頭痛(片頭痛・へんずつう)について
概要
片頭痛は、頭の血管や神経の働きの変化によって起こる、繰り返すタイプの頭痛です。ズキンズキンと脈打つように痛み、光や音がいつもよりつらく感じたり、吐き気がしたりすることがあります。ふつうの「なんとなく頭が痛い」とは違い、発作が数時間から数日続いて、仕事や学校、家事など日常生活に影響することがあります。
重要な事実
- 片頭痛は「頭の片側だけ」とは限りません。両側が痛むこともあります。
- 発作の前に、光がチカチカ見える、視野の一部が欠けるなどの「前兆(ぜんちょう)」が出ることがあります。
- 痛み止めを頻繁に使うと、かえって頭痛が増えることがあります。使い方について医師や薬剤師に相談しましょう。
片頭痛はとてもよくみられる頭痛で、日本でも多くの人が経験しています。診断の基準や治療の方法はよく研究されており、自分に合った対処法を見つけられる可能性が十分にあります。
思春期から40代くらいの女性に多くみられますが、男性にも、子どもにも、高齢の方にも起こります。女性では月経の時期に発作が出やすいことがあります。また、家族に片頭痛の人がいる場合、同じ体質を受け継いでいることがあります。
症状
- 突然、今まで経験したことのない激しい頭痛が始まった(「雷が落ちたよう」と表現されることがあります)
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が悪い、けいれんが起きた
- ろれつが回らない、手や足に力が入らない、顔の片側が動かない、ものが二重に見える
- 発熱と一緒に、首が硬くて前に倒せない
- 頭を打ったあとに始まった頭痛
- 急に視力が大きく落ちた、息苦しい、胸の痛みがある
- ⚠頭痛が数日続いて、よくならない
- ⚠頭痛の回数や強さが、ここ数週間で急に増えた
- ⚠50歳以降で初めて経験する頭痛
- ⚠発熱、体重が減る、夜中に痛みで目が覚めるなどを伴う
- ⚠痛み止めを使う回数が増え、やめられなくなっている気がする
一般的な症状
- ズキンズキンと脈打つような痛みが続く
- 頭の片側、または両側が痛む
- 光や音、においがいつもよりまぶしく・うるさく・強く感じられる
- 吐き気がする、嘔吐することがある
- 動くと痛みが強くなるので、暗く静かな場所でじっとしていたい
- 発作の前に、光がチカチカする、視野の一部が見えにくいなどの前兆が出る
- 発作のあとに、からだがだるい、頭がぼんやりする
子供の症状
- 痛みが両側に起こることが多く、続く時間が短めなこともある
- 吐き気やお腹の痛み、食欲がないなど、頭痛以外の症状が目立つ
- 顔色が悪い、元気がない、遊ばないなど、様子の変化として気づかれる
- 学校を休みたがる、光や音を嫌がる
高齢者の症状
- 50歳を過ぎてから初めて起こる頭痛は、片頭痛よりもほかの原因を考える必要があります。早めに受診しましょう。
- 前兆が長く続く、痛み方が今までと違うなど、いつもと違う変化があるときは注意が必要です。
- 高血圧や糖尿病などの持病がある方は、頭痛についても医師に伝えてください。
原因
主な原因
- 脳の血管と、痛みを伝える神経(三叉神経・さんさしんけい)の働きの変化が関係すると考えられています。
- 脳の表面を流れる電気のような興奮の広がりが、前兆(光のチカチカなど)に関係するといわれています。
- 体の中で情報を伝える物質(セロトニンなど)の変化が、発作の引き金になることがあります。
- 遺伝的な体質も関係します。家族に片頭痛の人がいる場合、起こりやすいことがあります。
- 多くの場合、いくつかの「引き金(きっかけ)」が重なったときに発作が起こります。
リスク要因
- 家族に片頭痛の人がいる
- 女性である(月経の周期やホルモンの変化)
- 強いストレス、またはストレスから解放されたとき(週末や旅行中など)
- 睡眠不足や寝すぎ、生活リズムの乱れ
- 空腹、水分不足、食事をとばす
- 人によっては特定の食べ物・飲み物(チーズ、赤ワイン、チョコレートなどといわれますが、感じ方は人それぞれです)
- 天気や気圧の変化、強い光、強いにおい、大きな音
- カフェインのとりすぎ、または急にやめる
- 肩や首のこり、長時間の画面の見すぎ
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい頭痛、意識の変化、手足の麻痺、ろれつの回りにくさ、けいれんがある(この場合は119番へ)
- 発熱と首の硬さを伴う頭痛
- 頭を打ったあとに始まった頭痛
- 頭痛が数日続いて改善しない
- 50歳以降で初めての頭痛
定期受診を予約すべき場合:
- 頭痛が月に何度もあり、仕事や学校、家事に支障が出ている
- 光や音がつらい、吐き気を伴うなど、いつも同じパターンの発作がある
- 市販の痛み止めを使う回数が増えてきた
- 前兆(視界のチカチカなど)があり、心配になった
- 家族に片頭痛の人がいて、自分も同じかもしれないと思っている
診断
片頭痛の診断は、まずていねいな問診から始まります。いつ、どのくらいの頻度で、どんなふうに痛むか、前兆はあるか、吐き気や光のつらさはあるか、どんなときに起こるかなどを聞き取り、国際的な診断の基準(ICHD)に当てはまるかを確認します。危険なサイン(警告症状)がないかを確かめることも大切です。
行われる可能性のある検査
- 神経の診察(手足の動き、感覚、目の動き、反射などを確認します)
- 頭部CTやMRI(危険なサインがある場合や、診断に迷う場合に行われます)
- 血液検査(ほかの原因がないか確認するために行うことがあります)
- 眼の検査(必要に応じて)
- 頭痛ダイアリー(日記)の確認 — これも大切な「検査」のひとつです
診察で予想されること
診察では、頭痛について多くの質問があります。診察前に、頭痛が起きた日時、痛みの場所と強さ、前兆の有無、吐き気、使った薬、そのときの体調(睡眠・食事・ストレス・天気)をメモしておくと役立ちます。片頭痛と診断されれば、まずは生活の工夫と、発作時の薬の使い方から始めることが多いです。
治療
片頭痛の治療は、大きく2つに分かれます。ひとつは「発作が起きたときの対処」、もうひとつは「発作の回数を減らすための予防」です。どちらも、生活の工夫と組み合わせて行います。治療の内容は人によって違うので、医師と相談しながら自分に合う方法を探していきましょう。
自宅でのセルフケア
- 発作が始まったら、暗く静かな場所で横になって休む
- 冷たいタオルで頭や首の後ろを冷やす、または温めて楽になるほうを試す
- 脱水を防ぐために、少しずつ水分をとる
- 寝不足も寝すぎも引き金になるので、毎日の睡眠時間をそろえる
- 食事をとばさない。空腹を長時間つくらない
- カフェインは、とりすぎも急な中断も頭痛のきっかけになります。量とタイミングを意識する
- 長時間の画面を見るときは、こまめに休憩して肩や首をほぐす
- 頭痛ダイアリーをつけて、自分が発作を起こしやすいパターンを知る
医療治療
医療機関では、発作が起きたときの痛みをやわらげる薬と、発作の回数やつらさを減らすための予防の薬を組み合わせて考えることがあります。薬の種類や使い方は、頭痛の頻度、持病、妊娠・授乳の有無などによって変わります。痛み止めの使いすぎは、かえって頭痛を増やす「薬の使いすぎによる頭痛」を招くことがあるため、使う回数についても医師・薬剤師に相談してください。妊娠中・授乳中、ほかの薬を飲んでいる場合は、必ず事前に伝えましょう。
手術が検討される場合
片頭痛そのものを手術で治すことは、日本の一般的な診療では行われていません。治療は生活の工夫と薬物療法が中心です。
この病気と共に生きる
片頭痛とは、長く付き合っていくことが多いものです。発作が来たときにどう対処するかをあらかじめ決めておくと、安心して過ごせます。たとえば、仕事や学校で「具合が悪いときにどうするか」を周りの人に伝えておく、痛み止めを常に持ち歩く、発作のサインに早く気づく、といった準備が役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 起床・就寝の時間をできるだけ一定にする
- 食事は決まった時間にとり、水分をこまめにとる
- 適度な運動(ウォーキングなど)を習慣にする。ただし強すぎる運動は引き金になることもあるので様子を見ながら
- ストレスをためこまない。リラックスする時間を意識してつくる
- 肩や首のこりをためない。姿勢や枕を見直す
- アルコールは量と種類に気をつける(赤ワインなどで起こりやすい人もいます)
- 発作の記録をつけて、自分の引き金を把握する
食事と運動
決まった時間にバランスよく食べ、空腹を長時間つくらないことが大切です。人によっては特定の食品が引き金になることがあるので、ダイアリーで確認してみましょう。ただし、食べ物を極端に制限する必要はありません。運動は、無理のない範囲で続けることがストレス軽減や睡眠の改善にもつながります。激しい運動のあとに頭痛が出る場合は、強度を調整しましょう。
精神的健康と心の健康
頭痛が続くと、「また来たらどうしよう」という不安や、予定を立てにくいことによるストレスを感じることがあります。仕事や学校、家事が思うように進まず、気分が落ち込むこともあるでしょう。つらさを一人で抱えこまず、家族や友人、医療機関に話してみてください。気持ちの落ち込みや不安が続くときは、地域の相談窓口や医療機関に相談を。命に関わるほどつらい気持ちになったときは、ためらわず119番に連絡するか、救急の窓口を利用してください。
予防
片頭痛を完全に防ぐことは難しいですが、発作の回数やつらさを減らすことは十分に可能です。自分の引き金(睡眠不足、空腹、ストレス、気圧の変化など)を知って工夫すること、生活リズムを整えること、必要に応じて医師と相談して予防の薬を使うことが助けになります。
検診プログラム
片頭痛そのものを早期に見つけるための決まった検診はありません。ただし、頭痛の頻度や痛み方が変わったとき、50歳以降で初めて頭痛が出たときは、早めに医療機関を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 発作が続くことで、仕事・学校・家事など日常生活の質が下がることがあります
- 痛み止めを使いすぎることで、かえって頭痛が増える「薬の使いすぎによる頭痛」を招くことがあります
- 不安や気分の落ち込みが強くなることがあります
- まれに、ほかの深刻な頭痛の原因が隠れているのを見逃してしまうことがあります
- 人間関係や予定の調整に負担がかかることがあります
長期的な見通し
片頭痛は、多くの人が工夫しながらうまく付き合っていける頭痛です。生活の調整や医師との相談を続けることで、発作の回数やつらさが減ることはよくあります。自分に合う対処法を見つけるまでには少し時間がかかることもありますが、あきらめずに相談を続けてください。
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最終更新: 2026年10月24日
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