手・指・手首の痛風
概要
痛風は、血液の中の「尿酸(にょうさん)」という物質が増えすぎて、細かい結晶になって関節の中にたまり、強い炎症を起こす病気です。尿酸はふだん尿といっしょに体の外へ出ていきますが、作られすぎたり出にくくなったりすると増えてしまいます。痛風といえば足の親指のつけ根が有名ですが、手の指や手首の関節にも起こることがあります。炎症が起きている間は、関節が赤く腫れて熱を持ち、触るのもつらいほどの痛みが出ます。
重要な事実
- 痛風は「尿酸の結晶」による炎症で、感染症ではありません。
- 足の親指ほど多くはありませんが、指の関節や手首にも起こります。
- 發作は数日から1〜2週間ほどでおさまることが多いですが、治療しないと繰り返します。
痛風全体で見ると、手や指に起こるのは足に比べて少なめです。ただし一度痛風になった人の一部では、手の関節にも發作が起きます。
痛風はもともと男性に多い病気で、40代以降の男性に多く見られます。女性は閉経後に増える傾向があります。腎臓の働きが低下している人、血圧の薬の一部を使っている人、お酒をよく飲む人、肥満のある人にも起きやすくなります。
症状
- 関節が真っ赤に腫れて、その範囲がどんどん広がっている(感染症の可能性があります)
- 高熱と悪寒をともない、ぐったりしている、意識がぼんやりしている
- 息苦しさや胸の痛みがある
- ⚠関節の腫れと一緒に発熱がある
- ⚠痛みが非常に強く、眠れない、水も飲めない
- ⚠指の皮膚が破れて、白い粉のようなものが見える
- ⚠尿の量が極端に減った、または尿が出にくい
一般的な症状
- ある日突然、指の関節や手首に強い痛みが出る(夜中から明け方に始まることが多い)
- その関節が赤く腫れ、触ると熱く感じる
- 少し動かすだけで痛み、ふとんが触れてもつらい
- 腫れが数日続いたあと、徐々におさまる
- 繰り返すうちに、指の関節や耳などに硬い「しこり」(痛風結節)ができることがある
- 手を握る、ものを掴むなどの動きがしにくくなる
子供の症状
- 子どもに痛風が起こることはとてもまれです。子どもで指や手首の関節が腫れる場合は、けがや他の病気の可能性を考える必要があるため、早めに小児科やかかりつけ医に相談してください。
高齢者の症状
- 高齢の方では、症状が典型的でないことがあります。熱が目立たない、痛みがはっきりしない、複数の関節が一度に腫れるなどです。腎臓の働きが落ちていたり、水分が不足しがちだったり、複数の薬を飲んでいたりすると、發作のきっかけになりやすくなります。
原因
主な原因
- 体の中で尿酸が作られすぎる(プリン体という成分を多く含む食べ物の取りすぎ、お酒の飲みすぎなど)
- 尿酸が尿から出にくくなる(腎臓の働きの低下、水分不足など)
- 体質や遺伝の影響で、尿酸がたまりやすい人もいる
- けが、手術、急な食事制限、脱水などが引き金になることがある
リスク要因
- 40代以降の男性、閉経後の女性
- 家族に痛風の人がいる
- お酒(特にビールなど)をよく飲む
- 肥満、高血圧、脂質異常、糖尿病などの生活習慣病がある
- 腎臓の病気がある、または腎臓の働きが低下している
- 血圧の薬や利尿薬の一部を使っている
- 水分をあまりとらない、汗をたくさんかく
- 急に厳しい食事制限をした、けがや手術をした
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 関節が赤く腫れて広がっている、または発熱をともなう(感染症との区別が必要です)
- 痛みが非常に強く、日常生活ができない
- 指の皮膚が破れて中身が出てきている
- 尿が出にくい、尿の量が減った
定期受診を予約すべき場合:
- 指や手首の関節の痛みを繰り返している
- 関節に硬いしこりができた
- 健康診断で尿酸値が高いと言われた
- 足の親指などに痛風發作を起こしたことがある
- 家族に痛風の人がいる
診断
まず問診と診察で、痛みの出方や腫れ方、これまでの發作の有無、飲んでいる薬、生活習慣などを確認します。そのうえで血液検査や、必要に応じて関節にたまった液を調べる検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:尿酸値、炎症の程度、腎臓の働きを確認します
- 関節液の検査:注射針で少し液をとり、顕微鏡で尿酸の結晶がないか見ます
- 超音波検査やX線検査:関節の状態や結石の有無を確認します
- 尿検査:尿酸の出方や腎臓の状態を確認します
診察で予想されること
發作の最中は、尿酸値が一時的に普通の値になることがあります。そのため一度の検査だけで判断せず、時間をおいて再検査することがあります。検査の痛みは軽く、外来で行えるものがほとんどです。
治療
治療は大きく2つに分かれます。ひとつは「今起きている痛みと腫れをおさめる治療」、もうひとつは「尿酸値を整えて再發作を防ぐ治療」です。發作の時期と落ち着いている時期で、使う治療の考え方が変わります。
自宅でのセルフケア
- 發作中は患部を安静にし、心臓より少し高くして休む
- 患部は冷やしてあげる(温めると炎症が強まることがあります)
- 水分をこまめにとる
- 發作中はお酒を控える
- 患部を強くもんだり、強く圧迫したりしない
- 市販薬を使う前に、かかりつけ医や薬剤師に相談する
医療治療
医師の判断で、炎症と痛みをおさえる薬や、尿酸を作りすぎない・出しやすくする薬などが使われます。どの治療をいつ始めるかは、發作の時期や腎臓の働き、他の病気や飲んでいる薬によって変わります。自己判断で薬を始めたり止めたりせず、必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
手術が必要になることは多くありません。痛風結節が大きくなって指が動かしにくい、皮膚が破れて感染を繰り返す、神経を圧迫しているといった場合に、限られたケースで検討されることがあります。
この病気と共に生きる
發作がない時期は、ふだんどおり生活して問題ありません。ただし尿酸値が高い状態が続くと再發作につながるため、定期的な受診と検査を続けることが大切です。指先を使う仕事の人は、發作中は無理をせず周囲に相談しましょう。
生活習慣のアドバイス
- お酒の量と頻度を見直す(特にビールや甘いお酒)
- 水分をこまめにとる
- 適正体重を目指し、急激な減量は避ける
- 睡眠と休養をしっかりとる
- ストレスをためこまない
- 健康診断の結果を毎年確認する
食事と運動
食べ物では、肉の内臓や魚の内臓、えび・かになどプリン体を多く含む食品を毎日大量に食べるのは控えめにしましょう。ただし、すべてを我慢する必要はありません。果糖を多く含む清涼飲料水は尿酸値を上げやすいので、飲みすぎに注意しましょう。運動は、ウォーキングなど軽めの有酸素運動を無理のない範囲で続けるのがおすすめです。激しすぎる運動や脱水はかえって尿酸値を上げることがあるので、こまめな水分補給を忘れずに。
精神的健康と心の健康
痛みが繰り返すと、不安になったり、食事やお酒を楽しめないことにストレスを感じたりすることがあります。痛風は生活と付き合いながらコントロールできる病気です。ひとりで抱えこまず、かかりつけ医や家族、信頼できる人に話してみてください。気持ちがつらい状態が続くときは、地域の相談窓口や医療機関に相談しましょう。緊急の場合は119番に連絡してください。
予防
痛風は、生活習慣を整えることで發作を減らせます。尿酸値が高いと言われた人は、飲酒・食事・水分・体重管理を見直し、定期的に検査を受けることが再發作の予防につながります。
検診プログラム
健康診断の血液検査で尿酸値を測ることができます。尿酸値が高いと言われたら、症状がなくてもかかりつけ医に相談してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 發作を繰り返し、回数が増えたり長引いたりする
- 指の関節に硬い痛風結節ができ、変形して動かしにくくなる
- 尿酸の結晶が腎臓にたまり、腎臓の働きが低下することがある
- 尿路結石(尿の通り道に石ができる)が起こりやすくなる
- 皮膚が破れて感染を起こすことがある
長期的な見通し
痛風は、きちんと向き合えば落ち着いて付き合える病気です。尿酸値を整え、生活習慣を見直すことで、發作のない期間を長く保てます。心配なことは遠慮なく医療機関に相談してください。
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最終更新: 2026年10月24日
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