手術を受けること
概要
手術とは、医師が道具や機械を使って、体の一部を治したり調べたりする医療の方法です。多くは「麻酔(ますい)」を使って、痛みを感じないようにして行われます。麻酔には、体全体を眠らせる全身麻酔、体の一部の感覚だけをなくす区域麻酔、小さな範囲だけをしびれさせる局所麻酔などがあります。手術の目的は、病気を治すため、けがを直すため、組織の一部を取って調べるため(生検=組織の一部を取って調べること)、痛みや息苦しさなどのつらさをやわらげるためなど、いろいろです。
重要な事実
- 手術の目的、方法、起こりうるリスク、術後の生活については、担当医に何度でも確認してかまいません。
- 手術が決まると、麻酔科の医師との話し合いや手術前の検査が行われます。分からないことは遠慮なく質問しましょう。
- 術後の痛みや不安は我慢せずに医療チームに伝えることが、安全でスムーズな回復につながります。
手術はとても一般的な治療です。日本では毎年多くの方が手術を受けています。入院して行う大きな手術もあれば、日帰りでできる小さな手術もあります。
手術は赤ちゃんから高齢者まで、どの年代の方にも関係します。年齢や持病、体力によって、手術の方法や術前の準備、回復のスピードは変わります。
症状
- 意識がない、または呼びかけに反応がなく、すぐに戻らない
- 呼吸が苦しい、息ができない
- 胸が強く痛む、脈がとても速い、脈が不規則
- 傷から血が止まらない、大量に出血している
- 傷が大きく開いて中が見える
- 顔色が青白い、冷や汗がひどい、ぐったりしている
- ⚠38度以上の熱が出た、強い寒気がする
- ⚠傷の赤み・腫れ・熱感が強くなる、膿のようなものが出る
- ⚠痛みが日ごとに強くなる、痛み止めが効かない
- ⚠吐き気やおう吐が続き、水分がとれない
- ⚠おしっこが出ない、または量がとても少ない
- ⚠ふくらはぎの片方が腫れる、痛む、赤くなる(血栓=血のかたまりのおそれ)
- ⚠手術した場所の近くがしびれたまま、動かしにくい
一般的な症状
- 手術は病気ではないため「症状」というより、手術の前後に起こりやすい体験をまとめました。
- 手術前の不安や緊張、眠りにくさ
- 麻酔から覚めたあとの、ぼんやりした感じや眠気
- 傷の痛みや、体を動かしたときのつっぱり感
- 吐き気や食欲がない感じ(麻酔や痛み止めの影響で起こることがあります)
- だるさ、疲れやすさ
- 傷の周りの腫れや赤み(数日で落ち着くことが多いです)
- おなかの手術のあとは、ガスが出にくい、お通じが来ない
- のどが渇く、寒気がする(手術直後に多い)
子供の症状
- 病院の環境や知らない人への不安から、泣いたりぐずったりする
- 麻酔から覚めたあとの混乱やぐずり
- 傷を触りたがる、痛みをうまく言葉で伝えられない
- 退院後しばらく、甘えや夜泣きが増えることがある
- 食欲が戻るまでに時間がかかることがある
高齢者の症状
- 回復に時間がかかることがある
- 術後に一時的に意識がぼんやりする(せん妄)ことがある
- 体力や筋力が落ちやすいので、早めのリハビリが大切
- 持病の薬と手術の関係に注意が必要
- 脱水や便秘が起こりやすい
原因
主な原因
- 病気(腫瘍や結石、炎症など)を取り除いたり治したりするため
- けがや骨折を直すため
- 組織の一部を取って調べる(生検)など、診断のため
- 臓器の働きを助けたり、狭くなった通り道を広げたりするため
- 生まれつきの形の問題を整えるため
- 痛みや息苦しさなどのつらさをやわらげるため
リスク要因
- 高齢であること
- たばこを吸っていること
- 糖尿病、心臓病、腎臓病、呼吸器の病気などの持病
- 肥満、または著しいやせ
- 栄養状態がよくないこと
- 血液を固まりにくくする薬など、一部の薬を飲んでいること
- 過去に手術や麻酔で問題が起きたことがある
- アレルギーがあること
- 手術の大きさ、時間の長さ、緊急の手術であること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 緊急の対応が必要な症状(意識がない、呼吸が苦しい、出血が止まらないなど)があるとき
- 早めの受診が必要な症状(高い熱、傷の悪化、尿が出ないなど)があるとき
- 退院時に渡された注意事項に当てはまるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 手術を受けるかどうか迷っているとき(セカンドオピニオン=別の医師の意見を聞くこともできます)
- 手術前の準備や、飲んでいる薬について確認したいとき
- 術後の生活、仕事への復帰、運動の再開について知りたいとき
- 不安や気分の落ち込みが続くとき
診断
手術が必要かどうかは、担当医が問診(お話を聞くこと)、診察、検査の結果を合わせて判断します。手術が決まったあとは、麻酔科の医師との面談や手術前の検査が行われます。手術の目的、方法、予想される経過、起こりうるリスク、ほかの治療の選択肢について説明を受け、納得したうえで決めることが大切です。必要であれば、別の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査、尿検査
- 心電図、胸部レントゲン
- CT、MRI、超音波(エコー)検査
- 内視鏡検査
- 麻酔科の医師による診察と問診
- 必要に応じて呼吸機能検査や、心臓の詳しい検査
診察で予想されること
手術が決まると、術前の説明、検査、麻酔科の診察、入院の準備が進みます。手術当日は、決められた時間から食べ物や飲み物を控えます(必ず指示に従ってください)。手術のあと、目が覚めるときにぼんやりしたり、のどが渇いたり、寒気がしたりすることがありますが、多くは数時間から数日で落ち着きます。
治療
手術は手術室で行われます。麻酔の方法や手術の進め方は、体の状態や手術の内容によって変わります。手術のあとは、痛みの管理、傷のケア、食事や歩行の再開、リハビリなどを通じて回復を目指します。医療チームが段階的にサポートしますので、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
自宅でのセルフケア
- 手術前に禁煙する(傷の治りがよくなり、肺の合併症が減ります)
- 指示されたとおりに食事や飲み物を控える
- 飲んでいる薬やサプリメントを、医師・薬剤師にすべて伝える
- 事前に聞きたいことを紙に書いておく
- 退院後の付き添いや、家事・買い物の段取りを準備しておく
- 手術後は、傷を清潔で乾燥した状態に保つ(指示された方法でケアする)
- 痛みは我慢せず、医療チームに伝える
- 指示された範囲で早めに体を動かす(血栓の予防にもなります)
- 水分をとり、便秘を防ぐ
- 退院後の注意事項をよく読み、分からないことは確認する
医療治療
手術の方法には、おなかを大きく開ける手術、小さな穴から器具を入れる内視鏡手術(腹腔鏡・胸腔鏡など)、日帰りでできる手術などがあります。麻酔は、全身麻酔、体の一部だけをしびれさせる区域麻酔、局所麻酔などから、体の状態に合わせて選ばれます。手術のあとは、痛みをやわらげる処置、感染を防ぐ処置、点滴、リハビリなどが組み合わせて行われます。必要に応じて薬が使われることがありますが、その種類や量は医師が決めます。くわしい内容は担当医・麻酔科医から説明があります。
手術が検討される場合
手術は、薬やリハビリなどの治療で十分な効果が得られないとき、症状が強く生活に支障があるとき、命に関わる状態のとき、けがや急な病気で早急に処置が必要なときなどに行われます。手術を受けるかどうかは、利点とリスクを比べて、医師と話し合って決めましょう。
この病気と共に生きる
手術後の回復のスピードは人それぞれです。退院後しばらくは、傷の痛みや疲れやすさが続くことがあります。無理をせず、少しずつ日常の活動を増やしていきましょう。仕事や家事の再開時期、車の運転、入浴や運動の制限については、退院時に渡される説明に従ってください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける(回復と傷の治りを助けます)
- 飲酒は指示があるまで控える
- 十分な睡眠と休息をとる
- 傷を清潔に保ち、指示された方法でケアする
- 医療チームに伝えていない薬やサプリメントを、自分で判断して使わない
- 発熱や傷の変化など、気になる症状をメモしておく
食事と運動
食事は、指示された段階から少しずつ再開します。水分をしっかりとり、食物繊維をとって便秘を防ぎましょう。たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品など)は傷の治りを助けます。運動は、指示された範囲で、歩くことから始めるのがおすすめです。早めに体を動かすことは、血栓(血のかたまり)を防ぎ、回復を助けます。激しい運動や重い物を持つことは、許可が出るまで控えましょう。
精神的健康と心の健康
手術の前後は、不安、緊張、イライラ、気分の落ち込みが起こりやすいものです。思ったように回復しないと焦ることもあるかもしれません。こうした気持ちは珍しいことではなく、多くの方が経験します。眠れない日が続く、涙が出る、何も楽しめないといった状態が2週間以上続くときは、医療チームに相談してください。つらい気持ちが強いときや、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに医療機関や相談窓口に連絡してください。一人で抱え込まないでください。
予防
すべての手術を防ぐことはできませんが、手術が必要になる病気の多くは、生活習慣の見直しや定期的な健診によって早く見つけることができます。また、手術が決まったあとでも、禁煙、栄養状態を整えること、持病をうまくコントロールすることによって、合併症のリスクを下げられることがあります。
ワクチン
手術の前に、肺炎やインフルエンザなどのワクチンについて医師に相談するとよいでしょう。手術後の感染症を防ぐ助けになる場合があります。接種の時期は、手術の予定に合わせて調整します。
検診プログラム
定期的な健康診断やがん検診を受けることは、病気を早く見つけ、手術の負担を小さくすることにつながります。自治体の検診の案内や、かかりつけ医にご相談ください。
合併症
治療しない場合
- 手術が必要と言われた場合に手術をしない、または遅らせると、病気の種類によっては症状が強くなり、日常生活がつらくなることがあります。
- 病気が進むことがあります(腫瘍が大きくなる、感染が広がるなど)。
- 急に具合が悪くなり、緊急の手術が必要になることがあります。
- ほかの治療の選択肢が少なくなることがあります。
- 手術そのものにも、出血、感染、血栓、麻酔の影響といった合併症が起こる可能性がありますが、医療チームはこれを防ぐための対策をしています。
長期的な見通し
手術は、多くの方にとって症状を改善し、生活の質を保つための有効な方法です。回復には時間がかかることがありますが、医療チームのサポートを受けながら、少しずつ前に進んでいけます。心配なことがあれば、いつでも相談してください。
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最終更新: 2026年10月24日
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