B群レンサ球菌(GBS)感染症の基礎知識
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
B群レンサ球菌(GBS)は、健康な人の体の中に自然に存在する細菌の一種です。特に、おしりの管(肛門)や女性の腟(ちつ)に見つかります。ふつうは無害ですが、赤ちゃんや体の抵抗力が弱った人が感染すると、肺炎や髄膜炎などの重い病気を引き起こすことがあります。
重要な事実
- 健康な人でも、10~30%は体の中にGBSを持っています。
- 妊娠中に検査で見つけられれば、お産のときに赤ちゃんを守る処置ができます。
- GBSを持っていても、ほとんどの場合は症状や健康問題がありません。
GBSを持っている人はとても多いです。とくに妊娠後期の女性では、5人に1人ほどがGBSを持っているといわれます。しかし、実際に感染症を起こす人はまれです。
GBS感染症は、主に生まれたばかりの赤ちゃんに起こります。また、妊娠中や産後の女性、高齢者、糖尿病などの病気で免疫が弱っている人もかかりやすくなります。
症状
- 生まれたばかりの赤ちゃんがぐったりしている、呼吸が苦しそう、高熱がある場合は、ためらわずに救急(119番)を呼んでください。
- 大人でも意識がもうろうとする、息が止まりそうなほど苦しい場合は、すぐに救急車を呼んでください。
- 高熱に加えて首が硬くなる、激しい頭痛、赤い発疹が広がる場合は、緊急の感染症の可能性があります。すぐに救急医療機関を受診してください。
- ⚠妊娠中に発熱がある場合は、同じ日に産科を受診してください。
- ⚠3か月未満の赤ちゃんが37.5度以上の発熱をした場合は、その日のうちに小児科を受診してください。
- ⚠排尿時の痛みが続く、尿に血が混じる場合
- ⚠皮膚の傷が急に赤く腫れ、痛みが増す場合
一般的な症状
- 症状がない場合がほとんどです。
- 感染を起こすと、発熱、悪寒(ふるえ)が現れます。
- 排尿時の痛みや違和感がみられることがあります。
- 女性では、腟から異常なおりものが出ることがあります。
子供の症状
- 生まれた直後~生後1週間に症状が現れることがあります。
- ぐったりしている、元気がない
- おっぱいやミルクを飲まない
- 呼吸がはやい、唇が紫色になる
- 体温が高い(または低すぎる)
- 黄疸が強く出る(皮膚が黄色い)
高齢者の症状
- 高齢者の場合は、肺炎や尿路感染、全身の感染症を起こしやすくなります。
- 高熱や悪寒
- せき、痰、呼吸苦
- 排尿時痛、尿が濁る
- 意識がぼんやりする、急に認知症のような症状が出る
原因
主な原因
- GBS(B群レンサ球菌)という細菌に感染することが原因です。
- この細菌は、健康な人の腸や腟の中で自然に増えています。
- 赤ちゃんはお産のときに産道の細菌をもらって感染することがあります。
リスク要因
- 妊娠中(とくに妊娠後期や出産時)
- 早産になったことがある
- 破水してから出産までに長い時間がかかる
- 妊娠中に発熱がある
- 高齢である
- 糖尿病やがん治療などで免疫力が低下している
- カテーテル(管)を尿路に入れている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 赤ちゃんに、ぐったり・発熱・呼吸が苦しいなどの症状がある場合は、すぐに小児科を受診してください。
- 妊娠中に熱やおなかの張り、破水のような感覚がある場合は、産院に連絡してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 妊婦健診で、GBSの検査を受けることについて相談できます(多くは妊娠33~37週頃)。
- 排尿時の痛み、おおりものの変化などが気になる場合は、受診の目安です。
- 高齢者で原因がはっきりしない発熱やせきが続く場合は、内科を受診してください。
診断
妊婦さんの場合、腟と肛門のまわりを綿棒でぬぐい、そこにGBSがいるかを調べる培養検査が最も一般的です。感染症が疑われる場合は、尿や血液の検査も行われます。
行われる可能性のある検査
- 腟・直腸のぬぐい液を調べる培養検査
- 血液検査
診察で予想されること
検査自体は数分で終わり、ほとんど痛みはありません。綿棒の先で粘膜をそっとこするだけです。結果は通常数日でわかります。産院や検査機関により、結果の出る時間は異なります。
治療
GBSを持っているだけでは、通常は治療が必要ありません。ただし、以下の場合は治療・予防が行われます。妊娠中にGBSが見つかった場合、お産が始まったときに抗生物質の点滴を受けることで、赤ちゃんへの感染リスクを大きく下げられます。膀胱炎などの感染症を起こした場合、抗生物質で治療します。高齢者や免疫の弱った人が重症感染症になった場合は、入院して点滴治療が必要になることがあります。
自宅でのセルフケア
- 体を休める
- 水分を十分に取る
- 熱があるときはこまめに体温を測る
- 医師の指示どおりに治療を続ける
医療治療
治療の中心は、原因となる細菌をやっつける抗生物質です。妊婦の場合、陣痛が始まってから分娩まで、抗生物質を点滴します。感染症を起こしている場合は、状態に合わせて飲み薬や点滴薬が使われます。重症の場合は入院して治療します。どのお薬を使うかは、医師があなたの状態を見て決めます。
手術が検討される場合
手術が必要になることはほとんどありません。ただし、化膿したしこり(膿瘍)ができた場合は、切って膿を出す処置(切開排膿)が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
GBSを持っていても、ふだんの生活を変える必要はありません。妊娠中は、お産のときの予防処置が受けられるよう、産院でしっかりと計画を立てましょう。体の異変を感じたら、早めに受診してください。
生活習慣のアドバイス
- こまめに手洗いを行い、清潔を保つ
- バランスのよい食事を心がける
- 適度な運動を習慣にする(体調がよい範囲で)
- 喫煙は控える(妊娠中は特に禁煙を)
食事と運動
GBSの感染を防ぐための特別な食事はありません。普段どおり、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。妊娠中はウォーキングなど軽い運動が勧められますが、必ず産科医に相談してから行ってください。
精神的健康と心の健康
妊娠中にGBSが陽性と言われると、不安になる方も多いです。しかし、実は多くの妊婦さんが持っている細菌で、感染を防ぐ方法も確立しています。GBSのことは決して恥ずかしいことではありません。不安な気持ちは、産婦人科医や助産師に話して、一緒に解決していきましょう。
予防
赤ちゃんへの感染は、妊娠中の検査と、お産のときの抗生物質の点滴で予防できます。これが最も確実な方法です。大人の場合は、手洗いや傷口を清潔に保つことで、感染の広がりを防ぐことが大切です。
ワクチン
まだGBSを予防するワクチンはありません。ワクチンに関する新しい情報は、厚生労働省や医療機関の案内を確認しましょう。
検診プログラム
日本の厚生労働省が示す標準的な妊婦健診項目には、妊娠後期(おおむね33~37週)のGBS培養検査が含まれています。産院によって時期が異なる場合もあるため、担当医に確認してください。
合併症
治療しない場合
- 新生児が感染すると、敗血症(血液の中に細菌が回ること)、肺炎、髄膜炎などの重い病気を引き起こす恐れがあります。
- 妊婦本人は、子宮内感染、産後の子宮内膜炎、傷口の感染などを起こすことがあります。
- 高齢者では、肺炎、尿路感染症、敗血症などに進行する可能性があります。
長期的な見通し
妊娠中にGBSが見つかり適切な予防処置を受けた場合、赤ちゃんがGBS感染症になるリスクは非常に低くなります。万一感染した場合でも、早く見つけて治療すれば多くは回復します。GBSを持っていることそのものは、ほとんどの場合、健康に影響しません。お医者さんと一緒に、落ち着いて対応していきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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