アタマジラミの卵(ニット)について
概要
アタマジラミは、人の頭の髪の毛にすみつく、ごま粒よりも小さな虫です。この虫は卵を産み、卵は「ニット」と呼ばれます。卵は髪の毛にセメントのようなものでしっかり張りつくため、手で払っても簡単には落ちません。卵は頭皮から1〜2センチ以内の、あたたかい場所に多いのが特徴です。卵そのものが人から人へうつるのではなく、卵からかえった小さな幼虫が育って成虫になり、その成虫が次の人へ移ります。アタマジラミは飛ぶことも跳ねることもできず、這って(はって)移ります。
重要な事実
- 卵(ニット)は髪に固くくっつき、洗っても振っても落ちにくい
- 頭皮から近いところ(1〜2センチ以内)に多く見られる
- かゆみは、シラミの唾液(だえき)に対する体のアレルギー反応で起こる
- 清潔か不潔かは関係なく、衛生状態が悪いからなるわけではない
- 卵だけではうつらず、生きた成虫や幼虫が移ることで広がる
とてもよくある話です。日本でも保育園や小学校など、子どもたちが集まる場所で時々見られます。珍しい病気ではなく、恥ずかしがる必要もありません。
主に3〜12歳くらいの子どもに多く、家族の中でうつり合うこともよくあります。髪の長さ、髪質、清潔さ、暮らしむきなどは関係ありません。大人も、子どもからうつることがあります。
症状
- アタマジラミそのものは緊急の病気ではなく、救急車を呼ぶ必要はほとんどありません。ただし、かきむしった傷から細菌が入り、顔や首が急に腫れる、息が苦しい、意識がもうろうとする、高熱が続いてぐったりしている、といった場合は、すぐに119番に電話してください。
- ⚠かきむしった傷が膿んで(うんで)いて、赤く腫れて痛む
- ⚠頭皮や耳の後ろのリンパ節が腫れて、押すと痛い
- ⚠発熱があり、頭皮の傷が悪化しているように見える
- ⚠自分や家族で対処しても、2週間以上たっても虫や卵が減らない
一般的な症状
- 頭皮のかゆみ(特に夜、寝ているときにかゆいと感じやすい)
- 耳の後ろや首の後ろに、小さな赤いぶつぶつや発疹が出る
- フケのような白い小さな粒が髪についていて、取れにくい
- かきむしった跡や、頭皮に小さなかさぶたができる
- 生きた虫が見える(動いている小さな点)
- 特に症状がないこともある(かゆみを感じない人もいる)
子供の症状
- 耳の後ろ、首の後ろ、頭頂部を中心に、卵や虫が見つかりやすい
- かゆくて集中できなかったり、眠りが浅くなったりする
- かきむしりすぎて、頭皮に傷ができることがある
- 自分では気づきにくく、家族や先生が先に気づくことが多い
高齢者の症状
- 大人は、子どもや孫からうつるパターンが多い
- 症状は子どもと同じだが、かゆみを感じにくいこともある
- 症状がなくても、卵や虫を持っていることがある
- 髪が白っぽいと、卵が見つけにくいことがある
原因
主な原因
- 頭と頭が直接ふれ合うこと(抱き合う、写真を撮る、ベッドを並べるなど)
- ブラシ、くし、帽子、タオル、枕、ヘアゴムなどを家族で共有すること
- タオル掛けやハンガーに、帽子や服を重ねて掛けること
- 家族の中で、気づかないうちにうつし合っていること
リスク要因
- 保育園・幼稚園・小学校など、子どもが集まる場所に通っている
- 家族の中にアタマジラミが見つかった人がいる
- 友だち同士で帽子やヘアアクセサリーを貸し借りする習慣がある
- 寝具やタオルを家族で共用している
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 頭皮の傷が膿んで腫れている、痛みが強い
- 発熱があり、ぐったりしている
- 顔や首が腫れて、呼吸が苦しそう
定期受診を予約すべき場合:
- 白い粒が卵なのかフケなのか、自分では判断できない
- 市販の対処用品やくしを使っても、うまく取り除けない
- 2歳未満の子ども、妊娠中・授乳中の人で、駆除のための医薬品を使いたい
- アレルギーや皮膚の病気があり、頭皮の状態が心配
- 何度もくり返して、困っている
診断
診断はとてもシンプルです。明るい場所で、髪を分けて目で見たり、細かい歯のくし(とかし)で髪をすいたりして、生きた虫や卵を探します。卵は髪に固くついていて、指でつまんでも簡単には動きません。フケはすぐに取れて動くので、そこが区別のポイントです。
行われる可能性のある検査
- 目で見る診察(頭皮と髪を分けて確認)
- 細かい歯のくしで髪をすいて確認
- 髪を少し濡らして、コンディショナーをつけてからくしでとかす方法(見つけやすくなる)
- 必要に応じて、皮膚科で拡大鏡を使って確認
診察で予想されること
診察は短時間で、痛みはありません。恥ずかしい思いをする必要もありません。先生や薬剤師は、この相談をよく受けています。家族全員を一緒に確認すると、うつし合いを防げます。
治療
アタマジラミの対処は、大きく2つの方法があります。ひとつは、髪に直接使う「駆除のための医薬品」を使う方法。もうひとつは、細かい歯のくしで根気よく卵と虫を取り除く方法です。この2つを組み合わせると、より確実です。そして何より大切なのが、家族みんなで一緒に確認して、同じ時期に対処することです。
自宅でのセルフケア
- 髪を濡らしてコンディショナーをつけ、細かい歯のくしで根本から毛先まで、少しずつすく
- くしは4日おきくらいを目安に、少なくとも2週間は続ける(卵がかえる時期を逃さないため)
- 使い終わったくしは、お湯と石鹸でよく洗う
- 枕カバー、シーツ、タオル、帽子などは、60℃以上のお湯で洗うか、熱い乾燥機にかける
- ぬいぐるみなど洗えないものは、密閉した袋に入れて2週間ほど置く
- ブラシやくし、ヘアゴムは家族で共有せず、それぞれ使う
- 家族全員の頭を、明るい場所で一緒に確認する
- 卵を見つけたら髪を短く切る必要はないが、長い髪はまとめると確認しやすい
医療治療
アタマジラミ用の医薬品(髪に塗るタイプや洗うタイプ)が使われることがあります。ただし、年齢や体の状態によって使えるものが違うため、必ず医師や薬剤師に相談してから使ってください。ここでは薬の名前や使い方の量はお伝えしません。大切なのは、説明書に書かれた使用方法を守り、決められた時期にもう一度行うことです。一度では卵が残ることがあるため、2回目の対処が特に重要です。また、薬を使ったあとも、くしでの除去を続けると効果的です。
手術が検討される場合
アタマジラミの卵や虫を取り除くために、手術が必要になることはありません。
この病気と共に生きる
アタマジラミが見つかっても、学校を休む必要はないと考えられています。登校や登園について心配なときは、学校の養護教諭や園の先生に相談してください。子どもが「自分だけ汚い」と感じないよう、『特別なことではないよ』と落ち着いて伝えることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- ブラシ、くし、帽子、タオル、ヘアゴムは自分専用にする
- 週に1回など、習慣として家族の頭を明るい場所でチェックする
- 友だちと帽子やアクセサリーを貸し借りしないよう、やさしく伝える
- 発生したときは、家族と、よく一緒に過ごす友だちの家にも知らせる(早めの対処につながる)
- 洗濯物は熱いお湯や乾燥機を上手に使う
食事と運動
食事や運動でアタマジラミを防いだり治したりすることはできません。特別な食事制限も必要ありません。ふだんどおりの生活で大丈夫です。
精神的健康と心の健康
「汚い」「恥ずかしい」という誤ったイメージのせいで、つらい気持ちになることがあります。子どもがいやな思いをしたり、からかわれたりすることもあります。アタマジラミは清潔さとは関係のない、よくある出来事だと伝えてください。不安やストレスが強いときは、一人で抱え込まずに、学校の養護教諭や保健師、かかりつけ医、薬剤師に相談してください。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、広がりを減らすことはできます。ブラシや帽子、タオルの共有を避ける、家族で定期的に頭をチェックする、集団生活の中で発生したら早めに知らせ合う、といったことが役立ちます。
ワクチン
アタマジラミを防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
症状がなくても、家族や周りの人にアタマジラミが見つかったときは、一緒に頭を確認することが大切です。心配なときは、かかりつけ医や薬剤師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- かきむしり続けることで、頭皮に傷ができ、細菌による皮膚の感染(とびひなど)を起こすことがある
- かゆみで眠りが浅くなり、日中のだるさや集中力の低下につながることがある
- 人に知られることを恐れて、つらい気持ちを抱えてしまうことがある
- 卵がかえって数が増え、対処に時間がかかることがある
長期的な見通し
アタマジラミは命に関わる病気ではなく、適切に対処すれば数週間で落ち着きます。一度でうまくいかず、もう一度くり返すことも珍しくありませんが、あわてる必要はありません。正しい方法を続ければ、多くはきちんと改善します。
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最終更新: 2026年10月24日
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