イギリスのEU離脱(ブレグジット)後に、薬を手に入れるには
概要
イギリスは2020年にEU(ヨーロッパの国々の連合)から離れ、移行期間が終わったあと、薬の輸入・販売・処方のルールがEUとは別々になりました。そのため、イギリスに住んでいる人、イギリスへ旅行や留学・仕事で行く人、イギリスの家族に薬を送りたい人などは、これまでと同じやり方では薬が手に入らないことがあります。ここでは、薬を切らさないための準備と、困ったときの相談先について、やさしく説明します。
重要な事実
- イギリス国内での薬の供給や手続きは、EU加盟国とは別のルールで動いています。物流の通関(税関を通る手続き)が増えたことで、入荷に時間がかかる場合があります。
- 海外から薬を送る・持ち込む・個人で取り寄せる場合のルールは国ごとに違い、認められないこともあります。必ず出発前・発送前に確認が必要です。
- 同じ有効成分でも、国によって薬の名前・包装・見た目が違うことがあります。成分名(一般名)で確認するのが安心です。
イギリス在住者や渡航予定者にとっては、とても身近でよくある悩みです。慢性的な病気で毎日薬が必要な人ほど影響を受けやすいといわれています。
イギリスに住んでいる人、イギリスへ旅行・留学・赴任する人、EU域内を移動する人、海外の家族に薬を送りたい人、イギリスで処方を受けたことがある人など、幅広い人が関係します。
症状
- 息が苦しい、のどが腫れる、全身にじんましんが出るなど、アナフィラキシー(強いアレルギー反応)を思わせる症状
- 意識がもうろうとする、倒れて反応がない、けいれんが続く
- 激しい胸の痛みや強い動悸、呼吸ができない状態
- 日本では119番、イギリスでは999番へ、すぐに連絡してください
- ⚠薬が切れてから数日のうちに、いつもの症状が強く出てきた
- ⚠新しい薬に替わったあと、発疹・強い眠気・動悸・吐き気など普段と違う症状が出た
- ⚠高熱、強い痛み、血圧の大きな変動など、当日中に医療者へ相談したい症状
一般的な症状
- いつもの薬が手に入らず、服用が数日途切れてしまう
- 薬が変わったあとに、体調がもとに戻ったり症状がぶり返したりする
- 薬局で「取り寄せになる」「在庫がない」と言われる
- 同じ名前なのに、包装や錠剤の見た目が前と違う
- 英語の説明がよく分からず、飲み方が不安になる
子供の症状
- 飲み慣れた薬と味や形が変わると、子どもが飲むのを嫌がることがあります
- 小児向けの薬は種類が限られているため、入手に時間がかかることがあります
- 薬が変わったあとの様子の変化(眠気、発疹、機嫌の変化など)に気づきにくいことがあります
高齢者の症状
- 複数の薬を飲んでいることが多く、一つでも手に入らないと飲み合わせの管理が難しくなります
- 飲み忘れや、うっかり二重に飲んでしまうことが起こりやすくなります
- 耳や目の聞こえ・見え方の変化で、薬局での説明が伝わりにくいことがあります
原因
主な原因
- イギリスがEUを離れたことで、薬が国境を越えるときの通関手続きや物流ルートが変わった
- 薬の承認・表示・包装に関するルールがEUと別々になり、同じ薬でも入手経路が変わった
- 処方箋の扱いや、海外への薬の送付・持ち込みのルールが国ごとに異なる
- 人気のある薬や特定の薬に在庫が偏り、一時的に手に入りにくくなることがある
リスク要因
- 毎日欠かさず飲む必要のある薬がある(慢性の病気の治療など)
- 複数の薬を服用している
- 長期間の海外滞在や引っ越しを予定している
- 英語での説明を聞き取るのが難しい
- 海外から薬を送ってもらう、または海外へ送る予定がある
- 同じ成分の別の薬(ジェネリック)に替えるのが難しい薬を使っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 薬が手に入らず、服用が途切れてしまった
- いつもと違う薬に替わってから、体調が明らかにおかしい
- 発疹、息苦しさ、動悸、強いめまいなど、新しい症状が出た
定期受診を予約すべき場合:
- 海外へ行く予定がある(できれば1〜2か月前までに)
- 長期の滞在や引っ越しを予定している
- 海外の薬局で勧められた薬について確認したい
- 薬の名前や成分が分からず、英語の説明を確認してほしい
- 薬の保管方法や持ち運び方に不安がある
診断
これは病気を診断する話ではなく、「今の治療を安全に続けられるか」を確認する話です。医師や薬剤師が、今飲んでいる薬の名前・有効成分・量・目的を一緒に整理し、現地で入手できる同等の薬があるか、代替の方法はあるかを考えます。
行われる可能性のある検査
- お薬手帳や処方箋のコピー、薬の写真の確認
- 有効成分名(一般名)とアレルギー歴の確認
- 必要に応じて、英語で書かれた薬の説明文書(ドクターズレター)の準備
- 海外の薬局や医療機関での確認事項の整理
診察で予想されること
薬剤師が成分名をもとに、現地で同じ成分の薬があるか調べます。見た目や名前が違っても中身が同じことは多いので、落ち着いて確認しましょう。説明が不安なときは、紙に書いてもらうと確実です。
治療
大切なのは「薬を切らさない準備」と「安全に同等の薬へつなぐこと」です。自己判断で飲むのをやめたり量を変えたりせず、医師・薬剤師と一緒に進めましょう。
自宅でのセルフケア
- 渡航や引っ越しが決まったら、余裕をもって(できれば1〜2か月前)かかりつけ医・薬局に相談する
- お薬手帳や処方箋のコピー、薬の写真をスマホにも保存して持ち歩く
- 薬は手荷物に入れ、元の箱と説明書を一緒に持つ(預け荷物は紛失のリスクがあります)
- 長期滞在なら、現地の医療機関や薬局の場所と連絡先をメモしておく
- 薬を人に譲ったり、人からもらったりしない
- 海外から個人で薬を取り寄せる場合は、その国のルールを必ず確認する
医療治療
医師や薬剤師が、同じ有効成分の別の薬(ジェネリック)や、現地で入手できる同等の治療法を一緒に検討します。薬の変更や中止は必ず医療者に相談してください。特定の薬の名前や量を自分で決めることは避けましょう。
手術が検討される場合
この話題では、手術は通常関係しません。
この病気と共に生きる
薬のリストをいつも最新にしておき、紙とスマホの両方に保存しておくと安心です。旅先では気温や湿気に注意し、直射日光を避けて保管しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 飲み忘れ対策に、ピルケースやスマホのアラームを活用する
- 時差がある場所では、服用のタイミングを医師・薬剤師に相談しておく
- 海外でも水分と睡眠を十分にとり、無理な予定を詰め込まない
- 薬の残りが少なくなったら早めに補充の相談をする
食事と運動
薬によっては食事の影響を受けることがあります。主治医から特別な指示がなければ、普段どおりの食事と軽い運動を続けて構いません。食事や運動の変更を考えているときは、先に医師に相談しましょう。
精神的健康と心の健康
「薬が手に入らなかったらどうしよう」という不安は、とても自然な気持ちです。眠れない、イライラする、気分が落ち込むといった変化が続くときは、ひとりで抱えずにかかりつけ医や薬剤師、地域の相談窓口に話してください。つらい気持ちが続く場合の相談先は、厚生労働省の相談窓口案内(「まもろうよ こころ」など)でも確認できます。
予防
ある程度は準備で防げます。渡航や引っ越しの前に薬のリストを整え、余裕をもって医療者に相談することが一番の予防になります。ルールは今後も変わる可能性があるため、出発前と到着後に最新の情報を確認しましょう。
検診プログラム
特別な検査はありませんが、渡航前の健康相談や、持病の定期受診の際に薬の確認をしておくと安心です。
合併症
治療しない場合
- 服用が途切れることで、もともとの症状が悪化することがある
- 自己判断で量を変えてしまい、副作用や体調の乱れにつながることがある
- 出どころの分からない薬や偽造薬を使うことで、健康を損なうおそれがある
- 不安やストレスから、睡眠や気分に影響が出ることがある
長期的な見通し
多くの人は、事前の準備と医療者への相談でこの時期を乗り越えています。手続きは少し手間がかかりますが、落ち着いて一つずつ確認していけば大丈夫です。困ったときは早めに聞くことが、何よりの近道です。
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最終更新: 2026年10月24日
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