痔(ぢ)のつらさに、どう向き合う?
概要
痔(ぢ)は、肛門(こうもん)のまわりの血管や皮膚、組織がふくらんだり傷ついたりして、痛みや出血、かゆみなどが起こる状態です。大きく分けると、肛門の内側にできる「いぼ痔(内痔核)」、肛門の出口の皮膚が切れる「きれ痔(裂肛)」、肛門のまわりに膿(うみ)のたまりができる「あな痔(痔瘻)」などがあります。どれも恥ずかしい病気ではなく、とてもよくある悩みです。
重要な事実
- 痔は肛門のまわりの血管や組織のトラブルで、命に関わることはまれな、とても多い悩みです。
- 大きく分けて「いぼ痔」「きれ痔」「あな痔」があり、症状や対処のしかたが少しずつ違います。
- 多くは生活の工夫と適切な治療で良くなります。心配しすぎず、つらければ早めに相談しましょう。
はい、とてもよくある悩みです。日本人の多くが一生のうちに一度は経験するといわれ、恥ずかしいことではありません。
男性にも女性にも起こります。とくに、便秘がちな人、長時間座る仕事の人、妊娠・出産を経験した女性、高齢の方に多くみられます。子どもでは比較的少なく、起こる場合は硬い便によるきれ痔が多いです。
症状
- 出血が大量で止まらず、ふらつき・動悸・冷汗・意識がもうろうとする(救急車を呼んでください:119)
- 肛門の激しい痛みに高熱をともない、皮膚の赤みや腫れが広がっていく(まれですが、重い感染の可能性があります)
- 意識が遠のく、立てないほどのめまいがある
- ⚠出血が数日続く、または量が増えている
- ⚠痛みが強く、眠れない、歩けない
- ⚠発熱をともなう
- ⚠痔が外に出たまま戻らない、腫れて硬くなっている
一般的な症状
- 排便のときに血が出る(トイレットペーパーに赤い血がつく、便器に血がにじむ)
- 肛門のあたりの痛みや、ズーンとした違和感
- 肛門のかゆみや、ぬれたような感じ
- 肛門の外にふくらみが出てくる(いぼ痔が外に出る)
- 座るのがつらい、歩くと違和感がある
子供の症状
- 子どもでは、硬い便や便秘が原因の「きれ痔」(肛門の皮膚が切れる)が多めです。
- 痛みでトイレをがまんし、さらに便秘が悪くなる悪循環になることがあります。
- 出血が続くときや、痛みが強いときは小児科で相談しましょう。
高齢者の症状
- 便秘がちになりやすく、いきむことが増えて痔になりやすいです。
- 長時間同じ姿勢で過ごすことが多く、肛門のまわりに負担がかかることがあります。
- 出血が続くと貧血になりやすいので、続くときは早めに相談しましょう。
- 血液をサラサラにする薬などを飲んでいる場合は、出血しやすくなることがあります。気になる場合は医師に伝えましょう。
原因
主な原因
- 排便のときに強くいきむこと
- 便秘や硬い便により、肛門に大きな負担がかかること
- 長時間の座り姿勢や立ち姿勢で、肛門のまわりの血管がうっ血すること
- 妊娠・出産による体の変化(おなかの圧力が上がる、ホルモンの変化など)
- 加齢により、肛門のまわりの組織がゆるみやすくなること
リスク要因
- 食物繊維や水分が不足した食事
- 重い物を持つ仕事や、力む動作が多い生活
- トイレで長時間スマートフォンを見るなど、座り続ける習慣
- アルコールや辛い物のとりすぎ(刺激になることがあります)
- 運動不足
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 出血が続く、または量が多い
- 痛みが強く、日常生活に支障がある
- 発熱や、肛門のまわりの赤み・腫れがある
- 痔が外に出たまま戻らない
定期受診を予約すべき場合:
- かゆみや違和感が長く続く
- 排便時の出血をくり返している
- 市販薬などで様子を見てもよくならない
- 便に血が混じる状態が続く(大腸の病気を調べる必要があることがあります)
診断
まず、症状や排便の習慣についての問診(質問)があります。そのあと、肛門のまわりを目で見る視診、肛門に指を入れて確かめる指診、小さな筒状の器具で肛門の内側を見る肛門鏡(こうもんきょう)などで調べます。痛みが強くないように工夫しながら行います。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状、排便の回数や硬さ、出血の量などを聞きます)
- 視診(肛門のまわりを目で見て確認します)
- 指診(肛門に指を入れて、しこりや痛みの場所を確かめます)
- 肛門鏡(小さな筒状の器具で肛門の内側を観察します)
- 必要に応じて大腸カメラ(出血の原因をはっきりさせるために行うことがあります)
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、恥ずかしさはあるかもしれませんが、医療者は慣れています。うまく話せないときは、症状を紙に書いて渡しても大丈夫です。気になることは遠慮なく聞いてください。
治療
痔の治療は、症状の強さや種類によって変わります。多くは生活の工夫と、症状をやわらげる治療で良くなります。つらさが強い場合や、くり返す場合には、医療機関で相談しながら方針を決めていきます。
自宅でのセルフケア
- 食物繊維(野菜、きのこ、海藻、豆など)と水分をしっかりとる
- トイレに座る時間を短くし、いきみすぎない
- ぬるま湯に座る「温座浴(おんざよく)」で、痛みや違和感がやわらぐことがある
- 肛門のまわりは、やさしく拭く。強くこすらない
- 長時間同じ姿勢で座り続けない(ときどき立って歩く)
- 市販薬を使う場合は、薬剤師や医師に相談してからにする
医療治療
医療機関では、症状に合わせて、炎症や痛みをやわらげる塗り薬や坐薬、便をやわらかくする薬などが使われることがあります。痔が外に出る場合には、輪ゴムのようなもので根元をしばる処置などが検討されることもあります。具体的な薬や治療の選び方は、医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
出血や痛みをくり返して日常生活に支障がある場合、痔が外に出たまま戻らない場合、別の治療でよくならない場合などに、手術が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、医療機関で症状を調べたうえで相談します。
この病気と共に生きる
痔は、生活のちょっとした工夫でつらさを減らせる悩みです。症状があるときは無理をせず、トイレの時間を短くする、座り方を工夫するなど、できることから始めてみましょう。
生活習慣のアドバイス
- 朝の排便の習慣をつくり、トイレは短時間で済ませる
- 座るときは、ときどき姿勢を変えたり立ったりする
- 適度な運動(ウォーキングなど)を続ける
- 体重を適正に保つ
- お酒や辛い物はほどほどにする
- 便意をがまんしない
食事と運動
食物繊維の多い食事と十分な水分は、便をやわらかくして排便の負担を減らします。ウォーキングなどの軽い運動は、腸の動きを助け、便秘の改善にもつながります。無理のない範囲で続けることが大切です。
精神的健康と心の健康
痛みやかゆみが続くと、気分が落ち込んだり、人に話しづらくてひとりで抱え込んだりすることがあります。恥ずかしいことではありません。つらさが強いときや気持ちがつらいときは、医療機関や地域の相談窓口に相談してください。ひとりで悩まないでくださいね。
予防
多くは、生活の工夫である程度予防したり、症状を軽くしたりできます。便秘を防ぎ、排便時の負担を減らすことがポイントです。
検診プログラム
便に血が混じる状態が続くときは、痔だけでなく大腸の病気を調べる必要があることがあります。自治体の大腸がん検診は、そうした確認のきっかけにもなります。対象年齢や受け方は、お住まいの自治体の案内を確認してください。
合併症
治療しない場合
- 出血が続くことで、貧血になることがあります。
- 痔が外に出たまま戻らず、腫れて強く痛むことがあります。
- きれ痔が慢性化して、傷が治りにくくなることがあります。
- まれに、肛門のまわりに感染を起こすことがあります。
長期的な見通し
痔はとてもよくある悩みで、多くは生活の工夫と適切な治療で良くなります。つらい症状があっても、早めに相談することで安心につながります。心配しすぎず、できることから始めてみましょう。
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最終更新: 2026年10月24日
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