腺熱(伝染性単核球症)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腺熱は、EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)という一般的なウイルスが原因で起こる感染症です。のどの痛み、発熱、首のリンパ節の腫れが主な症状で、多くの場合、数週間から1か月ほどで自然によくなります。
重要な事実
- 多くの場合、特別な治療をしなくても、からだの免疫がウイルスをやっつけて自然に回復します。
- 主に唾液を介してうつるため、キスや食器の共用などで感染することがあります。
- 一度かかると、通常はそのウイルスに対する免疫ができ、繰り返しかかることはほとんどありません。
世界的にごくありふれた感染症です。日本でも10代から20代を中心に多くみられます。
主に10代後半から20代の若い人に多く、子どもや大人でもかかることがあります。
症状
- 呼吸が苦しい、息ができない
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 突然の激しい腹痛や、腹部の強い痛み(脾臓が破れた可能性があります)
- 強い頭痛と首の硬直(首が前に曲げにくい)
- このような症状がある場合は、すぐに119番に連絡して救急車を呼んでください。
- ⚠高熱が続く(39度以上が数日続くなど)
- ⚠のどの痛みがひどく、水分や食事がまったく取れない
- ⚠強いだるさで起き上がれない
- ⚠おなか(特に左上)に持続的な痛みや圧迫感がある
- ⚠ひどい頭痛やめまいが続く
一般的な症状
- のどの痛み(強く、飲み込むときにつらいことがあります)
- 発熱(数日から1週間以上続くことがあります)
- 首やわきの下などのリンパ節の腫れ
- 強いだるさ・疲れやすさ
- 頭痛や全身の筋肉の痛み
- 食欲の低下
子供の症状
- 子どもでは症状が軽いことが多く、風邪と似た症状(鼻水、軽い咳、のどの痛みなど)だけの場合もあります。
- 発疹が出ることがあります。
- 熱が出ないこともあります。
高齢者の症状
- 大人では症状が強く出ることがあり、高熱が続いたり、強いだるさが長く続いたりすることがあります。
- のどの痛みがひどくなることがあります。
- 肝臓や脾臓(おなかの左上にある臓器)に影響が出ることがあります。
原因
主な原因
- EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)というヘルペスウイルスの仲間が原因です。
- ウイルスは主に唾液を介してうつります。キスや咳・くしゃみ、食器やコップの共用、歯ブラシの共有などで感染することがあります。
- 多くの人は幼いころに感染していますが、そのときは症状が軽いか、まったく気づかないことがほとんどです。思春期以降に初めて感染すると、典型的な腺熱の症状が出やすくなります。
リスク要因
- 10代後半から20代であること
- 免疫力が低下していること
- 多くの人と濃厚な接触をする機会が多いこと(例:学生生活、集団生活)
- キスなどの唾液を介する接触(俗に「キス病」とも呼ばれることがあります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- のどの痛みがひどく、飲み込むときにつらくて食事や水分が取れない
- 高熱が続く
- 強いだるさで日常生活が送れない
- おなか(特に左上)に痛みがある
- 呼吸が苦しい
定期受診を予約すべき場合:
- のどの痛みやリンパ節の腫れが1週間以上続く
- 熱が下がった後もだるさが長く続く
- 発疹が出た
- 腺熱にかかった人と濃厚な接触をしたことがあり、心配している
診断
医師の診察と、必要に応じて血液検査で診断されます。のどの症状が強い場合は、ほかの細菌感染(溶連菌感染症など)ではないかを調べるための検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(白血球の数や形、肝機能の値を調べます)
- EBウイルスに対する抗体検査(過去の感染か、今の感染かを区別するのに役立ちます)
- のどや扁桃の分泌物を取って調べる検査(細菌感染の有無を確認するため)
診察で予想されること
診察では、のどや首のリンパ節を確認し、おなかの左上のあたり(脾臓の場所)をやさしく触って調べることがあります。血液検査の結果が出るまでに数日かかることがあります。診断は症状と検査結果をあわせて考えて行われます。
治療
腺熱には、ウイルスそのものを直接やっつける特別な治療薬はなく、からだの免疫が回復するのを待つことが基本です。無理をせず、十分な休息と水分補給が最も大切な治療です。
自宅でのセルフケア
- 安静を心がけ、十分な睡眠をとる
- 水分をこまめに取る(のどが痛いときは、冷たい飲み物やストローを使うと飲みやすくなることがあります)
- のどごしのよい食事(おかゆ、スープ、ゼリー、プリンなど)を選ぶ
- うがいでのどを潤す(刺激の強いうがい薬は避け、水やぬるま湯でやさしくすすぐとよいでしょう)
- 激しい運動やスポーツは、脾臓を守るために医師に相談するまで控える
- お酒は肝臓への負担を避けるため控える
医療治療
医療機関では、症状に合わせて痛みや熱を和らげるための薬が使われることがあります。具体的な薬については、医師や薬剤師に相談してください。脾臓が腫れている場合や症状が重い場合は、安静の指示が出たり、入院が必要になることもあります。また、症状によっては、ステロイド薬などの特別な治療が検討されることがありますが、これは医師が慎重に判断するものです。
この病気と共に生きる
回復までの期間には個人差があります。1〜2週間で元気になる人もいれば、だるさが数週間から数か月続く人もいます。無理をせず、体調のよい日も安心して過ごせる範囲で活動しましょう。学校や仕事は、医師と相談しながら無理のない範囲で再開することが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠時間をしっかり確保する
- 激しい運動やコンタクトスポーツ(ぶつかったりするスポーツ)は、脾臓が治るまで控える
- お酒は控える
- タバコはのどや免疫に負担をかけるため控える
- 症状がある間は、人との濃厚な接触(キスなど)を控え、食器や歯ブラシを共用しない
- 手洗い、うがいをこまめに行う
食事と運動
水分をしっかり取り、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。のどが痛いときは、おかゆやスープ、ゼリーなど、やわらかくて飲み込みやすいものを選びます。回復期には、体調を見ながら軽い散歩などから少しずつ運動を始め、医師の許可が出るまでは激しい運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
だるさや倦怠感が長引くと、気分が落ち込んだり、不安になったりすることがあります。無理をしないことを優先し、つらい気持ちは一人で抱え込まず、家族や友人、学校の先生、職場の上司、医療者に話してみましょう。気分の落ち込みが続く場合は、心の健康の専門家(精神科医や臨床心理士など)に相談する方法もあります。
予防
EBウイルスの感染を完全に防ぐことはできません。多くの人が幼い頃に感染しているため、予防が難しい病気です。ただし、症状があるときは唾液を介してうつる可能性があるため、食器や歯ブラシの共用を避け、キスなどの濃厚な接触を控えることで、周りの人への感染を減らすことができます。
ワクチン
現在、日本ではEBウイルスに対する一般的なワクチンはありません。
合併症
治療しない場合
- 脾臓の腫れが続くと、まれに脾臓が破れてしまうことがあります。激しい運動や腹部への衝撃がきっかけになることがあるため、脾臓が腫れている間は安静が大切です。
- 肝臓に炎症が起こり、肝機能の数値が上がることがあります(多くの場合は自然に回復します)。
- まれに、脳や神経に炎症が起こることがあります(髄膜炎、脳炎など)。
- のどの扁桃がはれて、呼吸が苦しくなることがあります。
長期的な見通し
ほとんどの人は、数週間から1か月ほどで回復します。だるさが数か月続く人もいますが、最終的にはほとんどが健康な状態に戻ります。治療は対症療法が中心で、多くの場合は後遺症なく治ります。合併症はまれで、適切な安静と医師のフォローで防げるものがほとんどです。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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