ゴルフでけがをしないために
概要
ゴルフは、歩く・立つ・からだをひねる・クラブを振るといった動きを組み合わせるスポーツです。楽しく長く続けられる一方で、準備運動が足りないときや、同じ動きをくり返しすぎたときに、腰・肩・ひじ・手首・ひざなどを痛めることがあります。このページでは、ゴルフで起きやすいけがの種類と、その防ぎ方をわかりやすくまとめています。
重要な事実
- ゴルフで多いのは、腰の痛み、ひじの痛み(いわゆる「ゴルフひじ」)、肩・手首・ひざの痛みです。
- けがの多くは、準備運動不足や練習のしすぎによる「使いすぎ(同じ動きのくり返し)」が原因です。
- 痛みが出たときは、無理に振り続けずに一度休み、早めに専門家へ相談することが長引かせないコツです。
ゴルフのけがは珍しいものではありません。特に「久しぶりに再開した」「練習量が急に増えた」「週末にまとめて何百球も打った」というときに起きやすいと言われています。
ゴルフを始めたばかりの人、ブランクのあとに再開した人、中年以降で体力や柔軟性が気になる人、週末にまとめて練習する人に多くみられます。成長期の子どもは骨や関節が発達の途中なので、大人と同じ量の練習は避けたほうが安全です。高齢の方は転倒やバランスの低下にも注意が必要です。
症状
- 胸の痛み、息苦しさ、冷や汗、胸が締めつけられる感じ(心臓の病気の可能性)
- 意識がない、もうろうとしている、会話がかみ合わない
- 頭を打ったあとに、くり返し吐く・眠ってばかりいる・けいれんがある
- 突然の激しい腰痛で、足が動かない・尿が出ない・脚の感覚がない
- 熱中症が疑われ、反応が鈍い・汗が止まらない・体温がとても高い
- 息ができない、顔やのどが腫れるなど、重いアレルギー反応が疑われるとき
- ⚠関節や骨の形が明らかに変わっている、曲がっている
- ⚠痛みが強く、足に体重をかけられない
- ⚠手足のしびれや力が入りにくい感じが続く
- ⚠患部が赤く腫れて熱をもち、発熱もある
- ⚠クラブが握れない、ボールを持つだけで激痛が走る
- ⚠数日休んでも痛みが弱まらない、むしろ強くなっている
一般的な症状
- 腰の痛みや重さ(スイング中・プレー後に强くなる)
- 肩の痛み(振り上げたとき、打つ瞬間に痛む)
- ひじの外側または内側の痛み(物を握ると痛む)
- 手首の痛みや軽い腫れ
- ひざの痛み(しゃがむ・歩くときに痛む)
- 首や背中のこり、張り
- 足首のねんざ(でこぼこした地面やバンカーで)
- 手指の痛み、マメやひび割れ
子供の症状
- 成長期は骨の端(成長軟骨)が弱いため、くり返しのスイングでひじや腰を痛めることがあります
- 「なんとなく痛い」と言葉にしにくいことがあるので、フォームの変化や振らなくなる様子にも気を配りましょう
- 大人と同じ球数・同じ時間の練習は避け、休憩をこまめに入れることが大切です
高齢者の症状
- 筋力・バランス・柔軟性の低下により、転倒や足首のねんざが起きやすくなります
- 骨が弱くなっている場合、転倒や尻もちで骨折することがあります
- 血圧や心臓の持病がある方は、暑さ・寒さ・疲れに注意が必要です
- 痛みを我慢して続けると慢性化しやすいので、早めの相談が安心です
原因
主な原因
- 準備運動・ストレッチ不足のまま、いきなり強く振ること
- 同じ動き(スイング)のくり返しによる「使いすぎ」
- 急に練習量やラウンド数を増やすこと
- からだの硬さや筋力不足により、腰や肩に負担がかかるフォームになっていること
- クラブが地面に強く当たる(ダフリ)など、手首・ひじへの衝撃
- 長時間の連続練習や、休憩の少ないラウンド
- コースの起伏のある地面を歩くことによる足首・ひざへの負担
- 合わない靴やグリップなど、道具がからだに合っていないこと
リスク要因
- 40代以上、または運動習慣が少ない
- 過去に同じ部位を痛めたことがある
- 週末だけまとめて長時間練習するスタイル
- デスクワーク中心で、姿勢が固まりやすい
- 喫煙、睡眠不足、疲労がたまっている
- 寒い時期や暑い時期のプレー(からだが温まらない・脱水)
- カート移動が中心で、急に長い距離を歩くこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 形が変わっている、体重をかけられない、強い腫れがある
- しびれや力が入らない感じがある
- 頭を打った、転倒したあとに気分が悪い
- 発熱をともなう赤い腫れ
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが2週間以上続いている
- スイングのたびに同じ場所が痛む
- 朝のこわばりや張りが毎日ある
- 湿布や休養で良くなったり悪くなったりをくり返す
- プレー後の痛みで日常生活(歩く・物を持つ)にも支障が出る
診断
医師はまず、いつ・どんな動きで痛むのか、どれくらい練習しているか、これまでのけがや持病などを聞き取ります(問診)。そのうえで、痛む場所を触って確かめたり、腕を上げる・ひねるなどの動きを見たりして、どの組織に負担がかかっているかを判断します。
行われる可能性のある検査
- レントゲン検査(骨の形や骨折の有無を確認)
- 超音波(エコー)検査(腱や靭帯、筋肉の状態を見る)
- 必要に応じてMRI検査(軟骨や腱の細かい状態を調べる)
- 動きの確認や筋力テスト(リハビリの計画づくりのため)
診察で予想されること
診察は10〜15分程度が目安です。痛みの出る動きを実際に再現してもらうことがあります。画像検査はその場でできるものと、後日になるものがあります。診察のときは、痛みの強さや出る場面をメモしておくと伝えやすくなります。
治療
治療の中心は「痛みの原因になっている使い方を減らし、からだを整えていくこと」です。痛みが強い時期はスイングを休み、痛みが落ち着いてきたらストレッチや筋力づくり、フォームの見直しを少しずつ進めます。
自宅でのセルフケア
- 痛みが出たら、まずスイングやラウンドを休む
- 痛む場所を冷やす場合は、氷をタオルで包んで10〜15分ほど、肌に直接当てない
- 練習量を半分に減らす、または短い時間に分けて休憩を入れる
- プレーの前後に、肩・腰・股関節・ふくらはぎのストレッチをする
- 痛みの少ない範囲で、体幹や肩甲骨まわりの筋力をゆっくり鍛える
- 睡眠と休養をしっかりとり、疲れている日は練習を控える
- 靴やグリップなど道具のフィット感を見直す
医療治療
医師は状態に合わせて、痛みをやわらげる薬や湿布、装具(サポーター)などを用いることがあります。あわせて、理学療法士によるリハビリ(ストレッチ、筋力トレーニング、動きの指導)が中心になることが多く、必要に応じて注射などの処置が検討されることもあります。薬の種類や使い方については、必ず医師や薬剤師の説明に従ってください。
手術が検討される場合
手術が必要になることは多くありません。腱の断裂、骨折、どうしても保存的な治療で改善しない場合などに、専門医と相談して検討されます。
この病気と共に生きる
痛みがある間は「プレーを完全にやめる」のではなく、「痛みの出ない範囲で動く」ことが大切です。痛みの程度を毎日メモしておくと、無理をしすぎているサインに気づきやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 練習の前後に10分程度のウォーミングアップとクールダウンを習慣にする
- 週に1〜2日はゴルフをしない休養日をつくる
- 長時間の練習は分割し、30〜40分ごとに休憩を入れる
- 日常生活でも姿勢を意識し、長時間同じ姿勢を続けない
- ラウンド中はこまめに水分をとり、暑さ・寒さ対策をする
食事と運動
バランスのよい食事と十分な水分は、筋肉や腱の回復を助けます。たんぱく質やカルシウムを意識し、アルコールはほどほどに。運動はゴルフだけでなく、ウォーキングや軽い筋力トレーニング、ストレッチを日常に取り入れると、からだが動きやすくなりけがの予防につながります。
精神的健康と心の健康
痛みで思うようにプレーできないと、もどかしさや焦り、気分の落ち込みを感じることがあります。これは自然な反応です。回復には時間がかかることも多いので、自分を責めずに段階的に戻していきましょう。気分の落ち込みや不安が続くときは、ひとりで抱えず、かかりつけ医や地域の相談窓口、信頼できる人に話してください。つらい気持ちが強いときは、早めに専門家に相談することが大切です。
予防
はい。ゴルフのけがの多くは、準備運動、練習量の調整、フォームの見直し、体力づくりによって防ぐことができます。
ワクチン
ゴルフのけがを防ぐワクチンはありません。ただし、季節の感染症などで体調を崩すとけがのリスクも上がるため、予防接種について気になる場合はかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
ゴルフ専用の検診はありませんが、健康診断で血圧・血糖・心臓の状態を確認しておくと安心です。からだに不安があるときは、プレー前にかかりつけ医に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 痛みが慢性化し、少し振っただけでも痛むようになる
- 腱の断裂や骨折などの見逃し
- 痛みをかばうことでフォームが崩れ、別の部位も痛める
- 長期間ゴルフを休まなければならなくなる
- 日常生活(歩く、物を持つ、家事など)にも支障が出る
長期的な見通し
多くは、早めの休養とリハビリ、フォームの工夫で数週間から数か月のうちに良くなります。痛みを我慢せず、からだの声を聞きながら少しずつ戻していくことが、長くゴルフを楽しむ一番の近道です。
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最終更新: 2026年10月24日
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