血友病:知っておきたい基礎知識と生活のポイント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
血友病は、血液を固めて出血を止めるために必要な「凝固因子」が体に足りないために、出血が止まりにくくなったり、傷がないのに体内で出血したりする病気です。けがや手術のときだけでなく、日常の小さな衝撃でも、関節や筋肉の中で出血することがあります。治療は、不足している凝固因子を補充することが中心になります。
重要な事実
- 多くは遺伝する病気で、主に男の子に発症します。
- 関節や筋肉の中の出血を繰り返すと、将来関節を傷めることがあります。
- 現在はよい治療があり、適切に治療すれば、多くの人が普通に近い生活を送れます。
まれな病気で、日本ではおよそ1万人に1人くらいの割合と考えられています。
主に男性に症状が出やすい病気です。女性でも保因者となり、軽い出血しやすさが見られることがあります。家族に血友病の人がいなくても、突然の遺伝子の変化によって起こる場合もあります。
症状
- 頭を強く打った、または激しい頭痛、嘔吐、けいれん、意識がぼんやりする、手足が動かしにくいなど頭の中の出血が疑われる症状がある
- のどや首の中の出血で、ものを飲み込むのがつらい、息がしにくい
- 交通事故や高いところからの転落など、重大なけがをした
- 止まらない大量出血がある
- ⚠関節が急に腫れて、熱感や強い痛みがある
- ⚠明らかな理由のない強い痛みがある
- ⚠尿や便に血が混じっている
- ⚠鼻血や歯ぐきの出血がなかなか止まらない
一般的な症状
- 小さなけがでも血が止まりにくい
- あざができやすい、または大きなあざになる
- 関節が赤く腫れて痛む(ひざ、肘、足首など)
- 筋肉の中の出血で、痛みや張りを感じる
- 鼻血や歯ぐきの出血が長引く
子供の症状
- 乳児期に、転んだ後や予防接種の後などに血の固まり(血腫)ができる
- 手足の関節をかばって、動かしわがる
- 原因がはっきりしない大きなあざがある
- 出血に伴う痛みで、機嫌が悪くなったり泣き方が変化したりする
高齢者の症状
- 長年の関節内出血による関節の変形や慢性の痛み
- 加齢に伴う病気や薬の影響で、出血しやすくなる
- 手術や抜歯の後に出血が長引く
- 血尿や血便に気づくことがある
原因
主な原因
- 血液を固めるために必要な凝固因子が生まれつき不足している
- 第Ⅷ因子が少ない場合は「血友病A」、第Ⅸ因子が少ない場合は「血友病B」と呼ばれる
- 多くは親から子どもに受け継がれる遺伝による。特に男の子に症状が出やすい
- 女の子は保因者(症状がないか軽い)になりやすいが、家族歴がなくても突然の遺伝子の変化で起こることがある
リスク要因
- 血友病の家族歴がある
- 男性である
- 出血しやすくなる薬を使用している、または使用したことがある
- 過去に原因不明の出血や長引く出血があった
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 関節や筋肉が急に腫れて痛む
- 頭を打った後、強い頭痛や意識の変化が出た
- 尿や便に血が混じっている
- けがをしてから30分以上出血が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 家族に血友病や原因不明の出血しやすい人がいる
- 頻繁に大きなあざができる、血が止まりにくいと感じる
- 抜歯や手術の前に、出血のリスクについて相談したい
- 妊娠や出産を考えていて、遺伝について知りたい
診断
血液検査で、血液が固まるまでの時間や凝固因子の量を調べます。血友病が疑われる場合は、血液内科や小児科、血友病専門の医療機関を受診します。
行われる可能性のある検査
- 血液が固まるまでの時間を調べる凝固機能検査
- 第Ⅷ因子や第Ⅸ因子の活性値を測る血液検査
- 遺伝子検査(保因者の確認や、詳しいタイプを知るためなど)
診察で予想されること
採血による検査結果をもとに診断されます。専門の病院では、医師、看護師、理学療法士などがチームとなり、その人に合った治療計画を一緒に考えます。
治療
血友病の治療は、不足している凝固因子を補充して止血を助けることが基本です。出血が起きたときに治療する方法と、普段から定期的に補充して出血を予防する方法があります。自分で静脈注射ができるように、専門スタッフが練習を支援してくれることもあります。
自宅でのセルフケア
- 出血したら、清潔な布やガーゼで圧迫し、できるだけ早く医療機関へ連絡する
- 関節や筋肉が痛むときは、無理に動かさず安静にする
- 歯を丁寧に磨き、歯ぐきの出血を防ぐ
- 家の中の角を保護するなど、けがをしにくい環境を整える
- 頭痛などの症状を軽く見ないで、早めに相談する
医療治療
専門医の指示のもと、不足している凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)を静脈に投与して補う治療が中心になります。出血時に治療する方法に加え、定期的に投与して出血を防ぐ方法もあります。ほかにも、出血を防ぎやすくする新しいタイプの薬が使われることがあり、医師が患者さんの状態に合わせて治療を選びます。出血後の関節の機能を保つためのリハビリテーションも大切です。
手術が検討される場合
手術や抜歯をするときは、必ず血友病の主治医に伝え、出血のリスクを減らす計画を立ててから行います。専門の医療機関で、血液内科のスタッフなどと協力して安全な体制を整えます。
この病気と共に生きる
血友病と診断されても、学校や仕事をあきらめる必要はありません。主治医や看護師に連絡できる体制を整え、学校や職場には、出血したときにどのように対応すればよいかを伝えておくと安心です。日本では、厚生労働省の指定難病として医療費の助成が受けられる場合もあります。詳しくは、お住まいの自治体の窓口や専門医に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- ウォーキングや水泳など、関節に負担の少ない運動を習慣にする
- サッカーやラグビーなど激しい接触のあるスポーツは、医師と相談してから行う
- ヘルメットやプロテクターなど、けがを防ぐための装備を使う
- 適正な体重を保ち、関節への負担を減らす
食事と運動
特別な食事制限はありません。骨や筋肉を支えるために、カルシウムやたんぱく質をバランスよく取りましょう。運動は関節の柔軟性と筋力を保つのに役立ちますが、けがをしにくい方法で行うことが大切です。
精神的健康と心の健康
出血の心配や、周囲と違う自分がつらいと感じることがあるかもしれません。不安やつらい気持ちを家族や友人、専門のカウンセラーに話すだけでも、気持ちが楽になることがあります。一人で抱え込まないでください。
予防
血友病そのものを予防することはできません。ただし、定期的な治療と日常生活の工夫で、出血や関節の合併症を予防することはできます。家族計画や遺伝について知りたいときは、遺伝カウンセリングも役立ちます。
ワクチン
治療で血液由来の製剤を使う人は、肝炎などの感染症を予防するためのワクチンが勧められることがあります。予防接種についても、主治医に相談してください。
検診プログラム
血友病は、生まれた後の出血しやすさの経過から疑われることが多いです。家族歴がある家庭では、妊娠前や妊娠中に遺伝に関する相談ができます。気になることがあれば、かかりつけ医や専門医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 関節内の出血を繰り返し、慢性の関節炎や関節の変形につながる
- 筋肉内の出血によって、手足が腫れたまま固くなり、動かしにくくなる
- 頭の中の出血は、命にかかわることがある
- 出血が長く続くことで、貧血が進むことがある
長期的な見通し
血友病は生まれつきの体質ですが、現代の医療では出血をコントロールし、関節の障害や重い出血を防ぎながら、長く豊かな生活を送る人が増えています。治療の選択肢も広がっており、希望をもって前向きに取り組むことが大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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