入院することになったら:病院での過ごし方ガイド
概要
入院とは、治療や検査のために、しばらく病院に泊まって過ごすことです。外来に通うだけでは難しい処置や手術、点滴、リハビリなどを、医師や看護師が24時間そばで見守りながら進めるための「場所」と「期間」だと考えてください。入院すること自体は病気の名前ではなく、治療を安全に進めるための方法のひとつです。
重要な事実
- 入院には、手術や検査のために前もって決めて行う「予定入院」と、急な病気やけがで行う「緊急入院」があります。
- 入院中は、医師・看護師のほか、薬剤師、リハビリスタッフ、栄養士、医療ソーシャルワーカーなど、たくさんの職種がチームで支えてくれます。
- 退院は治療の終わりではなく、地域での生活に戻るための次のステップです。退院後の通院や薬の確認がとても大切です。
とてもよくあることです。日本では多くの人が人生のどこかで一度は入院を経験します。初めての入院で不安を感じるのは自然なことで、あなただけではありません。
年齢を問わず、誰にでも起こりえます。特に多いのは、手術や検査を受ける方、急な病気やけがをした方、出産をする方、高齢の方や慢性的な病気を持つ方、自宅での療養が難しい方です。
症状
- 胸の強い痛み、息が苦しい、冷汗が出る
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が弱い
- 大量の出血が止まらない
- 顔や手足のまひ、ろれつが回らない、突然の激しい頭痛
- けいれんが続く、呼吸ができない様子がある
- (病院の中にいるときは、まずナースコールを押してください。退院後や外出中に上のような症状があれば、ためらわず救急車を呼んでください=119番)
- ⚠38℃以上の発熱、特に手術や処置のあと
- ⚠傷口が赤く腫れる、膿が出る、痛みが強くなる
- ⚠吐き気や嘔吐が続く、水分がとれない
- ⚠便や尿が出ない、尿が出にくい、おなかが張って痛い
- ⚠新しい薬を始めてから発疹が出た、息苦しさがある
- ⚠転倒して頭を打った、足や腕が動かしにくい
一般的な症状
- 緊張や不安でなかなか眠れない、夜中に何度も目が覚める
- 環境が変わって落ち着かない、音や光が気になる
- 点滴の針や採血、検査で痛みや不快感がある
- 食欲がわかない、便秘になる、体がだるい
- 説明が難しく感じる、予定が思ったより進まないと感じる
- 手持ちぶさたで、時間の流れが遅く感じる
子供の症状
- 親と離れるさみしさで泣く、夜泣きをする
- 病院の服や器具、知らない人をこわがる
- 一時的に赤ちゃん返りをする(おねしょ、指しゃぶりなど)
- 遊びや学びの機会が減って、機嫌が悪くなる
- 付き添いや面会のルールは病院ごとに違うので、事前に確認しておくと安心です
高齢者の症状
- 環境の変化で、急に意識がぼんやりしたり、話がかみ合わなくなったりする(せん妄:一時的な混乱のこと)
- 動かない時間が長く続いて筋力が落ちる(入院関連機能低下)
- 転倒、脱水、便秘、床ずれ(褥瘡:長く同じ姿勢で圧迫されて皮膚が傷むこと)
- 退院後に元の生活に戻りにくくなることがある
- 聴力や視力の変化で、説明が伝わりにくくなることがある
原因
主な原因
- 手術や処置を受けるため(予定入院)
- 急な病気やけがの治療のため(緊急入院)
- 詳しい検査や、点滴・酸素・リハビリなどの治療のため
- 出産のため
- 自宅での療養が難しく、見守りや介助が必要なとき
リスク要因
- 高齢であること
- 糖尿病、心臓病、腎臓病、呼吸器の病気などの慢性疾患があること
- 感染症、けが、急な体調の変化
- ひとり暮らし、介護が必要など、生活環境の事情
- 手術や検査が予定されていること
- 入院中に動く時間が少ないこと(体力が落ちやすい)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 退院後に38℃以上の熱が出た、寒気がする
- 手術の傷が赤く腫れてきた、膿が出る、痛みが増す
- 胸が痛い、息が苦しい、動悸が続く
- 水も飲めないほどの吐き気、尿がまったく出ない
- 転倒して頭を打った、意識がぼんやりする
- 薬を飲んだあとに発疹や息苦しさが出た
定期受診を予約すべき場合:
- 退院後の通院の予定や、薬の飲み方を確認したい
- 傷の治りや体調の変化が気になる
- 入院中に聞けなかったことを聞きたい
- 仕事や学校に戻る時期の相談をしたい
- 介護保険や福祉サービス、医療費の相談をしたい
- 気分が落ち込む、眠れない状態が続いている
診断
入院が決まると、医師や看護師が今の体の状態、これまでの病気、飲んでいる薬、アレルギー、生活の様子を確認します。そのうえで、入院の目的と期間、どんな検査や治療をするのかの説明があります。予定入院では、あらかじめ説明を受けて同意書を書く流れが一般的です。急な入院では、治療を優先するため、説明が後からになることもあります。
行われる可能性のある検査
- 問診と診察(症状、病史、飲んでいる薬、アレルギーの確認)
- 血液検査、尿検査
- 画像検査(レントゲン、CT、エコー、MRIなど)
- 心電図、呼吸の検査など
- 必要に応じて、他の科の医師による診察
診察で予想されること
入院初日は、書類の記入や検査で思ったより慌ただしく感じるかもしれません。病棟のルール、ナースコールの使い方、食事の時間、面会のきまり、退院の目安などについて説明があります。名前・生年月日・アレルギーは、安全のために何度も確認されますが、これはとても大切な手順です。わからないことはその場で聞き、メモをとるようにしましょう。
治療
入院中の治療は、薬による治療、点滴や酸素、処置、リハビリ、栄養管理、安静などを組み合わせて、体の状態を見ながら少しずつ調整していくものです。治療の目的や見通しは、担当の医師にいつでも確認できます。
自宅でのセルフケア
- 持ち物リストを作る(保険証や受給者証、お薬手帳、連絡先、着替え、タオル、スリッパなど)
- 普段飲んでいる薬の一覧を用意する(薬の名前、量、飲む時間)。自己判断で急に中止しない
- 聞きたいことをメモにまとめておき、回診のときに聞く
- 許可された範囲で、できるだけ体を動かす(ベッドの上で足を動かすだけでも違います)
- 眠りを整える(昼寝を長くしすぎない、カフェインやスマホの時間を控える)
- 家族や友人に、入院中と退院後の連絡先を伝えておく
- 退院後の買い物・ごはん・ゴミ出し・通院を誰が手伝うかを、入院中に決めておく
医療治療
入院中は、医師・看護師・薬剤師・リハビリスタッフなどが相談しながら、薬による治療、点滴や酸素、傷のケア、痛みのコントロール、リハビリ、栄養管理などを進めます。具体的な薬の種類や量は、病状・年齢・腎臓や肝臓のはたらき・アレルギーなどに合わせて主治医が決めます。薬についての疑問は、担当の薬剤師に聞くこともできます。
手術が検討される場合
手術が必要かどうかは、病気の種類と状態によって決まります。手術を受ける場合は、その前に目的、方法、麻酔、考えられるリスク、かかる時間、入院の見込みなどを説明する場が設けられます。納得できないときは質問を重ねてよく、必要であれば別の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。
この病気と共に生きる
入院中の1日は、起床、検温、朝食、回診、治療、リハビリ、昼食、自由時間、夕食、消灯といった流れで進むことが多いです。思ったより自由な時間がある一方で、安静の指示が出ることもあります。トイレや痛みなどで困ったときは、遠慮せずナースコールを押してください。
生活習慣のアドバイス
- 面会や付き添いのルールを確認する(感染対策で変わることあります)
- スマホや充電器、イヤホンなどは病院の規則に従う(コンセントの使用に決まりがある場合があります)
- 病院指定の持ち物を確認し、貴重品は最小限にする
- 退院後の通院予定、薬、診断書や医療費の書類をひとつにまとめておく
- 同室の人との距離の取り方に困ったら、看護師に相談する
食事と運動
病院の食事は治療の一部です。塩分や糖分、量が調整されていることがあり、味が薄く感じても、持ち込みや自己判断での追加はしないようにしましょう。体を動かすことは、筋力を保ち、退院後の生活に戻りやすくするために大切です。許可された範囲で歩く、ベッドの上で足を動かす、深呼吸をするなどから始めてみてください。どのくらい動いてよいかは、看護師やリハビリスタッフに相談できます。
精神的健康と心の健康
入院中は、不安、孤独、落ち込み、いらいらを感じやすいものです。眠れない、涙が出る、気力がわかないといった変化は決して珍しくありません。我慢せずに、看護師、医師、医療ソーシャルワーカーに話してみてください。こころの相談は、地域の保健センターやかかりつけ医でも受けられます。もし自分を傷つけたい気持ちが浮かんだら、その場ですぐに医療者や信頼できる人に伝え、緊急の場合は119番で救急を求めてください。
予防
入院そのものを完全に避けることは難しいですが、準備によって不安やトラブルを大きく減らせます。日頃から健康診断を受け、持病をうまくコントロールし、飲んでいる薬の情報をひとつにまとめ、かかりつけ医を持っておくことが役立ちます。入院が決まったら、持ち物と質問を前もって準備しておくと安心です。
ワクチン
感染症が原因で入院が必要になることがあります。年齢や持病に合わせた予防接種について、かかりつけ医に相談してみてください。入院前の接種のタイミングも相談できます。
検診プログラム
健康診断やがん検診で早く見つかれば、治療が軽く済み、入院期間が短くなることもあります。お住まいの市区町村の健診の案内を確認してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 必要な治療を受けずにいると、病気が進んだり、回復に時間がかかったりすることがあります
- 入院中に動かない時間が長いと筋力が落ち、退院後に歩きにくくなることがあります
- 環境の変化で一時的な混乱(せん妄)が起きることがあります
- 退院後の薬や通院の準備ができていないと、体調をくずしたり再入院になったりすることがあります
- 不安や孤独を抱えたまま退院すると、生活の立て直しが難しくなることがあります
長期的な見通し
多くの方は、入院中の治療で状態が落ち着き、自宅や施設に戻ってこれまでの生活を続けています。入院は人生の中の一時的な期間であり、あなたの生活全体ではありません。わからないことを聞き、周りのサポートを頼ることが、回復へのいちばんの近道です。
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最終更新: 2026年10月24日
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