メジナ虫症(ギニア虫症)— 水を介して感染する寄生虫の病気
概要
メジナ虫症(ギニア虫症)は、寄生虫の一種であるメジナ虫が体の中に入って起こる感染症です。汚れた水を飲むことで感染し、1年ほどたってから、皮膚の下で育った細長い虫が皮膚を破って出てきます。人から人へうつることはありません。
重要な事実
- 原因は寄生虫で、飲み水にいる小さな甲殻類(ミジンコのなかま)を一緒に飲み込むことで体に入ります。
- 虫は体内で育つと、ふくらはぎやすねなどの皮膚の下から少しずつ出てきます。長さは60cm以上になることもあります。
- 特効薬やワクチンはなく、虫を少しずつ抜き取る処置と、傷を清潔に保つケアが中心になります。
- 世界規模の対策で患者数は大きく減り、日本国内で感染することはまずありません。
世界でも非常にまれな病気です。1980年代には年間数十万人の患者がいましたが、世界保健機関(WHO)などの対策により、現在報告される患者は世界で年間十数例ほどにまで減っています。日本国内での感染例はなく、流行地域に渡航・滞在した人で見られることがある程度です。
アフリカのごく一部の地域(チャド、南スーダンなど)で、安全な飲み水が手に入りにくい村に住む人々に多く見られます。年齢や性別を問わず、子どもも大人も感染します。流行地域に長く滞在する人、現地の水をそのまま飲む人が特に注意が必要です。
症状
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が鈍い
- 呼吸が速い、皮膚がまだらに青白い、手足が冷たい(重症の感染症が疑われるとき)
- 傷の周りが急に広く赤く腫れ、激しい痛みや高熱がある
- ⚠38度以上の発熱が続く
- ⚠傷から膿が出る、赤みが広がる、悪臭がある
- ⚠痛みで歩けない
- ⚠破傷風の予防接種が済んでいない、または不明で、傷が汚れた
一般的な症状
- 感染してから1年ほどは、ほとんど症状がありません。
- 皮膚に、熱感・かゆみ・痛みを伴うふくらみ(水ぶくれ)ができます。多くは足のすねやふくらはぎです。
- しばらくすると水ぶくれが破れ、細長い虫の先端が現れます。
- 発熱、吐き気、じんましん、だるさを伴うことがあります。
- 傷から細菌が入ると、赤く腫れて膿が出たり、痛みが強くなったりします。
子供の症状
- 痛みで歩くのがつらくなったり、学校に行きにくくなったりすることがあります。
- 症状の出方自体は大人と大きく変わりませんが、痛みをうまく伝えられないことがあります。
- 傷をかきむしって細菌感染を起こさないよう、見守りが必要です。
高齢者の症状
- 痛みや傷の治りの遅さから、歩行や家事など日常の動作が難しくなることがあります。
- 糖尿病など他の病気があると、傷の感染が進みやすくなります。
- 体力が落ちやすいため、安静と栄養、水分補給に気を配りましょう。
原因
主な原因
- メジナ虫という寄生虫の幼虫がついた小さな甲殻類(ケンミジンコなど)を、飲み水と一緒に飲み込むことで感染します。
- 飲み込んだ幼虫が胃の中で放出され、体の中を移動しながら成長します。
- 1年ほどして、メスの虫が皮膚の下から外に出ようとし、その部分に水ぶくれができます。
- 虫が出るときに水に触れると、虫が水中に幼虫を放ち、次の感染につながります。
リスク要因
- 流行地域(アフリカの一部)で、ろ過や煮沸をしていない水を飲む
- 流行地域の池や浅い井戸の水を、飲用や調理に使う
- 流行地域に長期間住んでいる、または長期滞在する
- 現地の水場で泳いだり、水に触れたりする
- 安全な水を手に入れるのが難しい環境にいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 流行地域から帰ってきて、皮膚に原因不明のふくらみや水ぶくれ、かゆみ・痛みがある
- 皮膚から糸のようなものが見える
- 発熱がある、傷が腫れている、膿が出ている
定期受診を予約すべき場合:
- 流行地域に住んでいた、または長く滞在したことがあり、体調に不安がある
- 皮膚の症状が長引いている
- 渡航前後の健康相談をしたい
診断
皮膚の症状を診て、虫の先端が見えていれば診断は比較的はっきりします。流行地域への渡航歴や、住んでいた場所の確認も大切な手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 診察(皮膚の観察)
- 渡航歴・生活歴の聞き取り
- 画像検査(超音波やX線で、皮膚の下や体内の虫の位置を確認することがあります)
- 血液検査(好酸球というアレルギーに関わる細胞が増えていないかなど)
- 傷に細菌が入っていないかどうかの検査
診察で予想されること
診察は痛みの少ない方法で行われます。虫が見えている場合は無理に引っ張らず、少しずつ巻き取る処置が行われます。処置には数日から数週間かかることがあり、その間も通院や傷のケアが必要です。
治療
メジナ虫症に特効薬はありません。虫を少しずつ体の外に出す処置と、傷を清潔に保って細菌感染を防ぐことが治療の中心になります。多くの場合、虫が出きれば自然に治ります。
自宅でのセルフケア
- 傷を清潔に保ち、乾かしておく。指示された方法でガーゼや包帯を交換する
- 虫を無理に引っ張ったり、つまんだりしない(ちぎれると炎症がひどくなることがあります)
- 痛みがあるときは患部を安静にして負担を減らす
- 発熱や腫れの広がりに気をつけ、変化があれば早めに医療機関に連絡する
- 水分をしっかりとり、体力を保つ
医療治療
医療機関では、傷の消毒と保護、痛みを和らげる対応、細菌感染がある場合の対応が行われます。虫は少しずつ巻き取って抜き出します。必要に応じて破傷風の予防状况も確認されます。
手術が検討される場合
虫が皮膚の下の深いところにある、関節の近くにある、または細菌感染や膿がひどい場合に、外科的な処置が検討されることがあります。多くの人には必要ありません。
この病気と共に生きる
虫が出ている間は、傷のケアと安静が中心になります。痛みで歩きにくいときは無理をせず、日常生活の動きを工夫しましょう。治るまでには数週間かかることがあります。
生活習慣のアドバイス
- 流行地域では、必ず安全な水(煮沸・ろ過・塩素処理をした水)を使う
- 水場で裸足で歩いたり、むやみに水に足をつけたりしないよう心がける
- 傷を清潔に保ち、爪を短くして引っかかないようにする
- 家族や周りの人にも、水の安全について伝える
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と水分で体力を保ちましょう。運動は、痛みのない範囲で軽い歩行などから再開し、傷が落ち着いてから少しずつ増やしていくとよいです。
精神的健康と心の健康
見た目の変化や長引く痛みで、不安や恥ずかしさ、気分の落ち込みを感じることがあります。これは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や医療者に話してください。つらい気持ちが続くときは、地域の相談窓口や医療機関に相談しましょう。
予防
はい。原因は汚れた飲み水なので、水の安全を守ることで防げます。世界的にも対策が進み、患者数は大きく減っています。
ワクチン
メジナ虫症を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
一般向けの決まった検診はありません。流行地域に長く滞在した人は、帰国後に皮膚の症状や体調の変化があれば医療機関で相談してください。
合併症
治療しない場合
- 傷から細菌が入り、膿が出たり広く腫れたりする(重症になると全身の感染症の危険があります)
- 破傷風のリスクが高まる
- 関節の近くに虫がいる場合、関節が動きにくくなることがある
- 痛みで歩けなくなり、仕事や学校に行けなくなる
- 傷が治るまでに時間がかかり、生活の質が下がる
長期的な見通し
多くは、虫が体の外に出きれば自然に治ります。世界全体では患者数が激減しており、この病気をなくそうという取り組みが続いています。適切なケアを受ければ、ほとんどの人が元の生活に戻れます。不安なことがあれば、医療者に相談してください。
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最終更新: 2026年10月24日
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