でも、ある年から急に症状が出ることもあります。
症状
- 息が苦しい、呼吸ができない、ゼーゼーして話せない
- 顔・まぶた・唇・のどが急に腫れてきた
- じんましんが全身に出て、気分が悪い・めまいがする(アナフィラキシーの可能性)
- 意識がもうろうとしている、ぐったりしている
- ⚠鼻水が黄色や緑色になって悪化し、熱が続く
- ⚠顔や目のまわりが強く痛む、腫れる
- ⚠喘息の発作のような咳や息苦しさが収まらない
- ⚠症状で何日も眠れず、日常生活が保てない
一般的な症状
- くり返すくしゃみ(何回も続けて出ることが多い)
- 透明でさらさらした鼻水が止まらない
- 鼻づまりで息がしにくい、においがわかりにくい
- 目のかゆみ、涙が出る、目が赤くなる
- のどや耳の奥のかゆみ、イガイガする感じ
- 頭が重い、ぼんやりする、集中できない
- 夜に鼻がつまって眠りが浅くなる、いびきをかく
- 肌のかゆみや、花粉がついたところの赤み
子供の症状
- 鼻をよくこすったり、手のひらで鼻を押し上げるしぐさをくり返す
- 目をこする、まばたきが多い
- 口で息をする、いびきをかく、寝ている間に口が開いている
- 機嫌が悪い、ぐずる、食欲が落ちる
- 集中できない、勉強や遊びに身が入らない
- 症状をうまく言葉で説明できないことがあるので、様子の変化に気づくことが大切です
高齢者の症状
- 加齢とともに鼻の粘膜の反応が変わり、症状が軽く感じられることがあります
- のどや目の乾き、薬の飲み合わせが気になる場合は早めに相談を
- 喘息や心臓・腎臓の病気など、ほかの持病の症状と混ざってわかりにくいことがあります
- 市販薬をいくつも重ねて使うと体に負担がかかることがあるため、薬剤師や医師に相談してください
原因
主な原因
- スギやヒノキをはじめとする植物の花粉を吸い込むこと
- 花粉に対する免疫の過剰な反応(体が花粉を敵とみなし、反応を起こす物質を出すこと)
- 飛ぶ花粉の量が多い日、風が強い日、乾燥した晴れた日に症状が出やすい
- 黄砂や大気中の微粒子が、花粉の刺激を強めることがある
リスク要因
- アレルギー体質(喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどがある)
- 家族に花粉症やアレルギーの人がいる
- 子どものころから花粉を多く浴びる環境で育った
- 都市部の生活、睡眠不足、ストレス、喫煙などで体の調子が乱れている
- 妊娠・出産など体の大きな変化の時期
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸が苦しい、のどが腫れる、全身にじんましんが出るなど急な強い症状があるとき
- 高熱が続く、顔や目のまわりが大きく腫れて痛むとき
定期受診を予約すべき場合:
- 毎年決まった時期に同じ症状が出て、生活に支障がある
- 市販の薬で試しても症状がつらく、眠気や副作用が気になる
- 子どもが鼻をこすり続ける、口で息をする、いびきがひどい
- 症状のせいで眠れない、仕事や勉強に集中できない日が続く
- シーズン前から備えたい(毎年ひどくなる前に相談したい)
診断
診断は主に問診から始まります。いつ、どんな場所で、どのくらいの期間症状が出るかを聞き、鼻の中を観察します。症状の出る時期が花粉の飛ぶ時期と一致していれば、花粉症が強く疑われます。必要に応じて血液検査などで、どの花粉に反応しているかを調べます。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の出る季節・時間帯・場所、生活環境の聞き取り)
- 鼻の中の観察(粘膜の腫れや分泌物の様子を見る)
- 血液検査(特定の花粉に対する反応の強さを調べる)
- 鼻水の検査(好酸球というアレルギーに関わる細胞を調べる)
- 皮膚テストや、鼻に花粉を少量つけて反応を見る検査を行うこともある
診察で予想されること
検査結果が出るまで数日から一週間ほどかかることがあります。受診の前に「症状日記」をつけておくと役立ちます。毎日どのくらい鼻水が出たか、目のかゆみはどうだったかを簡単にメモしておくと、医師が症状に合った方針を立てやすくなります。
治療
治療の基本は、症状をできるだけ抑えて快適に過ごすことです。花粉に触れる量を減らす工夫と、症状に応じた治療を組み合わせます。症状が軽いうちに始めるほうが効果が出やすいといわれているため、毎年つらくなる人はシーズン前の受診がおすすめです。
自宅でのセルフケア
- マスクとメガネで花粉を体に入れにくくする(メガネは目のかゆみ対策に役立ちます)
- 帰宅したら玄関で服をはらい、すぐに洗顔・洗髪・着替えをする
- 洗濯物や布団は外に干さず、部屋干しや乾燥機を使う
- 窓を開ける時間を短くし、換気は花粉の少ない時間帯に短時間で行う
- 部屋の掃除をこまめにし、空気清浄機を活用する
- 花粉の飛ぶ量の情報を毎日チェックし、多い日は外出を控えめにする
- 睡眠と食事を整え、体の調子を崩さないようにする
- 鼻をかむときは片方ずつやさしくかむ
医療治療
医療機関では、症状の出方に合わせて治療の組み合わせを考えます。鼻づまり・鼻水・くしゃみといった鼻の症状を抑える飲み薬や点鼻薬、目のかゆみに対する目薬などが用いられます。眠気などの副作用が気になる場合は、生活スタイルに合わせた選択肢を医師に相談できます。また、花粉に体を慣らしていく根本的な治療(アレルゲン免疫療法)が検討されることもあります。どの治療が合うかは体質や症状によって異なるため、自己判断で複数の薬を重ねず、医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
手術が必要になることは多くありません。鼻の骨の曲がりや鼻茸(はなの粘膜がふくらんだもの)など、構造的な原因で治療の効果が乏しい場合に、耳鼻咽喉科で手術が検討されることがあります。まずは相談のうえで、必要性を一緒に判断していきましょう。
この病気と共に生きる
花粉症とは長く付き合っていくことになりますが、工夫次第でぐっと楽になります。症状が強い日は無理をせず予定を調整し、つらい日が続くなら早めに受診しましょう。毎年同じ時期に症状が出る人は、シーズンが始まる前に準備をしておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 花粉の情報を天気予報と一緒に確認する習慣をつける
- 外出時はマスク・メガネ・帽子で花粉をガードする
- 帰宅後の「花粉を家に持ち込まない」習慣を家族で決める
- 寝室をこまめに掃除し、加湿して乾燥を防ぐ
- タバコの煙や強い香りなど、粘膜を刺激するものを避ける
- 症状日記をつけて、自分の傾向を知る
食事と運動
特定の食べ物が花粉症を治すという確かな証拠はありませんが、バランスのよい食事と十分な睡眠は体の調子を整えます。軽い運動はストレス解消や睡眠の質の向上に役立ちます。花粉の多い日は屋内での運動に切り替えるなど、無理のない範囲で続けましょう。なお、果物や野菜を食べたときに口やのどがかゆくなる場合は、花粉症と関係する反応のことがあるので医師に伝えてください。
精神的健康と心の健康
毎日続くかゆみや鼻づまり、眠れない夜が重なると、イライラしたり気分が落ち込んだりすることがあります。これは珍しいことではなく、症状が体だけでなく心にも影響するためです。つらい気持ちが続くときは一人で抱え込まず、医療機関や地域の相談窓口に話してみてください。もし自分を傷つけたい気持ちがわいてきたときや、命に関わる危険を感じたときは、ためらわず救急(119)や地域の緊急相談窓口に連絡してください。
予防
花粉症を完全に防ぐことは難しいですが、花粉に触れる量を減らすことで、症状を軽くしたり、始まる時期を遅らせたりできる可能性があります。毎年ひどくなる人は、症状が出る前から受診して準備をしておくのがおすすめです。
ワクチン
花粉症を防ぐワクチンは現在ありません。予防の中心は、花粉を避ける工夫と早めの相談です。
検診プログラム
決まった季節に毎年同じ症状が出る場合は、シーズン前の受診が役立ちます。症状の記録を持参すると、診察がスムーズになります。
合併症
治療しない場合
- 夜眠れず、日中の眠気や集中力低下が続く
- 仕事や学業、家事のパフォーマンスが落ちる
- 鼻づまりが長引き、副鼻腔炎(ふくびくうえん=鼻の周りの空洞の炎症)を起こすことがある
- 鼻やのどの炎症が続き、中耳炎やのどの不快感につながることがある
- 喘息がある人は、花粉の時期に咳や息苦しさが悪化しやすい
- 目のかゆみをこすり続けて、目の炎症が悪化することがある
長期的な見通し
花粉症は長く付き合うことになる症状ですが、多くの人は工夫と治療でシーズンを快適に過ごしています。症状を記録して早めに相談するほど、自分に合った対処法が見つかりやすくなります。あせらず、少しずつ自分なりのペースをつくっていきましょう。
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最終更新: 2026年10月24日
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