心房細動(しんぼうさいどう)ってどんな病気?
概要
心房細動は、不整脈(ふせいみゃく=心臓の拍動のリズムが乱れること)の一種です。心臓は4つの部屋に分かれていて、上の2つの部屋を「心房」と呼びます。心房細動では、この心房が細かく震えるように動き、規則正しく収縮できなくなります。その結果、脈が速くなったり不規則になったりします。命に関わる病気ではありませんが、放っておくと脳梗塞(のうこうそく=脳の血管が詰まる病気)の危険が高くなるため、早めに相談することが大切です。
重要な事実
- 心房細動は脈が不規則になる不整脈で、年齢が上がるほど増えます。
- 自覚症状がない人も多く、健康診断の心電図で初めて見つかることもあります。
- 治療の大きな柱は、脳梗塞を防ぐことと、脈の速さやリズムを整えることです。
はい、とてもよく見られる不整脈です。年齢が上がるほど増え、高齢の方では数十人に1人くらいに見られるといわれています。
高齢の方、高血圧のある方、心臓の病気のある方、甲状腺(こうじょうせん)の病気、睡眠時無呼吸、肥満、糖尿病、飲酒の習慣がある方などに多く見られます。若い方でも起こることがあります。
症状
- 胸の強い痛みや圧迫感が続く
- 意識を失った、または気を失いそうになった
- 強いい息苦しさ、呼吸ができない感じ
- 顔や手足の片側が動かない、ろれつが回らない、言葉が出ない(脳梗塞のサイン)
- ⚠動悸が数時間以上続いている
- ⚠息切れが強くなってきた
- ⚠胸の不快感やめまいが続く
- ⚠足のむくみが急に増えた
- ⚠脈がとても速い、または不規則な状態が続く
一般的な症状
- 動悸(どうき)=胸がドキドキする、脈が飛ぶように感じる
- 息切れ、階段や坂道で息が上がりやすい
- 疲れやすい、だるい
- めまい、ふらつき
- 胸の不快感や圧迫感
- 尿が多くなる(心房細動のホルモンの影響で)
- まったく症状がない(無症状)
子供の症状
- 子どもではまれですが、生まれつき心臓の病気がある子では起こることがあります。
- 動悸、息苦しさ、母乳やミルクを飲みにくい、ぐったりして元気がない、といった様子が見られることがあります。
- 小さな子は言葉で伝えられないため、顔色や機嫌、遊び方の変化に気をつけてあげてください。
原因
主な原因
- 加齢による心臓の変化
- 心臓の病気(弁膜症、心不全、心筋梗塞のあとなど)
- 甲状腺の病気(甲状腺機能亢進症など)
- 睡眠時無呼吸症候群(寝ている間に呼吸が止まる病気)
- 飲酒、ストレス、睡眠不足
- はっきりした原因が見つからないことも多い
リスク要因
- 年齢が高い
- 高血圧、糖尿病、肥満
- 睡眠時無呼吸
- 習慣的な飲酒、喫煙
- 心臓の病気の家族歴
- 激しい持久系スポーツの長期継続
- 甲状腺の病気
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 動悸が数時間以上続く、または何度も繰り返す
- 息切れが強くなり、横になると苦しい
- 胸の痛みや強い不快感がある
- めまいで立っていられない、ふらつく
- 足のむくみが急に増えた
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断の心電図で不整脈を指摘された
- ときどき脈が飛ぶ感じやドキドキがある
- 疲れやすい、息切れしやすいと感じる
- 脈が速い、または不規則だと自分で気づいた
診断
まず問診と脈の確認を行い、心電図で心臓の電気の流れを調べます。発作が長く続かない場合は、24時間心電図(ホルター心電図)などで記録します。心エコー(超音波で心臓を見る検査)で心臓の形や働きを確認し、血液検査で甲状腺や貧血などほかの原因も調べます。
行われる可能性のある検査
- 心電図(12誘導心電図)
- ホルター心電図(24時間つけて記録する検査)
- 心エコー(超音波検査)
- 血液検査(甲状腺の働き、貧血、腎臓の働きなど)
- 胸部レントゲン
- 必要に応じてイベントレコーダーや、スマートウォッチの脈の記録
診察で予想されること
診察は短時間で、心電図や心エコーは痛みのない検査です。発作が起きていないときは記録できないことがあるため、症状が出た時刻や状況をメモしておくと診断の助けになります。
治療
治療は大きく2つの柱があります。1つは脳梗塞を防ぐこと、もう1つは脈の速さやリズムを整えることです。どちらをどのくらい重視するかは、年齢や症状、ほかの病気の有無によって変わります。生活習慣の見直しも治療の一部です。
自宅でのセルフケア
- 飲酒は控えめにする(特に発作のきっかけになる場合は避ける)
- 禁煙する
- 適正な体重を保つ
- 睡眠を十分にとる
- 血圧や血糖を管理する
- 水分をこまめにとり、脱水を避ける
- 薬は決められたとおりに続ける(自己判断でやめない)
- ときどき自分の脈をチェックする
- コーヒーやエナジードリンクなどカフェインの多い飲み物は控えめに
- 発作があったときは時刻と症状を記録する
医療治療
脳梗塞を防ぐために、血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を使うことがあります。また、脈を遅くする薬や、脈を正常なリズムに戻す薬を使うこともあります。薬の種類や量は、年齢、腎臓や肝臓の働き、出血のリスクなどを考えて医師が決めます。飲み忘れや自己判断での中止は危険なことがあるので、気になることは薬剤師や医師に相談してください。脈を戻すために電気ショックを行う治療(電気的除細動)が行われることもあります。
手術が検討される場合
薬でうまくコントロールできないときは、カテーテル治療(アブレーション)で脈の乱れの原因となる部分を焼く治療が検討されます。また、状況によってはペースメーカーや手術を検討する場合もあります。適応は医師とよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
症状があっても、多くの方は治療と工夫で普通の生活を続けています。発作のきっかけ(飲酒、睡眠不足、ストレス、脱水など)を記録すると、自分なりの対策が見つかります。旅行や運転、仕事について心配があれば、事前に医師に相談しておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 節酒と禁煙
- 適正体重の維持
- 十分な睡眠とストレス管理
- 適度な運動を無理なく続ける
- 血圧を測る習慣をつける
- 脱水を避ける
- 薬を忘れない工夫(薬ケース、スマホのアラームなど)
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、塩分は控えめに、野菜や果物、魚を取り入れましょう。アルコールは控えめにします。運動はウォーキングなど中等度のものを無理のない範囲で続けるのがおすすめです。激しい運動や水分不足は発作のきっかけになることがあるため、運動の強さや量は医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
動悸への不安や、脳梗塞になるのではないかという心配から、眠れなくなったり気分が落ち込んだりすることがあります。つらいときは一人で抱えず、家族や医療者に話してください。気持ちの落ち込みが続く、日常生活がつらい、自分を傷つけたい気持ちが出てきたときは、すぐに医療機関やお住まいの自治体の相談窓口、緊急時は救急(119)に連絡してください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、リスクを下げることはできます。血圧を整える、飲酒を控える、禁煙する、体重を適正に保つ、睡眠時無呼吸を治療する、甲状腺の病気を治療することが大切です。
ワクチン
心房細動そのものを防ぐワクチンはありません。ただし、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは、心臓の病気がある方の重症化を防ぐのに役立つといわれています。かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
健康診断の心電図で見つかることがあります。ふだんから自分の脈をチェックする習慣や、スマートウォッチなどの脈の記録も役立ちます。動悸や脈の乱れを感じたら早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 脳梗塞のリスクが高まる(心臓にできた血栓が脳の血管を詰まらせる)
- 心不全を起こしたり、悪化させたりする
- 認知機能の低下と関係することがある
- 疲れやすさや息切れで生活の質が下がる
長期的な見通し
心房細動は、多くの方が治療と生活の工夫で普通の生活を続けている病気です。脳梗塞の予防を続けることが大切ですが、心配しすぎる必要はありません。主治医と二人三脚で、自分に合った付き合い方を見つけていきましょう。
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最終更新: 2026年10月24日
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